「政党間1票格差」は細田案でも
現行制度でも2倍超の違憲レベル
現行制度でも2倍超の違憲レベル
2013年3月25日
貴紙は自民党の細田博之衆議院議員が提案している衆院比例区選挙制度案を政党ごとの「1議席あたりの得票数」で評価していますが、これは正しい手法です。
自民案、312万票と200万票が同じ議席数に
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin/news/20130323-OYT1T00298.htm
ただ、北陸信越・東海ブロックの試算だけを基に、社民党が最も少ない票で1議席を獲得していることを示し、あたかも社民党などの少数政党が一番の得をするかのような印象を与えていることは、残念です。
「1票の格差」(1議席当たりの有権者数)と同様に、全国集計の票で比例区の「政党間1票格差」(1議席当たりの得票数)を比べると、細田案では社民党の格差が公明党の2.20倍(社民党の支持者は1議席を獲得するのに公明党支持者の2.20倍の票が必要)となり、細田案は公明党に最も有利、社民党に最も不利であることが分かります。自民と旧未来の政党間1票格差はほぼ同じです。
自民 維新 民主 公明 みんな 共産 未来 社民 大地
1.56 1.18 1.03 1.00 1.16 1.14 1.51 2.20 1.07
詳細については下記ブログ記事をご覧ください。
細田案が浮き彫りにする「政党間1票格差」(社民党支持者の1票の価値は、公明党支持者の1票の0.45票分)の違憲性
http://kaze.fm/wordpress/?p=449
この政党間1票格差は既に2012衆院選でも、最大が社民党の4.87倍(対自民)となっています。
衆院小選挙区における「1票の格差」は2倍が違憲とされるので、政党間1票格差2倍超をもたらす現行の比例区選挙制度も細田案も違憲です。
ドイツのように全国集計の票で議席を各党に配分すれば、この格差は最大で1.23倍に収まります。「中小政党優遇枠」を設ける必要はないのです。
太田光征
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