真っ当な勧告です。国連人権理事会から言われるとはね。
◇ 避難基準「人権に基づき1ミリシーベルト以下に抑えるべきだ」
◇ 甲状腺検査以外にも内部被ばく検査を
◇「子ども・被災者生活支援法」を執行せよ
太田光征
福島第1原発事故:国連報告書「福島県健康調査は不十分」− 毎日新聞 2013年05月24日
http://mainichi.jp/select/news/20130524k0000e040260000c.html
2013年03月23日
福島原発事故でチョウに異常 琉球大チーム調査(写真・ビデオ付き)
中日新聞:福島原発事故でチョウに異常 琉球大チーム調査
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012081001003078.html
写真:
Biologist on Mutated Butterflies: Study is overwhelming in its implications for humans ― Japan Researcher: Insects were believed to be very resistant to radiation ― Irregularly developed eyes, malformed antennae, much smaller wings (PHOTO)
http://enenews.com/university-biologist-on-mutated-butterflies-study-is-overwhelming-in-its-implications-for-humans-japan-researcher-insects-believed-to-be-very-resistant-to-radiation-irregularly-developed-e
論文(写真あり、2013年3月23日、追記):
The biological impacts of the Fukushima nuclear accident on the pale grass blue butterfly : Scientific Reports : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/srep/2012/120809/srep00570/full/srep00570.html
和文:
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/bcphunit/Hiyama_et_al_2012_verJP.pdf
ドイツ報道 福島第1原発事故でチョウに異常 琉球大チーム調査(2012年10月20日、追記)
http://www.youtube.com/watch?v=MokHVaQrPn8
太田光征
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2012081001003078.html
写真:
Biologist on Mutated Butterflies: Study is overwhelming in its implications for humans ― Japan Researcher: Insects were believed to be very resistant to radiation ― Irregularly developed eyes, malformed antennae, much smaller wings (PHOTO)
http://enenews.com/university-biologist-on-mutated-butterflies-study-is-overwhelming-in-its-implications-for-humans-japan-researcher-insects-believed-to-be-very-resistant-to-radiation-irregularly-developed-e
論文(写真あり、2013年3月23日、追記):
The biological impacts of the Fukushima nuclear accident on the pale grass blue butterfly : Scientific Reports : Nature Publishing Group
http://www.nature.com/srep/2012/120809/srep00570/full/srep00570.html
和文:
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/bcphunit/Hiyama_et_al_2012_verJP.pdf
ドイツ報道 福島第1原発事故でチョウに異常 琉球大チーム調査(2012年10月20日、追記)
http://www.youtube.com/watch?v=MokHVaQrPn8
太田光征
2012年09月29日
山下俊一氏による長崎、福島での子ども甲状腺検査の結果を比較できるのか?
山下俊一氏による長崎、福島での子ども甲状腺検査の結果を比較できるのかできないのか、論争になっています。
長崎での検査:
Urinary Iodine Levels and Thyroid Diseases in Children; Comparison between Nagasaki and Chernobyl
https://www.jstage.jst.go.jp/article/endocrj1993/48/5/48_5_591/_pdf
福島での検査:
福島県の子ども甲状腺検査:嚢胞有病率の上昇と被ばくレベルの関係http://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/293739672.html
この問題で重要なのは、比較できないと主張するなら、そのように論評して済ますことでなく、福島の子どもたちの甲状腺の状態を正確につかむことができるよう、そのような検査をしろ、説明責任を果たせ、と山下氏に迫ることのはずです。
参考情報・「深川市立病院関係者からの、重要情報です。」に関連して
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/78b471136874dc23e81164cfb7fddf42
「つまり二つの調査は、同じ結果を示しているということになります。『現在時点においては、福島の子どもに何ら異常は見られない』というのが、長崎のデータと比較した結論になるはずです。」
「私の投稿は「結節」と「のう胞」を取り違えているとの指摘でした。その通りですので、訂正します。ただし、この訂正で結論全体が左右されることはありません。」
「5mm未満が含まれていないゴメリデータや長崎大学調査データと、5mm未満が含まれている福島データを比較しても無意味であるというのが、私の意見です。この結論は、いまも変わりません。」
放射線の健康影響をめぐる誤解 片瀬久美子
http://webronza.asahi.com/synodos/2012071900001.html
片瀬氏の場合は、「長崎の調査では250人と被験者数が少ないので、結果の誤差がその分大きくなっている」と認め、全体として比較できないのだ、という論旨でありながら、「分類の基準を合わせてデータを比較してみると、福島と長崎の検査結果の差はほとんどないことが分かりました」で終わっています。
見た目の数字の差はその通りですが、ご自分の論に従えば、実態は分からない、だから明らかにすべきだ、ということになるのが、当然でしょう。
太田光征
長崎での検査:
Urinary Iodine Levels and Thyroid Diseases in Children; Comparison between Nagasaki and Chernobyl
https://www.jstage.jst.go.jp/article/endocrj1993/48/5/48_5_591/_pdf
福島での検査:
福島県の子ども甲状腺検査:嚢胞有病率の上昇と被ばくレベルの関係http://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/293739672.html
この問題で重要なのは、比較できないと主張するなら、そのように論評して済ますことでなく、福島の子どもたちの甲状腺の状態を正確につかむことができるよう、そのような検査をしろ、説明責任を果たせ、と山下氏に迫ることのはずです。
参考情報・「深川市立病院関係者からの、重要情報です。」に関連して
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/78b471136874dc23e81164cfb7fddf42
「つまり二つの調査は、同じ結果を示しているということになります。『現在時点においては、福島の子どもに何ら異常は見られない』というのが、長崎のデータと比較した結論になるはずです。」
「私の投稿は「結節」と「のう胞」を取り違えているとの指摘でした。その通りですので、訂正します。ただし、この訂正で結論全体が左右されることはありません。」
「5mm未満が含まれていないゴメリデータや長崎大学調査データと、5mm未満が含まれている福島データを比較しても無意味であるというのが、私の意見です。この結論は、いまも変わりません。」
放射線の健康影響をめぐる誤解 片瀬久美子
http://webronza.asahi.com/synodos/2012071900001.html
片瀬氏の場合は、「長崎の調査では250人と被験者数が少ないので、結果の誤差がその分大きくなっている」と認め、全体として比較できないのだ、という論旨でありながら、「分類の基準を合わせてデータを比較してみると、福島と長崎の検査結果の差はほとんどないことが分かりました」で終わっています。
見た目の数字の差はその通りですが、ご自分の論に従えば、実態は分からない、だから明らかにすべきだ、ということになるのが、当然でしょう。
太田光征
福島県の子ども甲状腺検査:結節・嚢胞とは何か
福島の子ども甲状腺検査の結果が公表されても、その意味するところを客観的なデータで説明すべき責任を、福島県立医大の山下俊一氏、鈴木眞一氏が果たそうとしない。
福島で行われている超音波検査の検出下限が何mmなのか、関心のあるところなのに、自ら進んで一般に説明しようとしない。それは、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)のカラモスコス医師の質問によって、1mmであるということが分かった。
2000年代の諸論文によれば、子どもの甲状腺nodule(結節・嚢胞)の有病率は超音波検査の場合、おしなべて数パーセントであるが、超音波検査におけるサイズの基準は判然としない。
ただ、2000年の論文で既に高周波(7–10-MHz)による解像度1–2 mmの超音波診断装置が取り上げられている。
福島の子ども甲状腺検査ではnoduleのサイズが重要な診断基準になっているが、noduleの悪性度はそのサイズに関係がないことを示す研究(むしろ福島検査でA2判定として原則的に切り捨てている2–4 mmのリスクが一番大きい)もあり、米国内分泌学会などによる診断ガイドラインでは、穿刺吸引細胞診(FNA)を実施すべきカテゴリーの1つとして、noduleサイズに関係なく「小児期または青年期に頸部放射線照射の既往歴を持つ患者」を挙げている。
こうした点でも山下氏らによる検査の信頼性に疑問を抱かざるを得ない。
