2022年05月21日

一刻も早い停戦の実現を:再論「ウクライナ戦争を一日でも早くとめるために」

一刻も早い停戦を実現させるための平和運動が必要です。

再論「ウクライナ戦争を一日でも早くとめるために」憂慮する研究者があらためて訴える
https://www.youtube.com/watch?v=2Q9OnavP0Kw
資料集
https://drive.google.com/drive/folders/1fhFmjw8e5rVxiihs9hAxL0bkMhVkSto2
憂慮する日本の歴史家の会
https://peace-between.jimdosite.com/

以下、発言の要点メモ。

伊東孝之

15:40
– ロシア人のジェノサイド:証拠がない(ICJ)2
– ロシア人に対する法的差別:ウクライナ語は公用語ではなく国家語(役所語)。ロシア語使用に制限なし。住民の一定数以上が他国語の場合その言語での教育可

20:10
C 中立化
– のちにウクライナ自身が当面NATO加盟は望めないので中立化すると言い出す

D 領土獲得
• 目的ではないといっているが、実は最も進展
• 0421ロシア自身がウクライナ領と認めた地方を「独立」させ、属領化(LPRの内相逮捕6など)
• 0403占領した地域でウクライナ時代の自治体首長11名を拉致、自身の首長を任命7
• 0422ヘルソン、ザポリージャ両州をロシアに併合、兵役適齢期の男性を強制的に徴兵8を発表
• 0422中央軍管区副司令官がドンバスから沿ドニエストルに至るベルト地帯併合計画発表9

• ウクライナは当面受動的
– 0224線へのロシア軍撤退12、クリミア・ドンバス不承認13、安全保証つきの中立14、0330ゼレンスキー「祖国戦争」15

24:20
E 3月29日(イスタンブル外相会談)17
– NATO非加盟、EU加盟、安全保証、ドンバスは両首脳で協議、クリミアは15年間先延ばしで解決(この提案にロシア側、特にラブロフは好感)
F 4月20-21日(オンライン)、ラブロフが突然中断18
– 4月27日プーチン:クリミア・ドンバスのロシア領化を承認することなしにウクライナの安全保証なし19(停戦交渉中士の宣言)

28:00
ゼレンスキー
– 0225中立的地位は受け入れてもよいが、ウクライナの安全を誰が保証するのか20
– ブダペスト覚書(1995年、ウクライナ非核化の代わりにウクライナの安全を保障)+NATO条約5条(「無料のNATO」)
• 0329イスタンブル交渉で正式提案
– 保証国:国連常任理事国+ドイツ、イタリア、トルコ、イスラエル、ポーランド、カナダ21
– ロシア側も好意的。ベラルーシを追加する提案も22
– 多くの国は原則同意したが、米英は消極的23(米国に事前相談ないからというのが伊東さんの見立て)
– ブチャ事件後ゼレンスキーに迷い、混乱(0416)2


松里公孝

35:40
4月3日にはブチャ事件が起こったため、ウクライナ側は3月29日和平交渉の内容をちゃぶ台返しした。もちろん、ブチャ事件とちゃぶ台返しの間の因果関係は、どちらが原因で、どちらが結果だったかはわからない。

40:00
戦争の第1局面においてはロシア軍の戦力がウクライナ全土に分散していたため、@を包囲掃討する作戦は進められたが、Aはほぼ手つかずのままであった。ただでさえ乏しい戦力を南にとられたドネツク人民共和国の中央部(ドネツク、ゴルロフカ、マケエフカなど)が、Aからいいように砲撃され、甚大な被害を被った。

資料3ページ
4月21日、マリウポリに残存する約2000名のウクライナ軍戦闘員がアゾフ製鉄所の地下に立て籠った時点で、ウラジミル・プーチン露大統領はマリウポリ戦の事実上の終了を宣
言し、残存ウクライナ軍を地下に封じ込めて降伏を待つ作戦に切り替えた。「ロシア軍がアゾフ製鉄所で化学兵器を使った」という演出を米国が準備しているという諜報情報が寄せられたため、力攻めを止めたとも言われる。

49:10
2月21日の第1回目の宣戦布告(ドンバス2共和国の承認宣言)において、プーチンは、40人以上の犠牲者を出した2014年5月2日のオデサ労働組合放火事件に特に言及し、ウクライナの司法は、その犯人を一人も逮捕していないが、「自分たちは犯人の名を知っているので、必ず逮捕して裁判にかける」と決意表明した。つまり、オデサ労働組合放火事件を蒸し返して処理するということが、ロシアの一種の戦争目的になってしまったのである。


伊勢崎賢治

55:00 ハーグ条約・開戦法規において武器の供与は中立性を破るものと定義。国連憲章で集団的自衛権は認められている。武器支援すると交戦国になるのか(ロシア軍が武器支援国を攻撃できるのか)、日本にとっても課題(武装名目でヘルメットと防弾チョッキを送っている)。
1:00:20 第2次中東戦争で国連総会が56年に国連緊急監視団(武装)を創設。根拠は国連総会special emergency sessionUFP(平和への結集)決議。
1:06:50 朝鮮国連軍armistice comission。50年安保理決議、ソ連欠席、25カ国参加、今でも存在。朝鮮国連軍地位協定が日米地位協定に連動。
1:09:50
停戦監視への脅威:当事者の指揮命令系統の脆弱性
• 非正規軍事要員のプレゼンス:義勇兵、傭兵(双方、特にウクライナ側?)
【紛争構造】が複雑化する前に
1:13:00 
• 世論形成【停戦は事実行為であり、戦争の結果とは無関係である】:帰属問題や民族自決権問題の合意条件や、戦争犯罪の取扱いは、むしろ戦闘行為が中断されてから時間をかけて議論されるべきものである。
•特に戦争犯罪について:「不処罰の文化Culture of Impunity」
• 停戦の実現ための人権問題の“棚上げ”

1:18:50 中立な戦争犯罪調査。ロシアが認める第三国の参加を認める工夫が必要。推定無罪の原則。開戦法規と交戦法規は違う。交戦法規上、免責される戦争犯罪はなく、紛争当事者は平等。やった当事者に第1次裁判権がある。それが機能しない場合に国際戦犯法廷。ロシアに軍事裁判の実施を求めるべき。


羽場久美子

1)1990年2月9日、当時のアメリカ国務長官ジェイムズ・ベイカーがソ連のゴルバチョフ書記長に対して、ソ連がドイツ再統一を認めるのであれば、NATOは東側に1インチも
進まない、と語る。:90.2.9.ゴルバチョフ・ベーカー会談記録。
「もし米国がNATOの枠組みでドイツでのプレゼンスを維持するなら、NATOの管轄権もしくは軍事的プレゼンスは1インチたりとも東方に拡大しない。そうした保証を得るこ
とは、ソ連にとってだけでなく他のヨーロッパ諸国にとっても重要なことだ」
ゴルバチョフはつい最近も語っている。

NATO:ブカレストサミット宣言(2008.4.3.)に、ウクライナ・ジョージアへの拡大明記(ドイツ、フランスは反対したが。。)
https://www.nato.int/cps/en/natolive/official_texts_8443.htm
第23項NATOは、NATOへの加盟を望むウクライナとジョージアの要求を歓迎する。
我々は本日、これらの国がNATOの加盟国になることに合意した。両国は同盟の活動に貴重な貢献をしてきた。ウクライナとジョージアの民主的改革を歓迎し、5月のジョージア
での自由で公正な議会選挙を楽しみにしている。MAP(加盟のための行動計画)への参加は、ウクライナとジョージアが直接加盟国になるためのステップだ。本日、これらの国のMAP(加盟のための行動計画)参加を支持することを明確にした。故に我々は今、彼らのMAP参加に関し未解決の問題に対処するため高度な政治的レベルで双方との集中的な関与への移行を開始する。我々は2008年12月の会合で各外相に進捗状況の最初の評価を行うよう要請した。
(2008.4.NATOはウクライナ、ジョージアのNATO加盟に向けMAPを開始し全面的支援に入ろうとしていた)→
2008.8 4か月後にはロシアは、グルジアに侵攻(5日間戦争)、南オセチア・アブハジアに「中立地帯」の軍駐留。(こちらには米軍、必ずしも関わらず)

1:39:00
1)キッシンジャー:2014.3.5ワシントンポスト、「ウクライナ、二つの異なった部分からなる。ガリツィアが東を支配しようとすれば戦争になる。フィンランドのような、戦争の緩衝地帯にすべき。」
2)ミア・シャイマー:ウクライナへのNATO東方拡大は、1962年のキューバへの核ミサイル配備、キューバ危機と同じ。ウクライナのような東西のはざまの地域は中立化が望
ましい。(軍事リアリストからの提言)
にもかかわらず、NATO拡大を促進し、武器供与を行ったのは、バイデンの意図。
<着々と代理戦争準備>:ロシアが入る前から。ジョージアの教訓

1:40:10 ヌーランド国務次官、マイダン革命前にウクライナの次期首相はヤツェニュクにするとの電話を盗聴され(「Fuck the EU」発言を謝罪する形で盗聴を認める)、実際にヤツェニュクが首相に就任。
1:48:28 トルコが3月末に停戦提案(エルドアン大統領6項目+ゼレンスキー、中立化を承認。
1)ウクライナの中立化、2)非武装化、安全保障3)非ナチ化、4)ロシア語の使用制限の解除、5)東部ドンバス地方の(一部)の帰属、6)クリミア半島の帰属。)ゼレンスキーは5、6以外は認めたが、直後にブチャの集団殺戮、停戦交渉中断、双方が停戦交渉は継続すると表明する一方、米国は「戦争は数年継続される」(停戦を希望しない)。


和田春樹

再論「ウクライナ戦争を一日でも早くとめるために」憂慮する研究者があらためて訴える - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2Q9OnavP0Kw
資料集
https://drive.google.com/drive/folders/1fhFmjw8e5rVxiihs9hAxL0bkMhVkSto2
憂慮する日本の歴史家の会
https://peace-between.jimdosite.com/

2:04:57 2021年10月ウクライナ国境のロシア軍が10万人規模に増強されるも、バイデンは調停に乗り出さず。

バイデンの3月27日ワルシャワ演説「われわれはこの戦いに比較的長い期間(for the long haul)コミットしなければならない」
「こんにちのキエフ、メリトポリ、ハルキーフの闘いは長い闘争の最新の戦闘なのだ。」56年のハンガリー、56年と81年のポーランド、68年のチェコ、89年
のベルリンの壁の崩壊、人民は勝った。「しかし、民主主義のための戦闘はおわるこことにはならなかった。冷戦の終了では終わらなかった、最近30年、専制勢力は全
地球的に復活した。…今日ロシアは民主主義を絞め殺し、他の地でも、その母国だけでなくそうしようと企てた。・・・プーチンはあつかましくもウクライナを「非ナチ
化」しようとしていると言っている。」「犯罪者は NATO の拡大をロシアを不安定化することを狙った帝国的計画だと描き出そうとしている。」「帝国の再建をねらう独
裁者は人民の自由への愛を決して消し去ることはできない。・・・ウクライナはロシアの勝利の獲物にはならない。自由な国民は希望のない、暗黒の世界に生きることを
拒否する。…神のご加護により、この男は権力にとどまることはない。」

2:13:00 2022年3月29日 イスタンブールで停戦協議、ウクライナ中立化の条件として自国の安全の保障のための枠組みを提案。クリミアの地位については15年間の交渉、ド
ンバス東部については大統領会談で解決など(ウクライナ停戦への希望)

2:17:00 4月25日 オースチン長官発言「ロシアがウクライナ侵攻のようなことをできない程度に弱体化することを望む」(米国の戦争目的の再定義)

【5月4日 AFP】
米大統領、対戦車ミサイル「ジャベリン」工場視察
https://www.afpbb.com/articles/-/3403233
ジョー・バイデン大統領(5月3日、ロッキード・マーティンの対戦車ミサイル「ジャベリン」製造工場)「さらに、ウクライナとウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領率いるロシアとの戦いは、民主主義国と中国などの専制主義国との戦いの戦線の一つにすぎないと指摘。ウクライナ紛争は中国の習近平(Xi Jinping)国家主席の「民主主義は時代遅れ」との主張が間違っていたことを示すもので、民主主義の今後を占う最初の戦いだと述べた。」

松里公孝

2:45:33 4月23日、ロシア連邦捜査委員会がドンバスの親ロシア側で2600人の民間人が殺害されたと報道。全体で14000人の被害者はロシア、ウクライナ、国連が合意。14年から拷問、集団墓地があったので、昨年初めから人民共和国側が発掘。ロシアのテレビは大騒ぎせず、報道はDNR(人民共和国)のテレビで。戦争正当化のため発掘。犠牲者のほとんどは14、15年。ドンバス市民からすれば自分たちを守ってくれるはずの今回の戦争で14、15年に戻った感じ。2016年、ロシアが国際刑事裁判所(ICC)から抜けた。国際司法で争う発想がない。米中も元々入っておらず、大国はその発想がない。英国やスウェーデンがやっているのはtribunal見世物裁判。本物の国際司法で何年もかけて裁判をする必要がある。ドンバス側での戦争犯罪記録は弁護士グループが手弁当で行っている。ロシアは16、17年に、NGOが西側から資金をもらっているのはけしからんということで、NGOを援助するための大統領基金を創設。ドンバスの弁護士グループがそれに応募したが落ちた。ICC抜けた直後なので、方針の違いから却下されたのだろう。


伊東孝之

2:53:48 ICJがドンバスでのジェノサイド(時間をかけての系統的な大量虐殺)の証拠がないと酒井啓亘(京大、国際法)が雑誌『世界』で指摘(ICJはジェノサイドがウクライナ領土内で行われたとのロシア連邦の主張を裏付ける証拠を有していない)。ジェノサイドは政治用語、ブチャ事件はジェノサイドではない。OSCE調査でも同様と聞いている。ロシア側はOSCE監視団がうるさいので最後は全員逮捕した。2014年5月2日のオデッサの悲劇、いまだに犯人が分かっていない。ウクライナはいい加減で、数え切れない事件が迷宮入りしている。ロシア側によるウクライナ人殺しもあったろうと推測。マリウポリでこれまで死んだ「5万人」(太田:間違いと思われる)のほとんどはロシア系。


羽場久美子

2:56:45 多くの知識人がブチャ事件(犠牲者403人)をナチスドイツによるジェノサイド(600万人)に準じる戦争犯罪と指摘。BBCが独自にビデオを入手し、Googleマップと音声を分析*。ウクライナのクレバ外務大臣が調査を約束。

*ウクライナ軍がロシア兵を殺害? 投稿動画をBBCが分析 - BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-61022775
「路上に倒れている2人は白い腕章を着けている。これは、ロシア兵が身分を示すために、ウクライナの一部で使っているものだ。赤とオレンジの腕章を使うこともある。ただ、地域によっては民間人が白い腕章の着用を勧められていると報じられている。」
(攻撃側)「兵士の何人かが着ている軍服には、青の腕章やウクライナ国旗のワッペンが見てとれる。これらは通常、ウクライナ軍であることを示す。だが、身元を証明するものではないことは明らかだ。」


伊勢崎賢治

2:58:50 開戦法規(国連憲章51条)にwarという言葉はなく、armed attackがあった時に自衛権云々と書いてある。人道法上、parties to armed conflicts(紛争当事者)の戦争犯罪が規定されている。訴追において、戦争と特別作戦の名称の違いは意味がない。3月16日のICJ暫定措置においてジェノサイドの有無について言っていない。東部のジェノサイドを根拠に侵攻はいけないとのウクライナの訴えにICJが答えた中で、ジェノサイド認定についてはICJに管轄権があると回答。ウクライナ、ロシアともジェノサイド禁止条約を批准しているが、日本は批准していない。


羽場久美子

3:08:40 NATOがセルビア空爆で劣化ウラン弾を使用してイタリア兵が被爆したので、欧州が猛反発。ウクライナを潰すのではなく支配したいロシアが欧州への核使用はしないだろう。むしろ米国とウクライナがウクライナ東部に生物化学兵器研究所を作ろうとしていた問題でヌーランドが火消しをしていたが、これから追及すべき。欧州はロシア排除を考えていない。トルコなど米国以外では停戦の方向。フランスはプーチンと15回にわたり電話会談、ドゴール型の解決策を探る可能性。インドネシア、G20会合でロシア排除はいかんと米国に言明。

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太田光征
posted by 風の人 at 15:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ウクライナ危機

2022年05月15日

バイデン「NATOの拡大はロシアの敵対的な反応を招く」/米国民主党のセス・モールトン下院議員「我々はロシアとの代理戦争をしている」

バイデン大統領とその周囲の発言からして、米国がウクライナ戦争を利用し、ロシア軍の撤退という大義を超えて、対中国戦争を視野にロシアの弱体化を狙っているのだと見なければ、平和運動の方向性についての判断を誤ります。

ウクライナ危機の克服においては、ロシア軍の撤退に加え、ドンバス内戦(ゼレンスキーも親ロシア地域の住宅地に砲撃している)の終結、米ロ代理戦争の終結という、少なくとも3つの目標を掲げなければならないでしょう。

侵略戦争反対だけのスローガンを掲げたウクライナ応戦支援運動は、ドンバス内戦と米ロ代理戦争を無視するもので、イスラエル化しているゼレンスキー体制*1を擁護し、米国による大義を超えた戦争対応を応援する側面を持つことになります。

ウクライナ戦争の継続は、ウクライナの反戦活動家と親ロシア派市民に対する弾圧*2を維持・強化するものです。ウクライナ応戦支援ではなく、ドンバス内戦を含む戦争の停戦を一刻も早く実現させる必要があります。

*1 ゼレンスキー、戦後のウクライナはイスラエルを模倣し、「リベラルな欧州国家」とはならないと語る(ハーレツ紙)
Zelenskyy says post-war Ukraine will emulate Israel, won’t be ‘liberal, European’ - Europe - Haaretz.com
https://www.haaretz.com/world-news/europe/.premium.HIGHLIGHT-zelenskyy-says-post-war-ukraine-will-emulate-israel-won-t-be-liberal-european-1.10721395
「ウクライナの指導者らが戦後の不安定なウクライナの像を描き始める中、「映画館、スーパーマーケット、武器を持った人々」の中に兵士がいることがウクライナの未来だと、ゼレンスキーは記者団に語った。」
*2 ウクライナ、ロシアに協力する「裏切り者」を狩り出す(AP通信)
Ukraine hunts down 'traitors' helping Russia
https://www.youtube.com/watch?v=OR_E8dvyaOI
「2月24日のロシアによる侵攻後、ウクライナ議会が迅速に制定し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が署名した反共謀法の下、ハルキウ/ハリコフ地域だけで400人近くが拘束されている。」
*2 ウクライナのすさまじい軍国主義と反戦運動弾圧:ウクライナの政治家・左翼数百人が誘拐・拘束され行方不明か
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486916363.html

以下、バイデン大統領とその周囲の発言から、目立ったものをまとめておきます。

(1)バイデン大統領「こんにちのキエフ、メリトポリ、ハルキーフの闘いは長い闘争の最新の戦闘なのだ」(3月27日)

バイデンの3月27日ワルシャワ演説「われわれはこの戦いに比較的長い期間(for the long haul)コミットしなければならない」
「こんにちのキエフ、メリトポリ、ハルキーフの闘いは長い闘争の最新の戦闘なのだ。」56年のハンガリー、56年と81年のポーランド、68年のチェコ、89年のベルリンの壁の崩壊、人民は勝った。「しかし、民主主義のための戦闘はおわるこことにはならなかった。冷戦の終了では終わらなかった、最近30年、専制勢力は全地球的に復活した。…今日ロシアは民主主義を絞め殺し、他の地でも、その母国だけでなくそうしようと企てた。・・・プーチンはあつかましくもウクライナを「非ナチ化」しようとしていると言っている。」「犯罪者は NATO の拡大をロシアを不安定化することを狙った帝国的計画だと描き出そうとしている。」「帝国の再建をねらう独裁者は人民の自由への愛を決して消し去ることはできない。・・・ウクライナはロシアの勝利の獲物にはならない。自由な国民は希望のない、暗黒の世界に生きることを拒否する。…神のご加護により、この男は権力にとどまることはない。」(和田春樹氏の4月29日再論「ウクライナ戦争を一日でも早くとめるために」資料集*から)

*再論「ウクライナ戦争を一日でも早くとめるために」憂慮する研究者があらためて訴える - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2Q9OnavP0Kw
*資料集
https://drive.google.com/drive/folders/1fhFmjw8e5rVxiihs9hAxL0bkMhVkSto2
*憂慮する日本の歴史家の会
https://peace-between.jimdosite.com/

(2)バイデン大統領「ウクライナとロシアとの戦いは、民主主義国と中国などの専制主義国との戦いの戦線の一つにすぎない」(5月3日)

米大統領、対戦車ミサイル「ジャベリン」工場視察
https://www.afpbb.com/articles/-/3403233
「さらに、ウクライナとウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領率いるロシアとの戦いは、民主主義国と中国などの専制主義国との戦いの戦線の一つにすぎないと指摘。ウクライナ紛争は中国の習近平(Xi Jinping)国家主席の「民主主義は時代遅れ」との主張が間違っていたことを示すもので、民主主義の今後を占う最初の戦いだと述べた。」

(3)オースティン米国防長官「ロシアが、ウクライナ侵攻のようなことをできない程度に弱体化することを望む」(4月25日)

