究極のモラルハザードと無責任の再生産を許す原発事故加害者保護体制の転換を
東電は被災者に支払うべき賠償金4,977億円を内部留保。加害者が潤い、被害者が泣く。
柏崎刈羽原発は新潟県中越沖地震で3000カ所を超える損傷や不具合が発生したが、検証は福島原発事故で中断したまま。
原発事故を起こした電力会社やメーカー、ゼネコンの責任は問われないどころか、事故処理や除染関連で税金から利益を稼ぎ、負担を納税者にツケ回し。
政府は省令改正で東電の事故処理・廃炉処理費用も資産・経費処理できるようにし、つまり消費者の負担とした。
金融機関は東電に対する融資を担保付きに変え、被害者への賠償を押しのける形で、債権の優先的回収を図る。
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要請書:いますぐ東電を破たんさせよう!─会社更正法の申請を
http://citizen-and-tepco.hatenadiary.jp/entry/20131223youseisho✱インターネット署名にご協力ください!
総理大臣、経済産業大臣あてに要請書と、署名を提出します。第一次集約の
期限は12月27日(金)ですが、東電による「総合特別事業計画」が出された場
合などに、先行的に公表する場合があります。
次のサイトで、簡単に署名ができます。ぜひご協力ください。
https://ssl.form-mailer.jp/fms/dec38f39276436要請書:いますぐ東電を破たんさせよう!─会社更正法の申請を
内閣総理大臣 安倍晋三 様
経済産業大臣 茂木敏充 様
東京電力福島第一原発震災により、多くの人がふるさとも生活も仕事も奪われ、未だに15万人以上の人が避難を強いられ、多数の人が2年9カ月もの仮設住宅での生活を余儀なくされています。各地では放射線による健康被害が懸念される中、福島第一原発では汚染水が垂れ流され、1〜3号機でメルトスルーした燃料デブリは手つかずのまま、廃炉への道は全く見えないばかりか、新たな地震による事故処理の破たんが心配されています。
私たちは、そうした東電に対して日本政府が現在行っている、無尽蔵な血税の投入や電気料金の値上げを容認するといった甘い対応姿勢に断固として抗議します。今回の事故で最も責任を取らなければいけないのは、私たち市民ではなく東電です。さらに東電に投資して原発を推進させてきた銀行などの債権者も、事故の責任を取るべきです。しかしながら、逆に東電や銀行は、福島第一原発の事故処理部門の切り離しや不採算部門の分社化で延命を図ろうとしています。
私たちは日本政府に対して、以下の要請を行います。
✱1.東京電力に会社更正法をいますぐ申請させ破たんさせ、株主や銀行にも法的責任を取らせてください。
✱2.柏崎刈羽原発の再稼働を前提とした東京電力の「総合特別事業計画」を認めないでください。
✱3.上記対応の一切の過程や内容を、全ての市民に対して情報開示することを約束してください。
■東京電力は「債務超過」を隠ぺいしています
東電の2012年度3月末決算の純資産は8,317億円ですが、原子力損害賠償支援機構からの交付金(税金)3兆1,231億円を本来なら借入金として「負債処理」すべきものを、不当にも「特別利益」として計上し「債務超過」を隠ぺいしています。
■政府は東京電力にすでに「6兆円」を支援しています
政府は原子力損害賠償支援機構を通して東電に対し、事故以来の2年間で損害賠償のための5兆円の交付国債と金融機関への返済のための1兆円の資本金の、併せて6兆円を支援しています。それでも東電は2012年11月の『再生への経営方針』で「賠償・除染の費用は一企業では対応できない」とし、政府に5兆円の支援要請をしています。
■東京電力は「損害賠償金」を払い渋っています
原子力損害賠償支援機構から東電へ2013年3月末までに支払われた賠償金は2兆3,513億円ですが、被災者の手に損害賠償として支払われた額は1兆8,536億円にすぎません。東電は「債務超過」を避けるために、幾多の苦しみを背負い生きている被災者に支払うべき賠償金の実に4,977億円も内部留保し、巨額の払い渋りをしています。
■東京電力の柏崎刈羽原発の再稼働は許せません
東電の破たん処理による債権放棄をおそれる金融機関は、その再建計画における収益見込みを「水増し」するために、柏崎刈羽原発の再稼働を迫っています。東電が自ら設置した原子力改革特別タスクフォースでも、福島第一原発事故の原因を「稼働率を経営課題としたこと」と反省していながら、収益目的の再稼働に走ることは許されません。