また、嚢胞よりも充実性結節の影響が心配されるが、原爆生存者の甲状腺がん発症率は、有意性はないものの、嚢胞群が結節なしの対照群と比べて高いという結果になっている。
以下、甲状腺異常に関して、福島県の子ども甲状腺検査との関係で重要だと思われる論文等を紹介したい。
(1)nodule(「結節」と翻訳)は日本語の「結節」(しこり)と嚢胞(液胞)を含む概念
(2)ほとんどのnoduleは部分的に嚢胞性で充実性要素を伴い、純粋な嚢胞はnoduleの約1%のみ
(3)noduleの超音波検査による有病率は、子どもで数パーセント、大人で数十パーセント
(4)放射線全体照射を受けた小児における甲状腺noduleの発生率は28%(照射:5.7-11.4歳、最後の超音波検査:11.2-17歳)
(5)外部放射線療法を16歳未満で受けた子どもでは、甲状腺noduleの数・サイズと悪性リスクの相関関係はなく(nodule数によって悪性率は一定だが、個人におけるがん発症リスクはnodule数が多いほど高く、むしろ2–4 mmのリスクが一番大きい)、サイズのみでは悪性リスクを予測できない
(6)原爆生存者の甲状腺がん発症率は、有意性はないものの、嚢胞群が結節なしの対照群と比べ高い(放影研の研究)
(7)米国内分泌学会などによる甲状腺noduleの診断ガイドラインでは、穿刺吸引細胞診(FNA)を実施すべきカテゴリーの1つとして、「小児期または青年期に頸部放射線照射の既往歴を持つ患者(全サイズ)」を挙げている
(英語論文の翻訳以外のコメント・抄訳・説明などを[]や→で示す)
(1)nodule(「結節」と翻訳)は日本語の「結節」(しこり)と嚢胞(液胞)を含む概念
米国立衛生研究所のサイトなどで説明されているように、(英語圏における)thyroid noduleは「液胞としての嚢胞」、「甲状腺細胞の増殖塊」を包含する概念。
Thyroid nodule: MedlinePlus Medical Encyclopedia
http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/007265.htm
Thyroid nodules are growths of cells in the thyroid gland. These growths can be:
- Not cancer (benign) or thyroid cancer
- Fluid-filled (cysts) or made up of thyroid gland cells
- One nodule or a group of small nodules
noduleは「結節」と翻訳され、「結節」は通常、solid nodule(充実性結節)の意味で使用される。
(2)ほとんどのnoduleは部分的に嚢胞性で充実性要素を伴い、純粋な嚢胞はnoduleの約1%のみ
Thyroid nodule
http://xa.yimg.com/kq/groups/27727179/133648563/name/DisMonth_486%5B1%5D.pdf
Usha Sriram, MD
Lydia Marie Patacsil, MD
Most nodules are partially cystic with a solid element. Pure cysts comprise only about 1% of nodules.
ほとんどのnoduleは部分的に嚢胞性で、充実性要素を伴う。純粋な嚢胞はnoduleの約1%のみである。
Thyroid nodules in children are uncommon with a prevalence of 0.22% in 9- to 16-year-olds and 1.8% in 11- to 18-year-olds.
*
チェルノブイリ核事故前後に北イタリアで生まれた小児における甲状腺疾患
Thyroid disease in northern Italian children born around the time of the Chernobyl nuclear accident
http://annonc.oxfordjournals.org/content/15/12/1842.full
Ann Oncol (December 2004) 15
F. Chiesa1 et al
Patients and methods: As the latency between exposure to ionising radiation and development of thyroid cancer is thought to be about 10 years, in 1996/1997 all children born in 1985 and 1986 and attending school in an area of Milan, Italy were examined for thyroid nodules. A total of 3949 children were examined by two physicians blinded to the examination and diagnosis of the other. The children were to be reassessed in 2001/2002.
[イタリア・ミラノで1985、86年に生まれた10歳の小児3949人の甲状腺を調べた。]
Results: In total, 1% had palpable nodules. The nodule diagnoses were: Hurtle cell adenoma (one), thyroglossal duct cyst (one), thyroid cyst (four) and thyroiditis (four). The prevalence of thyroid disease in the cohort was indistinguishable from that of populations not exposed to radioactive pollution. Only 10 children re-presented for examination 5 years later; all were negative. The direct costs of the study were estimated at € 21 200.
全体で、1%が触診可能なnoduleを有していた。noduleは、ハースル細胞腺腫(1)、甲状舌管嚢胞(1)、甲状腺嚢胞(4→0.1%)、甲状腺炎(4)と診断された。本コホートにおける甲状腺疾患の有病率は、放射性汚染物質への曝露を受けていない群のそれと区別できなかった。(→noduleの中に嚢胞を含めている実例)
(3)noduleの超音波検査による有病率は、子どもで数パーセント、大人で数十パーセント
2000年の論文で解像度1–2 mmの超音波診断装置が取り上げられている
http://radiology.rsna.org/content/215/3/801.long
Importance of Thyroid Abnormalities Detected at US Screening: A 5-year Follow-up
June 2000 Radiology, 215, 801-806.
Antti E. E. Brander, MD, Veli P. Viikinkoski, MD, Juha I. Nickels, MD and Leena M. Kivisaari, MD
High-frequency (7–10-MHz) US provides excellent resolution and enables detection of focal thyroid lesions 1–2 mm in diameter (9).
高周波(7–10-MHz)の超音波診断装置は解像度に優れ、直径1–2 mmの局所甲状腺病変の検出が可能(9)。(→超音波診断装置の精度が上がったので、福島県の子どもの甲状腺検査で高い検出率になった、という説明は何なのか?)
(9)Stark DD, Clark OH, Gooding GA, Moss AA. High-resolution ultrasonography and computed tomography of thyroid lesions in patients with hyperparathyroidism. Surgery 1983; 94:863-868.
*
核戦争防止国際医師会議(IPPNW)のカラモスコス医師の発言
IPPNWの医師の甲状腺異常に対する見解について
http://fukushimavoice.blogspot.jp/2012/09/ippnw.html
「実際、福島県立医科大学の鈴木医師は、検査結果には直径1ミリの結節が含まれていると言われてました。今までの研究ではこんなに小さなサイズの結節は含まれていませんでした。なので、結節が35%の子供たちに見つかっても、驚くことではありません。」
*
欧州小児内分泌学会のサイトに掲載されている最近(2009年の参考文献が掲載されている)のJuliane Legérによる解説
Management of Thyroid Nodules in Children
http://www.eurospe.org/clinical/CPC%20Docs/ManagementOfThyroidNodulesInChildren.pdf
Estimates of the prevalence of thyroid nodules in children depend on the method of detection, ranging from 1 to 1.5% for detection by palpation to 3% for detection on ultrasound scans.
子どもにおける甲状腺noduleの有病率の推計値は検査方法に依存し、触診で1〜1.5%、超音波検査で〜3%と異なる。
*
http://www.appliedradiology.com/Issues/2007/03/Articles/Thyroid-nodules--When-to-biopsy.aspx
Thyroid nodules: When to biopsy
Applied Radiology, Volume 36, Number 3, March 2007
Fauzia Q. Vandermeer, MD and Jade Wong-You-Cheong, MD(University of Maryland Medical Center)
Thyroid nodules are extremely common. In a frequently cited postmortem series, nodules were found in 50% of the study population. 1 Thyroid nodules are more prevalent with increasing age, but the majority of these nodules are undetectable by physical examination. 2 Palpable nodules occur in 4% to 7% of the population; however, high-resolution ultrasonography (US) reveals nodules as small as 2 mm in 35% to 67% of the general population.