米国防長官「ロシアの弱体化を望む」 軍事支援めぐり同盟国と協議へ [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASQ4V34TLQ4VUHBI005.html
オースティン米国防長官(4月25日、ポーランドのウクライナ国境近く)「ロシアが、ウクライナ侵攻のようなことをできない程度に弱体化することを望む」

(4)バイデン「NATOの拡大はロシアの敵対的な反応を招く」(1997年6月20日)

ジョー・バイデンは1997年6月20日、米国大西洋評議会でNATOの拡大がロシアの敵対的な反応を招くと発言していた。

Video of Joe Biden Warning of Russian Hostility if NATO Expands Resurfaces
https://www.newsweek.com/joe-biden-resurfaced-clip-russia-baltic-states-1997-video-1685864

「NATOとロシア、米国とロシアの関係からして、(NATOへの)加盟について短期的に最も仰天させることは、加盟する国の利点や準備とは関係なく、今バルト諸国に加盟を許可することだろう。軍事面ではないが、猛烈かつ敵対的なロシアの反応という点で情勢を変化させることがあるとすれば、そういうことだ。」
ところがバイデンは、ロシアからの反発を警戒しながらも、いずれロシアもNATOの拡大が、実は安全保障の面で自らの利益になると楽観視していると主張した。

(5)米国民主党のセス・モールトン下院議員「我々はロシアとの代理戦争をしている」

米国民主党のセス・モールトン下院議員「我々は単にウクライナを支援するための戦争をしているのではなく、基本的に代理戦争のようなものを通じてだが、ロシアと戦争している。勝利することが重要だ。」(フォックス・ニュース)

“We’re not just at war to support the Ukrainians. We’re fundamentally at war, although somewhat through a proxy, with Russia, and it’s important that we win.” − Rep. Seth Moulton, D-Mass.
https://twitter.com/ryangrim/status/1523047697451786240


太田光征
posted by 風の人 at 14:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ウクライナ危機

2022年05月02日

ウクライナ情勢分析:学者の論考と元軍事情報将校の解説

宇山智彦さんの論考はバイアスの危険性が一般にあることについての警鐘としては理解できますが、ウクライナの危険性についての認識が不十分であると感じます。

なぜプーチン政権の危険性は軽視されてきたのか
−国際情勢分析と認知バイアス−
宇山 智彦(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター)
https://src-h.slav.hokudai.ac.jp/center/essay/PDF/20220413.pdf

宇山さんの意見で気になったところを3つだけ指摘しておきたいと思います。

宇山さんの意見その1「確かに、米欧諸国がロシアの縄張り意識・帝国意識の根深さ・扱いにくさを十分認識していたのか、それを考慮したうえでロシアに対する最適な政策をとれていたのかは、検討する余地があろう。」

ウクライナの平和主義者ユーリー・シェリアジェンコ氏の言葉*1を借りれば、「大国は暴力文化によって競争し、覇権的支配権/統治権の間で合意を行わないという残酷な非人間的合意により、核を発射しないかもしれない程度の損害で互いに対する限定的な殴り合いで利益を得ている」のであって、宇山さんがロシアの誤りを正すという米欧諸国の方針を是認しているのだとすれば、かなりの的外れです。日本記者クラブの「ウクライナ」シリーズレクチャーの講師陣に見られる傲慢さ*2と同じでしょうか。この際必要なのは、米国を含む全当事者が反省をしての包括的な和平交渉*3です。今現在の米欧諸国のままでは解決できません。

*1 平和主義者ユーリー・シェリアジェンコ氏の目を通したウクライナ(ネオナチ、プロパガンダ、ロシア人憎悪全体主義、戦争犯罪調査など)
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/487462119.html
*2 日本記者クラブの「ウクライナ」シリーズレクチャーの危うさ
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486245987.html
*3 ウクライナのユーリー・シェリアジェンコ氏:すべての側が戦争を煽ってきた。包括的な和平交渉だけが戦争を終わらせることができる(2022年3月22日付デモクラシー・ナウ!)
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486314475.html

宇山さんの意見その2「しかし、ロシアのウクライナ侵攻は、特定の政権やその行為に向けられた米欧の軍事介入と異なり、実質的な領土拡張や相手国の恒久的な属国化を狙っているという意味でより悪質である。」

軍事介入の悪質さを比較(相対化)してどうするのでしょうか。イラク全体をめちゃくちゃにしたのが米国で、確率論的に米国は今後もどこかで永続的に戦争を仕掛けます。

宇山さんの意見その3「他方で心配なのは、ロシアによる侵略に米欧日が団結して対抗するのは当然だとしても、それによって米欧中心主義が再び強まってしまわないかということである。ロシアの米欧に対する不満は、ロシアが世界において特別な権利を持つべきなのに持たせてくれないという身勝手なものであるが、世界には米欧から軍事介入や差別を受けてきたことに不満を持つ国々や人々が少なからず存在し、そのことが国際秩序の不安定要因ともなってきた。米欧や日本は常に正しく善であるというのもまた確証バイアスである。米欧への批判的な目を、ロシアの正当化のためではなく、中小国の権利と安全がよりよく保障される国際秩序の構築のために使っていきたいものである。」

米欧日は平和実現のために動いているのではありません。火に油を注いでいるだけです。おそらく単純な「敵の敵は味方」という純軍事的な皮算用的期待があるのでしょう。

「ロシアの正当化」というありもしない目的を持ち出しています。これがこの間、多くの方にとっての神話となっています。なぜこうした神話を創り出すのか、不思議に思ってきました。

現段階での私の仮説は、人が正邪を判別するのが自然であると思われる対象(ロシア、ウクライナ、米国)が関与する事象(ロシアによる侵攻、ドンバス内戦におけるウクライナ側による攻撃、米国による挑発)について何らかの主張をする場合、同時に憎悪や怒りを伴うことが人間として自然であるから、自分(宇山さん)が感じている憎悪や怒りを自分が邪と思う対象に向けないような主張をする他人は、当該の邪対象を正当化する論を行っているのだろう、ということです。だとすると単純というほかありません。

ウクライナ反戦運動で掲げるべき目標は少なくとも3つ、すなわちロシア軍の撤退(ロシアも不当)、ドンバス内戦の終結(ウクライナも不当)、ウクライナ戦争を利用した東アジアへの戦争拡大の予防(米国も不当)、があります。ウクライナ反戦運動は正邪を判別する評論ではなく、ウクライナ危機を「解決」するための運動であって、米欧への批判はこれら3目標を達成する形での停戦交渉を実現させ、ウクライナ危機を「解決」するために欠かせないものです。

次に、ジャック・ボー氏によるウクライナ情勢の解説をご紹介します。全文を読まれることをお勧めします。

スイスの元軍事情報将校「ウクライナで何が行われ、何が起こっているのかを実際に知ることは可能なのか?」|Kfirfas|note
https://note.com/14550/n/ne8ba598e93c0

<この民兵はMirotvoretsというウェブサイトに関連しており、「ウクライナの敵」を個人情報、住所、電話番号とともにリストアップし、嫌がらせや抹殺ができるようにしている。この行為は多くの国で罰せられるが、ウクライナではそうではない。国連といくつかのヨーロッパ諸国はこのサイトの閉鎖を要求したが、Rada(ウクライナ議会)はこの要求を拒否した。>

常識的な人間が十分な情報に基づいてウクライナを評価すれば、ウクライナという国も既に相当異常です。そう思えないなら、それこそバイアスがかかっています。

ウクライナ危機はまさに「どっちもどっち」で見なければ解決できないでしょう。


太田光征
posted by 風の人 at 23:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ウクライナ危機

2022年04月30日

平和主義者ユーリー・シェリアジェンコ氏の目を通したウクライナ(ネオナチ、プロパガンダ、ロシア人憎悪全体主義、戦争犯罪調査など)

西側メディアが報じるウクライナ戦争は、ゼレンスキーを英雄視してロシア軍の蛮行ばかりをほぼ無検証で強調し、戦争継続へと誘導するものばかりです。こうした中、キーウ/キエフに在住するユーリー・シェリアジェンコ氏のような平和主義者の目を通したウクライナ解説が欠かせません。3月下旬なので少し古くなりますが、平和団体ワールド・ビヨンド・ウォーのローレン・シュタイナー氏によるシェリアジェンコ氏のインタビュー動画をご紹介します。

キーウ/キエフ在住のウクライナ人平和活動家との対話
Conversation with a Ukrainian Peace Activist in Kiev - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=SMsRI8RE0-c

シェリアジェンコ氏はロシアだけでなく、ウクライナおよび米国を含む全当事者を批判し、全当事者の戦争犯罪についてもあらゆる犯罪構成要素の証拠を調査する必要があると主張しています。西側メディアの一部がアゾフ大隊のホワイトウォッシュ(粉飾)を行っているとし、ナチスの政治体制を「実存的な敵の具体的な選択に関係なく、憎悪と実存的な敵の殺害という考え方を軸に人々を一体化すること」と規定した上で、「ゼレンスキーを中心にロシア人憎悪・殺害で結束する全体主義」(太田の表現)が存在することを指摘しています。

だからどう考えても、全当事者が反省する形での包括的な和平交渉しか、ドンバス内戦と今回の大規模侵攻を解決するための道はないのです。

【シェリアジェンコ氏の発言要旨】

・国境警備隊が特にアフリカやアジアからの学生をウクライナ軍兵士としてリクルートしている(ABCニュースなど)。
・友人の法律家の父(59歳)ががん手術のため出国許可を得ようとしたが許可されなかった。徴兵制は国際法で禁止すべき。
・この侵略は挑発なしで起こったのではない。ロシアには正当な安全保障上の懸念があり、この懸念は対処が可能なもので、これにより今回の侵略を防止できたかもしれない。(ホストの意見に同意する形で)
・プーチンは天使ではないが、ゼレンスキーも同様。誰も悪魔化したり無罪認定したりするべきではない。不正行為すべてを調査し、全当事者についての責任を主張すべき。
・ロシアの安全保障上の懸念、クリミアやドンバスをめぐるウクライナの支配権/統治権についての懸念、米国のルールに基づく国際秩序上の懸念はあまりにも覇権主義的であり、すべてを批判する必要がある。
・国家が安全保障上の懸念に基づいてレッドラインを引くのではなく、世界の人民が正気と常識のレッドラインを引くべき。
・(ゼレンスキーはユダヤ人であるとの指摘に関連して)ナチスとしての政治体制は、実存的な敵の具体的な選択に関係なく、憎悪と実存的な敵の殺害という考え方を軸に人々を一体化すること。ドンバス内戦ではロシア側にもネオナチがいた。
・西側メディアの一部はアゾフ大隊のホワイトウォッシュ(粉飾)を行っている(BBCがアゾフ大隊リーダーのビレツキーにあなたはナチかと質問。ビレツキーは、我々は国家主義者だ、それはすべてロシアのプロパガンダだと返答)。
・NATOはロシアが言うように危害のない防衛的同盟ではない。
・(ロシアにとってのウクライナの軍事的脅威について)ステパン・バンデラなどナチ時代のウクライナの国家主義者を支持し、周縁的だが非常に影響力のある勢力がこの国の政治にいる。
・バンデラを評価するという考え方、またウクライナの歴史が敵としてのロシアに対する永久の実存的な闘いとして振る舞ったのであるという説明は周縁的ではない。
(ホスト)ドンバス内戦における死者数は既に1万4000人に上る。
・ウクライナにおいて平和は降伏だとして広くけなされており、必ずしもすべてが敢えて平和を望んでいるとは認めない。
・ウクライナにおいて人々は一体のものであること、ゼレンスキーを中心に結束することが期待されている。その目的はロシア人を憎んで殺すこと。こうした政治的企てはロシアのプーチンも成功させている。
・ウクライナの人々は大部分を声高のプロパガンダから学び、プロパガンダがウクライナのEUおよびNATOへの加盟を促している。
・マリウポリ産科医院をめぐる真実については調査が必要。
・全当事者の戦争犯罪についてはあらゆる犯罪構成要素の証拠を調査する必要がある。
・OSCE(欧州安全保障協力機構)報告書から明らかに、両当事者がミンスク合意を破った。ロシアによるウクライナ侵攻は停戦違反のピーク時に発生。政府支配地域と非政府支配地域の双方で民間人の被害がある。
・善人対悪人という一面的な見方、私たちを英雄として無罪放免するという傾向は実に問題。
・過去1カ月間における戦争の痛みは10対1でロシアがウクライナに対して与えた痛みの方が、ウクライナが分離主義者らに与えた痛みより大きい(国連人権高等弁務官事務所のデータ)。
・米国が交渉テーブルにいないことは、米国がこの戦争を後押しし、和平交渉をしたくないことを意味している。
・ウクライナの政府と大衆の意見は、戦争屋メディアを通じ、米国タカ派によってコントロールされている。
・ウクライナは和平交渉したくない米国の意思を共有している。
・大国は暴力文化によって競争し、「覇権的支配権/統治権の間で合意を行わないという残酷な非人間的合意」により、核を発射しないかもしれない程度の損害で互いに対する限定的な殴り合いで利益を得ている。
・軍事的リアリズムは暴力文化のある種の内部矛盾を解決するに過ぎない。
・私にとってのリアリズムは夢を実現させるために計画してそれをあらゆる人々が行うこと、非暴力の技術を研究開発すること。
・ウクライナのプロパガンディストだけがプーチンはウクライナを解体しようとしていると主張。
・ウクライナの好戦的国家主義者にとってロシアとの戦争がなければウクライナではない。
・ウクライナの大衆がロシアとの戦争なしのウクライナを知ることに疑念。
・ゼレンスキーはプーチン同様、自身への批判すべてを封じ込めようとしている。
・ウクライナがロシアの権威主義を模倣している。
・ウクライナには基本的に左派の政治がない。
・恐怖に従って暮らす代わりに、希望に従って暮らすことを選択すべき。


【翻訳文字起こし全文】(「ホスト」表記以外の段落がシェリアジェンコ氏の発言。完全な文字起こしではなく、意味が重複している部分などを削除してある)