■東京電力では事故収束はできません
この先何年かかるか、費用がいくらかかるか見通せない福島第一原発の事故収束事業は、経営を最優先する営利企業には不可能です。ましてや事故を起こした当事者の東電には、その財力も体力も能力もありません。福島第一原発の事故収束作業は、国の責任の下で世界的な叡智を結集したプロジェクトで取り組まなければなりません。
2013年12月22日
【呼びかけ】東電を破たんさせよう!市民の会
【呼びかけ人】東井怜(東京電力と共に脱原発をめざす会)、植松青児(東電前
アクション)、うのさえこ(ハイロアクション福島)、大富亮(電気代一時不払いプロ
ジェクト)、岡本達思、海棠ひろ(福島原発事故緊急会議)、河合弘之、木村雅英、
木村結(東電株主代表訴訟)、紅林進、阪上武(福島老朽原発を考える会)、白井
伊征子(eシフト)、杉原浩司(福島原発事故緊急会議/eシフト)、菅波完、田中一郎、
堀江鉄雄(東電株主代表訴訟)、満田夏花(環境NGO理事)、武藤類子、山崎久隆
(たんぽぽ舎)、吉川真実[50音順]
【賛同団体】東京電力と共に脱原発をめざす会、福島原発事故緊急会議、反安保
実行委員会、唯足舎、さよなら玄海原発の会・久留米、脱原発大分ネットワーク、
放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会、鮫川村焼却炉問題連絡会、放射能を拡
散させない市民有志の会、夏ハゼの会(福島県田村市)、未来といのちを守る会、
森のこや、かぶら屋、西屋敷、未来といのちを守る会泉州、原発を考える品川の
女たち、ノーニュークス・アジアフォーラム・ジャパン、原発いらない福島の女たち、
自然エネルギー推進ネット・光(山口県)、原発やめよう/つながろう関西・マダム
会議、電気代一時不払いプロジェクト、脱原発の日実行委員会
【賛同人】森園かずえ(郡山市)、橋本順市、梶野宏、田中靖枝(怒髪天を衝く会)、
寺井拓也(脱原発わかやま)、堤静雄(福岡県)、堤久子(福岡県)、堤朋子(福岡
県)、なすび(被ばく労働を考えるネットワーク)、上平学、井上裕子、石堂太郎、
金澤知成、星川まり(脱原発の日実行委員会)、安積誠、安積由紀子、安積土薫、
安積耕拓、安積真苗、さとうしゅういち(広島瀬戸内新聞社主)、浅田正文(福島
原発告訴団・北陸事務局)、浅田眞理子、佐藤秀明(写真家)、菊池京子(東京都)、
小坂正則(脱原発大分ネットワーク・事務局長) 、加藤朝子(主婦)、滝上陽子
(セラピスト)、東田晴弘(元高校理科教員)、和田央子、北村孝至、鹿毛智(さよ
なら原発の会久留米・会員)、小川盛政、菅野逸雄、志賀文明(相馬市)、加藤誠、
宮澤和子(大学職員)、市原みちえ、森崎竜一、谷口光枝(アルバイター)、城洋子、
城裕司、城さくら、城はなの、野澤キミ子、野澤信一(市民の意見30の会・東京)、
矢口敦子(作家)、有沢加奈枝、橋本直行(牧師)、矢野淳子(脱原発・明石/たこ
の会)、丸尾牧(兵庫県議)、遠藤順子(医師)、山下治子(ふぇみん婦人民主クラブ)、
塩山正孝(玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会会員)、福島和
(東京電力と共に脱原発をめざす会)、兼高武仁(医師)、人見やよい(福島県民)、
亀田典子(さよなら原発★ちがさき)、蛇石郁子(福島県郡山市議)、勝津真理、
小原伸一、青木雅子、木村理恵、平井由美子、増田博光、加藤寿子(ふぇみん・
婦人民主クラブ)、長田桂孟、白崎一裕(原発告訴団・関東)、田中正治(ネットワ
ーク農縁事務局)、大塚あづみ、佐藤晶子、山田純一、李智映
[到着順][12月23日現在]
よりくわしい理由は、次の文書をお読みください。↓
PDF版:
http://d.hatena.ne.jp/toudenfubarai/files/20121223_toden_reason.pdfHTML版: ↓
✱私たちが東京電力の破たん処理を求める9つの理由
2013年12月23日2013年12月23日
東電を破たんさせよう!市民の会
はじめに
東京電力・福島第一原子力発電所事故により、多くの人々がふるさとや仕事を奪われ、いまだに15万人以上の人々が避難生活を強いられ、放射能による健康被害が懸念されています。その一方、事故現場では高濃度汚染水が貯まり続け、海洋汚染を引き起こしています。
