2018年08月14日

イスラエルの軍事見本市ISDEF Japan 2018に川崎市とどろきアリーナを貸さないでください

イスラエルの軍事見本市ISDEF Japan 2018に川崎市とどろきアリーナを貸さないでください

川崎フロンターレ御中

私事ながら、川崎市が私の出生地であること、またサッカーが私の高校時代までのスポーツであったことから、貴クラブとは何かご縁があると感じています。貴クラブが指定管理者の1つとなっている川崎市とどろきアリーナをイスラエルの軍事見本市「ISDEF」の日本版「ISDEF Japan 2018」(以下、本展)の会場として貸し出すとした川崎市に利用許可の取り消しを求めるよう、お願いいたします。

1.イスラエルとはどのような国か

イスラエルのサッカーリーグでベイタル・エルサレムFCのサポーターが、アラブ系のブネイ・サフニンFCに対して、同国スポーツ大臣のミリ・レゲヴを取り巻きながら、「おまえの村が焼き尽くされますように」との大量虐殺コールを上げた事件がありましたが、このビデオをなんと同大臣が自身のSNSに投稿しました。イスラエルは官民挙げてパレスチナ人を抑圧しているヘイト国家です。

Days of Palestineさんのツイート: "The Israeli culture and sports minister posted a video with genocidal chants.… "
https://twitter.com/DaysofPalestine/status/957638321349562369

パレスチナ難民の帰還権を訴える「大帰還行進」が、今春から「ナクバ(大災厄の日)」の5月14日までを目途に、ガザとイスラエルの境界を中心に取り組まれ、今でも小規模ながら続けられています。イスラエル当局は狙撃手や催涙ガス弾投下用ドローンなどを準備して、大帰還行進に参加する多数の非武装抗議者を殺害し、生涯にわたる身体障害を負わせました。サッカー選手のモハメド・カリルさんも犠牲者の1人で、彼はイスラエル兵に両足を狙撃されました。下記はその瞬間を収めた動画です。

Mohammed Kareemさんのツイート: "Video shows the exact moment of shooting the Palestinian footballer Mohammed Khalil in his knee putting an end to his career.…"
https://twitter.com/vic2pal/status/981095851010469888

アルゼンチン代表サッカー選手のリオネル・メッシは、2014年のガザ戦争に際し、「私は父およびUNICEF親善大使として、イスラエルとパレスチナの紛争の写真をひどく悲しく思う。そこでは暴力によって既に多くの若者の命が奪われ、数え切れないほどの子供たちが傷ついている」と自身のフェイスブックに書いています。

Messi defends rights of Gaza children - Al Arabiya English
http://english.alarabiya.net/en/life-style/2014/08/08/Messi-defends-rights-of-Gaza-children.html

メッシはまた、テレビ番組のTyC Sportsで、「私はUNICEF大使として、無実のパレスチナの子供たちを殺害する人々と対戦できない。私たちは、サッカー選手である前に人間であるのであって、(イスラエルとの)試合をキャンセルした」と語っています。

https://twitter.com/khussh_/status/1004761027857313793

「無実のパレスチナの子供たち」としてメッシの念頭にあるのは特に、2014年7月、ガザの砂浜でサッカーをして遊んでいたパレスチナ人少年4人のことでしょう。4人はイスラエルの戦艦による砲撃で殺害されました。

Boys Drawn to Gaza Beach, and Into Center of Mideast Strife - The New York Times
https://www.nytimes.com/2014/07/17/world/middleeast/gaza-strip-beach-explosion-kills-children.html

最近、ジ・インターセプトが入手した機密報告書から、この砲撃とされたものは軍事用ドローンによる殺害であることが判明しました。ハマス戦闘員だと認識したとのことですが、イスラエルのインテリジェンスもドローン技術もその程度だということです。

Secret Israeli report 'reveals armed drone killed' four children playing on Gaza beach in 2014 - Israel News - Haaretz.com
https://www.haaretz.com/israel-news/israel-used-drone-to-kill-4-children-playing-on-gaza-beach-in-2014-1.6365860


2.本展に参加する戦争荷担企業

本展にはドローン関連企業のD-Fend SolutionsやSkylockもスポンサーないし出展企業として参加しますが、明らかな戦争荷担企業も参加します。

イスラエル企業のMagal Security Systemsの当時のCEOは、ブルームバーグのインタビューに「顧客は当社の『スマートフェンス』を実戦で試験済みと評価しており、ガザが本製品のショールームになった」と言いのけています。

Gaza Barrier Can't Withstand an Assault by Mob, Fencemaker Says - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2018-04-10/gaza-barrier-can-t-withstand-an-assault-by-mob-fencemaker-says
Thanks to Gaza protests, Israel has a new crop of ‘battle tested’ weapons for sale | +972 Magazine
https://972mag.com/thanks-to-gaza-protests-israel-has-a-new-crop-of-battle-tested-weapons-for-sale/136523/

イスラエルが言うセキュリティーやカウンターテロは、これら市場にとって不法なパレスチナ占領が必要であることからも分かるように、パレスチナ人抑圧の占領を維持する軍事手段と一体化しています。ISDEFも自身のサイト(https://www.isdefexpo.com/)で「防衛とセキュリティーの相互運用性に着眼」と謳っています。