甲状腺noduleは年齢とともに増加するが、これらnoduleのほとんどは身体診察で検出できない。触診可能なnoduleは一般群の4〜7%で見られるが、高解像度の超音波検査(US)では一般群の35〜67%において2 mmほどの小さなnoduleを検出することができる。
*
http://www.turkjpath.org/text.php3?id=1429
2010, Cilt 26, Sayı 2, Sayfa(lar) 147-152
DOI: 10.5146/tjpath.2010.01012
Fine Needle Aspiration Cytology of Pediatric Thyroid Nodules
Ayper KAÇAR1, İrem PAKER2, Gülşah KABAÇAM BAYRAM3, Fatma DEMİREL4, Emrah ŞENEL5, Murat KIZILGÜN6
The incidence of thyroid nodules in children by clinical examination is estimated at 1-1.5%. The incidence of a thyroid nodules in the general population is 19-35%. Malignancy develops in less than 5% of these1 while this rate can go up to 25% in childhood thyroid nodules1-5. There are also reports of a low incidence (2%) of malignancy development in nodules in this age6.
子どもにおける甲状腺noduleの発生率は、臨床検査により1〜1.5%であると推定されている。一般群における甲状腺noduleの発生率は19〜35%である。これらのうち悪性になるのは5%未満であるが、子どもの甲状腺noduleでは最大25%に達することがある。この年齢のnoduleでは悪性腫瘍の発生率は低い(2%)との報告もある。
*
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18806721
Pediatr Endocrinol Rev. 2008 Sep;6(1):14-23.
Thyroid nodules and cancers in children.
Josefson J, Zimmerman D.
Division of Endocrinology, Children's Memorial Hospital, Chicago, IL 60614, USA. JJosefson@childrensmemorial.org
The incidence of thyroid nodules in children is estimated to be 1 to 1.5% based on clinical examination. Children with thyroid nodules, compared to adults with thyroid nodules, have a fourfold greater risk of developing malignant thyroid disease.
小児における甲状腺noduleの発生率は臨床検査により1〜1.5%であると推定される。甲状腺noduleを有する小児は、甲状腺noduleを有する大人と比べ、悪性甲状腺疾患を発症するリスクが4倍高い。
*
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16596732?dopt=Abstract
Endocr Pract. 2006 Jan-Feb;12(1):63-102.
American Association of Clinical Endocrinologists and Associazione Medici Endocrinologi medical guidelines for clinical practice for the diagnosis and management of thyroid nodules.
Gharib H, Papini E, Valcavi R, Baskin HJ, Crescenzi A, Dottorini ME, Duick DS, Guglielmi R, Hamilton CR Jr, Zeiger MA, Zini M; AACE/AME Task Force on Thyroid Nodules.
Endocr Pract. 2008 Sep;14(6):802-3.
Thyroid nodules are common and are frequently benign. Current data suggest that the prevalence of palpable thyroid nodules is 3% to 7% in North America; the prevalence is as high as 50% based on ultrasonography (US) or autopsy data.
甲状腺noduleは一般的に見られるもので、通常は良性である。現在得られているデータによれば、触診可能な甲状腺noduleの有病率は北米において3%〜7%で、超音波検査(ultrasonography、US)ないし生検による場合は50%ほどとなる。
*
http://www.hindawi.com/journals/jtr/2011/845362/
Journal of Thyroid Research
Volume 2011 (2011), Article ID 845362, 7 pages
doi:10.4061/2011/845362
Review Article Thyroid Carcinoma in Children and Adolescents−Systematic Review of the Literature
Fernanda Vaisman, Rossana Corbo, and Mario Vaisman
Palpable thyroid nodules can be diagnosed in 4 to 7% of the adult population. The high-resolution ultrasounds are able to detect nodules around 19% of the adult population, reaching up to 67% in populations at higher risk such as women and elderly individuals [1]. Considering autopsy series, this prevalence can reach 50%. Although common, only 5% are malignant [2].
触診可能な甲状腺noduleは、大人の4〜7%で診断される。高解像度の超音波検査を使えば、大人の約19%で結節を検出可能で、女性や高齢者などよりリスクの高い群では最大67%にも達する。剖検の例を考慮すれば、noduleの有病率は50%に達し得る。noduleは一般的であるが、わずか5%が悪性となる。
The incidence of clinically palpable thyroid nodules in children is estimated to be around 1–1.5%. However, in teenagers, this prevalence may reach 13% [8]. When compared to adults, children have four times greater risk of malignancy when a thyroid nodule is diagnosed. In the US, around 350 individuals aged less than 20 years receive the diagnosis of thyroid carcinoma annually [9]. In Brazil, the incidence can reach 2% of all pediatric cancers according to the National Cancer Institute database [10].
小児において臨床的に触診可能な甲状腺noduleの発生率は約1〜1.5%と推定されている。しかし、10代では13%に達する。小児は大人と比べ、甲状腺noduleの診断における悪性リスクは4倍になる。米国では年間、20歳未満の約350人が甲状腺がんと診断されている。米国立がん研究所のデータベースによれば、ブラジルでは甲状腺がんの発生率は全小児がんの2%に達する。
First, the tumor volume tends to be larger in patients with less than 20 years old when compared to patients diagnosed between 20 and 50 years [24]. Zimmerman et al. already showed, in 1988 [25], that newly diagnosed tumors were greater than 4 cm in 36% of children as opposed to 15% of adults and had less than 1 cm in 9% of children as opposed to 22% of adults. In series contemplating only patients with papillary carcinoma, only 1.5–3% of tumors had less than 1 cm size at diagnosis [26, 27].
腫瘍のサイズは、20歳未満の患者が20〜50歳の間に診断された患者と比べ、大きくなる傾向がある。
The prognosis of these tumors in childhood is a very interesting issue. Despite having a greater recurrence rate when compared to adults, survival seems to be better [55]. Mazzaferri and Kloos in a series with 16.6 years of followup, found a recurrence rate, in patients with less than 20 years old, around 40%, while those with more than 20 years of age had 20% recurrence rates [24]. In contrast, survival is greater than in adults. In a study done in Minsk with a large cohort of 741 patients, the survival rate was 99.3% in 5 years and 98.5% in 10 years in a pediatric population [56].
小児におけるこれらの腫瘍の予後は、非常に興味深い問題である。大人と比べ、再発率が大きいものの、生存率は高いように思われる。
Age seems to be a very important prognostic factor in thyroid cancer. Children and adolescents are usually classified as having a better prognosis and they are classified together with all patients under 45 years old. However, Lazar et al. showed that patients with less than 10 years, mainly prepubertal, had a worse prognosis than the older and more advanced pubertal stages patients [34].
年齢が甲状腺がんにおいては非常に重要な予後因子らしい。小児および青年は通常、予後が良好であると分類され、45歳未満の患者すべてと同じ分類に属する。しかし、Lazarらは、10歳未満、主に思春期前の患者は、それより年齢が高い患者および思春期が早く進行している段階の患者よりも予後が不良であることを示している。
(4)放射線全体照射を受けた小児における甲状腺noduleの発生率は28%(照射:5.7-11.4歳、最後の超音波検査:11.2-17歳)
小児期における造血幹細胞移植に先立つ放射線全体照射の後における良性および悪性の甲状腺nodule
http://www.eje-online.org/content/early/2012/05/22/EJE-12-0073.abstract
Malignant and benign thyroid nodules after total body irradiation preceding hematopoietic cell transplantation during childhood
Eur J Endocrinol May 22, 2012 EJE-12-0073
Correspondence: Juliane Leger, Email: juliane.leger@rdb.ap-hop-paris.fr
Methods: We conducted a retrospective university hospital-based observational study. The participants were 76 patients receiving fractionated TBI between 1989 and 2009 as part of the conditioning regimen for HSCT to treat malignant hematologic disease, with a median age of 8.2 (5.7-11.4) years, for whom the last ultrasound examination was performed at a median age of 14.2 (11.2-17) years. The main outcome measure was cumulative incidence of thyroid nodules detected by ultrasound scans, followed by biopsy if necessary.