0:00(ホスト)こんにちは、ローレン・シュタイナーです。今日のゲストはユーリー・シェリアジェンコで、戦地のウクライナにあるキーウ/キエフからライブで参加してくれています。全体的に状況はどうですか。
招待いただきありがとうございます。ロシアによるミサイル攻撃を受けて、キーウでの状況はよくありません。遠くで爆発の音や警報が聞こえるのが日常です。自宅が揺れたりしますが、男性の16〜60歳は出国できないので家族とキーウにいます。ウクライナ政府には和平交渉と非暴力の解決策を、ロシア政府にはウクライナに対する違法な戦争を止めて和平交渉に入るよう求めます。米国政府にも和平交渉にかかわり、平和の達成に貢献するよう求めます。ウクライナの多くの人々は平和主義者に対して友好的ではありませんが、私たちは世界平和のために活動しています。
2:23(ホストによるユーリー・シェリアジェンコ氏の紹介):ウクライナ平和主義者運動事務局長、欧州良心的兵役拒否協会理事、私の友人で平和活動仲間のデビッド・スワンソンが設立したワールド・ビヨンド・ウォーの理事を務めており、調停・紛争管理学修士号を2021年に、また法律学修士号を2016年にクロック大学で取得しています。平和活動に加え、ジャーナリスト、ブロガー、人権擁護活動家、法律学者、学術論文の執筆者、法律理論および歴史学の講師という立場にもあります。そちらの生活について話してください。
4:11自宅で家族と暮らしています。電気、水、インターネット、パンなどの基本的食料、医薬品という基本的ニーズは満たせています。何時間も並ぶこともありますが、スーパーマーケットは営業しています。アパートは戦争の音でかき乱されていますが、キーウ中心部では生活できます。地下鉄やシェルターといった避難先があります。男性全員の徴兵制は21世紀において信じられない選択であり、多くの人々が参戦を望んでいないという現実を無視するものであり、政府に対して再考を求めたいと思います。
9:30アジアとアフリカの出身の学生は、ウクライナの女性や子どもが自分たちより出国の機会や丁寧な扱いを受けていると不満を口にしています。難民が避難する際の差別については多くのメディアからの報告があります。他国市民に参戦義務はありませんが、国境警備隊が他国の市民、特にアフリカやアジアからの学生をウクライナ軍兵士としてリクルートしています(ABCニュースなど)。男性でも適法に出国できる場合があります。18歳以下および60歳以上の場合や、軍当局から不適合などの理由で出国証明書をもらうことは可能ですが、友人の法律家の父(59歳)ががん手術のため出国許可を得ようとしたが許可されませんでした。5000〜7000ドルの賄賂で違法に男性を出国させる例が報告されています。最近、法執行当局は1万ドルの賄賂で出国させる腐敗制度を停止しました。偽の国外退去など複雑な仕組みがあります。
12:30(ホスト)私はあなたと同様に平和主義者で、25歳と28歳の息子がいます。息子たちが18歳になると兵役登録の通知書を受け取ることになるのですが、私は破り捨てました。起訴されないよう多くの調査を行ったところ、起訴されるのは兵役について政治的声明を公にした少数の者だけだと分かりました。私の企みは失敗に終わりました。というのは昨年、私がノースキャロライナに転居し、息子が運転免許証を取るために兵役に参加しなければならなかったからです。ただ息子は明日25歳になり、25歳以降は戦闘に行かせることができなくなります。私は平和主義者ですが、誰かが攻撃を受けているこの国に来て、玄関口に来て、家族が脅された場合、私はきっと応戦仕返すでしょう。このことについてどうお考えでしょうか。
13:40多くの非暴力の方法で自分の身を守ることができます。平和的話し合いは自己防衛の優れた方法です。この事実は暴力的な人々でも直感的に理解してもらえます。というのは自分が敵から銃を向けられるという立場に置かれた場合、ガウンを敵に向ければ、最終的に撃つ代わりに話し合いを始めます。これは例えば西部劇で目にすることができます。
非暴力の自己防衛は、敵を作ることを避け、敵意の関係に入るあらゆる誘惑を拒否する生活方法から始まります。これには愛に劣らない相互の同意が必要となります。暴力的な人々は私に、例えば薄暗い時分に歩いていて悪党に会ったらどうするのかと何回も尋ねるのですが、私が道路では善良な人にしか会わないと答えると、困惑するのです。私は誰とでも対話の用意があります。それはあなたの周りの人間が友だちなのか敵なのかなど多くの点であなたの選択と技量に依存しています。これは平和文化であり、私は常に実践して発展させています。
また、私は戦争抵抗者インターナショナルのビルトホーレン(聴き取り不正確)宣言に署名しています。この宣言では戦争が人間性に対する犯罪であると指摘しています。だから私はあらゆる種類の戦争を支援せず、戦争のあらゆる原因を取り除くために奮闘することを決意しました。これも平和文化の一環です。ウクライナの男性全員に出国を禁じて国民を総動員し、徴兵を行い、戦争動員をしやすくするすべてが暴力文化の一環です。これが今日の身動きが取れなくなっている戦争、すなわち西対東、ロシア対ウクライナの戦争の主たる原因となっています。
私たちは一貫性のある平和文化を世界で築き、平和を望むなら平和の準備をする必要があることを人々に理解してもらう必要があります。また非暴力の国際秩序をあらゆる方法で築かねばなりません。例えば、徴兵制は国際法で禁止すべきと考えます。徴兵に抗議して、女性の軍隊登録を導入するための試みが米国であった時、広範な抗議が起こり、この政策の継続を拒否しました。これは人々の素晴らしい成果であり、徴兵と軍隊登録はあらゆる形態を禁止すべきです。これらは古めかしいものであり、人権に反するからです。
16:52(ホスト)皮肉的な理由であなたの意見に反対したいと思います。ベトナム戦争を終わらせることができた理由の1つが召集にあります。多くのすべての男性が戦いに行かねばなりませんでしたが、今ではこの国で戦争に行くのは貧困層だけであり、多くの人々が自分やその子どもが戦争に行って死ぬ必要がないので、戦争に大変熱を上げているからです。
17:20(ホスト)この侵略は挑発なしで起こったのではないということを基本的に言うために番組を放送してきました。この侵略は道徳的、法的に許されないが、ロシアには正当な安全保障上の懸念があり、この懸念は対処が可能なもので、これにより今回の侵略を防止できたかもしれないのです。
意見に賛同します。これは挑発なしで起こったのではない。プーチンは天使ではないが、ゼレンスキーも同様。西対東、ウクライナ対ロシアというこの戦争において、誰も悪魔化したり無罪認定したりするべきではありません。不正行為とされるものすべてを調査し、正義を回復し、真実を語り、全当事者についての責任を主張すべきです。
地政学的な勢力範囲をめぐるこの大国の支配権は、米国の覇権主義的態度を真似ています。ウクライナもこの支配権/統治権のみを気にしています。この支配権/統治権は政府がその領土について望むことなら何でも実行する力のことです。ロシアの安全保障上の懸念は暴力文化の論理において理解可能なものです。
しかしこれは平和と非暴力の文化という枠組みに照らしての批判を免れません。同様にクリミアやドンバスをめぐるウクライナの支配権/統治権についての懸念も批判を免れません。さらには米国のルールに基づく国際秩序上の懸念も批判を免れません。私たちはこれら大国と支配権に関する懸念すべてを批判する必要があります。これらの懸念はあまりにも覇権主義的であり、私たちには、暴力文化に駆られた主体にとって快適な特定の覇権に取って代わり、平和文化に基づいた普遍的な協調が必要なのです。
国家は各自の安全保障上の懸念に基づいてレッドラインを引きますが、私はその代わりに正気と常識のレッドラインを引くことを提案します。すべての利害関係者は世界の人民にとってのレッドラインに留意すべきであり、福祉や人権、環境的調和を犠牲にして軍事化や軍備競争をすべきではありません。包摂的な多様性と公正な民主主義の発展のために国家主義と帝国主義には退場してもらい、あらゆる紛争は平和裏に解決すべきです。あらゆる構造的暴力の構築、特に戦争の準備や戦争の脅威について語るということは、許容できないものです。これは人々にとってのレッドラインであり、人々はこのレッドラインを支持するべきです。支配権が欲しい者たちはこのレッドラインを越えてしまいます。支配/統治の代わりに自治という考え方を主張すべきです。支配/統治は専制的な力であり、自治は道理に従う力だからです。私たちはこの愚かな支配/統治から理性的な自治に切り替えるべきです。
21:15(ホスト)昨年の選挙でネオナチのスボボダは2パーセントの得票だと理解しています。ゼレンスキーはユダヤ人だという事実があります。ネオナチのアゾフ大隊が歓迎され、広くウクライナ軍や保安警察に組み込まれました。ウクライナにおけるネオナチの存在、国家主義の特質、主として反ユダヤのドイツのナチズムとの違いについて話していただけますか。
22:10ナチスについては不気味なイメージがあります。ナチスがやろうとしたことの客観的で政治的な記述は、基本的に、ナチさらにはイタリア側の同盟であるファシストはあらゆる人々を1つの全体にまとめ上げ、少数派を絶滅させるものです。人々を1つの全体にまとめ上げるだけでなく、あらゆる人々を軍隊に組み入れ、何らかの種類の生活空間を征服させます。あらゆる人々の統合というだけでなく、敵が存在する所からの実存的脅威という恐怖の中で永続的に生活するのです。実存的な敵を創り出して生涯を通じてこれらと闘うべきだと。従ってこれは暴力文化を最大限に発現したものです。
ドイツのナチスの不道徳な兄弟であるイタリアのファシストはファセットのシンボルを使っていましたが、これは古代ローマ帝国の権力のシンボルであり、棒を束ね、中央に斧を付けたもので、棒は体罰に、斧は斬首に使用されました。このファセットはあらゆる人々を1つの全体にまとめ上げ、この原理に従わない人々を処罰する権力の象徴なのです。ところでこの古代の立派なシンボルは米国下院の演壇の両側にある彫刻のファセットにもあります。
アゾフ連隊やライトセクターは非常に公式かつ文字通りのナチシンボルを使用しており、初期に古いナチの教えの信奉者が多くいて、さらに人々をリクルートし、おそらく必ずしも全員が狂気の古いナチの教えやヴォルスファーレン(聴き取り不正確)のようなシンボルの意味を知っているわけではありません。
アゾフ大隊は政府軍および極右志願部隊が親ロシア分離主義部隊とドンバスで戦っていた時の名称であり、この志願大隊は改組されてウクライナ軍に正式にアゾフ連隊として編入されましたが、連隊は依然としてボリスファーレン(聴き取り不正確)のようなナチのシンボルを記章に使用しています。
ウクライナ側とロシア軍/親ロシア分離主義者との間の8年間にわたる戦争(訳注:ドンバス内戦)では、ロシア側にもネオナチがいました。例えば、バリアフ大隊(聴き取り不正確)とロシア・ナショナル・ユニティーです。一種の字面上のナチスになりたがっていた者は両側にいたのです。
しかし字面上のコピーが主たる問題なのではなく、ウクライナとロシアの政治が非常に古めかしく、この基本構造、ナチ政治をコピーしていることにあります。このナチ政治では、あらゆる人々を1人のリーダーを中心に統合して、人々の使命を実存的脅威と闘うことだと見なし、あらゆる人々の人生の目的を勝利と見なすものです。これがナチの意味するところです。ユダヤ人を殺さないかもしれませんが、実存的な敵は誰であっても構いません。現実のものでも非現実のものでもいいし、必ずしもユダヤ人や共産主義者や背教者であるとは限りません。実存的な敵の具体的な選択(訳注:ユダヤ人など)によってナチスのような古めかしい政治形態を取ることになるのではなく、何が実際にナチスとしての政治体制を取らせるかといえば、憎悪と実存的な敵の殺害という考え方を軸に人々を一体化することなのです。
31:10西側メディアの一部はアゾフ大隊のホワイトウォッシュ(粉飾)を行っています。最近ではBBCの記者がアゾフ大隊のリーダーであるビレツキー(訳注:公式には軍事部門を離れたことになっている)を訪ねて、あなたはナチかと質問しました。ビレツキーは、我々は国家主義者だ、それはすべてロシアのプロパガンダだと答えています。ウクライナの軍事的脅威がロシアに及ぶというプーチンの考え、ウクライナがナチに支配されているというプーチンの考えですが、NATOはロシアが言うように危害のない防衛的同盟ではなく、ロシアをウクライナにおける公的・政治的分野から排除するものであり、ステパン・バンデラなどナチ時代のウクライナの国家主義者を支持し、周縁的だが非常に影響力のある勢力がこの国の政治にいるからです。
バンデラになりたがっている一部の者たちは周縁的かもしれないが、バンデラを評価するという一般的な考え方、またウクライナの歴史が敵としてのロシアに対する永久の実存的な闘いとして振る舞ったのであるという説明は周縁的ではありません。
33:50(ホスト)私たちは2014年のクーデターを米国が煽動したことについて話しました。当時、民主的に選ばれたヴィクトル・ヤヌコーヴィッチはロシアから提案され、EUの提案よりもマシだった取引に応じようとしていました。EUの提案はネオリベラルの要素が多くあったからで、クーデター後に最終的にその提案を呑まざるを得ませんでしたが。米国はネオナチによって支えられていたこの体制を支援しました。そうしてドンバスでの戦いが始まったのです。死者数は既に1万4000人に上っています。ゼレンスキーは腐敗対策をすることとされましたが、パンドラ文書によれば、多くの資産を抱え、海外口座にしまい込んでいます。ウクライナの人々がロシアとEUのどちら側に立っているのか、ゼレンスキーのことをどう考えているのか。
35:09正気の人間は平和を望むが、ウクライナにおいて平和は降伏だとして広くけなされており、必ずしもすべてが敢えて平和を望んでいるとは認めません。平和を積極的に打ち出した表現に対する軍事的反応は軍国主義者の政治的企ての結果としてのごまかしの態度でもあります。人々は教育から、大部分は声高のプロパガンダから学びます。人々は基本的なこと、例えば世論調査に対する影響などについて、多くのことをまったく知りません。ウクライナにおいて人々は一体のものであること、ゼレンスキーを中心に結束することが期待されています。その目的はロシア人を憎んで殺すことです。この政治的企ては不幸にも成功しています。これはロシアでも同様で、プーチンの政治的企ても、ヒトラーもムッソリーニもそうなのです。
Rating(レーティング)グループが実施した世論調査によれば、93%がゼレンスキーを支持してウクライナがこの戦争に勝つと信じている、興味深いことにゼレンスキーとプーチンの間の和平交渉を支持しているのは74%だが、89%はロシア軍がウクライナ領土から去らない限り停戦は受け入れない、45%は戦争の激化を懸念、38%は燃料不足の状態にある、13%が飢えている、86%がウクライナのEUへの加盟を支持、76%がNATO加盟を支持、98%がロシアを敵と見なしています。これは社会学者による電話世論調査です。Rating グループはウクライナでは著名であり、信頼できる機関です。
39:58(ホスト)米国では、既にロシア国内ではほとんど製造されなくなったウオッカが禁止され、ロシアのスポーツ選手やアーティストが拒否され、ミラノの大学ではドストエフスキー講座が廃止されたと記事で読みました。ドストエフスキーは基本的に禁制本を読んだとして投獄されたので大変な皮肉ですが。殺され、怪我を負わされ、家を追われたウクライナ人に同情しますが、これらの被害者に対するのと同程度の同情は例えばイエメン、ソマリア、ガザ、アフガニスタンの戦争被害者には向けられていません。これらの被害者は肌の色が黒と茶で私らと見かけが違うからであり、戦争をしかけている国に米国が資金や武器を供給しているからです。ご意見をお聞かせください。
プロパガンダがウクライナのEUおよびNATOへの加盟を促しています。ウクライナとアフリカおよびアジアの人々の待遇をめぐる違いはやや人種差別主義的です。古めかしい暴力文化は常に人種的優越性などの考え方を含むものであり、人種差別についてここで語ることには意味があります。
42:01風刺週刊誌「シャーリー・エブド」に、純粋な人種差別の一環として、石油価格の上昇がウクライナ人を正すとする風刺画がありました。これは欧州の一般的なキリスト教を信仰し、同様の労働倫理を持ち、安上がりだが有能な労働力などを期待するものです。
自分たちとあいつら、いい奴と悪い奴という単純な描き方をするメディアについてあなたが語ったのはおそらく、調査もせずにロシアが戦争犯罪を行ったとメディアが主張していることでしょうか。
42:56(ホスト)ロシアが産科医院を爆撃したとされることをめぐる大騒ぎがありましたが、ロシアはアゾフ大隊が妊婦を追い出して攻撃拠点としていたので、もはや産科医院でなくなったと主張しました。出回ったソーシャルメディアの中の女性は横たわって担架で運ばれ、階段を降りて、病院の外で立っていたのは同じ女性でした。ロシア軍が拠点と軍装備を奪取するためと、ロシアのタス通信が伝えていました。そこで北部、南部、西部に行った後、東部に移ると語りました。
なぜロシア軍が民間人を標的にしていないと語っているかといえばおそらく、良いイメージを作り出そうと嘘をついているか、民間人を標的にする計画について知らなかった、軍の犯罪から男すべてを除外するという可能性を創り出すためかかもしれません(訳注:意味の判別困難)。民間人の不要な犠牲者を出さないというのが本物の方針かもしれず、国際人道法が求めていることは、基本的に民間人の不要な犠牲を防ぐことです。おそらくそうした意図は政治的リーダーシップや軍事的リーダーシップにあるかもしれず、マリウポリ産科医院の状況をめぐる真実を明らかにするには調査が必要です。
英国のボリス・ジョンソン首相のYouTube動画を見て驚きました。ジョンソン首相は子どもを相手に、既に国際刑事裁判所がプーチンを起訴して戦争犯罪の判決を下したと説明しました。国際刑事裁判所によればプーチンがやっていることは大量虐殺であり、プーチンは戦犯であると語ったのです。これは事実ではなく、嘘です。私は「ボリス・ジョンソンのように嘘をつくな」というタイトルのYouTube動画*をアップしました。

*Don't lie like Boris Johnson - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=qTLmd5og0U0

全当事者の戦争犯罪を語る場合には、あらゆる犯罪構成要素、すなわち犯罪の行為、意図、同時性、原因、被害、居合わせたことの状況証拠を調査すべきです。OSCE報告書から明らかに、両当事者がミンスク合意を破ったのであり、従って客観的な調査によって全当事者の悪行が明らかとなるでしょう。ロシアがウクライナを違法に侵略したのは停戦違反のピーク時に発生しました。政府支配地域と非政府支配地域の双方で民間人の被害が報告されています。こうした善人対悪人という一面的な見方、私たちを英雄として無罪放免するという傾向は実に問題です。勝利者がすべての責任を敵になすりつける戦争において起こっていることなのです。今、全当事者が自身を勝利者と見なしているので、敵を責めて、交渉を拒否します。でも客観的な物事について語る場合、ロシアによる侵略に至る前の状況は侵略後に徹底的に調査すべきです。
当然、ロシアがウクライナに及ぼしている苦痛は、ウクライナが分離主義者地域に対して計画し続けている苦痛よりも大きくなっています。比率は10対1であり、客観的な方法でこれを評価することができます。国連人権高等弁務官事務所のデータによれば、ロシアによる残酷なウクライナ侵攻の期間中、民間人犠牲者は2788人、うち1081人が殺害されています。数字はもっと高い可能性があります。データは3つの情報源で裏付けられているので信頼性があります。283人の犠牲者が非政府支配地域において発生しており、うち59人が殺害されています。ウクライナ国境を越えた国外避難民は370万人おり、27万1000人はロシアに避難しました。いずれも場合も、過去1カ月間における戦争の痛みは10対1でロシアがウクライナに対して与えた痛みの方が、ウクライナが分離主義者らに与えた痛みより大きくなっています。
51:50(ホスト)プーチンは生物化学兵器を使うのか。核兵器の使用でウクライナはシリアやアフガニスタンのようになるのではないか、それ以上に悪化するのではないかと懸念しています。ニューヨークタイムズの記事に小型核の話がありましたが恐ろしいことです。現実的な解決策は何だとお考えですか。平和を望むならバイデンはプーチンとゼレンスキーの交渉を設定すべきです。バイデンがロシアには体制変換が必要で、プーチンを排除すべきだと語ったことに驚きました。バイデンはそのような意味ではないと後で語りましたが、それは非常に不誠実です。現時点で両側が現実的に合意できることは何か、あるいは事態が悪化するとお考えですか。
54:00核兵器の恐怖とロシアによる欧州侵略は一部の人々にとって利益をもたらしています。ボーイングとロッキードマーティンは核兵器やミサイルなどの部品を生産しています。これらの株価は証券市場で上昇しています。米国防長官のロイド・オースティンが取締役を務めていたレイセオンはウクライナに武器を供給していますが、その株価も上がっています。
プーチンが欧州を侵略したと説くことは、欧州を徹底的に武装化して儲けるための方便でもあります。西と東の敵意を煽る代わりに、メディアは普遍的な平和を実現し、平和文化を発展させ、非暴力の世界統治を達成するための現実的な手段、この地球で平和を達成するための手段となり得るものです。
米国が交渉テーブルにいないことは、米国がこの戦争を後押しし、和平交渉をしたくないことを意味しています。ウクライナの政府と大衆の意見は多くの影響力あるメディアや統一的な戦争屋メディアを通じ、米国タカ派によってコントロールされています。ウクライナは和平交渉したくない米国の意思を共有しています。
私はリアリズムが大国の軍事バランスを受け入れるという類いのものだとは考えておらず、私にとってのリアリズムは自分たちの夢を自分たちの懸命の努力で実現させる方法を構想することです。軍国主義者は軍事的勝利もしくは体制転換または領土的譲歩で平和を確立するのがリアリズムだと主張します。私が地政学的同盟における譲歩という考え方を拒否する理由は、それは平和をもたらすのではなく、暴力文化のある種の内部矛盾を解決するに過ぎないからです。
私にとってのリアリズムが依拠する考え方は、平和主義者が平和文化と非暴力を人々に教え、平和的な生き方をメディアで報告し、既に私たちが多くを達成したように人々にとっての非暴力の光の技術を研究開発するというものです。この平和文化のリアリズムは最終的に非暴力の世界統治のための強力な制度を開拓することになるでしょう。私たちは軍隊や国境がない地球に暮らすことになります。これはウクライナ、ドンバス、クリミアが米国、中国、さらにはロシアと共に一体のものとなる世界です。覇権の代わりに調和を築き、大国が東と西に分かれるのではなく、真理と愛を。
58:39(ホスト)それは私の子どもに話したいほど素晴らしいおとぎ話のようですね。残念ながら私は人間性について、あなたほど楽観的ではありません。ジョン・ロックの性善説やトマス・ホッブズの性悪説について勉強したことを思い出しました。
59:30(ホスト)シカゴ大学のジョン・ミアシャイマーはかつて、米国がウクライナをNATOに加盟させれば戦争は不可避であると述べました。彼は米国がモンロー主義を取っているようだと言っていました。米国はロシアのあらゆる軍事施設を西半球に置かせないと。実際、核ミサイルのキューバ危機があった時、ケネディーとフルシチョフは平和裏に解決することができました。私たちがロシアを愚弄し続けてその基地をそこに置かせるよう仕向けるならば、カーネギー平和研究所や「責任ある国政術のためのクインシー研究所」からの話として聞いてきたように、ロシアにクリミアを与える、それをロシアの一部と認めるという類いの譲歩、これら2つの分離主義者地域に恒久的独立を与え、ウクライナがNATOに加盟しないことを憲法に明記すると。もしかしたらこうした類いの交換条件で問題が解決するかもしれない。でもバイデンは昨日、その実現をさらに一層難しくしてしまいました。
(ホスト)現時点でプーチンの動機が分かりません。それは侵略が一切合切、非倫理的で違法で犯罪的であるだけでなく、プーチンの観点からして馬鹿げているからです。というのもそれは結局、欧州中を反プーチンで結束させたからです。エコノミストのマイケル・ハドソンは素晴らしい論文の中で、我々はドイツを3回ににわたり負かしたと書きました。ドイツ、フランス、その他幾つかの欧州諸国がロシアや中国と近づきになろうとした。これら諸国は石油の30パーセントをロシアから調達していて、ガスの40パーセントをノルドストリーム2から、さらに80パーセントを調達しようとしていた。もちろんそれはオバマがフラッキング採掘法を4倍に増やし、LNG輸出サービスを増やしたために実現しなかったわけですが。この戦争からしこたま儲けているのは武器製造企業だけでなく化石燃料企業もなのです。この国はDrill, baby, dril(訳注:石油・ガスの掘削を増やす共和党のキャンペーン)の時代に戻ろうとしています。それはIPCC報告書が出て、もう時間がないと言われた時期ですが、さらに化石燃料を掘削することについて語るのは正気ではない。お金の動きを追っていると、これら大産業の多くがたくさん儲けており、2つの実存的な脅威、すなわち核による絶滅と気候危機のことが大変心配です。
1:02:37あなたの言っていることは多くの点で暴力文化の論理として正しく、ジョン・ミアシャイマーは暴力文化の論理を語る場合の偉大なリアリストであり、プーチンの動機についてよく説明しています。この種の暴力をめぐるリアリズムはもちろん、平和主義的リアリズムではありません。私にとってのリアリズムはお話したように、夢を実現させるために計画すること、それをあらゆる人々が行うことですが、暴力文化の首尾一貫した典型は暴力文化がもたらす大国間の競争であり、覇権的支配権/統治権の間で合意を行わないというこの残酷な非人間的合意により、核を発射しないかもしれない程度の損害で互いに対する限定的な殴り合いで利益を得ています。
戦争遂行の動機は暴力文化の種類によって異なります。西側の場合はおそらく死の商人にとっての利益であり、東側の場合は独裁者および軍事的孤立主義者の力の増大でしょう。西側には独裁企業がいて、軍国主義の企業と孤立主義者が主流政治にいます。東側にも腐敗した方法で利益を上げる者がいます。そのため多くの形態をとる暴力文化はその発現において客観的に普遍的であり、平和文化そしてもちろん平和主義者はこの古めかしい暴力文化を進歩的な平和文化へと転換すべく努力しています。
プーチンおよびプーチンの狂気の合理性に関しては、プーチンは自身の流儀では合理的ですが、心は暴力文化で毒され、軍事的戦略の誘惑によって堕落しています。プーチンはウクライナを征服するつもりはないと言っていますが、おそらくそうでしょう。ウクライナのプロパガンディストだけがプーチンはウクライナを解体しようとしていると主張しています。そうではなく、その背後にある考え方は、プーチンがロシアに対してより敵対的でない別のウクライナを推し進めているというものです。
もちろん、ウクライナの好戦的国家主義者にとって、ロシアとの戦争がなければウクライナではありません。これはプーチンにとって受け付けられないことです。だから私は大衆がロシアとの戦争なしのウクライナを知ることになるという考え方をすることに疑念があります。
もしも人々が違う考え方を知り、それについて議論することが許されるなら、私が言ったように、ゼレンスキーは領土の指導者であり、プーチンがやったように自身に対する批判すべてを封じ込めることを図っています。プーチンはもちろん、多くの点で権威主義的です。おそらくプーチンのロシアでは私があなたに話す機会はなかったでしょう。私のロシアの友人は海外工作員のように責められるでしょうから。ナワリヌイが長期にわたり刑務所に入れられ、ネムツォフのように殺されますから。
しかし私は、ロシアとウクライナの間でこの紛争が激化していた昨年、ウクライナが多くの点でロシアの権威主義を模倣するという危険な傾向を認めました。互いの悪い振る舞いを真似し始めたのです。私はウクライナがロシアの権威主義に固執しないよう望みます。ウクライナでは親ロシアメディアが制裁を受けており、親ロシア政治家の起訴を始めています。最近、ウクライナ安全保障会議は親ロシアの主流政党を永久禁止する決定を下しました。
1:07:55(ホスト)ゼレンスキーは親ロシアの国会議員を追放し、反逆罪で投獄したと聞きました。その後、10の左派系メディアサイトを閉鎖しましたが、私が読んだ記事によれば、それらメディアは実際のところ、私たちが考えるような左派ではありませんでした。
ジャーナリストとして、入手した情報すべてをチェックする必要があります。ウクライナにおける政治弾圧について語る場合、親ロシアの人物に対する弾圧が実際にあります。しかし、平和主義者や左派の人権擁護活動家、周縁的な政治家は、ウクライナおよびロシアの主流政治において敵に対する結束が一般的であり、基本的に左派の政治ではありません。左派の政治は外国人と戦うことよりも人々のことをもっと思いやるものです。一部の人々はスターリニズムを左翼のようなものと誤解しているかもしれません。もちろんスターリニズムは超右翼の政治です。
1:09:44(ホスト)私はリベラルと進歩主義者を区別してきました。ロシアゲートをMSNBCで煽り立てたレイチェル・マドーは今、飛行禁止区域の設定を主張していますが、これが第三次世界大戦を引き起こすことを理解していません。バーニー・サンダースを支持している私の進歩的な友人の何人かは、同じ観点で話しており、私は怖く感じています。番組の最後に、自分のことを進歩的と見なす人々に対する助言として、これらの人々が米国メディアで何を見ているか、ウクライナで何が起こっていると考えるべきか、何を呼び掛けてもらいたいと考えていますか。
1:10:47基本的な真理として、戦争は悪であり、平和は善であるということです。あらゆる人々が平和の権利を持っています。話し合うことが撃ち合うことより常に良いことなのです。ウクライナの市民社会における戦争屋の典型は、和平交渉を呼び掛けるべきではない、人道支援に集中すべきではないと語ります。絶対的に必要なのはロシア人を殺すための大量の武器だからというのが理由です。
あなたにとって世界の基本的構想は何かを思い起こしてください。永久戦争としての将来を想像するのか。NATOのさらなる関与を求めて西と東の戦争を激化させる要求をすることもできます。ロシアだけでなく中国を敵としながら。オーウェルの有名な小説1984年で記述されたディストピアでは3つの大国が常に互いに戦い、多くの人々を殺し、多くの損害と苦痛を与えました。しかし、人々は静かにこれらの国々で力を持ち、喜んで際限のない戦争を継続しました。こんな世界を望むのか、恐怖に従って暮らす必要があるのか、恐怖を増大させる必要があるのか、リアリズムとは恐怖に従って暮らし、内部と外部の実存的な敵と戦うことだと人々に提案するのか。
これは良い未来像ではありません。恐怖に従って暮らす代わりに、希望に従って暮らすことを選択すべきです。これが現実的なことであり、リアリズムとは非暴力統治の知識と技術、統治における暴力レベルを最小化するための社会制度を発展させ、暴力を漸進的にゼロへと最小化していくことなのです。暴力と地球温暖化は低減させるべきものです。暴力のレベルをゼロに低減させることは、私たちが現実的に実現させることができ、実現させるべき最善の考え方です。
1:15:00(ホスト)番組を閉じなければなりませんが、私はあなたの構想をとても気に入っているし、本当に私の生涯においていつか実現することを願っています。それが無理なら私の息子たちの生涯で。そうしないと、私たちすべてにとって先がないから。本当にありがとうと言いたいし、そちらであなたが無事であってほしいと思っています。(シェリアジェンコ:ありがとうございます。)あなたにとって大事な人々と世界中の人々にとっての安全と平和を願っています。私はこの番組を止めるつもりはありません。いつも隠喩的な意味で言っているように、平和のために戦い続けます。(シェリアジェンコ:話し続けると言ったらどうですか。愛し続けましょう。)もちろん平和のために戦うというのは矛盾した表現のようなものだと理解しています。私はいまだ皮肉的な意味でフェイスブック監獄にいて、投稿できずにいますが、皆さんにはこの番組を各自のページやツイッター、所属しているグループでシェアしてほしいと思います。本当にありがとうございます、ユーリー、皆さん。


