2007年10月03日

加害の歴史をタブーとしないことと、言葉の非暴力について

皆様

重複失礼致します。転載歓迎です。

さる9月22日(土)14〜17時、我孫子栄光教会にて行われた、
あびこ平和ネット主催、増田都子先生の近現代史講座(4)「日露戦争と韓国併合」に参加しました。
唐突ですが、授業の感想と紙上討論を送らせて頂きます。

授業は年表を用いて、日清戦争のおさらいから、1910年の韓国併合を学びました。
日本が武力で韓国の皇帝を脅迫して併合したという事実を初めて知りました。

また、同年、1910年に日本国内で「大逆事件」が起こったことも改めて学びました。
病の床で寝たきりの幸徳秋水が主犯として明治天皇を暗殺しようと企てた、として、
逮捕され、死刑となった事件です。

秋水の妻と数名が、爆弾を作って実験したことから、社会主義、無政府主義の秋水を
反体制弾圧の一環として、死刑としたこの事件。共謀罪法案のことを思い出しました。
もの言えぬ世の中になる前に、私はあらためて天皇制のことを議論したいです。

また、この弾圧のねらいとして、朝鮮半島でも同じように弾圧されていた反体制派と、
日本国内のグループが結びつくのを、日本政府が恐れた、ということも聞きました。

次に、日露戦争を学びましたが、特に印象に残ったのは、片山潜や内村鑑三、秋水、
堺利彦、与謝野晶子など、戦争に反対した人々がいるということです。

授業では与謝野の「君死にたもうなかれ」を交読しました。
その中で印象的だったのは「すめらみことは、戦ひにおほみづからは出でまさね」という一節。
天皇は自ら、戦いには出ない、という事実を指摘した文章です。

●ここで増田先生と皆さんに質問なのですが、日清戦争では戦争反対を唱えた人は
いなかったのでしょうか?●

この授業では、千葉県東葛地域で採用している歴史教科書をつかっております。
が、この教科書では日露戦争のまとめとして、次の一文があります。

「日本がロシアに勝ったことは、アジアの民族に独立への希望をあたえました。」

私は、増田先生の授業を受ける前ならば、「こういった歴史の見方もあるなぁ」
とだけで、済ませてしまったでしょうが、授業を終えた今となっては、
この記述では、学習指導要領の言う、多面的、多角的な検討にはならないと思います。

それは、この授業で教科書以外に配られた資料に学んだからです。
インドのネルー首相『父が子に語る世界歴史』みすず書房で、同首相は、1932年12月29日の日記で
日本がロシアに勝ったことの感激を書いています。

ここまでならば、上記教科書の記述でよいのですが、明くる日、12月30日の日記で同首相は、
日本が侵略的帝国主義国にすぎず、朝鮮や満州を漁りまわったことを語ります。

松戸市の仲間たちが韓国平和ツアーで見学した、日本が建てた当時の監獄。
どれだけの拷問と虐殺があったかを、史実として物語るものですが、
そうした加害の側面を、日本の人間は忘れてはならないと思います。

歴史の授業だけでなく、歴史小説でも、市町村の平和事業、国のセレモニーの中でも、
加害の歴史をも思い起こすことは、今後、他国の人々との平和を築く上で、特に重要です。

武力で屈伏させてきたという都合の悪いことは、書かず、教えず、教えたらクビにする都。
そんなことを許してしまっていては、過ちは繰り返されるでしょう。
イラク戦争「侵略」への協力は許しません。

授業では、ほかに、司馬遼太郎『坂の上の雲』文春文庫が、読み方注意として紹介されました。

「...ともかくも、この戦争は清国や朝鮮を領有しようとしておこしたものではなく、多分に受け身であった。」

この書き方では、片手落ちではないでしょうか?
私は司馬のこの小説を読んでいて、中国と朝鮮の人々のことは全くふれていないことに違和感を覚えます。
確かに、旧日本軍人の視点を書いたものなので、そこに焦点を当てたのだろうとは思うのですが、
やあり、加害と被害の両方の真実を丸ごと知る必要があると思います。

●では、第4回紙上討論として。

私は、日々の生活において、また、愛国心について物申すことにしろ、行政の歴史認識を正すにしろ、
「反天皇制の闘い」にしろ、反パトリオットミサイル配備や反米軍基地の行動にしろ、
やはり言葉の非暴力は一つの重要な原則になるのかと思っています。

これは、辺野古で米軍基地建設阻止行動を続ける仲間から気付かされたことであり、
下記の本でも学んだことです。

サティシュ・クマール『君あり、故に我あり』講談社学術文庫、2005年。

関連した個所を抜粋させて頂きます。
「人が何かを話すとき、真実の一側面について語ることはできても、真実全体を語ることはできない。」
「言葉は真実の一側面に近づくことくらいしかできない。」(51ページ)

「唯一の『真実』が存在するというより、『さまざまな真実』がある。」(52ページ)
「真実はつかみどころのないものです。私たちは自分の真実を他人に強制すべきではありません。
この非強制の精神が非暴力であり、だからこそ非暴力は真実の前提条件なのです。」(53ページ)

「...すべての知識は部分的なものである...。それを悟れば、私たちは固定的な観念や意見に囚われない。
原理主義から解放されるのだ。信念が複数あることを受け入れると同時に、信念から自由であることができる。」(55ページ)

増田先生、皆さん、どう考えますか?

今後の日程ですが、
第5回は「日本の産業革命と近代文化」、10月20日(土)14〜17時、我孫子栄光教会にて。
第6回は「第一次世界大戦と日本」、11月25日(日)14〜17時、湖北台近隣センターにて。

あびこ平和ネット
豊田 義信 yoshinobu000-lj@infoseek.jp
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posted by 風の人 at 23:30 | Comment(0) | TrackBack(2) | 一般
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