研究対象は、血液悪性疾患を治療するための造血幹細胞移植における前処置の一環として、年齢中央値8.2歳(5.7-11.4歳)で1989年から2009にかけ、放射線分割全体照射(fractionated TBI)を受けた患者76人である。超音波検査を最後に実施した時の年齢中央値は14.2歳(11.2-17歳)であった。
Results: Thyroid nodules were demonstrated in 21 patients (28%), six of whom (29%) were diagnosed with thyroid carcinoma 2.2 to 18.6 years after TBI. The cumulative incidence of nodule occurrence increased with increasing time from diagnosis. The 10-year cumulative incidence of benign and malignant thyroid nodules was 16% (95% CI, 4 to 27%) and 8% (9% CI, 0 to 16%), respectively. Seventeen patients (22%) had hypothyroidism (compensated n=12, in 5 of whom it was transient). No significant independent risk factors were identified in the multivariable competing risk model as a function of nodule occurrence.
甲状腺noduleは21人(28%)で認められ、うち6人(29%)がTBIから2.2〜18.6年後に甲状腺がんと診断されている。noduleの累積発生率は診断から時間を経るごとに増加した。10年間における良性および悪性の甲状腺noduleの累積発生率はそれぞれ、16%、8%であった。
*
Evaluation of Solitary Thyroid Nodule
http://emedicine.medscape.com/article/850823-overview
Author: Daniel J Kelley, MD; Chief Editor: Arlen D Meyers, MD, MBA
Exposure of the head and neck to ionizing radiation increases the incidence of thyroid nodules. Radiation treatments were not uncommon in the first half of the twentieth century for benign conditions such as acne, adenotonsillar hypertrophy, and enlarged thymus glands. The prevalence rate of thyroid nodules in radiation-exposed patients increases significantly, ie, 16-31% relative to the general population. A direct dose-response relationship between thyroid nodularity and radiation to the head and neck region also exists.
放射線照射群における甲状腺noduleの有病率は、一般群と比べ有意に16-31%増加する。
(5)外部放射線療法を16歳未満で受けた子どもでは、甲状腺noduleの数・サイズと悪性リスクの相関関係はなく(nodule数によって悪性率は一定だが、個人におけるがん発症リスクはnodule数が多いほど高く、むしろ2–4 mmのリスクが一番大きい)、サイズのみでは悪性リスクを予測できない
手術を受けた放射線照射患者における甲状腺noduleのサイズ・数・分布と悪性腫瘍リスク
Size, Number, and Distribution of Thyroid Nodules and the Risk of Malignancy in Radiation-Exposed Patients Who Underwent Surgery
http://jcem.endojournals.org/content/93/6/2188.full
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism June 1, 2008 vol. 93 no. 6 2188-2193
Dan V. Mihailescu and Arthur B. Schneider
Results: There were 612 malignant nodules in 358 patients and 2037 benign ones in 930 patients. There was no change in the risk that a nodule was malignant with increasing size (odds ratio 0.91/cm, P = 0.11) among the 1709 nodules that were 0.5 cm or greater. A solitary nodule had a similar likelihood of being malignant as a nodule that was one of several (18.8 vs. 17.3%), whereas patients with multiple nodules were more likely to have thyroid cancer than those with solitary nodules [30.7 vs. 18.7%; risk ratio 1.64 (1.27–2.13)]. Aspirating only the largest nodule would have missed 111 of the cancers (42%), whereas aspirating the two largest nodules would have missed 45 of the cases (17%), although none would have been 10 mm or greater.
[TABLE 2. nodule(1mm以下の微小noduleは除く)の悪性率は孤立性で18.7%、2つで18.9%、3つで16.5%、4つ以上で16.7%、多発性全体で17.3%と、数によって変わらない。]
[Fig. 2. 甲状腺がん患者297人において1番目と2番目に大きなnoduleのみを穿刺吸引細胞診(FNA)で調べると、45人(17%、がんサイズにして10mm以下)が見落とされる可能性がある。]
Conclusions: In radiation-exposed patients, the following conclusions were made: 1) the likelihood that a nodule is malignant is independent of nodule number and size; 2) the likelihood of cancer is increased if more than one nodule is present; 3) evaluating the two largest nodules by fine-needle aspiration would have resulted in a significant number of cases being missed but none with large cancers; and 4) more than half of the patients with thyroid cancer had multifocal tumors.
甲状腺がん患者の半数以上は多発性である。
In radiation-exposed patients, the likelihood that a nodule is malignant is independent of its size and how many nodules are present. The chance that a patient has cancer is increased when more than one nodule is present. These findings also support the recommendation in recently published guidelines that radiationexposed patients should receive special attention in terms of diagnostic evaluation.
放射線被ばくを受けた患者においては、noduleが悪性かどうかはサイズや数に依存しない。がんが発症する確率は2つ以上のnoduleの場合に増大する。放射線被ばくを受けた患者は診断という点で特別な注意を要するというガイドライン(→さらに最近のガイドラインを下記で説明)が最近公表されたが、以上の知見は同ガイドラインの勧告を支持している。
Childhood radiation exposure increases the chance that a person will develop both benign and malignant thyroid nodules (1, 2, 3). Recently several endocrine organizations have released guidelines for evaluating and managing thyroid nodules (4, 5, 6, 7). They all recognize that in radiation-exposed patients, the size of a thyroid nodule alone is an inadequate predictor of the risk of malignancy and suggest that all nodules, including the small ones (<10 mm), should undergo fine-needle aspiration (FNA) evaluation. Additionally, they recommend total thyroidectomy when surgery is indicated in a radiation-exposed patient (5, 6, 7).
小児においては放射線被ばくによって良性・悪性の甲状腺noduleができやすくなる。最近、幾つかの内分泌学界が甲状腺noduleの評価・管理のためのガイドラインを公表した。これらはすべて、放射線被ばくを受けた患者においては、甲状腺noduleのサイズのみでは悪性リスクの予測因子としては不十分であること、また小さなnodule(10 mm未満)を含め、すべてのnoduleで穿刺吸引細胞診(FNA)評価を受けるべきことを認めている。また、放射線被ばく患者に手術が必要な場合は、甲状腺全摘術が勧告されている。
We have been studying a cohort of 4296 radiation-exposed patients treated for benign conditions in the head and neck area predominantly in the 1940s and 1950s; 1059 patients subsequently had surgery for nodular thyroid disease and form the basis of the current study. The goal was to use the surgical findings to evaluate the recently promulgated recommendations by determining how the size of a thyroid nodule, the number of nodules, and the distribution of nodules influence the risk of malignancy in radiation-exposed patients.
主に1949年代、50年代に頭頸部の良性症状で放射線治療を受けた患者4296人のコホート研究を行っている。うち1059人がその後、nodule性甲状腺疾患の治療で手術を受けており、これが現在進行中の研究の基盤となっている。
We performed a retrospective analysis of data obtained in a cohort study of 4296 patients who were younger than 16 yr of age when they received external radiation treatments for various benign conditions of the head and neck area from 1939 to 1962 at Michael Reese Hospital in Chicago. The Thyroid Follow-up Program began in 1974 when an effort was made to contact all irradiated patients, inform them about the radiation exposure, and invite them to participate in the study (8, 9).
レトロスペクティブ分析を行った。対象となるデータは、シカゴのマイケル・リース病院で1939年から1962年にかけ、頭頸部の種々の良性症状で外部放射線療法を当時16歳未満で受けた患者4296人から得られたものである。
The first finding of this study is that the likelihood that a radiation-related nodule is malignant is essentially independent of its size and the presence of other nodules. The decrease in cancer risk with increasing size is too small to be of any practical consequence and was seen only when we included very small (2–4 mm) nodules.