太田光征
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2022年04月28日

戦争の永続化に反対するウクライナ平和主義者運動の声明

ユーリー・シェリアジェンコ氏らが設立したウクライナ平和主義者運動が戦争の「永続化」に反対する声明を発表しましたので、ご紹介します。

声明では、ロシアによるウクライナへの大規模侵攻を当然にも非難している一方で、双方によるドンバス内戦のミンスク合意(停戦協定)違反、双方によるレッテル貼り、双方による民間人への兵役強制、ロシアとNATO諸国によるウクライナ過激派への武器供給を批判しています。「いかなる種類の戦争をも支持せず、戦争のすべての原因を取り除く」決意をしているからです。また当然、戦争犯罪の責任については、公平かつ中立な捜査と法の適正手続きによって確立されなければならないと主張しています。

ウクライナ東部におけるドンバス内戦が頭の中にある人なら誰でも、今回の大規模侵攻の有無に関係なく、戦争の「永続化」を懸念するはずです。声明の表題にこの言葉があるのは当然というべきでしょう。

【原文】

戦争の永続化に反対するウクライナ平和主義者運動の声明
Statement of the Ukrainian Pacifist Movement Against Perpetuation of War - World Beyond War . . .
https://worldbeyondwar.org/statement-of-the-ukrainian-pacifist-movement-against-perpetuation-of-war/

【翻訳全文】

戦争の永続化に反対するウクライナ平和主義者運動の声明
ヨーロッパ
2022年4月17日、ウクライナ平和主義者運動

ウクライナ平和主義者運動は、ロシアとウクライナの間における紛争の平和的解決のための橋が双方で激しく焼かれ、何らかの支配的/主権的野心を達成するために流血を続ける意図が示されていることを深く懸念する。

私たちは、ロシアが2022年2月24日にウクライナに侵攻するとした決定により、致命的なエスカレーションと数千人の死者をもたらしたことを非難するとともに、ロシアによる侵略のエスカレーションに先立ってドンバスでロシアとウクライナの戦闘員がミンスク合意で規定された停戦を相互に侵害したことを改めて非難する。

私たちは、紛争当事者の双方がナチスのような敵や戦争犯罪者というレッテルを貼り、それを法律に押し込め、妥協できない極度の敵意を含む公式プロパガンダによって強化したことを非難する。私たちは、法律は戦争を煽るものではなく、平和を築くものであり、歴史は戦争を続けるための言い訳ではなく、人々がいかにして平和な生活に戻ることができるかを私たちに示す例となるべきものであると考えている。私たちは、犯罪に対する説明責任は、特に大量虐殺などの最も重大な犯罪において、独立した有能な司法機関によって、公平かつ中立な捜査の結果、法の適正手続きによって確立されなければならないと主張する。私たちは、軍事的残虐行為の悲劇的な結果が、憎悪を煽り新たな残虐行為を正当化するために利用されてはならないことを強調する。逆にそのような悲劇は、闘志を冷まし、最も流血の少ない方法で戦争を終わらせる方法を粘り強く模索するよう促すものでなければならない。

私たちは、双方の軍事行動や民間人に危害を加える敵対行為を非難する。私たちは、すべての銃撃を停止し、すべての側が殺された人々を追悼し、当然の悲しみの後に、冷静かつ誠実に本気の和平交渉に取り組むべきであると主張する。

私たちは、特定の目標を交渉によって達成できない場合にそれら目標を軍事的手段によって達成するとの意図を示したロシア側の発言を非難する。

私たちは、和平交渉の継続は戦場において交渉上の最良の立場を勝ち取ることにかかっているというウクライナ側の発言を非難する。

私たちは、和平交渉中の停戦に対する両陣営の消極性を非難する。

私たちは、ロシアとウクライナの平和な人々の意思に反して、民間人に兵役、軍事任務の遂行、軍への支援を強制する慣行を非難する。私たちは、このような慣行は、特に敵対行為中に、国際人道法における軍人と民間人の区別の原則に著しく違反するものであると主張する。良心的兵役拒否という人権に対するいかなる形態の侮蔑も容認することはできない。

ロシアとNATO諸国がウクライナの過激派に提供するあらゆる軍事支援は軍事紛争をさらにエスカレートさせるものであり、私たちはこれを非難する。

私たちは、ウクライナと世界中の平和を愛するすべての人々に、いかなる状況においても平和を愛する人々であり続け、他の人々が平和を愛する人々となるのを助け、平和で非暴力的な生き方に関する知識を集めて広め、平和を愛する人々を結び付けるための真実を伝え、暴力なしで悪と不正に抵抗し、必要かつ有益で不可避にして正当な戦争があるとする神話を覆していくよう呼び掛ける。私たちは、平和の計画が軍国主義者の憎悪や攻撃の対象とならないよう、現時点で何らかの特別な行動を起こすことは求めない。しかし、世界中の平和主義者が、その最高の夢を実際に実現するための良き想像力と経験を持っていることを確信する。私たちの行動は、恐怖心ではなく、平和で幸せな未来への希望によって導かれるべきである。私たちの平和活動によって、未来を夢から近づけよう。

戦争は人類に対する犯罪である。従って、私たちは、いかなる種類の戦争をも支持せず、戦争のすべての原因を取り除くために奮闘することを決意する。

#

ウクライナの平和主義者らは、4月17日にこの声明を採択した。会議では、オンラインとオフラインでの反戦活動、良心的兵役拒否の提唱活動、平和主義者と平和を愛する市民のための法的支援、慈善活動、他のNGOとの協力、平和的・非暴力的生活の理論と実践に関する教育と研究について、作業計画を話し合った。ルスラン・コツァバは、今日の平和主義者は圧力を受けているが、平和運動は生き残り、前進しなければならないと述べた。ユーリー・シェリアジェンコは、私たちの周りで厄介な戦争が長引くことにより、平和主義者は真実を語り、透明性と寛容性を持ち、敵を持たないことを主張し、特に情報・教育・人権保護の分野で長期的な活動に傾注することが求められていることを強調した。彼はまた、良心的兵役拒否という人権に対する侵害を隠蔽したとして国家国境警備隊に対して起こされた正式な訴訟について報告した。イリヤ・オヴチャレンコは、ウクライナとロシアの人々が自分の人生の意味は敵を殺すことや兵役とは何の関係もないことに気づくための手助けになる教育活動に期待を表明し、マハトマ・ガンジーやレオ・トルストイの幾つかの本を読むことを薦めた。
2022年4月17日、ウクライナ平和主義者運動のオンラインミーティング
録画:https://youtu.be/11p5CdEDqwQ


太田光征
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2022年04月22日

ウクライナのすさまじい軍国主義と反戦運動弾圧:ウクライナの政治家・左翼数百人が誘拐・拘束され行方不明か

ウクライナのすさまじい軍国主義と反戦運動弾圧について、私も何度か紹介しているウクライナの非武装主義者ユーリー・シェリアジェンコ氏らが、米ニュースサイトToward Freedomの記事の中で説明しています。シェリアジェンコ氏らが語るウクライナの内情は、ウクライナ政府を無条件に支援し、ロシア軍を軍事的に叩く活動に専念すればいいのだという考え方が間違っていることを示すものです。

2014年のユーロマイダン革命以降、ウクライナ側もすさまじい軍国主義で親ロシア勢力とドンバス内戦を戦ってきました。今回のプーチンによるウクライナへの大規模侵攻は、ドンバス内戦の拡大版です。

ウクライナ反戦運動がゼレンスキーによるドンバス内戦の応援になってはいけません。国際社会がこぞって両側に反省を求める和平交渉に持ち込むしかないのです。

【原文】
独占:ウクライナの兵役拒否者たち、なぜ多くがウクライナのために戦わないのかを語る
Exclusive: Ukrainian Refuseniks On Why Many Won't Fight for Ukraine - Toward Freedom
2022年4月12日
https://towardfreedom.org/story/archives/europe/exclusive-ukrainian-refuseniks-on-why-many-wont-fight-for-ukraine/

【要旨】
・2015年、ドンバス地域における戦争動員に対して集団ボイコットを呼びかけたウクライナ人ジャーナリストで良心的兵役拒否者のルスラン・コツァバは有罪判決を受け、1年以上の拘禁刑を受けた。
・2015年、ウクライナでは共産党が「分離主義」を推進したという理由で非合法化された。今年3月22日、ゼレンスキーは主に左派の野党11党を禁止した。
・ウクライナでは軍・NATO・政府に反対する者は「親露派」のレッテルを貼られる。意見が異なれば、左翼からもロシアのスパイだと密告される。国民のほとんどが国家主義者と手を組んでいる。(ウクライナ・マルクス主義のグループに所属するパベル(仮名))。
・戦前の兵役逃れの罰則は最高で3年の禁固刑だったが、2月24日から罰則が無期限に延びた(ユーリー・シェリアジェンコ)。
・4月10日の時点で、ウクライナ国境警備隊は、国外に脱出しようとする「戦闘年齢」の男性をおよそ2200人拘束。
・2019年、ウクライナでは、交通違反などささいな違反行為で若者が軍召集をかけられたり、兵役にさらわれたりするようになった。このような召喚に応じないと拘束される(ユーリー・シェリアジェンコ)。

ウクライナの超国粋主義的な子ども向け軍事サマーキャンプ
Ukraine's Hyper-Nationalist Military Summer Camp for Kids | NBC Left Field - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=CpV16BQfbrQ

・ウクライナでは聖職者や宗教団体であっても良心的兵役拒否者は免除されない。LGBTが出国しようとすると国境で、軍隊の中で虐待される(ユーリー・シェリアジェンコ)。
・「我が国は実存的な敵を作り出し、今やすべての国民が一つの国民性と指導者の下に団結すべきであると言っているのです。この国は概して大きく右傾化しています。もちろんネオナチもいます。しかし、その場合、これらの多くは『ネオナチ』ではなく、『国の防衛者』として認識されているのです」(ユーリー・シェリアジェンコ)。
・OSCEウクライナ特別監視団のドンバスでのカメラ記録によれば、特に2月24日までの数日間、ほぼ毎日、最初の攻撃は政府支配下、つまりウクライナ軍領域から記録されている。
・左翼や政治家ら数百人が誘拐・拘束され行方不明に(2015年に共産党とともに禁止されたウクライナの革命的組合「ボロツバ」の自称共産主義者で反ファシストのアレクセイ・アルブ。反マイダン運動の代表。オデッサの悲劇の当事者)


【本文】

ロシアが2月24日にウクライナで「特別作戦」と称する作戦を開始して以来、企業メディアはウクライナ国民がロシア軍の攻勢に団結して抵抗していると報じている。民間人がさまざまな非軍事的支援活動に志願しているとの報道は別として、ウクライナのウォロドミル・ゼレンスキー大統領をはじめとする国家当局者は、民間人に武器を取るように促してきた。そして3月9日、ゼレンスキーは、ウクライナ人が戦時中に武器を使用することを認め、ウクライナに対する敵対行為をしたと見なされる人々への攻撃について法的責任を否定する法律を承認したのである。ウクライナ国防省は、戦車に火炎瓶を打ちつける方法の説明付き画像をネット上に掲載したほどだ。

ウクライナの社会学グループ「レーティング」(Rating)が3月上旬に実施した世論調査によると、調査対象のウクライナ人のうち90%以上が政府の戦争遂行を支持し、80%が武装抵抗に参加する意思を表明している。しかし、この調査では、ウクライナ東部のドンバス地域にあるドネツクとルガンスクの自称独立共和国に住む人々は除外されている。また、その時点で既に国外に避難していた100万人のウクライナ人も含まれていない。この調査以降、さらに360万人が国外に避難している。

しかし、うわべの勇ましい愛国心に隠れて、反戦運動がある。この運動は、戦争に反対する動機が多様であるのと同様に、地理的に分散しており、1つの勢力として動くに十分な統一性はないように見える。

マイダン後のウクライナでは、軍国主義への反対は、今回のロシアによる侵攻のはるか以前から、先行きが危うかった。ウクライナ人ジャーナリストで良心的兵役拒否者のルスラン・コツァバのケースは、軍法に基づく国家弾圧のケースとして、少なくとも人権団体や平和主義団体からある程度の国際的注目を集めた最初のものであったろう。コツァバはもともと、後に追放されたヴィクトル・ヤヌコーヴィッチ大統領の政権に対する2013〜14年のユーロマイダン抗議活動の支持者だった。しかし、ロシア系民族が大多数を占めるウクライナのドンバス地域で2014年に起きた暴力事件に反対を表明し、方向転換を始めた。彼は2015年、今では悪名高いYouTube動画*1を投稿し、極東地域における動員に対して集団ボイコットを呼びかけた。数十万回の再生回数を集めた後、Youtubeはそれを引っ込めた。これらの発言により、コツァバは逮捕・拘留され、反逆罪と「ウクライナ軍の正当な活動に対する妨害」で起訴された。後者の罪で3年半の判決を受け、1年以上刑務所で過ごした後、彼の有罪判決は控訴により覆された。しかし、2017年、高等裁判所がこの事件を再開し、2021年に彼の裁判が再開された。今回のロシアとの激化の直前には、完全には結論が出ていないものの、国による起訴が猶予された。この記事*2はウクライナにおける反戦表現に対する支配的な心情を垣間見させてくれる。ハルキウ/ハリコフを拠点とする「人権保護団体」のものだが、「ロシア国家との積極的な協力」を理由に、彼の起訴猶予を不当と評している。

*1
Ukrainian Pacifist, Ruslan Kotsaba, Speaks Out Against War – Friends Peace Teams
https://friendspeaceteams.org/ukrainian-pacifist-ruslan-kotsaba-speaks-out-against-war/
*2
‘Treason’ retrial of controversial Ukrainian blogger Ruslan Kotsaba goes hopelessly wrong
https://khpg.org/en/1519167414

「誰にでも密告される」

記者はパベルとだけ名乗ろうとする人物に話を聞いた。彼はキーウ/キエフを拠点とするウクライナ・マルクス主義のグループに所属しているが、この団体は現在では禁止されている。パベルは最近、ウクライナからルーマニアのブカレストに引っ越したが、本名や所属するグループの名称を明かすことは避けた。2015年、ウクライナでは共産党が「分離主義」を推進したという理由で非合法化された。さらに最近では、ロシアによる侵攻から1カ月後の3月22日、ゼレンスキーは主に左派の野党11党を禁止した。パベルは、これらの禁止令と、ウクライナに残る家族の安寧を、匿名にした理由に挙げている。

「軍に何か反対したり、NATOに抗議したり、実際には、あらゆる方向から政府に反対したりする者は誰でも、すぐに『親露派』のレッテルを貼られます」と、26歳の彼はToward Freedomに語った。「相手と意見が異なれば、誰もがロシアのスパイだと密告することが必至です。国家主義者、あるいは無政府主義者や進歩主義者のような『左翼』さえもです。国民のほとんどが国家主義者と手を組んでいる。SBU(ウクライナ保安局)は、抗議行動や集会、論文を嗅ぎつけると、『市民社会』の友人たちに話をし、これらの友人たちが武装した国家主義者を送り込んで、あなたを『処理』させるでしょう」。

彼は、ウクライナの都市ハルキウ/ハリコフに住む親しい同志について語った。この人物は2月24日以前にFacebookで、NATOのウクライナへの干渉に反対し、ミンスク合意を支持する声明を掲載していた。ミンスク合意は7年前の仲介によってウクライナ政府とドンバス分離主義勢力が結んだ停戦協定で、ドネツクおよびルガンスクというウクライナの二州の独立性を宣言したものだ。パベルによると、この人物は3月上旬、国家主義者グループに命を狙われて身を隠していた。この人物は、国家主義者たちがまだ自分たちを探していると考えていた。パベルと潜伏中のこの人物は、数年前に失踪した他の人たちを知っている。

このやり取りと、WhatsAppやTelegramでのわずかなやりとりを除いては、国外に出たウクライナの戦争抵抗者が記録に残る話をしたのを見つけるのは不可能に近かった。1カ月前、ゼレンスキーは戒厳令を発令し、18歳から60歳までの男性のほとんどを出国禁止にしたことを考えれば、これは驚くに当たらない。

兵役は「奴隷の一種」

ウクライナの平和主義リーダーであるユーリー・シェリアジェンコは、戦前の兵役逃れの罰則は最高で3年の禁固刑だったが、2月24日から罰則が無期限に延びたと記者に語った。このような審理や判決は、表向きは関与した「裁判官の安全」のために公開されないため、正確な罰則を確認することは不可能だという。4月10日の時点で、ウクライナの国境警備隊は、国外に脱出しようとする「戦闘年齢」の男性をおよそ2200人拘束したことを報告している。多くは偽造書類を使用したり、役人に賄賂を贈ろうとしたりしたとされ、地方の国境地帯にて死体で発見された者もいる。

一方、31歳のシェリアジェンコは、キーウ/キエフを離れてはいない。それどころか、自身の組織であるウクライナ平和主義運動(UPM)と共に、自国に対する紛争を含め、あらゆる形態の武力紛争に対する非暴力抵抗のメッセージを世界に広めるため、たゆまぬ活動を行っている。彼の組織は2019年に設立され、当初は彼が「奴隷の一形態」と呼ぶ強制的な兵役に反対することが目的であった。

Toward Freedomは日曜日に電話で2時間にわたり話す機会があった。彼は、ロシアにおいてであれ、他の国においてであれ、同じようにこの慣習に反対していると指摘した。しかし、ドンバス地域で戦争が激化した2019年、ウクライナの徴兵制は「特に残酷な性質を帯び始めました。交通違反や公共の場での酔っぱらい、警察官への何気ない無礼など、ささいな違反行為で、若者が路上やナイトクラブ、寮から軍召集をかけられたり、兵役にさらわれたりするようになりました。ウクライナでは、このような召喚に応じないと拘束されるのです。」

シェリアジェンコの平和主義は、旧ソ連末期にあたる幼少期、ウクライナの田舎で行われた「平和」なサマーキャンプで、作家のレイ・ブラッドベリやアイザック・アシモフの作品に没頭した時に培われたものだ。ユーロマイダン以降の今日、国粋主義をテーマにした軍国主義的なサマーキャンプがウクライナのあちこちで行われているのとは対照的であった。

ウクライナの超国粋主義的な子ども向け軍事サマーキャンプ
Ukraine's Hyper-Nationalist Military Summer Camp for Kids | NBC Left Field - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=CpV16BQfbrQ