4号機の核燃料の取出しは始まりましたが、1〜3号機の核燃料の状態はいまだに明らかになっておらず、廃炉への道もまったく見えていないばかりか、新たな地震による事故処理の頓挫も心配されています。
こうした状況にも関わらず、この巨大事故(原発震災)の責任を、誰も取っていません。私たちは事故処理と被害者への賠償の遅れに重大な懸念を持ち、また、脱原発を求める民意の政策への反映を求める立場から、東電の破たん処理(法的処理)を政府に対して強く要望します。
東電の今後に関しては、事故処理部門の切り離しや、社内分社化などが語られていますが、このような「トカゲの尻尾切り」では、何の解決にもなりません。また、新たに策定される「総合特別事業計画」では、事実上破たんしている東電の維持存続のために、巨額の税金の追加投入や、柏崎刈羽原発の再稼働が、行われようとしています。
今回の事故による多額の損害──損害賠償金や事故処理費用は、まず東電の株主、そして東電に融資してきた、三井住友銀行、日本政策投資銀行をはじめとする金融機関が、その持分や債権を放棄する形で負うべきものです。また同時に、ずさんな安全管理で福島第一原発の過酷事故を招き、かつ事故処理を適正・適切に遂行せず、放射能汚染を拡大してしまっている東電経営陣にも、賠償責任を問わねばなりません。そして、福島第一原発を作った原発メーカーやゼネコンなどの業者もまた、その製造物による事故の損害賠償を負担しなければならないと私たちは考えます。
本来であれば、これらが果たされた上ではじめて、消費者と納税者の負担(いわゆる国民負担)が議論されるべきですが、今の東電救済スキームでは、最初から電気料金の値上げと、税金を使った東電救済策によって消費者と納税者が負担を強制され、反対に株主、金融機関、経営者、メーカーなどが免責されています。このような理不尽な救済スキームから、東電の破たん処理へと、政策を切り替える必要があります。
また、東電という世界最大級の電力会社を破たんさせることは、世界中の金融機関に、原発ビジネスのリスクがいかに大きいかを「正しく」理解させることにつながり、脱原発のための大きな一歩となるでしょう。
この文書では、なぜ東電の破たん処理が必要なのか、それによって何が可能になるかを、賠償、事故処理などの問題に分けて、詳しく説明したいと思います。
1.東電は、すでに事実上破たんしています
東電の2012年度3月末決算の純資産は8,317億円ですが、原子力損害賠償支援機構からの交付金(税金)3兆1,231億円を、不当にも「特別利益」として計上しています。本来なら借入金として「負債処理」されるべきものであり、普通に会計処理すれば、すでに東電は2兆3千億円以上の「債務超過」です。
政府から支援機構を通じた東電への資金援助は、事故以来の2年間で損害賠償のための5兆円の交付国債と、金融機関への返済のための1兆円の資本金合わせてすでに6兆円にもなります。
ところが東電は、2012年11月に発表した「再生への経営方針」の中で「賠償・除染の費用は一企業では対応できない」として、政府に対してさらに5兆円の支援要請をしました。これは、自ら策定した総合特別事業計画の破たんを宣言しているのと同じです。今年12月中にも、これを再度見直した新たな計画が提出されますが、これも大きな問題をはらんでいます。
2.破たん処理によって、「責任逃れ」と「負担の先送り」をやめさせられます
東電を破たん処理し、金融機関の債権を放棄させることによって、金融機関が持つ東電の社債と借入金合わせて8兆円の債務を帳消しにすることができます。これまで、「国策民営」の原発ビジネスに融資し、多額の収益を稼いできた金融機関には、このようなかたちで責任を取らせなければなりません。これは、納税者や消費者に負担を求める場合の大前提と言えます。
また、今の時点できっぱりと「原発という不良債権」の損切りをしなければ、ずるずると銀行に税金を注ぎ続けながら景気回復ができなかった、バブル崩壊後の「失われた20年」の二の舞になります。経済に対する悪影響ははかりしれません。
その上でなお残る負債は、原発メーカー、ゼネコンなど、原発推進に関わってきた企業が債権放棄をし、損害賠償責任を負い、最後に納税者、消費者が負担することで、ようやく不当な「責任逃れ」と後世への「負債の先送り」をやめさせることができます。
