2012年03月25日

化学工業日報も「LNG比率急上昇」と書き、原発再稼働を主張

化学工業日報
http://www.kagakukogyonippo.com/headline/2012/03/21-5884.html
高まるLNG発電依存度のリスク

「(2011年の)鉱物性燃料のなかでLNG比率(価格)は、20年前の14・1%から21・9%へ急上昇」と同紙は書いているがいかにも苦しい。20年も前ではなく、10年はどうかといえば、20.05%で11年とほとんど変わらない。

LNG単価の上昇は2009年から:燃料輸入額増分に対するLNG寄与度は2010年も2011年も同じ
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/259652517.html

「2011年の鉱物性燃料の輸入額は21・8兆円、価格高騰で過去最高を記録した08年の27・7兆円に次ぎ2番目である」と書いているのは正しい。

LNGの輸入重量・輸入額・単価の経年変化は次のようになっている。

原発停止で燃料輸入量急増はウソ
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/258776935.html
第27類 鉱物性燃料及び鉱物油並びにこれらの蒸留物、歴青物質並びに鉱物性ろう
http://www.customs.go.jp/tariff/2012_3/data/i201203j_27.htm
天然ガスの9桁番号:271111000
貿易統計 :統計品別推移表 :条件入力 :財務省貿易統計 Trade Statistics of Japan
http://www.customs.go.jp/toukei/srch/index.htm?M=77&P=0

LNG    トン      1000円     単価
2000  53,689,778  1,405,517,856  26
2001  55,149,302  1,593,919,007  29
2002  53,877,618  1,491,986,081  28
2003  59,129,097  1,695,312,314  29
2004  56,970,663  1,649,795,161  29
2005  58,013,770  1,985,329,027  34
2006  62,189,252  2,659,474,185  43
2007  66,816,304  3,140,266,006  47
2008  69,262,732  4,652,495,060  67
2009  64,552,348  2,827,247,628  44
2010  70,007,810  3,471,846,720  50
2011  78,531,629  4,787,162,723  61

上下はあっても2000年から輸入重量・輸入額・単価すべてが一貫して上昇傾向にある。

同紙はまた、LNGの「増加分は約800万トン」と間違いではないことを書いているが、全体量を示さないと評価できない。実際は、10年が7000万トン、11年が7800万トンで、12.2%増えただけ。10年も09年と比べ8.5%増加している。


太田光征


2012年03月23日

LNG単価の上昇は2009年から:燃料輸入額増分に対するLNG寄与度は2010年も2011年も同じ

池田信夫氏がニューズウィーク日本版に原発停止と燃料輸入の関係について書いている。

原発の停止で日本経済は何を失ったのか | 池田信夫
http://www.newsweekjapan.jp/column/ikeda/2012/03/post-479.php

「しかも原油と石炭の輸入量は2010年より減ったのに、全体の輸入額が2割以上も増えている。これは世界的な原油高の影響に加えて、日本の電力会社が原発の停止によってLNG(液化天然ガス)をスポットで大量に買い付けて相場が上がったことが原因だ。つまり原発を停止すると、日本経済の資源価格に対する脆弱性が高まるのだ。」

10年の輸入実績を見れば、LNGは重量で対前年比8.5%増、価格で同22.8%増となっていて、LNGの輸入量増加と単価増加は11年に限ったことではない。

LNGの輸入価格を鉱物性燃料全体の輸入額で割ってみると、10年が19.95%、11年が21.94%となり、LNGの寄与度はほとんど同じ。鉱物性燃料全体の対前年輸入額増分に占める対前年LNG輸入額増分の割合でも、10年が29.49%、11年が29.77%と変わらない。

11年に鉱物性燃料の輸入額が25.4%増えているのは確かだが、10年も22.5%増えていて、いずれの年でもLNGの寄与度は同じということ。

10年から11年にかけての単価上昇率を見ても、LNGは原油・粗油と石炭の間にあり、LNGだけ飛びぬけて「相場が上がった」とはいえない。

原油・粗油 1.247
LNG     1.229
LPG     1.113
石炭     1.227


原発停止で燃料輸入量急増はウソ
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/258776935.html
平成23年分貿易統計(確定)
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/2011/2011_117.pdf
平成22年分貿易統計(確定)
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/2010/2010_117.pdf
平成21年度分貿易統計(確報)
http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1022127/www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/2009/2009_216.pdf

LNG単価の上昇は既に09年から始まっている。次のグラフで見ると一目瞭然。

財務省貿易統計:液化天然ガス:輸入CIF価格:統計情報サービス
http://toukei-is.com/h/?p=3050103&f=00

「福島で想定されている最大5兆円の賠償額を事故確率で割ると、1年あたりのリスクは25億円〜5000億円である。つまり原発停止のコストは燃料費だけでもGDPの1%近くにのぼるのに対して、そのメリットは最大でもGDPの0.1%程度なのだ。どんな経済行動にも、このような費用と便益のトレードオフがある。その両面を勘案した上で判断するのが政治の役割であり、片面だけを誇張するのはデマゴーグだ。」(同ニューズウィーク記事)

おい、原発はコストなしで稼働してるんかい?