彼は現在、良心的兵役拒否者である。「ウクライナでは聖職者や宗教団体であっても良心的兵役拒否者が免除されることはありません」。彼は、2016年の「平和への権利国連宣言」が、良心的兵役拒否を国際法のレベルで保護することに失敗したと指摘した。さらに、トランスジェンダーや性別不適合者は八方塞がりの状態に置かれている。「ウクライナでは、トランス女性は法的に男性として扱われるため、戒厳令の対象から免除されることはありません。しかし、その場合、彼女たちは軍隊で戦うことも禁じられています。ここウクライナではLGBTの人たちが出国しようとして国境で、また軍隊の中で虐待されるという恐ろしい話もあります」とシェリアジェンコは述べている。

彼は、ウクライナ社会がますます軍国主義化し、ナチズムが現実の問題になっていると述べている。「我が国は実存的な敵を作り出し、今やすべての国民が一つの国民性と指導者の下に団結すべきであると言っているのです。この国は概して大きく右傾化しています。もちろんネオナチもいます。しかし、その場合、これらの多くは『ネオナチ』ではなく、『国の防衛者』として認識されているのです」。ミンスク合意の停戦は、ウクライナ軍と分離主義武装勢力の双方によって、ほぼ毎日のように破られてきたと彼は指摘した。とはいえ、OSCEウクライナ特別監視団のドンバスでのカメラ記録を精査すると、特に2月24日までの数日間、ほぼ毎日、最初の攻撃は「政府支配下」、つまりウクライナ軍領域から記録されていることが分かる。2月に戦争が激化するころには、UPMの任務は徴兵制への通常の反対を超えて、ウクライナおよびロシアにおける軍事動員に直接挑むことへと拡大していた。UPMが特に懸念しているのは、NATOの役割と、西側から無制限に送られてくる武器である。「国連が国際平和の法を執行するための真の組織となることに失敗したので、米国は世界規模で暴力的統治を確立するためにNATOを発展させました。これらのNATOの兵器は、この戦争を激化させ、レイセオン、ロッキード、ボーイングのような兵器企業にとって大きな利益をもたらすものです。ロイド・オースティン(米国防長官)はレイセオンの役員だ!」とシェリアジェンコは語った。後者の主張は正しい。

記者は、シェリアジェンコに、自身の安全に懸念があるか、政府や戦争に公然と反対することのリスクの性格について、尋ねた。「私は同胞相争う戦争で戦わないし、誰もそうすべきではありません。でも、幸いなことに、私は一貫して平和主義者です。もし、召集令状が来ても、私は行きません。そして、幾つかの予防策を講じています」。

シェリアジェンコは、ロシアの軍事行動にも反対を表明していると語った。しかし続けて、ウクライナがドンバス地域を自称独立共和国に譲ることを平和活動家が提案すれば、逮捕される危険性があると説明した。幸いなことに、彼は領土の譲歩を議論しないので、脅威とは見なされない。「私はむしろ変人、道化師と見られているのかもしれません」。

「数百万人が当局を支持しない」

もう一つの視点は、2015年に共産党とともに禁止されたウクライナの革命的組合「ボロツバ」の自称共産主義者で反ファシストのアレクセイ・アルブ(36)の言葉である。アルブは、地元オデッサの2014年の市長選挙で反マイダン運動の代表を務めた。しかし、2014年5月2日に起きた虐殺事件(訳注:「オデッサの悲劇」)の後、彼は逃亡を余儀なくされた。数十人の死者が出ていた。

「報道では、労働組合の建物に避難したのは私の要求で、だから42人の死は私の責任だという類いの非難が出始めました。もちろん、そんなことはありません」と、アルブはロシア語で記者に説明した。「しかし、私は、当局が世間の反応を準備していることに気づいたのです。5月8日、SBUが翌朝に私と同志を逮捕するという情報を得ました。その後、私は最重要指名手配リストに載りましたが、既にクリミアにいました」。

アルブは今、ルガンスク人民共和国のルガンスクという街にいる。そこから、ウクライナ政府が支配する地域に戻った同志と定期的に連絡を取り合っている。

「ウクライナの数百万人は極右当局を支持しているわけではなく、その全員が本当に怯えていると言いたい」。同様の心境は、Toward Freedomの3月21日の記事*にも書かれている。「これらは逮捕、拷問、誘拐を恐れているのです」とアルブは付け加えた。「軍事作戦が始まって以来、反対派の多くの著名人が誘拐され、行方不明になっています」。その中には、ウクライナ左翼勢力連合元リーダーのヴァシリー・ヴォルガや政治学者のドミトリー・ジャンギロフも含まれます。「さらに悪いことに、キーウ/キエフ体制に反対していた多くの人々が拘束され、これらの運命についてはまだ分かっていません。例えば、コムソモール(青年共産主義者同盟)のリーダーであるコノノビッチ兄弟、その他数百人もの人々です」。「親ロシア派」と非難されたコノビッチ兄弟が3月6日に拘束されたとの情報は、世界の左翼界隈で広まり、彼らの解放を求める声もあった。

アルブは、反戦運動がウクライナ国家にウクライナ右翼国軍の非軍事化を要求していることを改めて述べた。また、統一的な反ロシア自由戦士の国家というメディアが示す像の裏には、多くの反対意見を見いだせることを強調した。

アルブは、「ケルソンやメリトポリのような解放区では、多くの人々が軍事作戦と実際に関係していることが分かります」と述べ、ロシア軍が地域を支配するまでは、国家の弾圧に対する恐怖が人々の意見を覆い隠していることが多いことを示唆した。「キーウ政府の支配がなくなれば、人々は右翼的な占領の終結を極めて広く支持するようになるでしょう」と述べた。

ファーギー・チェンバースはニューヨークのフリーランスライターかつ社会主義オーガナイザーで、Toward Freedomのために東欧からレポートしている。ツイッター、インスタグラム、サブスタックに投稿している。

(以上)


太田光征
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2022年04月17日

ウクライナ反戦運動がゼレンスキー体制の応援になってはいけない理由

現在のウクライナはミャンマーやイスラエルの政治に近づいています。社会学者のウォロディミル・イシェンコ氏がアルジャジーラでウクライナ政治の状況について説明しているので、ご紹介します。ウクライナ反戦運動がゼレンスキー体制の応援になってはいけない理由が分かると思います。ウクライナによる応戦の支援よりも停戦を実現させる運動に力点を置きましょう。

イシェンコ氏は下記記事によればウクライナ人です。下記記事ではゼレンスキーによる政党停止処分が左翼政党に対する弾圧かどうかの観点で書かれたもので、概してウクライナに左翼政党は存在しないと執筆者は評価しています。

Is Zelenskyy Cracking Down on the Ukrainian Left? | Novara Media
https://novaramedia.com/2022/03/24/is-zelenskyy-cracking-down-on-the-ukrainian-left/



ウクライナはなぜ11の「親ロシア」政党を停止したのか?| ロシア・ウクライナ戦争
Why did Ukraine suspend 11 ‘pro-Russia’ parties? | Russia-Ukraine war | Al Jazeera
https://www.aljazeera.com/opinions/2022/3/21/why-did-ukraine-suspend-11-pro-russia-parties

【要旨】
・ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「ロシアとのつながり」があると主張するウクライナの11政党を停止処分にした。そのうちの1つ「生活のための野党プラットフォーム」(自宅軟禁から逃れて逮捕されたヴィクトル・メドベチュクの政党)は最近の選挙で2位になり、450議席あるウクライナ議会で44議席を占めている。
・2014年以前、ウクライナの政治には、欧州・大西洋圏の国際機関よりもロシア主導の国際機関との緊密な統合などを求める大きな陣営が存在した。しかし、14年のユーロマイダン革命やクリミア、ドンバスにおけるロシアの敵対的行動により、親ロシア派はウクライナの政治において周縁化された。
・同時に、親ロシア派というレッテルが誇張され、ウクライナの中立を求める者を指す言葉として、また左翼その他多くの言説を貶め黙らせるために使われ始めた。理由は主に、これらの立場が2014年からウクライナの政治領域を支配してきた親欧米、新自由主義、民族主義の言説を批判しているためである。これらの言説はウクライナ社会の政治的多様性を実際に反映しているわけではない。
・最近活動が停止された3つの政党は2019年の議会選挙に参加し、合わせて約270万票(18.3%)を獲得している。2015年には、「脱共産化」法に基づいて国内のすべての共産主義政党が停止された。
・ロシアの侵攻よりずっと以前から、ゼレンスキーが政治的権力を強化しようと試みていた。昨年以来、政府は、不正行為の説得力ある証拠を提示することなく、定期的に反対メディアと一部反対勢力の指導者に制裁を加えている。1年前、政府はプーチンの個人的な友人であるヴィクトル・メドベチュクと彼のテレビ局に制裁を課した。世論調査でメドベチュクの政党がゼレンスキーの「人民のしもべ」党より国民の支持を得て、将来の選挙でゼレンスキーを追い抜く可能性があると言われ始めた直後であった。
・多くの国民は政府による過去の制裁について、ウクライナ国家安全保障・国防会議に出席している一部のグループが、腐敗した利益をさらに追求するために立案し、実施したものだと考えている。
・既にウクライナでは、野党や左翼のブロガーおよび活動家の捜索や逮捕に関する報道が憂慮されるほど増えている。


週末、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領の政権は、「ロシアとのつながり」があるとの主張に基づき、ウクライナの11の政党を停止処分にした。停止された政党の大半は小規模で、中にはまったく取るに足らないものもあるが、そのうちの1つである野党「生活のための野党プラットフォーム」は最近の選挙で2位になり、現在450議席あるウクライナ議会で44議席を占めている。

2014年以前、ウクライナの政治には、欧州・大西洋圏の国際機関よりもロシア主導の国際機関との緊密な統合、あるいはウクライナがロシアやベラルーシと連合国家になることを求める大きな陣営が存在した。しかし、ユーロマイダン革命やクリミア、ドンバスにおけるロシアの敵対的行動により、親ロシア派はウクライナ政治において周縁化された。同時に、親ロシア派というレッテルが非常に誇張されてしまった。ウクライナの中立を求める者を指す言葉として使われるようになった。また、主権主義、国家開発主義、反欧米主義、非自由主義、ポピュリスト、左翼、その他多くの言説を貶め、黙らせるために使われ始めたのである。

このように多種多様な見解や立場が1つのレッテルの下にまとめられ、非難される理由は主に、これらの見解や立場が2014年からウクライナの政治領域を支配してきた親欧米、新自由主義、民族主義の言説を批判し、これらに疑問を投げかけているためである。これらの言説はウクライナ社会の政治的多様性を実際に反映しているわけではない。

しかし、ウクライナで「親ロシア」の烙印を押され、最近ゼレンスキー政権によって停止処分を受けた政党や政治家は、ロシアとの関係が非常に異なっている。中には、ロシアのソフトパワーの取り組みと関係があるかもしれないが(こうした関係がきちんと調査・証明されることはほとんどない)、実は自身がロシアの制裁下にある者もいる。

ウクライナの「親ロシア」政党の大部分は、何よりもまず「親自民」であり、ウクライナに自律的な利益と収入源を有している。これらの政党は、南東部に集中するロシア語話者としての相当規模の少数派ウクライナ人の現実的な不満を利用しようとしている。これらの政党は大衆の大きな支持を得ているのである。例えば、最近活動が停止された3つの政党は2019年の議会選挙に参加し、合わせて約270万票(18.3%)を獲得しており、ロシアの侵攻前に行われた最新の世論調査では、これらの政党は合わせて約16〜20%の支持を集めている。

ゼレンスキーの停止リストに載っていた他の政党は、左翼的な志向を持っていた。その一部は社会党や進歩社会党など、1990年から2000年代にかけてウクライナの政治で重要な役割を果たしたが、今ではすっかり周縁化されている。実際、現在のウクライナには、その名前に「左翼」や「社会主義」を冠し、現在あるいは当面の間、一般選挙でかなりの部分を確保できる政党は存在しないのである。ウクライナは既に2015年、「脱共産化」法に基づいて国内のすべての共産主義政党を停止しており、これはベネチア委員会から強く批判された。今回の停止処分は、必ずしもウクライナの政治圏から左派を消したいという動機からではないかもしれないが、そうしたアジェンダに寄与していることは間違いない。

皮肉なことに、これら政党の停止処分はウクライナの安全保障にとってまったく無意味である。確かに、「進歩的社会主義者」のように、停止された政党の中には長年にわたって強く純粋な親ロシア派であったものがある。しかし、ウクライナで何らかの実質的な影響力を持つこれら政党の指導者や後援者は実質的にすべてがロシアの侵攻を非難し、現在はウクライナの防衛に貢献しているのである。

さらに、政党活動の停止が、これらの政党の党員や指導者によるウクライナ国家に対する何らかの行動の防止にどのように役立つかは明らかでない。ウクライナの政党組織は、おそらく、活動停止中のシャーリー党(ウクライナで最も人気のある政治ブロガーの1人で、現在は人道的活動に傾注している人物(訳注:アナトリー・シャーリー)が設立)を一部例外として、政治家・活動家の総体としては通常非常に弱いのである。侵略の最中に、クレムリンと直接、あるいはそのプロパガンダ網を通じてロシアと協力しようと考えている人たちは、党組織の外でこれを行うだろう。党の公式口座を通じてロシアの資金を動かそうとする理由もないだろう。

このことはすべて、ウクライナ政府が左翼政党や野党の活動停止を決定したのは、ウクライナの戦時における安全保障上の客観的な必要性とはほとんど関係がなく、ユーロマイダン以降のウクライナ政治の分極化とウクライナ人のアイデンティティーの再規定(この国において多様な反対意見の立場を許容可能な言論の境界から追いやった)と大きく関係していることを示している。また、ロシアの侵攻よりずっと以前から、ゼレンスキーが政治的権力を強化しようと試みていたこととも関係がある。

実際、政党の活動停止という決定は、あるパターンに従っている。昨年以来、政府は、国民に不正行為の説得力ある証拠を提示することなく、定期的に反対メディアと一部反対勢力の指導者に制裁を加えているのだ。

例えば1年前、政府はプーチンの個人的な友人であるヴィクトル・メドベチュクに制裁を課した。世論調査でメドベチュクの政党がゼレンスキーの「人民のしもべ」党より国民の支持を得て、将来の選挙でゼレンスキーを追い抜く可能性があると言われ始めた直後であった。当時、メドベチュクと彼のテレビ局に対する制裁は、在ウクライナ米国大使館からも支持されていた。その後、複数のアナリストが、こうした制裁措置が、プーチンにウクライナではロシアに親和的な政治家は絶対に選挙で勝つことが許されないと思わせ、戦争の準備を始めさせた要因の1つではないかと、推測している。

現在、メドベチュクは自宅軟禁を免れ、ウクライナ当局から身を隠している。「生活のための野党プラットフォーム」は彼を党首からはずし、ロシアの侵攻を非難し、ウクライナを守る軍に参加するよう党員に呼びかけた。

ロシアによる侵攻の最中、「親ロシア派」の政党を停止するという決定を安全保障上の必要性から分類するのは簡単だが、この動きはこうした広い文脈で分析され理解されるべきである。また、野党、政治家、メディアに対する政府の制裁体制は、ウクライナ国内で長い間広く批判を集めてきたことを指摘しておくことも重要である。この国では多くが、この制裁はウクライナ国家安全保障・国防会議に出席している一部のグループが、真剣な議論もなく、怪しげな法的根拠に基づいて、腐敗した利益をさらに追求するために立案し、実施したものだと考えている。

従って、この戦争が終われば、政党の活動停止が解除される理由はほとんどない。法務省が法的措置をとって、政党を永久禁止にする可能性が高い。

しかし、それでは戦争の助けにも現政権の政治的野望の助けにもならない。実際上は、一部のウクライナ人をロシアとの協力に向かわせることになりかねない。

実際、これまでのところ、占領地での侵略者との協力はごくわずかである。親ロシア派の政党や政治家を国民多数が支持する気配はない。また、ロシアがウクライナに傀儡政権を樹立することになれば、間違いなくこれらの政党に接近するだろうが、これら政治の幹部の多くはその申し出を断るだろう。資本、財産、西側諸国での利益を危険にさらしたくはないだろうから。これら「親ロシア」政党の支持を受けて当選した地方指導者の中には、既に侵略軍に協力するつもりはないと明言している者もいる。

しかし、これらの政党が停止された後、その地方組織や議会のメンバー、および積極的な支持者は、占領地でロシア人に協力する傾向が強まるかもしれない。実際、ウクライナに政治的な未来がなく、むしろ迫害に直面していると確信すれば、これらの人々はロシアに目を向け始めるかもしれない。そうなれば、大衆が「裏切り者」を探して処罰し始め、ウクライナの「ナチズム」問題についてのロシアのプロパガンダが強化されるため、暴力が助長される可能性がある。既にウクライナでは、野党や左翼のブロガーおよび活動家の捜索や逮捕に関する報道が憂慮されるほど増えている。

今日、ウクライナは存亡の危機に直面している。ウクライナ政府は、今回の活動停止などの動きがウクライナ国民の一部を疎外し、指導者の意図を疑わせることは、国を強くするのではなく、弱くし、敵に利するだけであると理解する必要がある。

ウォロディミル・イシェンコ
ベルリン自由大学東欧研究所研究員
ウォロディミル・イシェンコはベルリン自由大学東欧研究所の研究員。研究テーマは、抗議行動や社会運動、革命、急進的な右派・左派の政治、ナショナリズム、市民社会。現在、書籍『マイダン蜂起:2013〜2014年のウクライナにおける動員、急進化、革命』の原稿を共同執筆中。

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太田光征
posted by 風の人 at 17:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ウクライナ危機

2022年04月10日

ウクライナ危機:英国人フォトジャーナリストのマクシミリアン・クラーク氏が記録するドンバス地域の戦争被害

マクシミリアン・クラーク(Maximilian Clarke)氏は、フェイスブックでの自己紹介によれば、イラク、アフガニスタン、ウクライナ、ロンドンで紛争と人物を写している写真家です。公式サイトによれば、アフガンの学校を支援する活動も行っています。

Maximilian Clarke(@MTIClarke)さん / Twitter
https://twitter.com/MTIClarke
Maximilian Clarke | Facebook
https://www.facebook.com/maximilian.clarke
Maximilian Clarke Photography
https://www.maximilianclarke.co.uk/
Maximilian Clarke - YouTube
https://www.youtube.com/c/MaximilianClarke/videos

クラーク氏は香港のフォトエージェシーSOPA Imagesを通じて、CBSに(4)の写真を提供しています。クラーク氏がCBSに写真を提供したことは、クラーク氏の別の写真(1)と同じものが(2)の写真販売サイトに掲載されており、(2)と(4)に加え、(3)など多くのSOPA Imagesのツイッター写真にMaximilian Clarke/SOPAのクレジットが付いていることで証明されます。Maximilian Clarke/Sipaのクレジットがある(5)のCNNの写真も、おそらくクラーク氏が提供したものでしょう。

(1)Maximilian ClarkeさんはTwitterを使っています:
Central #Mariupol. This is just a fraction of the death I saw today. I'm choosing not to share the worst images.
https://twitter.com/MTIClarke/status/1510720040018010117

(2)ZUMA Press - Image Search: Russian War on Ukraine: Conflict Continues in Mariupol
http://www.zuma.press/srp.html?HEADLINE=Russian+War+on+Ukraine:+Conflict+Continues+in+Mariupol&PDS=&PDS=

(3)SOPA ImagesさんはTwitterを使っています:
(EDITORS NOTE: Image depicts death) Multiple civilians lie #dead in an intersection in the centre of Mariupol as a Donetsk soldier stands guard in #Mariupol, #Ukraine on Apr 3, 2022. The war between #Russian forces & defending Ukrainian continues in Mariupol. 📷 Maximilian Clarke
https://twitter.com/sopaimages/status/1511178804672483332

(4)Russians push deeper into port city of Mariupol as locals plead for help: "Children, elderly people are dying" - CBS News
https://www.cbsnews.com/news/mariupol-russia-ukraine-war-locals-plead-for-help/

(5)CNN.co.jp : プーチン氏が「目標修正」、ウクライナ東部で5月に勝利宣言か 米情報当局
https://www.cnn.co.jp/world/35185792.html

親ロシア派が支配するウクライナ東部のドンバス地域(ドネツク、ルハンスク)における戦争被害を伝えるジャーナリストは、ことごとくロシアの手先というレッテルを貼られています。今のところ、キーワード「Maximilian Clarke」でGoogle検索しても、それらしいレッテルは見当たりませんが、クラーク氏も時間の問題かもしれません。

今のうちに、彼がユーロマイダン革命時から撮り続けてきた映像のうち、今回のロシアによるウクライナへの大規模侵攻後のものを紹介します。YouTubeチャンネルにはもちろん、過去の映像もあります。

ウクライナ側と思われる地点からドネツク人民共和国(DPR)支配下の住宅地に砲弾とミサイルによる攻撃があることが記録されています。CBSというメディアは、彼の写真の存在を知りながら、親ロシア派住民の被害を報道しているでしょうか。キーワード「Maximilian Clarke CBS」で検索しても、上記(4)の記事しか出てきません。西側メディアの偏向ぶりをよく示しています。

ドネツクへの砲撃については、ウクライナの非武装主義者ユーリー・シェリアジェンコ氏も3月1日のデモクラシー・ナウ!の番組*で、「ロシアがハリコフや他の都市を砲撃している間、ウクライナはドネツクへの砲撃を続けた」と説明しています。

*ウクライナ危機:全当事者の反省による道義力の回復を基盤に新たな安全保障を提案する形で停戦へ
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486063689.html