放射線関連のnoduleが悪性となるかどうかは本質的にそのサイズ、その他のnoduleの存在に関係ない。サイズの増加に伴うがんリスクの低減は非常に小さいため実際的影響はなく、この関係は非常に小さいnodule(2–4 mm)を含めた場合にのみ見られた(→Fig.1、2–4 mmのリスクが一番大きい)。
It is likely that many of these small nodules would not have been detected clinically before surgery. The American Thyroid Association guidelines recommend FNA evaluation of nodules larger than 1–1.5 cm with suspicious sonographic appearance or of the largest nodule only if none has suspicious sonographic features (5). The American Association of Clinical Endocrinologists and Associazione Medici Endocrinologi recommendations for evaluating patients with multiple nodules differ because they consider the ultrasound features the principal indication for evaluating nodules irrespective of their size (7). However, in the case of radiation-exposed patients, the guidelines from both organizations are concordant, recommending FNA evaluation of small, i.e. less than 1 cm thyroid nodules as well. Our results provide additional evidence to support the latter recommendation because we did not find any relation between the number of nodules and the risk of malignancy and only a very small effect of nodule size. The results reported by Imaizumi et al. (16) in atomic bomb survivors, in which both nodule volume and nodule volume change over time were not predictive of thyroid cancer, support this conclusion.
noduleの数と悪性リスクの相関関係は見いだすことができず(→悪性率は一定だが、個人におけるがん発症リスクはnodule数が多いほど高い)、noduleサイズに非常に小さな効果があるのみであった。Imaizumi(→放影研、下記掲載)らによる原爆生存者の研究ではnoduleサイズとnoduleサイズの経時変化はいずれも甲状腺がんの予測因子にならなかったが、この結果は今回の結論を支持している。
(6)原爆生存者の甲状腺がん発症率は、有意性はないものの、嚢胞群が結節なしの対照群と比べ高い(放影研の研究)
Long-Term Prognosis of Thyroid Nodule Cases Compared with Nodule-Free Controls in Atomic Bomb Survivors
http://jcem.endojournals.org/content/90/9/5009.abstract?ijkey=8499cf3d04c187e1e2978a2adaad2a6f67c394d5&keytype2=tf_ipsecsha
Misa Imaizumi et al
Design, Setting, and Participants: This prospective study comprised 2637 atomic bomb survivors (mean age, 59 yr; 1071 men and 1566 women) who participated in the baseline thyroid study of the Nagasaki Radiation Effects Research Foundation from 1984 through 1987. The participants were divided into three groups at baseline by ultrasound findings: 82 cases of solid thyroid nodules other than cancer, 121 cases of thyroid cysts, and 2434 thyroid nodule-free controls.
本前向き研究は、1984年から1987年にかけて放射線影響研究所(長崎)の甲状腺ベースライン調査に参加した原爆生存者2637人(年齢中央値59歳、男性1071人、女性1566人)を対象とした。被験者は超音波検査の所見によってベースライン時に3群、すなわちがんでない充実性甲状腺結節の有所見者82人、甲状腺嚢胞の有所見者121人、甲状腺結節の無所見者2434人に分けた。(→例によって、研究開始が遅く、それ以前の影響を切り捨て、被爆者を対象群にしている点が、放影研の決定的限界。)
Results: During the follow-up period, six thyroid cancer cases (7.3%) were found in the solid nodule group, seven cases in the controls (0.3%), and one case (0.8%) in the cyst group. In 31 cases with solid nodules diagnosed as benign, three cases (9.7%) developed thyroid cancer. The hazard ratio (HR) for cancer development was significantly high at 23.6 [95% confidence interval (CI), 7.6–72.8] in the solid nodule group (HR, 40.2; 95% CI, 9.4–173.0 in 31 people with solid nodules diagnosed as benign) but not in the cyst group (HR, 2.7; 95% CI, 0.3–22.2), after controlling for age and sex. Sex, age, TSH level, thyroglobulin level, radiation dose, nodule volume, and increase in nodule volume did not predict cancer development in the solid nodule group.
フォローアップ期間中、甲状腺がんは6例(7.3%)が充実性結節群で、7例(0.3%)が対照群で、1例(0.8%)が嚢胞群で見られた。良性と診断された充実性結節の有所見者31人では、3例(9.7%)が甲状腺がんを発症した。がん発症のハザード比(HR)は、年齢と性で調節後、充実性結節群で23.6[95%信頼区間(CI)、7.6–72.8]と有意に高いが(良性と診断された充実性結節の有所見者31人では、HR, 40.2; 95% CI, 9.4–173.0)、嚢胞群では有意でなかった(HR, 2.7; 95% CI, 0.3–22.2)。性、年齢、TSH値、サイログロブリン値、放射線量、結節サイズ、結節サイズの増加は、充実性結節のがん化における予測因子とならなかった。
(7)米国内分泌学会などによる甲状腺noduleの診断ガイドラインでは、穿刺吸引細胞診(FNA)を実施すべきカテゴリーの1つとして、「小児期または青年期に頸部放射線照射の既往歴を持つ患者(全サイズ)」を挙げている
米国臨床内分泌学会・仏内分泌医学会・欧州甲状腺学会による甲状腺noduleの診断・管理のための臨床実務ガイドライン
http://act.umin.ne.jp/ThyroidGuidelines.pdf
American Association of Clinical Endocrinologists, Associazione Medici Endocrinologi, and European Thyroid Association Medical Guidelines for Clinical Practice for the Diagnosis and Management of Thyroid Nodules
3.7.2.1. How to Select Nodule(s) for FNA Biopsy (Grade B; BEL 3):
穿刺吸引細胞診(FNA)による生検対象とすべき甲状腺noduleの選別方法
o Of any size with patient history of neck irradiation in childhood or adolescence; PTC,MTC, or MEN 2 in first-degree relatives; previous thyroid surgery for cancer; increased calcitonin levels in the absence of interfering factors
小児期または青年期に頸部放射線照射の既往歴を持つ患者(全サイズ)
太田光征
福島で行われている超音波検査の検出下限が何mmなのか、関心のあるところなのに、自ら進んで一般に説明しようとしない。それは、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)のカラモスコス医師の質問によって、1mmであるということが分かった。
2000年代の諸論文によれば、子どもの甲状腺nodule(結節・嚢胞)の有病率は超音波検査の場合、おしなべて数パーセントであるが、超音波検査におけるサイズの基準は判然としない。
ただ、2000年の論文で既に高周波(7–10-MHz)による解像度1–2 mmの超音波診断装置が取り上げられている。
福島の子ども甲状腺検査ではnoduleのサイズが重要な診断基準になっているが、noduleの悪性度はそのサイズに関係がないことを示す研究(むしろ福島検査でA2判定として原則的に切り捨てている2–4 mmのリスクが一番大きい)もあり、米国内分泌学会などによる診断ガイドラインでは、穿刺吸引細胞診(FNA)を実施すべきカテゴリーの1つとして、noduleサイズに関係なく「小児期または青年期に頸部放射線照射の既往歴を持つ患者」を挙げている。
こうした点でも山下氏らによる検査の信頼性に疑問を抱かざるを得ない。
また、嚢胞よりも充実性結節の影響が心配されるが、原爆生存者の甲状腺がん発症率は、有意性はないものの、嚢胞群が結節なしの対照群と比べて高いという結果になっている。
以下、甲状腺異常に関して、福島県の子ども甲状腺検査との関係で重要だと思われる論文等を紹介したい。
(1)nodule(「結節」と翻訳)は日本語の「結節」(しこり)と嚢胞(液胞)を含む概念
(2)ほとんどのnoduleは部分的に嚢胞性で充実性要素を伴い、純粋な嚢胞はnoduleの約1%のみ
(3)noduleの超音波検査による有病率は、子どもで数パーセント、大人で数十パーセント
(4)放射線全体照射を受けた小児における甲状腺noduleの発生率は28%(照射:5.7-11.4歳、最後の超音波検査:11.2-17歳)
(5)外部放射線療法を16歳未満で受けた子どもでは、甲状腺noduleの数・サイズと悪性リスクの相関関係はなく(nodule数によって悪性率は一定だが、個人におけるがん発症リスクはnodule数が多いほど高く、むしろ2–4 mmのリスクが一番大きい)、サイズのみでは悪性リスクを予測できない
