末次です。
先日、グリーンピース活動家が「窃盗」容疑で逮捕される事件がありました。
正直言って、「またか」という不当逮捕です。
今回のグリーンピースの手法には賛否両論があると思いますが、どちらにしても通常であれば書類送検か簡易裁判で罰金、という程度の事件を口実に、身柄拘束、大がかりな家宅捜査、押収を行うのはフェアだとは到底思えません。
また、調査捕鯨船員の「横領」疑惑は、不問に伏せられたままです。
この国の捜査当局が政府・自民党の意のままに動くこと、政府に都合の悪い「反政府」活動は取り締まる、独裁国家さながらの手法が蔓延していること、日本が人権後進国であることが、またもや明るみに出ました。
調査捕鯨が現在国民の税金で行われている以上、調査捕鯨の横領疑惑については、解明を急ぐべきだと考えています。
行き過ぎた「お土産」は横領と言われても仕方ない部分はあるし、その他調査捕鯨にまつわる不透明な闇はどんどん暴き出してほしいと思っています。
ただ、グリーンピースや反捕鯨論者とは私は考えは異なります。
「調査捕鯨」反対を突破口として、捕鯨そのものの根絶を目指しているのが明らかなためです。
「調査捕鯨」がそこまでだめなのであれば、不透明な「調査捕鯨」は中止し、代わりにアイスランドやノルウェーと同じようにIWCから脱退し、一定の範囲内で「商業捕鯨」を再開すればいいのではないでしょうか。
もちろん、科学的根拠に基づいた捕獲規制を厳格に守ることが前提です。
こうすれば「公共事業」ならではの不透明な慣習もなくせる(あるいは、通常の遠洋漁業などと同様、そもそも問題にならない)し、税金投入の必要もないし、「調査捕鯨」の問題点として挙がっている問題の大部分は解決できると考えています。
現在、「調査捕鯨」により日本の捕鯨・クジラ食文化がかろうじて守られていることも事実です。
したがって、「商業捕鯨」を再開せずに「調査捕鯨」を中止するというのは反対です。
「クジラを殺さなくても調査ができる」と、グリーンピースや反捕鯨団体は主張しますが、それでは捕鯨文化、日本のクジラを食べる文化を守ることができません。
クジラの消費量が減っている、若い世代はクジラに興味がない、といいますが、「クジラを食べたい」という需要が存在することも確かです。
また、世界的な食糧・資源危機の今こそ、クジラも含めた漁獲資源は、十分に有効活用を図る必要があると思います。
以下のリンク先でも説明のあるように、クジラは高タンパクかつ栄養価の高い食品であり、今こそ食糧としても改めてその価値を見直すべきだと思います。
環境の面でも、捕鯨は他の牧畜に比べるとCO2排出量が大幅に少ないということです。
「種の保全」を最優先に考える制限された漁獲であれば、捕鯨が格段に「環境に悪い」ということにはならないと思います。
http://www.geishoku-labo.co.jp/whale_meat_1.html
http://jp.reuters.com/article/oddlyEnoughNews/idJPJAPAN-30627220080304
現在の調査捕鯨は「調査」としては不十分かもしれませんが、「調査捕鯨」の中止をただ求めるのではなく、「調査」にあたってのルールを厳格化し、その透明性や科学的な有用性を向上させていくことを要求するか、あるいは調査捕鯨の縮小・中止と引き換えに(厳格に頭数を制限した)商業捕鯨を再開するか、日本はどちらかの選択肢を取るべきだと思います。
とはいえ、クジラの生態に関する科学的な解明も必要だと思うので、可能であれば現在の調査捕鯨体制を大幅に見直して、不透明な慣習、実態を徹底的に暴き、情報公開を徹底するなど改善策を取り、なおかつ鯨食文化を維持するために現在並みに最低限の捕獲量を確保できる「商業捕鯨」も兼ねたような形の捕鯨を継続することが、一番望ましいと思うのですが。
「クジラを殺すのは残虐なので調査捕鯨は中止せよ」と実質的に主張しているのに等しい、グリーンピースや欧米豪のキャンペーンは到底支持することはできません。
クジラを食べるのは日本の文化のひとつであり、それは国際社会の中でも尊重されるべきものであること、ただし種の保全が最優先であり、科学的根拠に基づく規制は厳格に守っていくこと、この2点がポイントだと思います。
それと同時に、我々も他国の食文化を尊重することも、心がけていかなければならないと思います。
(かつて、ソウルオリンピックの前には「欧米の動物愛護団体」の圧力により、韓国の伝統的な食文化である犬食料理が禁止されたそうですが、クジラ問題とそっくりの構図です。特に食文化に関しては、このような「西洋的な価値観の押しつけ」こそ排除すべきものではないでしょうか?)
グリーンピースについては、普段の環境問題への取り組みに敬意を抱きながらも、クジラ問題をめぐる活動については全く支持することはできません。
また、シーシェパードのような「環境テロ」は、立場を問わず許すことはできません。
しかし、今回の幹部2人の逮捕については、「国策捜査」として、厳しく批判したいと思います。
微罪を口実に、長期間の勾留や家宅捜索を行い、政府・自民党・警察に都合の悪い人物、団体を徹底的に取り締まろうとするのは、これまでの公安警察のありかたそのものです。
平和活動家の一部には、「自分たちと敵対する、あるいは考え方や系統の異なるグループ」に対する弾圧には目をつぶる傾向があるように思います。(たとえば法政大学や早稲田大学での不当逮捕事件に対しては、共産党などからの批判の動きは鈍いと感じています)
言論・思想信条の自由、政治活動の自由を守っていくためにも、「たとえ考え方が異なる(場合によっては敵対する)グループであっても、国家権力による不当な弾圧に対しては毅然と手を取って立ち向かう」という原則を確立し、みんなで実践する必要があると思います。
その意味でも、今回逮捕された活動家の即時釈放、立件取り下げを強く要求したいと思います。
末次 圭介
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http://www.news.janjan.jp/living/0807/0807090629/1.php
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