ドンバス内戦が今も継続中で、親ロシア派住民にも被害が出ていることを報道するかしないかは、今回の大規模侵攻の停戦気運に影響するはずです。

前置きが長くなりましたが、以下、動画をご紹介します。

ドネツクの住宅地が砲撃される
2022年4月6日
Donetsk residential neighbourhood shelled - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=6rFuLN_MzL4
ドネツクのペトロフカ地区、ドネツク人民共和国(DPR)/ウクライナ前線付近で砲撃される。

ドネツクの家屋が砲撃で炎上
2022年3月28日
Donetsk houses burn after artillery strike - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=42JGwsmZsvM
ウクライナのペスキーと思われる地点から、それに隣接するドネツクのキエフスキーで、砲撃により、複数の民間建物が燃え、その他にも多くが被害を受けている。

マリウポリ:避難の列を成す住民たち(車列は白布を付けている)
2022年3月20日
Mariupol: residents queuing to flee - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=AI8hFRw5Gvo
包囲された港湾都市マリウポリ(ドネツク地域南部のアゾフ海岸にある)の住民は、ドネツク人民共和国/ロシア管理地域につながる北部の人道回廊を経由して市外に脱出するために車や徒歩で列を成している。

極めて生々しく心をかき乱す映像:ドネツクにおけるクラスター爆弾の影響
2022年3月15日
Extremely graphic and disturbing: Donetsk cluster bomb aftermath - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=_7T1MYc4Y7s
クラスター爆弾の弾頭を搭載したトーチカU(スカラベ)弾道ミサイル(ウクライナ軍が発射したとされる)がドネツクのまさに中心部を襲い、約26人の市民が死亡し、悪夢のような光景が広がっている。

下記はマリウポリにおける親ロシア派兵士の様子を示した動画です。

マリウポリ中心部とその周辺(親ロシア派兵士は赤白腕章を付けている)
2022年4月1日
In and around central Mariupol - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=4OIaoOzyCNI
包囲された港湾都市マリウポリ(ウクライナ南東部のドンバス南部のアゾフ海岸沿い)における生き様を短く浮き彫りにする。


太田光征
posted by 風の人 at 20:59 | Comment(0) | ウクライナ危機

ウクライナ危機:ゼレンスキーに国会で「ロシアが化学兵器攻撃を準備」発言を許した責任は重大

3月23日、下記の意見を自民党、公明党、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会、日本共産党、社会民主党、れいわ新選組にオンラインで送りました。

ゼレンスキーに国会で「ロシアが化学兵器攻撃を準備」発言を許した責任は重大

国会の場でゼレンスキーにロシアが化学兵器攻撃を準備しているという報告を受けていると言わせたことは、重大な問題です。世間は3月20日のイラク戦争19年をスルーしたが、イラクが大量破壊兵器を持っているとでっち上げて米国が開始したイラク戦争の悪夢を想起しないのでしょうか。
プロパガンダは戦争を焚き付けるものです。私は貴党あてに「ゼレンスキーの国会演説は控えめにいっても戦意高揚ないし情報戦、可能性としてはプロパガンダの主張をするための場を与えることになるものであり、言語道断です」と意見を送りました。

ロシアが化学兵器攻撃を準備していることの真偽は不明です。ゼレンスキーの国会演説に賛成した政党と国会議員は、このゼレンスキー発言がプロパガンダでないことを証明する責任があります。プロパガンダであると判明した場合、ゼレンスキー非難決議を上げるべきです。

ゼレンスキーはミンスク合意(停戦協定)違反の当事者です。今回のロシアによる大規模侵攻の背景を作り出した責任の一端があります。このことを前提に、日本は火消し役にまわり、即時の停戦を外交で働きかける役割を果たすべきです。

ウクライナ危機:国連文書に記録されたドンバス内戦での人権侵害
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486112824.html
欧州安全保障協力機構の調査により、2017年1月1日〜2020年9月15日の間に、ウクライナのルガンスクとドネツクで民間人の犠牲者946人、うち死亡者161人が確認されています。
https://www.osce.org/files/f/documents/f/b/469734.pdf

太田光征
posted by 風の人 at 15:22 | Comment(0) | ウクライナ危機

2022年04月05日

ウクライナのユーリー・シェリアジェンコ氏:すべての側が戦争を煽ってきた。包括的な和平交渉だけが戦争を終わらせることができる(2022年3月22日付デモクラシー・ナウ!)

気づくのが遅すぎましたが、3月22日のデモクラシー・ナウ!の番組をご紹介します。ウクライナの非武装主義者ユーリー・シェリアジェンコ氏については既に何度かご紹介しましたが、日本のウクライナ反戦運動に必要だが欠けているものをシェリアジェンコ氏が言ってくれています。私が言いたいことをまとめて言ってくれています。

シェリアジェンコ氏はウクライナ戦争を西側と東側の対立と見なした上で、ロシアや中国に対する憎悪を煽るのではなく、包括的な和平交渉を戦争当局だけでなく市民も追求するよう求めています。米国からロシア、米国から中国への脅しの政治を止め、あらゆる覇権を排除して調和を確立するための交渉をバイデン、ゼレンスキー、プーチン、習近平に求めています。ドンバス内戦に先立つNATOの拡大、暴力的なマイダン革命、ミンスク合意違反、ウクライナの軍事的対応、好戦的なウクライナ市民社会、戦争を煽る軍需企業をも当然のように批判しています。またコードピンクの呼びかけで4月28日に行う国際デモ「ストップ・ロッキード・マーティン」やNATO反対連合による6月の反NATO首脳会議デモ、「平和のためのヨーロッパ」キャンペーンが非暴力平和キャラバンを紛争地に派遣して平和維持に当たる活動、兵役拒否支援の請願署名などを紹介しています。

日本のウクライナ反戦運動がくれぐれも米国によるロシア崩壊、対中国戦争の準備に荷担しないようにしたいものです。



キエフ在住のウクライナ人平和主義者:すべての側が戦争を煽ってきた。包括的な和平交渉だけが戦争を終わらせることができる(2022年3月22日付デモクラシー・ナウ!)
Ukrainian Pacifist in Kyiv: All Sides Have Fueled the War. Only Comprehensive Peace Talks Can End It | Democracy Now!
https://www.democracynow.org/2022/3/22/yurii_sheliazhenko_russian_invasion_week_4

ウクライナのケルソン市では月曜日、非暴力の反戦抗議者数百人が集まり、ロシアの占領に反対するとともに、非自発的兵役に異議を唱えました。ロシア軍はスタングレネードや機関銃で群衆を解散させました。一方、バイデン大統領はブリュッセルで今週開催されるNATO首脳会議に向けて出発する予定で、西側同盟はロシアが核兵器やその他の大量破壊兵器の使用に転じた場合の対応について協議する準備を進めています。キエフ在住のウクライナ人平和活動家ユーリー・シェリアジェンコは、戦争の両当事者が歩み寄って事態を緩和させなければならないとして、「私たちに必要なのは、さらなる武器やさらなる制裁、ロシアや中国に対するさらなる憎悪による紛争の激化ではなく、もちろんその代わりに、包括的な和平交渉が必要なのです」と語っています。

エイミー・グッドマン:こちらはデモクラシー・ナウ!です。フアン・ゴンサレスとお送りします。

今日の番組はウクライナのキエフで終わります。キエフから、ユーリー・シェリアジェンコに参加してもらいました。彼はウクライナ平和主義者運動の事務局長であり、欧州良心的兵役拒否協会の理事でもあります。また、ワールド・ビヨンド・ウォーの理事、ウクライナのキエフにあるクロック大学の研究員も務めています。ロシア軍は占領している南ウクライナのケルソン市で、スタングレネードと機関銃を使用して、ロシアの占領に抗議すべく月曜日に集まった数百人の群衆を解散させましたが*、ユーリーはケルソン市からの報告を入念にフォローしています。

*訳者注記
Russian troops use stun grenades and gunfire to clear Ukrainian protest in Kherson - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=QqWgkdRaYJg

ユーリー、デモクラシー・ナウ!にまたようこそ。あなたはまだキエフにいますね。今、何が起きているのか、何を求めているのか、お話しいただけますか。特に興味があるのは、ロシアが都市を破壊できないように、飛行禁止区域を求める声でほとんど一色のようですが、西側諸国は飛行禁止区域の設定を強制すること、つまりロシアの飛行機を撃ち落とすことが、核戦争につながることを深く懸念しています。これに対するあなたの立場を教えてください。

ユーリー・シェリアジェンコ:エイミー、ありがとうございます。平和を愛する世界中のすべての皆さん、こんにちは。

もちろん、飛行禁止区域は現在の危機に対する軍事的な対応です。そして、私たちに必要なのは、さらなる武器やさらなる制裁、ロシアや中国に対するさらなる憎悪による紛争の激化ではなく、もちろんその代わりに、包括的な和平交渉が必要なのです。そして、米国はこの紛争に無関係な当事者ではありません。それどころか、この紛争はウクライナを超えたところにあります。西側と東側の対立と、ロシアとウクライナの対立という二面性があるのです。NATOの拡大が先にあって、2014年にキエフで西側がスポンサーとなったウクライナの民族主義者による暴力的な権力奪取が起こり、同じ年にクリミアとドンバスでロシアの民族主義者とロシア軍による暴力的な権力奪取が起こったのです。つまり、2014年というのは、もちろん、この暴力的な紛争が、最初から、政府と分離主義者の間で始まった年だったのです。そして、大規模な戦闘の後、和平協定のミンスク合意が締結されましたが、双方がこれを順守せず、双方での停戦違反に関するOSCEの客観的な報告書があるわけです。これらの停戦違反は、ロシアがウクライナに不法に侵攻する前からエスカレートしていました。そもそもの問題は、国連安全保障理事会が国際的に承認した平和的解決策が、当時は順守されなかったことです。そして今、バイデン、ゼレンスキー、プーチン、習近平が一つの交渉のテーブルにつき、この世界をより良く変える方法、あらゆる覇権を排除し、調和を確立する方法を話し合う代わりに、米国からロシア、米国から中国への脅しの政治、戦争に夢中のウクライナ市民社会による飛行禁止区域の設置という要求を目の当たりにしているのです。

ところで、ウクライナにおけるロシア人に対する憎しみはすごいもので、この憎しみは、戦争屋の政権だけでなく、ロシアの人々に対しても、世界中に広がっています。しかし、私たちはロシアの人々が、その多くがこの戦争に反対していることを目の当たりにしています。そして、私は、戦争や戦争屋に非暴力で抵抗するすべての勇気ある人々、ロシアによる占領に抗議したウクライナのケルソン市の人々に感謝します。そして、侵略軍であるロシア軍隊は、これらの人々に向かって銃を撃ちました。残念なことです。

ご承知の通り、ウクライナには非暴力的な生き方を追求する人たちがたくさんいます。ロシアの侵略前に代替任務に就いたわが国の良心的兵役拒否者の数は1659人でした。この数字は、欧州良心的兵役拒否協会(EBCO)が発表した良心的兵役拒否に関する2021年年次報告書( https://ebco-beoc.org/sites/ebco-beoc.org/files/attachments/2022-03-21-EBCO_Annual_Report_2021_0.pdf )からのものです。この報告書は、2021年にウクライナ、ロシア、ロシア占領下のクリミアとドンバス、トルコ、トルコ占領下のキプロス北部、アゼルバイジャン、アルメニア、ベラルーシなど幾つかの国で、多くの良心的兵役拒否者たちにとってヨーロッパが安全な場所ではなかったと結論付けています。良心的兵役拒否者は、訴追、逮捕、軍事法廷での裁判、投獄、罰金、脅迫、攻撃、死の脅し、差別に直面しました。ウクライナでは、軍隊に対する批判や良心的兵役拒否の主張は反逆罪とみなされ、処罰されます。ロシアでは、反戦集会で何千人もの人々が逮捕され、罰金を課されました。

EBCOの年次報告書から、「ロシアにおける良心的兵役拒否者運動」の声明文を引用したいと思います。「ウクライナで起きていることは、ロシアが引き起こした戦争である。良心的兵役拒否者運動は、ロシアの軍事侵攻を非難する。そして、ロシアに戦争を止めるよう要求する。良心的兵役拒否者運動は、ロシア人兵士に敵対行為に参加しないよう呼びかける。戦争犯罪人になるな。良心的兵役拒否者運動は、すべての新兵に兵役を拒否するよう呼びかける。代わりの文民活動を申し出るか、健康上の理由で免除されるよう努力せよと」。そしてもちろん、ウクライナ平和主義者運動もまた、ウクライナの軍事的対応と、軍事的解決策を追求した結果であるとみているこの交渉の停滞を非難します。

フアン・ゴンザレス:ユーリー、あと数分しかないので聞きたいのですが、あなたは既に米国とNATOの直接的な関与について話していますね。西側からウクライナに供給された武器の問題だけでなく、明らかに、ウクライナ軍が西側から受け取っている可能性が非常に高い実際の衛星監視データに関しても、ほとんど報道されていませんね。何年か後には、ロシア軍へのドローン攻撃はネバダなどのアメリカ基地から遠隔操作されていたとか、ウクライナ国内に既に相当数のCIAや特殊作戦部隊が存在していたとか、そういうことが分かってくるのではないかと推測します。おっしゃるように、ロシア、アメリカ、ウクライナのすべての側に民族主義者がいて、今の危機を煽っています。この戦争に対するウクライナの人々の抵抗はどのようなものなのか、あなたの感覚はいかがでしょうか。抵抗はどの程度広がっているのでしょうか。

ユーリー・シェリアジェンコ:ご存じのとおり、このエスカレーションは、これらの軍需企業の働きかけによるものです。私たちはアメリカの国防長官ロイド・オースティンがレイセオンとつながっていることを知っています。彼は取締役でした。レイセオンの株価はニューヨーク証券取引所で6%の伸びを示していることも知っています。ウクライナにスティンガーミサイルを供給し、ジャベリンミサイルの製造元であるレイセオンは、38%の成長率を記録しています。そしてもちろん、このロッキード・マーティンもあります。F-35戦闘機を供給しています。14%の成長率です。彼らは戦争から利益を得て、戦争を推進し、流血や破壊からさらに利益を得たいとさえ思っています。何とか核戦争の規模にエスカレートしていませんが。

そして、人々は政府に対して、戦うのではなく、交渉するように迫るべきです。アメリカやヨーロッパでは、戦争屋に反対する多くの行動が行われています。WorldBeyondWar.orgのウェブサイト( https://worldbeyondwar.org/ )では、「ロシアはウクライナから撤退せよ。NATOは廃止を」というバナーがある告知を見つけることができます。コードピンクは、バイデン大統領と米国議会に対し、エスカレーションではなく交渉のための請願を続けています。またコードピンクは、4月28日に世界規模のデモ「ストップ・ロッキード・マーティン」を行う予定です。NATO反対連合は、2022年6月にこの件とマドリードでのNATO首脳会議に反対してデモ行進を行うと発表しました。イタリアでは、Movimento Nonviolento(非暴力運動)が良心的兵役拒否者、兵役登録拒否者、ロシアやウクライナの脱走兵に連帯して良心的兵役拒否キャンペーンを開始しました。ヨーロッパでは、「平和のためのヨーロッパ」キャンペーンが、ヨーロッパの非暴力平和主義者がプーチンとゼレンスキーに最後通告を出すと述べました。戦争を直ちに止めよ、さもなければ、ヨーロッパ中から非暴力平和主義者のキャラバンを組織し、あらゆる手段を使って非武装で紛争地域に行き、戦闘員の間で平和維持者として活動する、というものです。例えば、ウクライナでの抗議行動については、このような恥ずべきものがあります…

エイミー・グッドマン:ユーリー、あと5秒です。

ユーリー・シェリアジェンコ:OpenPetition.euで「軍隊経験のない18歳から60歳までの男性のウクライナ出国を許可する」( https://www.openpetition.eu/petition/online/allow-men-aged-18-60-without-military-experience-to-leave-ukraine )と題した請願署名が59000筆集まったことをお伝えしたいと思います。

エイミー・グッドマン:ユーリー、もうこの辺で失礼します。参加いただき大変ありがとうございました。ウクライナ平和主義運動事務局長のユーリー・シェリアジェンコでした。

そして、今入ったニュースです。ロシアの野党指導者アレクセイ・ナワルニーに9年の追加懲役が言い渡されました。


太田光征
posted by 風の人 at 23:15 | Comment(0) | ウクライナ危機

ウクライナに非暴力平和キャラバンを送って平和維持に当たる取り組みが進められている!

非暴力平和キャラバンでウクライナ戦争の平和維持活動に当たる取り組みが進められているので、ご紹介します。これぞ日本国憲法の理念に沿った活動ではないでしょうか。もっとも、参加のハードルが高すぎますが。

Ultimatum to Putin and Zelensky: stop the war | Europe For Peace
http://www.europeforpeace.eu/en/979_ultimatum-to-putin-and-zelensky-stop-the-war

ヨーロッパの非暴力平和主義者が戦争当事者に最後通告を出す。

- 戦争を直ちに停止し、停戦を宣言し、人道支援団体による救援を許可せよ。
- ロシアとウクライナの戦争を解決するために全面的な交渉を開始せよ。

この無条件の最後通告に3月25日までに従わない場合、私たちはヨーロッパ中から非暴力の平和主義者のキャラバンを組織し、あらゆる手段を使って、非武装で紛争地域に行き、戦闘員の間で平和維持者として活動する。これらのキャラバン隊は、白旗と平和の旗で識別されることになる。
また、国連に対して、紛争当初から行うべきであったが、平和維持軍を同行させることも要求する。私たちは、すべての政府、特にNATO加盟国に対し、当事者に武器を送り、戦争を煽ることを直ちにやめるよう要求する。


太田光征

posted by 風の人 at 21:51 | Comment(0) | ウクライナ危機

2022年04月01日

日本記者クラブの「ウクライナ」シリーズレクチャーの危うさ

停戦を追求する気ゼロで、ウクライナ人に武力抵抗を続けさせるためのレクチャー。誰も記者が突っ込まない。恐ろしい。


「ウクライナ」(1) 廣瀬陽子・慶応義塾大学教授 2022.3.2
https://www.youtube.com/watch?v=4dvxbRZRdgc

廣瀬陽子さんは、「異常ともいえる西側への恨み」が今回のプーチン戦争の大きな背景とみています。21年に米国がアフガニスタンから撤退した後、ロシアがウクライナはアフガンのように見捨てられるとの「プロパンガンダ」を行ったとの見立てを示しまた。ウクライナも欧米とロシアの代理戦争であるとの位置付けをした上で、「専制国家と民主国家」の二局分化なのだといいます。そして結論として「世界が一丸となってロシアと闘う必要」を説きます。

ロシアを力で押さえ付けようという思想で貫かれていることが分かります。これは大変危険な考え方であり、今回の悲劇を生んだ背景でしょう。ウクライナを民主国家と呼ぶことには無理があります。マイダン革命による親露派ヤヌコーヴィチ大統領の放逐とその後に続く親ロシア派住民の虐殺(オデッサの悲劇)だけではありません。これら事件を公正に捜査しない法執行機関の問題などが、国連文書*1に記録されています。ロシア憎しゆえと思われる共産党非合法化*2やロシア語圧殺の2019年言語法*3なども問題です。


*1 ウクライナ危機:国連文書に記録されたドンバス内戦での人権侵害
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486112824.html
*2 ウクライナ:共産党非合法化 言論の自由に大打撃 : アムネスティ日本 AMNESTY
https://www.amnesty.or.jp/news/2015/1225_5778.html
*3 直言(2022年3月21日)「大本営発表」はロシアだけではない──メディアが伝えないウクライナの「不都合な真実」
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2022/0321.html

質疑応答で民間軍事会社の質問が出ても、表情ひとつ変えずに分からないとの回答でした。長期泥沼化の悲惨なイメージが浮かばないのでしょうか。


「ウクライナ」(2) 小泉悠・東京大学先端科学技術研究センター専任講師 2022.3.9
https://www.youtube.com/watch?v=r0a3s5Y50yo

小泉悠さんは質疑応答で記者から「日本市民としてこの事態を変えるためにできることは」と問われ、「米国でさえできないのに我々が何か簡単にできると思わない方がいいと思いますが」と回答しているように、国家主体でしか安全保障や平和を考えられないようです。国民の名で世界の全人民の平和的生存権などの理念を全力で達成すると誓った日本国憲法の精神には関心がないのでしょう。

ウクライナによる応戦を引き延ばすべきであると言っており、即時停戦を実現する立場には立っていません。米国の関与についての質問には、「ゲリラ戦トレーニングはやっているかもしれない。やるとすれば国外のNATO加盟国内。現地に入っているかもしれない。情報収集目的か」と回答しており、この方も長期泥沼化の懸念と要因について無頓着です。


「ウクライナ」(3) 角茂樹・元駐ウクライナ大使 2022.3.10
https://www.youtube.com/watch?v=e-rcYZPFM1c
https://youtu.be/e-rcYZPFM1c?t=4372

角茂樹さんはスクリーンに映し出された資料の冒頭で「欧州と米国は、ロシアに民主主義と市場経済を根付かせることに失敗。」と記していますが、こうした傲慢な姿勢はロシアの反発を招き、世界を危険に陥れるだけです。

角さんは2014年10月から2019年1月まで駐ウクライナ大使を務めたということなので、マイダン革命の最初期にはウクライナにいなかったのかもしれませんが、ドンバス内戦は目撃していたはずです。平和憲法を持つ日本の外交官としてドンバス内戦を終結させるためにどのような努力をしたのでしょうか。