(6)原爆生存者の甲状腺がん発症率は、有意性はないものの、嚢胞群が結節なしの対照群と比べ高い(放影研の研究)
(7)米国内分泌学会などによる甲状腺noduleの診断ガイドラインでは、穿刺吸引細胞診(FNA)を実施すべきカテゴリーの1つとして、「小児期または青年期に頸部放射線照射の既往歴を持つ患者(全サイズ)」を挙げている
(英語論文の翻訳以外のコメント・抄訳・説明などを[]や→で示す)
(1)nodule(「結節」と翻訳)は日本語の「結節」(しこり)と嚢胞(液胞)を含む概念
米国立衛生研究所のサイトなどで説明されているように、(英語圏における)thyroid noduleは「液胞としての嚢胞」、「甲状腺細胞の増殖塊」を包含する概念。
Thyroid nodule: MedlinePlus Medical Encyclopedia
http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/ency/article/007265.htm
Thyroid nodules are growths of cells in the thyroid gland. These growths can be:
- Not cancer (benign) or thyroid cancer
- Fluid-filled (cysts) or made up of thyroid gland cells
- One nodule or a group of small nodules
noduleは「結節」と翻訳され、「結節」は通常、solid nodule(充実性結節)の意味で使用される。
(2)ほとんどのnoduleは部分的に嚢胞性で充実性要素を伴い、純粋な嚢胞はnoduleの約1%のみ
Thyroid nodule
http://xa.yimg.com/kq/groups/27727179/133648563/name/DisMonth_486%5B1%5D.pdf
Usha Sriram, MD
Lydia Marie Patacsil, MD
Most nodules are partially cystic with a solid element. Pure cysts comprise only about 1% of nodules.
ほとんどのnoduleは部分的に嚢胞性で、充実性要素を伴う。純粋な嚢胞はnoduleの約1%のみである。
Thyroid nodules in children are uncommon with a prevalence of 0.22% in 9- to 16-year-olds and 1.8% in 11- to 18-year-olds.
*
チェルノブイリ核事故前後に北イタリアで生まれた小児における甲状腺疾患
Thyroid disease in northern Italian children born around the time of the Chernobyl nuclear accident
http://annonc.oxfordjournals.org/content/15/12/1842.full
Ann Oncol (December 2004) 15
F. Chiesa1 et al
Patients and methods: As the latency between exposure to ionising radiation and development of thyroid cancer is thought to be about 10 years, in 1996/1997 all children born in 1985 and 1986 and attending school in an area of Milan, Italy were examined for thyroid nodules. A total of 3949 children were examined by two physicians blinded to the examination and diagnosis of the other. The children were to be reassessed in 2001/2002.
[イタリア・ミラノで1985、86年に生まれた10歳の小児3949人の甲状腺を調べた。]
Results: In total, 1% had palpable nodules. The nodule diagnoses were: Hurtle cell adenoma (one), thyroglossal duct cyst (one), thyroid cyst (four) and thyroiditis (four). The prevalence of thyroid disease in the cohort was indistinguishable from that of populations not exposed to radioactive pollution. Only 10 children re-presented for examination 5 years later; all were negative. The direct costs of the study were estimated at € 21 200.
全体で、1%が触診可能なnoduleを有していた。noduleは、ハースル細胞腺腫(1)、甲状舌管嚢胞(1)、甲状腺嚢胞(4→0.1%)、甲状腺炎(4)と診断された。本コホートにおける甲状腺疾患の有病率は、放射性汚染物質への曝露を受けていない群のそれと区別できなかった。(→noduleの中に嚢胞を含めている実例)
(3)noduleの超音波検査による有病率は、子どもで数パーセント、大人で数十パーセント
2000年の論文で解像度1–2 mmの超音波診断装置が取り上げられている
http://radiology.rsna.org/content/215/3/801.long
Importance of Thyroid Abnormalities Detected at US Screening: A 5-year Follow-up
June 2000 Radiology, 215, 801-806.
Antti E. E. Brander, MD, Veli P. Viikinkoski, MD, Juha I. Nickels, MD and Leena M. Kivisaari, MD
High-frequency (7–10-MHz) US provides excellent resolution and enables detection of focal thyroid lesions 1–2 mm in diameter (9).
高周波(7–10-MHz)の超音波診断装置は解像度に優れ、直径1–2 mmの局所甲状腺病変の検出が可能(9)。(→超音波診断装置の精度が上がったので、福島県の子どもの甲状腺検査で高い検出率になった、という説明は何なのか?)
(9)Stark DD, Clark OH, Gooding GA, Moss AA. High-resolution ultrasonography and computed tomography of thyroid lesions in patients with hyperparathyroidism. Surgery 1983; 94:863-868.
*
核戦争防止国際医師会議(IPPNW)のカラモスコス医師の発言
IPPNWの医師の甲状腺異常に対する見解について
http://fukushimavoice.blogspot.jp/2012/09/ippnw.html
「実際、福島県立医科大学の鈴木医師は、検査結果には直径1ミリの結節が含まれていると言われてました。今までの研究ではこんなに小さなサイズの結節は含まれていませんでした。なので、結節が35%の子供たちに見つかっても、驚くことではありません。」
*
欧州小児内分泌学会のサイトに掲載されている最近(2009年の参考文献が掲載されている)のJuliane Legérによる解説
Management of Thyroid Nodules in Children
http://www.eurospe.org/clinical/CPC%20Docs/ManagementOfThyroidNodulesInChildren.pdf
Estimates of the prevalence of thyroid nodules in children depend on the method of detection, ranging from 1 to 1.5% for detection by palpation to 3% for detection on ultrasound scans.
子どもにおける甲状腺noduleの有病率の推計値は検査方法に依存し、触診で1〜1.5%、超音波検査で〜3%と異なる。
*
http://www.appliedradiology.com/Issues/2007/03/Articles/Thyroid-nodules--When-to-biopsy.aspx
Thyroid nodules: When to biopsy
Applied Radiology, Volume 36, Number 3, March 2007
Fauzia Q. Vandermeer, MD and Jade Wong-You-Cheong, MD(University of Maryland Medical Center)
Thyroid nodules are extremely common. In a frequently cited postmortem series, nodules were found in 50% of the study population. 1 Thyroid nodules are more prevalent with increasing age, but the majority of these nodules are undetectable by physical examination. 2 Palpable nodules occur in 4% to 7% of the population; however, high-resolution ultrasonography (US) reveals nodules as small as 2 mm in 35% to 67% of the general population.
甲状腺noduleは年齢とともに増加するが、これらnoduleのほとんどは身体診察で検出できない。触診可能なnoduleは一般群の4〜7%で見られるが、高解像度の超音波検査(US)では一般群の35〜67%において2 mmほどの小さなnoduleを検出することができる。
*
http://www.turkjpath.org/text.php3?id=1429
2010, Cilt 26, Sayı 2, Sayfa(lar) 147-152
DOI: 10.5146/tjpath.2010.01012
Fine Needle Aspiration Cytology of Pediatric Thyroid Nodules
Ayper KAÇAR1, İrem PAKER2, Gülşah KABAÇAM BAYRAM3, Fatma DEMİREL4, Emrah ŞENEL5, Murat KIZILGÜN6
The incidence of thyroid nodules in children by clinical examination is estimated at 1-1.5%. The incidence of a thyroid nodules in the general population is 19-35%. Malignancy develops in less than 5% of these1 while this rate can go up to 25% in childhood thyroid nodules1-5. There are also reports of a low incidence (2%) of malignancy development in nodules in this age6.