このような公正な破たん処理をしてはじめて、社会全体で原発事故による負担を引き受けていく道が開けることでしょう。
3.東電の救済は、柏崎刈羽原発の再稼働につながっています
金融機関側は、東電の破たん処理による債権放棄をおそれています。そこで破たんに追い込まれたりしないよう、東電の収益見込みを「水増し」するために、柏崎刈羽原発の再稼働を迫っています。
しかし同原発は新潟県中越沖地震で3千カ所を超える損傷や不具合が発生し、その検証すら、福島原発事故で中断したままです。正常なリスク感覚を持っていれば、むしろ金融機関側から再稼働計画にブレーキをかけてもおかしくありません。
にもかかわらず、金融機関が融資継続の条件として強引に柏崎刈羽原発の再稼働を迫っている現在の構図は、まさに常軌を逸していると言わざるを得ません。東電の救済は、原発の再稼働につながっているのです。
4.破たん処理によって、無節操な税金投入が止まります
この9月に、政府は汚染水処理のために支援機構とは別枠で470億円の税金投入を決定しました。政府は除染、中間貯蔵、事故対策のために「政府が前面に出て公共事業的観点から取り組む」と、さらなる別枠の税金による救済を打ち出していましたが、12月21日の報道によれば、除染と中間貯蔵への支援の総額は3兆6千億円に決定されました。
これまで6兆円もの税金を投入してもほとんど進展がなかったのに、なおも巨額の税金を東電につぎ込もうというのです。このままでは、原発事故に対するいわゆる国民負担は、軽く10兆円を越えるでしょう。このように、東電への税金投入の拡大はとどまるところを知りません。
今の状況は、原発事故を起こした電力会社やメーカー、ゼネコンの責任は問われないどころか、かえってそれらの企業が税金から巨額の支援を受け取り、事故処理や除染の名目で新たな工事を受注して不当な利益を稼ぎ、その負担の大半を納税者にツケ回ししていることになります。このような「究極のモラルハザード」を許していいのでしょうか。
会社更正法の申請をし、破たん処理をすれば、こうした無制限な税金投入をやめさせることができます。
5.破たん処理によって、金融機関に責任を取らせることができます
支援機構から東電に支払われている交付金5兆円の返済は、東電の特別負担金・一般負担金と、それ以外の8電力会社の一般負担金で行われます。特別負担金は東電の利益から支払われ、一般負担金は原価として電気料金から支払われます。すると結果として、原発事故の損害賠償金は、損害賠償責任のない全国の一般の電力消費者が負担することになってしまいます。
また、電気事業法省令改正によって、東電の事故処理、汚染水処理、廃炉処理費用も資産・経費処理されることで消費者の負担となってしまいました。
一方で金融機関は、これまでの東電への「無担保」の貸付金の返済の際、同じ条件での融資にせず、「担保付き」の私募債に借り換えました。こうして金融機関側は、賠償を必要とする被害者を押しのけるように、自分たちだけが担保のある債権を手にしてリスクの低減を図り、社債の償還は次々と進んでいます。このままでは金融機関は、東電とその原発への投資に、何の責任も取らないことになります。
東電の破たん処理は、こうした理不尽に歯止めをかける意味で必要不可欠です。
6.東電を破たん処理しても、電力供給は維持されます
「東電が破たんすると、電気が供給されなくなるのではないか」と心配する人もいるかもしれません。しかし、この点は心配ありません。2010年の日本航空の破たんの例でも分かるように、破たん処理が行われた場合、債権債務は清算されますが、会社を更正するためのさまざまな施策を行いつつ、事業は継続されます。よく言われることですが、日航は一日も欠かさず飛行機を運航しました。東電の場合は、電力供給という本来の事業を継続しながら、再建計画を立てることになります。
また、破たん処理に反対する意見も見られます。代表的な声は、「東電に最後まで責任を取らせるためには、今の形で存続させる必要がある」、「東電がなくなれば損害賠償が支払えなくなる」、「破たんにより賠償より社債償還が優先される結果になり、不公平が生じる」といった声です。
しかし、福島第一原発事故にいたった原因は「東電の体制と体質」にあります。これに手をつけず、誰にも責任を取らせずに、果たして事故処理や損害賠償ができるのでしょうか。社債の問題は破たん処理の中で対応できる問題です。
7.破たん処理によって、損害賠償金の支払いが進みます