努力どころか、アゾフ大隊(現連隊)を創設したアンドリー・ビレツキーと並んだ写真を示しながら、アゾフの兄ちゃんと酒を呑んだとあっけらかんに語っています。大丈夫でしょうか。

2022年3月25日付インディペンデント紙は、2014年8月11付テレグラフ紙から引用する形で、ビレツキーについて、<支持者から「ベリ・ヴォズド(Bely Vozd、白の支配者)」と呼ばれるビレツキー氏は、次のように書いている。「この危機的状況におけるわが国の歴史的使命は、世界の白色人種をその生存のための最後の聖戦に導くことである。セム系主導の劣等人種に対する十字軍である。」>と書いています。

Who are Ukraine’s neo-Nazi Azov Battalion? | The Independent
https://www.independent.co.uk/news/world/europe/ukraine-azov-battalion-mariupol-neo-nazis-b2043022.html

日本はウクライナに多額の援助をしています。援助の条件として極右民族主義の抑止を要求してしかるべきだったでしょう。


「ウクライナ」(4) 小谷哲男・明海大学教授 2022.3.14
https://www.youtube.com/watch?v=GhNRM31uwJU

小谷哲男さんは米軍のインド太平洋戦略予算の増額を期待していますが、これは日本の隣国を米軍に軍事威嚇してほしいという考え方であり、大変危険です。また米国の核の傘にいる日本は安心とも言っています。こうした期待は幻想に過ぎません。

質疑で民間軍事会社について聞かれると、情報は持っていないと答えています。国家何とか戦略の文書やバイデンの論文など、国家や権力者のサイドの情報だけで安全保障を語ることはできません。今後の停戦に向けては、ゼレンスキーが制御できない武装勢力を考慮に入れる必要があるはずですが、そうした視点を持っているのか心許ないものがあります。

ドンバス内戦でロシア側が主張しているジェノサイドについては、証拠がないとの見解です。米国はイラク戦争で情報開示の努力をしていたと評価する一方で、ロシアは努力していないと批判。ドンバス内戦における双方の人権侵害については、国連人権高等弁務官事務所、アムネスティ、ヒューマン・ライツ・ウォッチの文書に記録されています。記者が突っ込まないことも問題です。

小谷さんは、ゼレンスキー政権を維持させて抵抗させるのが米国の狙いだとみています。これを是認しているのでしょうか。即時の停戦を考えているふうではありません。


太田光征
posted by 風の人 at 01:34 | Comment(0) | ウクライナ危機

2022年03月28日

ウクライナ危機:アゾフ連隊などウクライナの極右民族主義者の実像

公安調査庁(これ自体が危険組織で、一般的に情報の信憑性は疑ってかかるべき)もウクライナのネオナチと認定しているアゾフ連隊(大隊から昇格したらしい)について、テレビ朝日が連中の主張を放送したと聞き、驚いています。

<2014年,ウクライナの親ロシア派武装勢力が,東部・ドンバスの占領を開始したことを受け,「ウクライナの愛国者」を自称するネオナチ組織が「アゾフ大隊」なる部隊を結成した。>
極右過激主義者の脅威の高まりと国際的なつながり | 国際テロリズム要覧2021 | 公安調査庁
https://www.moj.go.jp/psia/ITH/topics/column_03.html

欧州の極右民族主義者は、いわゆるサッカーのフーリガン(ウルトラス)と重なります。サッカーというリアルな社会現象をウオッチしてきた清義明さんが、西側メディアの報道を基に、アゾフ連隊を含め、ウクライナの極右民族主義者の実像を詳細に紹介しています。

こんな連中を使い、ミンスク合意(停戦協定)を無視し、ドンバス内戦を継続していれば、いずれ大規模戦争に発展する恐れがあることは、誰の目にも明らかだったのです。プーチンがロシア軍を引かせるべきは当然ですが、平和憲法を持つ日本はもちろん、ゼレンスキー自身とゼレンスキーを焚き付けてきた米国・NATOも、停戦を追求して今回の大規模侵攻を終結させる責任を持っています。

私が最初から強調しているように、全当事者が反省をして、新たな(暫定)安保を提案する形で停戦を実現するしかありません。

以下、清義明さんが論座に掲載した記事の見だしです。有料記事ですが、かなりの部分を読めます。

ウクライナには「ネオナチ」という象がいる〜プーチンの「非ナチ化」プロパガンダのなかの実像【上】 - 清義明
https://webronza.asahi.com/national/articles/2022032200001.html
1.「これはロシアのプロパガンダではありません」
白人至上主義者のタトゥー、ナチス髑髏マークのエンブレム
極右が政権や行政や司法に関与、国軍の中核に
ロシアのプロパガンダとは何か
2.ウクライナの英雄となったネオナチフーリガン

ウクライナには「ネオナチ」という象がいる〜プーチンの「非ナチ化」プロパガンダのなかの実像【中】 - 清義明
https://webronza.asahi.com/national/articles/2022032200002.html
3.「ネオナチが正規軍に組み込まれている世界で唯一の国」
右派と極右が入閣、ビレツキーは国会議員になり叙勲
「ウクライナ最強の武器であるとともに、もっとも深刻な脅威か」
4.『白人右翼の聖地』

ウクライナには「ネオナチ」という象がいる〜プーチンの「非ナチ化」プロパガンダのなかの実像【下】 - 清義明
https://webronza.asahi.com/national/articles/2022032200003.html
6.ウクライナの「歴史修正主義」
「国家英雄」の銅像、名前を冠した広場や道路……批判を受けても
7.「東ヨーロッパのナショナリズムは、最悪の病です」
侵攻の口実、戦いの場……プーチンと極右民族主義は相互依存関係か?


太田光征
posted by 風の人 at 11:44 | Comment(0) | ウクライナ危機

2022年03月22日

ウクライナ危機:国連文書に記録されたドンバス内戦での人権侵害

ロシア語話者が多いウクライナ東部のドンバス地域で2014年から内戦が行われています。そこでの人権侵害に関する国連報告書があると聞いていて調べなければと思っていたところ、水島朝穂さんが一部、調べてくれました。調べるといってもGoogleで検索するだけなので、すぐに調べられるのですが。

直言(2022年3月21日)「大本営発表」はロシアだけではない──メディアが伝えないウクライナの「不都合な真実」
http://www.asaho.com/jpn/bkno/2022/0321.html

幾つかの年度にわたって複数の報告書があるのですが、既に仮邦訳のある版もあります。下記の(1)について、日本の公安調査庁もウクライナのネオナチと認定しているアゾフ連隊(大隊から昇格したらしい)に言及のある段落の機械翻訳を、(2)についてざっと見て人権侵害に言及された段落(親ロシアのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領を放逐した14年のユーロマイダン革命とオデッサの悲劇などのカ所)を抜粋してご紹介します。

ウクライナ政府および極右民兵組織と(親)ロシア側の双方が攻撃し合っているので、双方に被害があるのは当然です。双方における人権侵害を止めさせる必要があるので、ウクライナ側だけでなく、ロシア側の主張も考慮しなければなりません。今回のロシアによる大規模侵攻の有無に関係なく、ドンバス内戦は続くと思われるので、安全保障の枠組みの立て直しが必ず必要となります。

今回の22年戦争でも報道でクラスター爆弾の使用が取りざたされていますが、報告書(1)では両陣営が「クラスター爆弾や地雷など本質的に無差別な武器」を使用したとの記述があります。

(1)国連人権高等弁務官事務所の「ウクライナの人権状況に関する報告(2015年11月16日〜2016年2月15日)」
Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights Report on the human rights situation in Ukraine 16 November 2015 to 15 February 2016
https://www.ohchr.org/sites/default/files/Documents/Countries/UA/Ukraine_13th_HRMMU_Report_3March2016.pdf

(2)ウクライナ人権報告書 2016 年版
https://www.moj.go.jp/isa/content/930003983.pdf

2017 年 9 月国別政策及び情報ノート(ウクライナ:クリミア、ドネツク、ルハンスク)
https://www.moj.go.jp/isa/content/930006247.pdf

2015年9月ウクライナ情勢に関連する国際保護の必要性について−更新 III
https://www.unhcr.org/jp/wp-content/uploads/sites/34/protect/International_Protection_Considerations_related_to_developments_in_Ukraine_UpdateIII_JPN.pdf

2016年8月国別情報及び指針(ウクライナ保護主体及び国内移住を含む基礎情報)
https://www.moj.go.jp/isa/content/930006246.pdf



(1)国連人権高等弁務官事務所の「ウクライナの人権状況に関する報告(2015年11月16日〜2016年2月15日)」
Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights Report on the human rights situation in Ukraine 16 November 2015 to 15 February 2016
https://www.ohchr.org/sites/default/files/Documents/Countries/UA/Ukraine_13th_HRMMU_Report_3March2016.pdf

25. Ukrainian armed forces and armed groups maintained their positions and furtherembedded their weapons and forces in populated areas, in violation of their obligationsunder international humanitarian law14. In Shyrokyne, a key location in the ‘grey zone’between the Government-controlled city of Mariupol and the town of Novoazovskcontrolled by the armed groups, OHCHR documented extensive use of civilian buildingsand locations by the Ukrainian military and the Azov regiment, and looting of civilianproperty, leading to displacement15. Prima facie civilian buildings in Donetsk city, such asresidential buildings, a shelter for homeless people16, and a former art gallery17, continuedto be used by armed groups, thereby endangering civilians. In the village of Kominternove,Donetsk region, residents reported that members of the armed groups of the ‘Donetskpeople’s republic’ took over abandoned houses18. In January and February 2016, hostilitiesbetween the armed groups stationed in Kominternove and Ukrainian armed forces stationedin the nearby village of Vodiane19 have endangered the local population20

25. ウクライナ軍と武装集団は、国際人道法の義務に反して、人口密集地に陣地を維持し、さらに武器と部隊を埋め込んだ14。政府支配のマリウポリ市と武装集団が支配するノボアゾフスク市の間の「グレーゾーン」の重要な場所であるシロキンで、OHCHRはウクライナ軍とアゾフ連隊による民間建物と場所の広範囲な使用と民間財産の略奪を記録し、移転につなげた15。ドネツク市では、住宅、ホームレスのためのシェルター16、元アートギャラリー17など、一見したところ民間の建物が武装集団に使用され続け、それによって市民が危険にさらされている。ドネツク州コミンテルノベ村では、「ドネツク人民共和国」の武装集団のメンバーが廃屋を占拠したと住民が報告している18。2016年1月と2月には、Kominternoveに駐留する武装集団と、近くのVodiane村に駐留するウクライナ軍との間の敵対行為19が、地元住民を危険にさらしました20。

61. Ukrainian servicemen captured by the ‘Donetsk people’s republic’ continued to bedetained in poor conditions and subjected to ill-treatment. One soldier, who was visited bya relative, had dark spots on his skin, possibly due to beatings and burning. Another soldier,a member of the Azov regiment who was captured in Shyrokyne in February 2015 wassubjected to electric shock and his teeth were pulled out57. OHCHR is concerned about allegations that captured soldiers have been detained in crowded cells with up to 22 peopleand subjected to physical violence in the former SBU building on Shchorsa Street, as wellas in the building currently used by the ‘ministry of state security’ at 26 ShevchenkoBoulevard in Donetsk city58. During the reporting period OHCHR has been denied accessto detention facilities in Donetsk.

61. ドネツク人民共和国」に捕らえられたウクライナの軍人は、劣悪な環境で寝かされ、不当な扱いを受け続けていた。親族の訪問を受けたある兵士の皮膚には、殴打や火傷によるものと思われる黒い斑点があった。また、2015年2月にシロキンで捕らえられたアゾフ連隊の兵士は、電気ショックを受け、歯を抜かれた57。OHCHRは、捕虜となった兵士が、シチョルサ通りの旧SBUの建物や、ドネツク市のシェフチェンコ大通り26番地の「国家安全保障省」が現在使用している建物で、最大22人の混雑した独房に収容され、身体的暴力を受けているという疑いに懸念している58。報告期間中、OHCHRはドネツクの拘置所への立ち入りを拒否された。

103. On 23 December, OHCHR met with four detainees held in Mariupol SIZO for theiralleged involvement in the 9 May events. They complained that they had been ill-treated bySBU officials and members of the Azov regiment in Mariupol, detained incommunicado forsome time in September 2014, and that evidence extracted through torture was being usedin their trial. They added that they had been denied medical assistance for the injuries sustained through torture, and had ineffective legal representation. Of grave concern is theallegation that the accused suffered reprisals in the form of threats, intimidation and ill-treatment by the SBU after they challenged the admissibility of evidence in court.

103. 12月23日、OHCHRは5月9日の事件への関与の疑いでマリウポリSIZOに拘束された4人の被拘束者と面会した。彼らは、マリウポルのSBU職員とアゾフ連隊の隊員から虐待を受け、2014年9月にしばらく隔離され、拷問によって引き出された証拠が彼らの裁判に使用されていると訴えた。さらに、彼らは拷問によって負った傷のために医療支援を拒否され、効果的でない法的代理人を持っていた。深刻な懸念は、被告人が法廷で証拠の許容性に異議を唱えた後、SBUによって脅迫、威嚇、虐待の形で報復を受けたという報告である。

161. Another major concern is the ongoing presence of military forces in civilian areasand indiscriminate shelling continue to be the main factors endangering civilians, andaffects their ability to access housing, land and property. During the reporting period,OHCHR collected detailed information about the conduct of hostilities by Ukrainian armedforces and the Azov regiment in and around Shyrokyne (31km east of Mariupol), from thesummer of 2014 to date. Mass looting of civilian homes was documented, as well astargeting of civilian areas between September 2014 and February 2015. Residents displacedto Mariupol have received little assistance and information about the status of their homes.Unable to return but for short periods of time to examine the damage, IDPs from Shyrokyneexchange video footage and photographs to try to track the condition of their homes.

161. もう一つの大きな懸念は、民間地域に軍が駐留し続け、無差別砲撃が民間人を危険にさらし、住宅、土地、財産へのアクセス能力に影響を与える主な要因となっていることである。報告期間中、OHCHRは2014年夏から今日まで、シロキーン(マリウポルの東31km)周辺におけるウクライナ武装勢力とアゾフ連隊による敵対行為の実施について詳細な情報を収集した。2014年9月から2015年2月にかけて、民間人の家屋に対する大量の略奪や、民間人地域に対する非標的化が記録された。マリウポリに避難した住民は、ほとんど支援や自宅の状況に関する情報を受け取っていない。被害を調べるために短期間しか戻ることができないため、シロキネのIDPはビデオ映像や写真を交換し、自宅の状況を把握しようと試みている。


(2)ウクライナ人権報告書 2016 年版
https://www.moj.go.jp/isa/content/930003983.pdf

政府は人権侵害行為を犯した政府職員を起訴又は処罰するために必要な措置をほとんど講じなかったため、刑事免責の風潮がまん延する結果となった。人権団体と国連は、政府の治安部隊が犯した人権侵害、特に、ウクライナ保安庁(SBU:Security Service of Ukraine)が行ったと伝えられている拷問、強制失踪、恣意的勾留その他の虐待行為の訴えに関する捜査において重大な欠陥があると語った。2014 年に首都キエフ(Kyiv)で起きたユーロマイダン(Euromaidan:欧州広場の意)発砲事件やオデッサ(Odesa)での暴動事件における加害者は未だに責任を問われていない。

法執行機関は、2013~14 年にキエフでユーロマイダン抗議行動が展開されている間に行われた殺人その他の犯罪に関する捜査を継続した。人権団体は相当な量の証拠が挙がっているにもかかわらず、有罪判決の数が低く抑えられている状況を批判した。また、人権団体は、これらの犯罪に関与していると考えられる政府指導者を捜査するための措置をほとんど講じない一方で、下級役人のみに焦点を当てている検察官を非難した。検事総長室によると、[2016 年]11 月中旬現在、ユーロマイダン関連犯罪で 45 人が裁判所により有罪判決を下され、152 人が公判中であり、190 人が取り調べを受けている。

また、法執行機関は 2014 年にオデッサで発生し、48 人(政府支持者 6 人と地域の自治権拡大支持者 42 人)が死亡した事件の捜査を継続している。自治権拡大を支持した 42 人は労働組合ビル(Trade Union Building)の火災で死亡した。しかし、当局は自治権拡大を求めた人々の犯罪容疑に捜査の重点を置いたため、この火災による死亡事故をほとんど調査しなかった。2015 年に公表された欧州理事会(Council of Europe)報告書により、政府の捜査は独立性を欠いており、検事総長室と内務省(Ministry of Internal Affairs)は組織間でよく調整し合った徹底的な捜査を行わなかったことが明らかになった。

HRMMU は、ドネツク州とルハンスク州の政府支配地域で行われている大量検挙について懸念を表明した。両州には「テロリズムとの闘いに関する法律(Law on CombattingTerrorism)」が適用されている。この法律により、当局は刑事訴訟法の下で認められる証拠よりも低い水準の証拠に基づき逮捕することができるため、これが恣意的な逮捕につながる場合がある。たとえば、HRMMU は[2016 年]3 月付報告書の中で、 2015 年 12 月にドネツク州のクラスノホリフカ(Krasnohorivka)とアブディイフカ(Avdiivka)で行われた SBU の急襲事件を取り上げている。 この急襲で当局は数百人に上る人々を数時間勾留し、武装集団への関与疑惑について尋問した。その後、当局は大半の被勾留者を釈放した。

[2016 年]9 月 15 日現在、HRMMU は戦闘により少なくとも市民、政府軍兵士、武装集団メンバーを含む 9,578 人が死亡したと報告した。 この人数には、2014 年にドンバス地域上空を飛行中に撃墜されたマレーシア航空 MH-17 便に搭乗していた乗客・乗員 298 人が含まれている。この他、紛争勃発以来、300 万人以上の住民がロシアの支援を受けた分離主義勢力が支配するドネツク州及びルハンスク州内の地域を去っていった。[2016 年]11 月 15 日現在、社会政策省(Ministry of Social Policy)は 170 万人の IDP を登録しているが、実際の人数はこれより少ないと市民社会団体は考えている。UNHCR によると、他国にはおよそ 140 万人のウクライナ難民がいた(ロシア連邦に在留するおよそ 100 万人の難民を含む)。

殺害:HRMMU は、ウクライナ東部における紛争を背景として行われている「超法規的、略式的又は恣意的な処刑」に関する[2016 年]5 月 4 日付特別報告書の中で、両陣営が「クラスター爆弾や地雷など本質的に無差別な武器」を用いていることについて強い懸念を表明した。HRMMU は[2016 年]9 月付報告書の中で、両陣営が「居住地域から攻撃を仕掛ける戦いに広く従事しているため、市民は相手陣営からの反撃により被害を受けている」と伝えた。たとえば、[2016 年]8 月 24 日、ドネツク州内の政府支配地域で、ロシアの支援を受けた分離主義勢力が Zolote-4 の村落をめがけて砲撃した際、同村落に住む女性がベッドに入った状態のまま死亡した。


太田光征
posted by 風の人 at 19:01 | Comment(0) | ウクライナ危機

2022年03月19日

ウクライナ危機:停戦実現に向けての必要な視座を提供する声明類

ウクライナ危機:停戦実現に向けての必要な視座を提供する声明類

紹介する声明の発出組織や声明すべての内容に賛同するものとして紹介するわけではないことをお断りしておきます。

英国のユニゾン労組全国執行委員会の声明
https://www.facebook.com/harumasa.abe.5/posts/5006496989441996
【抜粋】
<私たちは、ウクライナの労働者がゼレンスキー政権から独立して行動し、独自の組織を構築し、独立した行動を取ることを支援する。>
<我々は、この紛争の両側で、戦争を利用して国家的および民族的緊張をさらに引き起こすことによって、自国の組織と活動を構築しようとする極右またはファシストグループを非難する。>
<私たちは、ロシアにおける抗議行動の国家弾圧を批判する英国政府の偽善に留意する一方で、警察、犯罪、量刑法案は英国における抗議と民主主義に対する権威主義的制限を作り出すのに役立つだろうと考える。>(太田:日本のサイバー警察局新設と同類のことか)

Peace Philosophy Centre: 国際民主法律家協会の声明 Statements by IADL (International Association of Democratic Lawyers)
https://peacephilosophy.blogspot.com/2022/03/statements-by-iadl-international.html?fbclid=IwAR1CjEX0o8EhJ9yTO1qmwxTQ8hOBZiOM1b0n7_0p8LXrDNqhCqXVTwG5bsg
【抜粋】
<IADLのメンバーである笹本潤弁護士はこう語っていました。「IADLにはウクライナの法律家協会も加盟しており、マイダン革命以来のウクライナ政府による共産党への弾圧・解党に抗議し、裁判傍聴などの支援活動を行ってきた。NATOは国連憲章に違反していると一貫して主張し、NATOの東方拡大や米国による内政干渉もロシア侵攻を招いた大きな要因であると考えるメンバーが、マジョリティを占める」と。>
<国連憲章は、加盟国が憲章を遵守し、攻撃的な行動をやめるよう圧力をかける方法として、安全保障理事会に加盟国に対する経済的強制措置を課す権限を与えている。 これらの措置は、安全保障理事会だけが合法的に課すことができる。憲章は、加盟国がこのような強制的な措置を一方的に課すことを認めていない。>
<IADLは、多くの政府指導者が、このような制裁措置の発動は直接的な軍事行動ではないため、外交と同義であると考えていることに懸念を抱いている。 しかし、外交は紛争を平和的に解決することを当事者に求めるものである。 憲章第33条は、国際平和と安全の維持を危うくするおそれのある紛争の当事者は、まず第一に、交渉、審査、調停、仲裁、司法解決、地域機関や取り決めへの依存、その他自ら選択する平和的手段によって解決を図らなければならないと定めている。交渉は試みられたものの、33条の紛争解決手段は十分に活用されていない。>(太田:ロシアによる国連憲章第2条4項(武力による威嚇又は武力の行使)違反は当然に非難されるべきだが、紛争当事者のその他の条項の不履行による平和構築の消極姿勢とそれを指摘しない国際社会・メディアも批判されるべき)