子どもにおける甲状腺noduleの発生率は、臨床検査により1〜1.5%であると推定されている。一般群における甲状腺noduleの発生率は19〜35%である。これらのうち悪性になるのは5%未満であるが、子どもの甲状腺noduleでは最大25%に達することがある。この年齢のnoduleでは悪性腫瘍の発生率は低い(2%)との報告もある。
*
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18806721
Pediatr Endocrinol Rev. 2008 Sep;6(1):14-23.
Thyroid nodules and cancers in children.
Josefson J, Zimmerman D.
Division of Endocrinology, Children's Memorial Hospital, Chicago, IL 60614, USA. JJosefson@childrensmemorial.org
The incidence of thyroid nodules in children is estimated to be 1 to 1.5% based on clinical examination. Children with thyroid nodules, compared to adults with thyroid nodules, have a fourfold greater risk of developing malignant thyroid disease.
小児における甲状腺noduleの発生率は臨床検査により1〜1.5%であると推定される。甲状腺noduleを有する小児は、甲状腺noduleを有する大人と比べ、悪性甲状腺疾患を発症するリスクが4倍高い。
*
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16596732?dopt=Abstract
Endocr Pract. 2006 Jan-Feb;12(1):63-102.
American Association of Clinical Endocrinologists and Associazione Medici Endocrinologi medical guidelines for clinical practice for the diagnosis and management of thyroid nodules.
Gharib H, Papini E, Valcavi R, Baskin HJ, Crescenzi A, Dottorini ME, Duick DS, Guglielmi R, Hamilton CR Jr, Zeiger MA, Zini M; AACE/AME Task Force on Thyroid Nodules.
Endocr Pract. 2008 Sep;14(6):802-3.
Thyroid nodules are common and are frequently benign. Current data suggest that the prevalence of palpable thyroid nodules is 3% to 7% in North America; the prevalence is as high as 50% based on ultrasonography (US) or autopsy data.
甲状腺noduleは一般的に見られるもので、通常は良性である。現在得られているデータによれば、触診可能な甲状腺noduleの有病率は北米において3%〜7%で、超音波検査(ultrasonography、US)ないし生検による場合は50%ほどとなる。
*
http://www.hindawi.com/journals/jtr/2011/845362/
Journal of Thyroid Research
Volume 2011 (2011), Article ID 845362, 7 pages
doi:10.4061/2011/845362
Review Article Thyroid Carcinoma in Children and Adolescents−Systematic Review of the Literature
Fernanda Vaisman, Rossana Corbo, and Mario Vaisman
Palpable thyroid nodules can be diagnosed in 4 to 7% of the adult population. The high-resolution ultrasounds are able to detect nodules around 19% of the adult population, reaching up to 67% in populations at higher risk such as women and elderly individuals [1]. Considering autopsy series, this prevalence can reach 50%. Although common, only 5% are malignant [2].
触診可能な甲状腺noduleは、大人の4〜7%で診断される。高解像度の超音波検査を使えば、大人の約19%で結節を検出可能で、女性や高齢者などよりリスクの高い群では最大67%にも達する。剖検の例を考慮すれば、noduleの有病率は50%に達し得る。noduleは一般的であるが、わずか5%が悪性となる。
The incidence of clinically palpable thyroid nodules in children is estimated to be around 1–1.5%. However, in teenagers, this prevalence may reach 13% [8]. When compared to adults, children have four times greater risk of malignancy when a thyroid nodule is diagnosed. In the US, around 350 individuals aged less than 20 years receive the diagnosis of thyroid carcinoma annually [9]. In Brazil, the incidence can reach 2% of all pediatric cancers according to the National Cancer Institute database [10].
小児において臨床的に触診可能な甲状腺noduleの発生率は約1〜1.5%と推定されている。しかし、10代では13%に達する。小児は大人と比べ、甲状腺noduleの診断における悪性リスクは4倍になる。米国では年間、20歳未満の約350人が甲状腺がんと診断されている。米国立がん研究所のデータベースによれば、ブラジルでは甲状腺がんの発生率は全小児がんの2%に達する。
First, the tumor volume tends to be larger in patients with less than 20 years old when compared to patients diagnosed between 20 and 50 years [24]. Zimmerman et al. already showed, in 1988 [25], that newly diagnosed tumors were greater than 4 cm in 36% of children as opposed to 15% of adults and had less than 1 cm in 9% of children as opposed to 22% of adults. In series contemplating only patients with papillary carcinoma, only 1.5–3% of tumors had less than 1 cm size at diagnosis [26, 27].
腫瘍のサイズは、20歳未満の患者が20〜50歳の間に診断された患者と比べ、大きくなる傾向がある。
The prognosis of these tumors in childhood is a very interesting issue. Despite having a greater recurrence rate when compared to adults, survival seems to be better [55]. Mazzaferri and Kloos in a series with 16.6 years of followup, found a recurrence rate, in patients with less than 20 years old, around 40%, while those with more than 20 years of age had 20% recurrence rates [24]. In contrast, survival is greater than in adults. In a study done in Minsk with a large cohort of 741 patients, the survival rate was 99.3% in 5 years and 98.5% in 10 years in a pediatric population [56].
小児におけるこれらの腫瘍の予後は、非常に興味深い問題である。大人と比べ、再発率が大きいものの、生存率は高いように思われる。
Age seems to be a very important prognostic factor in thyroid cancer. Children and adolescents are usually classified as having a better prognosis and they are classified together with all patients under 45 years old. However, Lazar et al. showed that patients with less than 10 years, mainly prepubertal, had a worse prognosis than the older and more advanced pubertal stages patients [34].
年齢が甲状腺がんにおいては非常に重要な予後因子らしい。小児および青年は通常、予後が良好であると分類され、45歳未満の患者すべてと同じ分類に属する。しかし、Lazarらは、10歳未満、主に思春期前の患者は、それより年齢が高い患者および思春期が早く進行している段階の患者よりも予後が不良であることを示している。
(4)放射線全体照射を受けた小児における甲状腺noduleの発生率は28%(照射:5.7-11.4歳、最後の超音波検査:11.2-17歳)
小児期における造血幹細胞移植に先立つ放射線全体照射の後における良性および悪性の甲状腺nodule
http://www.eje-online.org/content/early/2012/05/22/EJE-12-0073.abstract
Malignant and benign thyroid nodules after total body irradiation preceding hematopoietic cell transplantation during childhood
Eur J Endocrinol May 22, 2012 EJE-12-0073
Correspondence: Juliane Leger, Email: juliane.leger@rdb.ap-hop-paris.fr
Methods: We conducted a retrospective university hospital-based observational study. The participants were 76 patients receiving fractionated TBI between 1989 and 2009 as part of the conditioning regimen for HSCT to treat malignant hematologic disease, with a median age of 8.2 (5.7-11.4) years, for whom the last ultrasound examination was performed at a median age of 14.2 (11.2-17) years. The main outcome measure was cumulative incidence of thyroid nodules detected by ultrasound scans, followed by biopsy if necessary.