東電が、現実に損害賠償責任を果たせているのかを考えてみます。まず、東電経営財務調査委員会(下河邊委員長、現東電会長)では、2年間で4兆5,000億円の損害賠償金の支払いを試算していました。しかし、実際の損害賠償支払金額は1兆8,536億円でした。ここで生じる2兆6,464億円の差額は、東電が損害賠償請求を認めなかった、または請求額を減額したもの、あるいは請求から支払まで1年以上もかけたケースの合計です。
そして、2013年3月末までに支援機構から東電に支払われた交付金は2兆3,513億円。うち、実際に被害者に損害賠償として支払われた額は1兆8,536億円ですから、東電は賠償金のうち、実に4,977億円もの巨額の払い渋りをしていることになります。これは東電が交付金を「前受け」し、損害賠償金を「後払い」しているためです。なぜ加害者が潤い、被害者が泣かなければならないのか──制度が根本的に間違っていると言わざるを得ません。
現在の東電にはもはや支払能力はなく、政府が「立替払い」の形で賠償金を全額、東電に交付しています。ですから、東電を破たん処理しても、賠償に関しては政府が全面的に対応することに変わりはありません。また、与党が提案している通称「仮払法」を利用して自治体から支払う方法もあります。
報道によれば、東電を訴える80件もの損害賠償請求裁判が行われていますが、個人や個人事業主には訴訟費用がネックになり、泣き寝入りが多いと言われます。被害者にとっては、間に東電がいない方が、かえってスムーズに受け取れることが、以上の事実からわかります。
8.東電社員、事故処理作業員の士気向上につながります
すでに「泥舟」と化している東電を存続させるには、おそらく今後も継続して税金の投入をしなければなりません。しかし、今のようなやり方では、収束の見通しさえ明らかではありません。そんな東電に将来を見出せず、多くの優秀な社員、作業員が退職しています。東電によれば原発事故以降の依願退職者数は、今年10月末までに1,422人に達しました。そればかりでなく、現在策定が進んでいる総合特別事業計画では、さらに千人前後の希望退職募集が盛り込まれています。
人を減らした上、汚染水漏れにも金を惜しんで小出しに対策しているようでは、東電社員、現場作業員の被曝量は増えるばかりです。とりわけ、現場で働く下請けの作業員の待遇は劣悪を極めています。こんな状況で、いったい誰が福島の現場に進んで行き、事故収束のために働こうと思うでしょう。破たん処理によって財務体質を抜本的に改善した上で、外部の専門家による客観的な調査と助言をあおぎ、これに基づく効果的な事故処理を行うことは、なにより、現場で働く人々の士気を高めることにつながるはずです。
9.破たん処理によって、世界の英知を集めた事故対策が可能になります
事故を起こした当事者である東電に、事故処理をやりとげるのは不可能です。実際、東電は会社の存続を優先するあまり、事故処理の費用を削り、結果として大量の汚染水漏れを招きました。
東電は現在の財務危機を、安易な料金値上げと、柏崎刈羽原発の再稼働と、政府からの税金投入で乗り切ろうとしています。こうして、無責任な東電の体質は変わらないままに、巨額の税金が浪費され、時間だけが経過していきます。
福島第一原発事故が、東電という一私企業では対応できない規模の災害になってしまった以上、その事故処理の責任は政府が負わなくてはなりません。そして、事故を収束するためには、原発を推進してきた専門家やメーカー、ゼネコンだけでなく、原発に批判的な科学者・技術者も含めた、国際的な英知を結集しなければなりません。そのためにも東電の破たん処理を行い、閉鎖的な体質を取り払うことこそ、まず最優先すべきなのです。
以上
「私たちが東京電力の破たん処理を求める9の理由」(2013年12月23日)
呼びかけ:東電を破たんさせよう!市民の会
「東電を破たんさせよう!市民の会」は、政府による東電の救済に疑問を持ち、東電の破たんに基づく脱原発のロードマップを研究し、意見を表明する市民有志の会です。eシフトなど、いくつかの市民団体と連携して活動しています。発足は2013年10月。
連絡先:eシフト・東電破たんプロジェクト(杉原)
(E-mail) kojis@agate.plala.or.jp (携帯)090-6185-4407
http://citizen-and-tepco.hatenadiary.jp/-----------------
以上、転載
太田光征