サパティスタ民族解放軍「ゼレンスキーではなく、プーチンでもない。戦争をやめろ」(3月4日) | ラテンアメリカの政治経済
https://ameblo.jp/guevaristajapones/entry-12730878182.html
【抜粋】
<サパティスタは一方の国家も、他の方をも支持することはない。われわれはこのシステムにたいして、生命のために闘っている人々を支持する。>

キューバ革命政府声明 「キューバはすべての関係方面の安全と主権を保障する解決を支持する」 | Embajadas y Consulados de Cuba
http://misiones.minrex.gob.cu/es/articulo/kiyubage-ming-zheng-fu-sheng-ming-kiyubahasubetenoguan-xi-fang-mian-noan-quan-tozhu-quan
【抜粋】
<2月25日に国連安全保障理事会にて採択されず、総会に提出されるであろうウクライナ情勢についての決議案は、現在の危機の解決策の模索に真に寄与するものとして構想されたものではなかった。
それどころか、均衡を欠いた文案であり、すべての関係方面の正当な懸念を考慮に入れていない。また、紛争の激化を加速させた攻撃的な行動を扇動し、展開した者たちの責任を認めていない。>

ラマポーザ大統領:南アは平和の側にしっかりと立つ
http://shosuzki.blog.jp/archives/87916296.html
【抜粋】
<南アフリカは先週の国連総会で、ロシアとそウクライナとの「紛争」に関する投票を棄権しました。理由は、その決議が意味のある関与の仕方を前提としたものではなく、有効な呼びかけではなかったからです。
国連憲章は、第一に平和的手段によって紛争を解決するよう加盟国に命じています。そして、紛争の当事者は、まず交渉・調査・調停・仲裁などのメカニズムによって解決策を模索すべきであると述べています。このように、結論はまことに明確です。>

シェリアジェンコ 最近のメッセージ
http://shosuzki.blog.jp/archives/87930365.html
【抜粋】
<和平プロセスを促進するために、そしてウクライナの危機を平和的に解決するために、私は、専門家からなる独立した公的委員会の設立を提案するものです。>

米国共産党のウクライナに関する声明
http://shosuzki.blog.jp/archives/87867567.html
【抜粋】
<ウクライナがNATOの外側に留まらない限り、永続的な平和はあり得ない。
ロシア人分離主義者は、ネオナチの組織である「ウクライナ民族主義者-バンデラ派」の軍事分遣隊である「アゾフ大隊」に攻撃され、殺害された。犠牲者は14,000人とする情報もある。
バイデン政権とメディアは、このような背景を語ろうとはしない。>

南アフリカ外務省:ウクライナに関する声明
http://shosuzki.blog.jp/archives/87855599.html?ref=popular_article&id=6082704-908691
【抜粋】
<この際、すべての当事者が国際法を尊重し、妥協の精神で事態に臨むことを強く求める。
紛争の激化に鑑み、我々はすべての当事者に対し、ロシアが表明した懸念に対する解決策を見出すための外交努力を再開するよう求める。
南アフリカはさらに、すべての当事者が人権を維持・保護し、国際法および国際人道法の義務を遵守することを求める。>


太田光征
posted by 風の人 at 15:20 | Comment(0) | ウクライナ危機

ウクライナ危機:全当事者の反省による道義力の回復を基盤に新たな安全保障を提案する形で停戦へ

全当事者の反省による道義力の回復を基盤に新たな安全保障を提案する形で停戦に導くための世論を作り上げることが、いま最も求められています。ひたすらウクライナ政府の象徴を振り回して日本を応戦支援国にすることではありません。ゼレンスキーの国会演説は控えめにいっても戦意高揚ないし情報戦、可能性としてはプロパガンダの主張をするための場を与えることになるものであり、言語道断です。

まず、ウクライナの非武装主義者ユーリー・シェリアジェンコ氏の紹介から始めます。下記記事から分かるように、ウクライナの非武装主義者は、ロシア軍による攻撃に加え、国内の武装主義者からの迫害を受けるという苦しい立場にあります。

(Truthout)戦争はウクライナの左翼に暴力についての難しい決断を迫っている – ne plu kapitalismo
https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/blog/2022/03/06/war-is-forcing-ukrainian-leftists-to-make-difficult-decisions-about-violence_jp/?fbclid=IwAR2O0Y53arzFrViRn0R8Q45bWu5iI84fyqaqTFb0YpDr8jjqxukIWg7q4-8

【抜粋】
<シェリアジェンコと仲間の平和活動家は、街頭でネオナチに襲われる前に、ウクライナの極右ウェブサイトによって、ロシアに支援された分離主義者との戦争に反対する裏切り者として個人情報をネットに晒されたり「ブラックリスト」入りされたりした。>
<「現在の危機には、すべての陣営で不品行が行われてきた長い歴史があり、「我々天使は好き勝手できる」、「彼ら悪魔はその醜さに苦しむべきだ」といった態度をさらに取れば、核の終末も例外とはならないさらなるエスカレーションにつながります。真実は双方の沈静化と平和交渉の助けとなるべきです。とシェリアジェンコは述べてる。>

天使と悪魔の喩えは、下記記事でも使われていますが、ここでは善悪で二分してウクライナ政府側の主張と対応を絶対視することがもたらす重大な帰結を示すために使われているものと思われます。「真実は双方の沈静化と平和交渉の助けとなるべき」との主張も、私にはメディアの不作為などが想起され、重要な意味を持っていると感じます。

シェリアジェンコ氏はもちろん、架空の人物などではなく、下記のデモクラシー・ナウ!の番組にも出演している平和活動家です。驚いたことに日本の原水協ともつながりがあります。

キエフのウクライナ人平和主義者:無謀な軍事化がこの戦争を招いた。全当事者が平和への取り組みを再び決意しなければならない(デモクラシー・ナウ!)
https://www.democracynow.org/2022/3/1/ukrainian_pacifist_movement_russia_missile_strike

ユーリー・シェリアジェンコ氏:ウクライナ平和主義者運動事務局長、欧州良心的兵役拒否協会理事、ワールド・ビヨンド・ウォー理事、キエフのクロック大学研究員。

【シェリアジェンコ氏の発言要旨】
西側による軍事一辺倒の支援とロシアへの経済制裁に失望している。ウクライナでは非武装でロシア軍を説得して追い出す活動もしているが、ほとんど報道されない。無謀な軍事化が戦争を招くと警告してきたが、正しかった。ドンバス地域でウクライナ政府とロシアが後ろ盾の分離主義者が8年間にわたり戦争を行ってきた結果、ロシアと欧州で何百万人もの国内難民が発生している。原水協の友が広島と長崎でプーチンの戦争に反対する抗議活動を行ってくれた。https://worldbeyondwar.org/で反戦イベントを探したり、3月6日の国際アクションデー(コードピンクやその他の平和団体が主催。スローガンは「ロシア軍は出て行け」、「NATOは拡大するな」)に参加したりしてほしい。私たちはプーチンの要求(ウクライナの中立的地位、非ナチ化、非武装化、国際法に反するクリミアのロシアへの帰属の承認)を拒否する。ウクライナの交渉代表団は、停戦とロシア軍のウクライナからの撤退のみを議論する用意があった。領土保全はウクライナの問題だからだ。ロシアがハリコフや他の都市を砲撃している間、ウクライナはドネツクへの砲撃を続けた。ウクライナもロシアも好戦的で、沈静化する気がない。プーチンとゼレンスキーは、互いに排他的な立場で争うのではなく、誠実に和平交渉に取り組むべきである。ゼレンスキーは戦争マシンに落ちぶれて、プーチンに直接戦争を止めろと要求しない。NATOはウクライナ周辺の紛争から手を引くべきであり、理想的にはNATOは解散するか軍縮同盟に転換すべき。ウクライナもロシアもEUに入ることを希望する。私たちは冷静になって理性的に考えるべき。軍事的対応をするために団結してはならない。プーチンとゼレンスキー、バイデンとプーチンの間の交渉を追求するために団結すべきだ。ほとんどの人は天使ないし悪魔になろうとしているのではなく、平和の文化と暴力の文化の間を揺れ動いている。ウクライナ政府は全男性(18〜60歳)に兵役を課し、良心的兵役拒否の人権をあからさまに侵害している。平和主義者が逃げることはできない。平和なウクライナがこの偏極した軍国主義の世界によって破壊されないことを望んでいる。(以上)


日本はウクライナによる応戦を応援するのが当たり前という雰囲気が作られつつありますが、異常です。上記のようにウクライナ人がロシア軍に対する武力抵抗で一枚岩なわけがありません。この点からも停戦を求める国際世論を大きくする必要があります。その目的でNATOによる軍事威嚇などを批判しなければならないのです。

ワールド・ビヨンド・ウォー日本支部長で愛知連帯ユニオンメンバーのジョセフ・エサティエ氏も、下記記事で当然のようにNATOやネオナチについて批判しています。停戦につなげるための反省を当事者に促すための世論作りに必要だからです。

ウクライナ侵攻により核戦争の脅威が高なる今こそ 平和を実現するために立ち上がる時
http://www.labornetjp.org/news/2022/1647377196098staff01
【抜粋】
<マスコミの報道ではロシアのみが悪と言われているが、一方でアメリカやヨーロッパなどのNATO諸国が軍事的重圧をかけることが開戦へと繋がった。さらにウクライナ政権がネオナチ勢力を擁護し、アメリカがネオナチに協力している。そのことも報道されない。>

コードピンクはその声明で、私の言い換えでは、当事者すべてが反省することで停戦のチャンスを見いだそうと、いま最も求められる実践を提起しています。これが平和運動の当然のあり方なのです。

TUP速報1023号 ロシアによるウクライナ侵略についてのコードピンクからの声明 | Translators United for Peace
https://www.tup-bulletin.org/?p=3934

最後に、シェリアジェンコ氏のツイッターとフェイスブックをご紹介します。フォローすると彼を精神的に応援できるはずです。

Юрій Шеляженко | Yurii Sheliazhenkoさん (@sheliazhenko) / Twitter
https://twitter.com/sheliazhenko

Yurii Sheliazhenko | Facebook
https://www.facebook.com/ludstvo


太田光征
posted by 風の人 at 13:27 | Comment(0) | ウクライナ危機

2022年03月09日

ウクライナ危機:ウクライナ人に徹底武装抵抗を強いる国際世論は残酷だ(平和創造の自己責任)

一刻も早く殺戮を止めさせたい。そのためには何をなすべきでしょうか。

いつ効果が現われるか分からない経済制裁や武力抵抗でロシア軍を撤退させるまでウクライナ人に戦うことを強いるのは残酷というものです。殺戮を今すぐ止めさせるには、停戦しかないでしょう。もしかしたら世間は、停戦交渉が行われるとプーチンの主張が通るから嫌だと思っているのですか。

プーチンやロシア権力にとっての安全保障上の脅威について指摘すると、平和運動にたずさわっている方々からも、次のような言葉が出てきます。

・プーチンの言い分を聞く前に侵攻を止めろと言うのが先
・殺戮を止めさせるためにロシア軍を引かせるのが先
・ロシアの肩を持つのか
・反米か平和のどちらを選ぶのか
・どっちもどっち論や相対化はおかしい

私はこれらの主張に大変当惑しています。侵攻止めろは皆言っていて、国際世論も同じなのです。ロシアは確実にこれらの声を承知しているでしょう。

私はもっと侵攻反対の声が上がり、世界で可視化されればいいと考えています。でも、既にAvaaz署名という指標で現実を見れば、当初よりペースががた落ちしています。声を増幅させるには、街頭行動するにも、例えばAvaaz署名のような署名活動を紹介するなりの工夫が必要です。

【署名】Avaaz - この戦争を止める(プーチンの戦争を止めるための署名)
https://secure.avaaz.org/campaign/jp/stop_the_war_loc/

私ももちろん街頭行動をしますが、街頭で侵攻止めろと声を上げるだけで侵攻は止められない。この現実を直視しない反戦運動は自己責任を果たせないのです。実効的な即時停戦を実現するための言論が必要なのではありませんか。それはもちろん、停戦実現を、のスローガンだけを言えばいいのではありません。

今回のロシア非難国会決議にも同じ問題があります。この表現活動はウクライナに平和をもたらす機能を果たしますか、即時停戦を実現することに貢献しますか。今回の国会決議は国会の機能不全を示す以外のなにものでもありません。機能不全というより、もしかしたら今回の武装物資としての防弾チョッキを供給する露払いの機能を果たした可能性があるでしょう。なにしろ非軍事協力の縛りも停戦の働きかけも入っておらず、ロシアに対する制裁しか「手立て」を示していないのだから。そんなもの、効果があるか分からないし、効果があったとして、いつになるのか。ちなみに、パレスチナ社会が対イスラエルBDS(ボイコット・投資撤収・制裁)運動を世界に求めているのは、現状、それしか手立てがないからです。成功しないかもしれないが、それしかないから求めているのです。

今回の国会決議は、いくら日本国憲法にある理念の言葉を盛り込んだからといって、理念を体現した反戦運動にはなっていません。憲法の肝は世界の平和主義者と連帯して世界の全人民にとっての平和的生存権などの崇高な理念を市民1人ひとりが全力で達成すると誓った「実践」にありますが、こうした実践を政府や市民に求めていないからです。国会決議は軍事支援の要素を排除していません。「ウクライナと共に」のスローガンは、ウクライナの戦争指導者による戦争遂行にエールを送る要素を含みます(国際社会はパレスチナのハマスには同様のエールを送らないが)。

即時停戦を言わないロシア非難の言論は、ウクライナ人に泥沼の武力抵抗を強いる雰囲気作りに貢献しているのです。この力学を自覚しましょう。ウクライナが勝てるかもという淡い期待の皮算用は残酷です。

私はこれまで、伊勢崎さんの見解には首をかしげることが多かったのですが、下記動画で示された見解にほぼ賛同します。

伊勢崎賢治×神保哲生:NATOの「自分探し」とロシアのウクライナ軍事侵攻の関係 - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=HhLemFXw74Y&t=1s

伊勢崎さんは<国連総会緊急特別総会でのロシアへの非難決議で、35か国が棄権した中に南アフリカがいた。これを報道したのは、アルジャジーラのみ。棄権の表明で南アの代表は「対話が必要だ。悪魔と対話しなければならない。これ以上の殺戮をやめさせること。>(ある方のツイッター文字起こしからそのまま転載)と指摘していますが、まさにこれなのです。そして、私は全メディアを確認したわけではありませんが、報道したのがアルジャジーラのみというところに、戦争を煽るメディアのあり方が示されており、このメディアに国会議員も呑み込まれています。

実効的な停戦をもたらす世論作りが反戦運動の実体であるべきであり、全関係者が反省をし、ロシアを含む安保を提案する形での停戦交渉に臨むのが、最も現実的で安保の理念にかなった事態可決の手立てではありませんか。なんとなれば、「平和を創る責任」は「全関係者」に常にあるからです(平和創造の自己責任)。攻められた側だが停戦協定違反の前科などがあるゼレンスキー、今回の侵攻を直接的に行っていないという意味で非がないけれどもロシアをマッチポンプ式に挑発してきた米国・NATOという、侵攻して非があるプーチン以外の全関係者の「出方次第」、すなわちゼレンスキーや米国・NATOの本音では不本意であるかもしれないが停戦に結び付く合理的な安保上の譲歩で停戦を実現できる可能性がある以上、侵攻していない側にも平和創造の責任があるのです。

多少の国際世論では動かしがたい現在の非安全保障状況は地球のプレートがぎしぎし押し合うがごときもので、国家プレートのほか国家プレートと連動する軍需産業プレートなどもあり、ウクライナを第2のアフガニスタンにしようとする軍事プレートの動きが今まさに同時並行で進行中であると認識すべきです。軍需産業プレートは今回の直接の侵攻主体でないにしてもです。今回のプーチンプレートの動きは、相互に押し合い続けている軍事プレートの一局面です。プーチンを叩くと同時に他の軍事プレートの動きも同時に抑えなければなりません。

多くの方が侵攻時点の理非の違い、表層的な倫理問題、すなわち攻めた側と攻められた側の違いだけで平和創造の自己責任の所在ないし軽重に差異を付けているものと思われます。現在の強固な非安全保障状況から安全保障状況を創り出す過程で、こうした差異にとらわれて、泥沼化への道、総体的な軍事増長への道を塞ぐ形で停戦の可能性を追求しないことは、愚かであり実体的な倫理に反すると思います。何が最も優先されるのかを考えていただきたい。

ウクライナ危機:安保構築の提案なき侵略戦争反対でいいのか
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/485866717.html

「ロシア軍は撤退しろ」や「ウクライナと共に」のスローガンだけでは、現状、ウクライナ人に武力抵抗を続けろ、という主張に等しいのです。もちろん、ウクライナ人に武装抵抗の権利はありますが、外野、特に日本が戦争を煽り立てる立場に立つべきではありません。強固な意志で侵攻を開始したプーチンにひたすら「力の論理」で対抗するなら、軍事プレートは動き続けるだけでしょう。

米国・NATOは平和運動でもよく使われるスローガン「侵略戦争阻止の一点」でウクライナ危機に対処しているわけではありません。合理的な安保提案の枠組みで全関係者が反省をする。だから停戦交渉の材料となる安保提案の一過程として米国・NATOによるロシア挑発などをも批判するのです。このどこが不都合なのか、どなたか説明してください。不都合というなら、ウクライナ危機を終わらせる非軍事の手立てを教えてください。

#StopRussianAggression
#あらゆる戦争と人権侵害に反対します


太田光征
posted by 風の人 at 12:21 | Comment(0) | ウクライナ危機

2022年02月27日

#StopRussianAggression はウクライナ政府によるミンスク合意(停戦協定)違反・内戦の免罪符にはならない

#StopRussianAggression はウクライナ政府によるミンスク合意(停戦協定)違反・内戦の免罪符にはならない。ロシアによるウクライナ侵攻に対しては、ウクライナ政府・米国・NATOに正義ありの宣伝に使われない「反戦運動」が必要です。

欧州安全保障協力機構の調査により、2017年1月1日〜2020年9月15日の間に、ウクライナのルガンスクとドネツクで民間人の犠牲者946人、うち死亡者161人が確認されています。
https://www.osce.org/files/f/documents/f/b/469734.pdf

今回のウクライナ危機の報道であまりにも日本のメディアがだらしないので、CNNやBBCの報道を頼りにしている方が多いようです。でも、イスラエル軍が2018年にパレスチナの少女アヘド・タミミを拘束した事件の報道*1 で、これらメディアはイスラエルの蛮行を擁護する方向の記事を配信していたことからも分かるように、本質的には偏向メディアです。

*1 平和への結集第2ブログ: Fwd: イスラエル軍によるパレスチナ人児童の拘禁が急増:アヘド・タミミらの解放を求める国際署名運動のお知らせと署名のお願い
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/456452408.html

またフェイスブックは今回、ロシアの広告出稿を禁止する措置*2を取りましたが、反戦メディアなどではありません。イスラエルと結託して親パレスチナの投稿を検閲しているような企業*1 です。

*2 Nathaniel GleicherさんはTwitterを使っています 「1/ We are now prohibiting Russian state media from running ads or monetizing on our platform anywhere in the world. We also continue to apply labels to additional Russian state media. These changes have already begun rolling out and will continue into the weekend.」 / Twitter
https://twitter.com/ngleicher/status/1497417241947607043

さて、ロシアによるウクライナ侵攻に抗議するAvaaz署名ですが、1分間に57筆くらいの速度で増えています。ところが、米国からの署名がほとんどなく、日本から1人くらいあります。こんな現象は過去に見たことがない。アヘドの解放を求める署名では、日本からの署名は皆無に等しかった。アヘドは釈放されたが、署名は継続中です。今でもイスラエル軍に拘束されているパレスチナ児童が多くいるからです。署名がまだの方はよろしくお願いします。

Avaaz - この戦争を止める
https://secure.avaaz.org/campaign/jp/stop_the_war_loc/

Avaaz - アヘド・タミミさんの釈放を
https://secure.avaaz.org/campaign/jp/free_ahed_global_loc/


最後に、ウクライナ危機の背景を知る上で重要な映画や記事を教えてもらったので、ご紹介します。

オリバー・ストーン監督の映画:ウクライナ・オン・ファイアー 日本語字幕
https://rumble.com/vv35um-52215646.html

【署名あり】「ウクライナ危機」:米国/NATOによる長年の威嚇を許し、ロシアを悪魔視するだけでは平和は訪れない
https://peacephilosophy.blogspot.com/2022/02/natocrisis-in-ukraine-demonizing-russia.html

ウクライナ問題が抱える困難の本質と日本の役割〜ロシアの軍事侵攻で事態が急転 - 東郷和彦|論座 - 朝日新聞社の言論サイト
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2022022300002.html?page=1


太田光征
posted by 風の人 at 02:23 | Comment(0) | ウクライナ危機

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