このスマートフェンスを製造する同社子会社のSenstarがまさに本展に出展するのです。同社以外にも、1980年代にニカラグアの反政府傭兵軍コントラやホンジュラスの暗殺部隊である第3−16大隊などの訓練に当たった過去ゆえにブラジル政府から2016年リオオリンピックのセキュリティー契約を取り消されたイスラエル企業のInternational Security and Defence Systems (ISDS)や、ミャンマー軍がロヒンギャ族を虐殺している最中の16年夏、同軍へ軍事訓練を実施したイスラエル企業のTAR Ideal Conceptsなども、同展にスポンサーないし出展企業として参加します。

Brazil cancels $2 billion contract with Israeli security firm for 2016 Olympics | The Electronic Intifada
https://electronicintifada.net/blogs/charlotte-silver/brazil-cancels-2-billion-contract-israeli-security-firm-2016-olympics
Despite war crimes, Israel insists on selling arms to Myanmar | +972 Magazine
https://972mag.com/despite-war-crimes-israel-insists-on-selling-arms-to-myanmar/124633/


3.人権理念と対イスラエルBDS(ボイコット・投資撤収・制裁)運動の流れに反する川崎市の対応

本展を川崎市の施設で開催することについて市民が懸念を示しても、福田紀彦・川崎市長はそれに誠実に応答せず、最終的な担保もないまま武器を展示しないことを唯一の理屈に当該施設の利用許可を正当化しています。福田市長は本展出展企業の事業内容で利用許可の可否を判断することは問題だと考えているようですが、こうした形式的な判断こそ問題です。

市の公共施設でイスラエルの軍事関連見本市。「全く問題ない」とする福田紀彦・川崎市長に市民反発 | ハーバービジネスオンライン
https://hbol.jp/172679

本展が武器を展示しないことは当該施設の利用許可を正当化する根拠になりません。川崎市は「人権かわさきイニシアチブ」で「あらゆる施策に人権尊重の視点を一層反映させていきます」と宣言しているのであり、同イニシアチブでも説明されている「ビジネスと人権に関する指導原則」(国連人権理事会策定)の原則7(c)「重大な人権侵害に関与しまたその状況に対処するための協力を拒否する企業に対して、公的な支援やサービスへのアクセスを拒否すること」を市の施策で実践する必要があります。川崎市とどろきアリーナ条例第14 条(3)「その他指定管理者が利用を不適当と認めるとき」の規定に基づいて利用許可を取り消せばいいのです。

イスラエルは下記リンク先の動画で示されるように、ガザのMeshal文化センターさえ爆撃する国です。文化センターへのアクセス権さえ奪うイスラエルの軍事見本市企業に「生涯スポーツの振興及び市民文化の向上を図る」ことが目的のとどろきアリーナを貸すなんて冗談です!

https://twitter.com/PACBI/status/1028266596245094400
https://twitter.com/WomenForPal/status/1028593763206262784

スポーツ用品メーカーのアディダスがイスラエルサッカー協会(IFA)のスポンサーを降りました。IFAは違法植民地を拠点とするクラブを加盟させてパレスチナ人の抑圧に荷担しているとして、パレスチナのサッカークラブからの要請に応えたものです。

BDS: Adidas no longer sponsor of Israel football teams – Middle East Monitor
https://www.middleeastmonitor.com/20180806-bds-adidas-no-longer-sponsor-of-israel-football-teams/

世界では、パレスチナ社会からの要請に基づいて、こうした対イスラエルBDS(ボイコット・投資撤収・制裁)運動が広がりを見せています。つい先日、イスラエルをユダヤ人の国家とするユダヤ国民国家法が成立したことにも表れているように、イスラエルは官民挙げてのヘイト国家、アパルトヘイト(人種隔離政策)国家です。特に軍事/セキュリティー企業は技術・財務・人材の面で政府と一体化し、アパルトヘイト体制を主体的に支えています。これら企業は自社の製品・サービスを<間違って>イスラエル当局に販売しているのではありません。

福田市長の認識と対応は、南アフリカのアパルトヘイト体制を崩壊に導いた世界のBDS運動を鼻で笑うようなものです。アイルランド上院はイスラエルの入植地由来製品の輸入・販売を禁止する法案を可決しているし、ノルウェー外務省も同法案と同趣旨のボイコット計画を進める自治体が相次いで出てきたことを受けて、こうした計画が違法ではないと認めています。

今回、仮に武器を展示しなくても、ISDEFと出展企業の国際的な宣伝・承認に間違いなく荷担し、日本政府や日本企業が違法なパレスチナ占領を前提とする軍事経済への依存を深めていくことにつながります。全人民の平和的生存権などの理念を全力で達成すると誓っているのが日本国憲法です。今回の利用許可は川崎市の人権施策方針および日本国憲法からはるかに乖離しています。ヘイトスピーチ規制に熱心な川崎市がヘイト国家イスラエルによるパレスチナ人抑圧に荷担することはとても耐えられません。

よって、川崎市に本展へのとどろきアリーナの利用許可を取り消してもらうよう、働きかけをお願いいたします。

太田光征
posted by 風の人 at 20:03 | Comment(0) | パレスチナ
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