太田光征

2012年03月20日

原発停止で燃料輸入量急増はウソ

産経新聞は原発停止による火力発電の焚き増しで液化天然ガス(LNG)と石油の輸入量が跳ね上がり、燃料費が3兆円ないし4兆4000億円増加したことで、貿易収支が第2次石油危機以来、31年ぶりの赤字に転落した、電気料金の値上げで企業の海外脱出が加速する、などと主張している。

「場当たりと迷走の果て…「原発ゼロ」危機」:イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/accident/548083/
「3.11から1年 いつになる電力不足の解決」:イザ!
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/environment/548620/

しかし、原油・粗油も石炭も2011年の輸入量(重量)は10年と比べ減少し、LNGと液化石油ガス(LPG)の輸入量(重量)がそれぞれ12.2%、2.7%増えたに過ぎない。LNGの輸入量(重量)は10年も09年と比べ8.5%増加している。燃料輸入量は急増していないし、輸入量が増加したLNGとLPGの輸入額増加分は1兆4000億円でしかない。

日本は韓国の2倍の価格でLNGを輸入している。産ガス国に足元を見られる原燃料費調整制度をすぐに廃止し、韓国並みの価格で輸入すれば、焚き増し量が2倍になっても輸入額に変化はない。

中日新聞:電気値上げ 燃料高値買いは背信だ
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2012022502000018.html

太田光征



財務省貿易統計 Trade Statistics of Japan
http://www.customs.go.jp/toukei/latest/index.htm
平成23年分貿易統計(確定)
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/2011/2011_117.pdf

原油および粗油は2010年と比べ重量で2.7%減、輸入価格で21.4%増。石炭は重量で5.1%減、価格で16.5%増。液化天然ガス(LNG)は重量で12.2%増、価格で37.9%増。液化石油ガス(LPG)は重量で2.7%増、価格で14.3%増。鉱物性燃料全体の価格は25.4%増。増えているのはLNGとLPGだけで、急増というほどではない。単に単価が上昇しているだけ。

2010年度はどうか。

平成22年分貿易統計(確定)
http://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/2010/2010_117.pdf

原油および粗油は2009年と比べ重量で0.8%増、輸入価格で22.4%増。石炭は重量で14.1%増、価格で2.6増。LNGは重量で8.5%増、価格で22.8増。LPGは重量で0.9%減、価格で31.8%増。鉱物性燃料全体の価格は22.5%増。

LNG輸入量(重量)の増加は2010年も起こっていて、原発のほとんどが停止した2011年に特徴的なことではない。鉱物性燃料全体の価格上昇率は2010年でも2011年でもほとんど変わらない。

産経新聞は、鉱物性燃料全体の輸入価格増加分4兆4000億円をあたかも発電燃料費の増加分であるかのように書き立てている。

火力発電燃料の主役は石油でも石炭でもなくLNGであって、輸入量が増加したLNGとLPGの輸入価格増加分は1兆4000億円でしかない。


[参考]

「2011年の貿易収支赤字」主要因は「原発停止による燃料量増加」ではありません
http://www.hirax.net/diaryweb/2012/02/11.html

2011年の石油と石油製品の輸入(数量、平均単価との関係)【訂正版】
http://twitpic.com/8ddds7
2009〜2011年の化石燃料の輸入(輸入量と輸入額)。ただし、荒い計算なので燃料以外も入っている。
http://twitpic.com/8i32hu

第27類 鉱物性燃料及び鉱物油並びにこれらの蒸留物、歴青物質並びに鉱物性ろう
http://www.customs.go.jp/tariff/2012_3/data/i201203j_27.htm
天然ガスの9桁番号:271111000
貿易統計 :統計品別推移表 :条件入力 :財務省貿易統計 Trade Statistics of Japan
http://www.customs.go.jp/toukei/srch/index.htm?M=77&P=0

貿易統計:液化天然ガス:輸入CIF価格:統計情報サービス
http://toukei-is.com/h/?p=3050103&f=00
貿易統計:原油及び粗油:輸入CIF価格:統計情報サービス
http://toukei-is.com/h/?p=30301&f=00

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