貴紙の下記記事を拝読しました。本質を突いた指摘がいくつもあります。
東京新聞:新政権はどんな政権? 辛口識者に命名してもらいました。:特報(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012122702000111.html
「沖縄の漁師は、日本と中国、台湾の漁民が協定を結んで仲良く漁をすればいいと思っている。尖閣諸島問題で武力衝突する事態になれば、まず沖縄が攻撃される。武力に訴えるというのは本土の人間の発想だ」(元沖縄県知事の大田昌秀氏)
「国民の生死に関わりかねない国防軍の創設は、自身の命をなげうつ覚悟があってこそ主張できるテーマ。(前回の首相時に)腹痛で辞めるような人に、国民の命を預かる覚悟があるとは思えない。せいぜい軍事オタクという程度の存在だ」(作家の宮崎学氏)
「憲法改正を掲げるが、憲法とは『それを守る限り、国家が国民を統治できる』という国民による国家に対する”縛り”。日銀法改正も、世界各国が順守している中央銀行の独立性を侵すものだ」(高崎経済大の国分功一郎准教授)
以下は、これから私の選挙結果分析の一部として公表する予定のものです。貴紙におかれましては、国会議員の定数削減が民意を切り崩すものであるとの観点に立った報道をお願いしたいと思います。民自公の合意など民意は承認していません。
太田光征
今回の選挙結果の本質を分かりやすく目立つ形で報道した一般全国紙がない中で、東京新聞の18日の1面と3面の記事は優れていた。
1面トップ大見出し
東京新聞:小選挙区24% 比例代表15% 自民 民意薄い圧勝
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012121802000130.html
3面トップ大見出し
自民 比例219万票も減 乱立棚ぼた これでも勝てた
小選挙区制 多大な貢献
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2012121802000139.html
本格的な選挙結果分析が掲載された12月18日、他紙は選挙結果をどのように伝えただろうか。
産経新聞は1面の見出し「小選挙区制の“魔力”」で比較大政党の間で議席獲得数が大きく揺れることを強調しているが、自民党の比例区での得票率がわずか28%であることを伝えていない。同党が「他党の追随を許さない」勝利を収めたと同紙は評価するが、民意をまったく無視している。
朝日新聞は1面で「1強8弱」化の危機〈政権再交代〉として小選挙区制に触れているが、同制度によって平等な主権が侵害されていることを心配しているわけではなく、二大政党制や多党制などの政党政治に対する影響に言及しているだけだ。自民党の比例区得票率については、天声人語で小さく紹介している程度に過ぎない。
日経は7面で自民党の比例区得票率が惨敗の前回並みであることを伝えているが、扱いは大きくない。
毎日新聞は2面で「自公325 比例は前回並み」と見出しに掲げているが、大きくはない。16面で「民意の『揺れ幅』大きく」との見出しを掲げ、あたかも民意が自民党を支持する方向に変化したかのような印象を与えかねない書き方をする一方で、より小さな見出しで「自民 比例票伸びず」と伝えている。どの見出しにも自民の比例区得票率が28%であったことが含まれていない。
読売新聞は19面で自民・民主の2000年選挙以来の比例区得票率をグラフで示しているが、わざわざグラフの軸を斜め(右肩上がり)にしているから、2009年からほぼ横ばいであることが読み取りにくい。しかも2005年の「圧勝」時との比較を強調しているだけで、惨敗した2009年と変わらないことが一目で分かりにくい。
同紙「衆院選座談会」では、東工大准教授の谷口尚子氏が得票率と議席率の乖離を指摘し、比例代表併用制などに言及している一方で、経済同友会代表幹事の長谷川閑史氏は「民自公の3党合意という新しい(政策決定)モデルができたわけだし、維新の会や民主党は自公政権に対して是々非々で臨む姿勢なのだから、次期衆院選までは現行制度でよいのではないか。新しい政策決定モデルが定着すれば、今までのような(選挙のたびの民意の)振れが徐々に修正される可能性がある。選挙制度改革は短絡的にやるべきではない。特に(法案再可決が可能な)『3分の2』の議席を活用してやることは避けるべきだ。」と述べている。
この長谷川氏は選挙区間1票格差を批判している人物だ。なのに、どうして小選挙区制による生票・死票間1票格差を問題にしないのだろう。民自公など特定の一部政党による恣意的な政策決定モデルがあるから選挙制度改革を急ぐ必要がない、という認識は考えられない。選挙制度とは平等な主権を保障する制度なのであり、恣意的な政策決定モデルなどに左右されることなく主権者の側にあるのである。
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