2012年03月31日

核事故後の健康障害と心理的ストレス・放射線恐怖症

核事故後の健康障害が心理的ストレスや放射線恐怖症によるものだという主張がありますが、これに対する簡潔明瞭な反論が『チェルノブイリ大惨事が人々と環境に及ぼした影響』(ニューヨーク科学アカデミー、2009年)の322ページに記されています。

http://www.strahlentelex.de/Yablokov%20Chernobyl%20book.pdf

汚染されたチェルノブイリの地域で大惨事から23年後に公衆の健康(特に子どもの)が悪化しているのは、心理的ストレスや放射線恐怖症、移住が原因ではない。そのほとんどの原因はもっぱらチェルノブイリ事故による放射能にある。1986年の最初の大きな衝撃に積み重なっているのが、低線量・低線量率の放射線被ばくである。

放射能に対する関心は薄れる一方であるのに、大惨事の後も罹患率が上昇を続けていることから、心理的因子(放射線恐怖症)は決定的な原因ではあり得ない。野ネズミや燕、カエル、松の木は、変異率の上昇を含め、同様の健康障害を示しているが、これらの放射線恐怖症がいかほどのレベルだというのか?

しかし、放射線で病気になった方々にとって社会経済的因子が切実であることに疑問の余地はない。


太田光征
posted by 風の人 at 20:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般
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