研究対象は、血液悪性疾患を治療するための造血幹細胞移植における前処置の一環として、年齢中央値8.2歳(5.7-11.4歳)で1989年から2009にかけ、放射線分割全体照射(fractionated TBI)を受けた患者76人である。超音波検査を最後に実施した時の年齢中央値は14.2歳(11.2-17歳)であった。
Results: Thyroid nodules were demonstrated in 21 patients (28%), six of whom (29%) were diagnosed with thyroid carcinoma 2.2 to 18.6 years after TBI. The cumulative incidence of nodule occurrence increased with increasing time from diagnosis. The 10-year cumulative incidence of benign and malignant thyroid nodules was 16% (95% CI, 4 to 27%) and 8% (9% CI, 0 to 16%), respectively. Seventeen patients (22%) had hypothyroidism (compensated n=12, in 5 of whom it was transient). No significant independent risk factors were identified in the multivariable competing risk model as a function of nodule occurrence.
甲状腺noduleは21人(28%)で認められ、うち6人(29%)がTBIから2.2〜18.6年後に甲状腺がんと診断されている。noduleの累積発生率は診断から時間を経るごとに増加した。10年間における良性および悪性の甲状腺noduleの累積発生率はそれぞれ、16%、8%であった。
*
Evaluation of Solitary Thyroid Nodule
http://emedicine.medscape.com/article/850823-overview
Author: Daniel J Kelley, MD; Chief Editor: Arlen D Meyers, MD, MBA
Exposure of the head and neck to ionizing radiation increases the incidence of thyroid nodules. Radiation treatments were not uncommon in the first half of the twentieth century for benign conditions such as acne, adenotonsillar hypertrophy, and enlarged thymus glands. The prevalence rate of thyroid nodules in radiation-exposed patients increases significantly, ie, 16-31% relative to the general population. A direct dose-response relationship between thyroid nodularity and radiation to the head and neck region also exists.
放射線照射群における甲状腺noduleの有病率は、一般群と比べ有意に16-31%増加する。
(5)外部放射線療法を16歳未満で受けた子どもでは、甲状腺noduleの数・サイズと悪性リスクの相関関係はなく(nodule数によって悪性率は一定だが、個人におけるがん発症リスクはnodule数が多いほど高く、むしろ2–4 mmのリスクが一番大きい)、サイズのみでは悪性リスクを予測できない
手術を受けた放射線照射患者における甲状腺noduleのサイズ・数・分布と悪性腫瘍リスク
Size, Number, and Distribution of Thyroid Nodules and the Risk of Malignancy in Radiation-Exposed Patients Who Underwent Surgery
http://jcem.endojournals.org/content/93/6/2188.full
The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism June 1, 2008 vol. 93 no. 6 2188-2193
Dan V. Mihailescu and Arthur B. Schneider
Results: There were 612 malignant nodules in 358 patients and 2037 benign ones in 930 patients. There was no change in the risk that a nodule was malignant with increasing size (odds ratio 0.91/cm, P = 0.11) among the 1709 nodules that were 0.5 cm or greater. A solitary nodule had a similar likelihood of being malignant as a nodule that was one of several (18.8 vs. 17.3%), whereas patients with multiple nodules were more likely to have thyroid cancer than those with solitary nodules [30.7 vs. 18.7%; risk ratio 1.64 (1.27–2.13)]. Aspirating only the largest nodule would have missed 111 of the cancers (42%), whereas aspirating the two largest nodules would have missed 45 of the cases (17%), although none would have been 10 mm or greater.
[TABLE 2. nodule(1mm以下の微小noduleは除く)の悪性率は孤立性で18.7%、2つで18.9%、3つで16.5%、4つ以上で16.7%、多発性全体で17.3%と、数によって変わらない。]
[Fig. 2. 甲状腺がん患者297人において1番目と2番目に大きなnoduleのみを穿刺吸引細胞診(FNA)で調べると、45人(17%、がんサイズにして10mm以下)が見落とされる可能性がある。]
Conclusions: In radiation-exposed patients, the following conclusions were made: 1) the likelihood that a nodule is malignant is independent of nodule number and size; 2) the likelihood of cancer is increased if more than one nodule is present; 3) evaluating the two largest nodules by fine-needle aspiration would have resulted in a significant number of cases being missed but none with large cancers; and 4) more than half of the patients with thyroid cancer had multifocal tumors.
甲状腺がん患者の半数以上は多発性である。
In radiation-exposed patients, the likelihood that a nodule is malignant is independent of its size and how many nodules are present. The chance that a patient has cancer is increased when more than one nodule is present. These findings also support the recommendation in recently published guidelines that radiationexposed patients should receive special attention in terms of diagnostic evaluation.
放射線被ばくを受けた患者においては、noduleが悪性かどうかはサイズや数に依存しない。がんが発症する確率は2つ以上のnoduleの場合に増大する。放射線被ばくを受けた患者は診断という点で特別な注意を要するというガイドライン(→さらに最近のガイドラインを下記で説明)が最近公表されたが、以上の知見は同ガイドラインの勧告を支持している。
Childhood radiation exposure increases the chance that a person will develop both benign and malignant thyroid nodules (1, 2, 3). Recently several endocrine organizations have released guidelines for evaluating and managing thyroid nodules (4, 5, 6, 7). They all recognize that in radiation-exposed patients, the size of a thyroid nodule alone is an inadequate predictor of the risk of malignancy and suggest that all nodules, including the small ones (<10 mm), should undergo fine-needle aspiration (FNA) evaluation. Additionally, they recommend total thyroidectomy when surgery is indicated in a radiation-exposed patient (5, 6, 7).
小児においては放射線被ばくによって良性・悪性の甲状腺noduleができやすくなる。最近、幾つかの内分泌学界が甲状腺noduleの評価・管理のためのガイドラインを公表した。これらはすべて、放射線被ばくを受けた患者においては、甲状腺noduleのサイズのみでは悪性リスクの予測因子としては不十分であること、また小さなnodule(10 mm未満)を含め、すべてのnoduleで穿刺吸引細胞診(FNA)評価を受けるべきことを認めている。また、放射線被ばく患者に手術が必要な場合は、甲状腺全摘術が勧告されている。
We have been studying a cohort of 4296 radiation-exposed patients treated for benign conditions in the head and neck area predominantly in the 1940s and 1950s; 1059 patients subsequently had surgery for nodular thyroid disease and form the basis of the current study. The goal was to use the surgical findings to evaluate the recently promulgated recommendations by determining how the size of a thyroid nodule, the number of nodules, and the distribution of nodules influence the risk of malignancy in radiation-exposed patients.
主に1949年代、50年代に頭頸部の良性症状で放射線治療を受けた患者4296人のコホート研究を行っている。うち1059人がその後、nodule性甲状腺疾患の治療で手術を受けており、これが現在進行中の研究の基盤となっている。
We performed a retrospective analysis of data obtained in a cohort study of 4296 patients who were younger than 16 yr of age when they received external radiation treatments for various benign conditions of the head and neck area from 1939 to 1962 at Michael Reese Hospital in Chicago. The Thyroid Follow-up Program began in 1974 when an effort was made to contact all irradiated patients, inform them about the radiation exposure, and invite them to participate in the study (8, 9).
レトロスペクティブ分析を行った。対象となるデータは、シカゴのマイケル・リース病院で1939年から1962年にかけ、頭頸部の種々の良性症状で外部放射線療法を当時16歳未満で受けた患者4296人から得られたものである。
The first finding of this study is that the likelihood that a radiation-related nodule is malignant is essentially independent of its size and the presence of other nodules. The decrease in cancer risk with increasing size is too small to be of any practical consequence and was seen only when we included very small (2–4 mm) nodules.
放射線関連のnoduleが悪性となるかどうかは本質的にそのサイズ、その他のnoduleの存在に関係ない。サイズの増加に伴うがんリスクの低減は非常に小さいため実際的影響はなく、この関係は非常に小さいnodule(2–4 mm)を含めた場合にのみ見られた(→Fig.1、2–4 mmのリスクが一番大きい)。
It is likely that many of these small nodules would not have been detected clinically before surgery. The American Thyroid Association guidelines recommend FNA evaluation of nodules larger than 1–1.5 cm with suspicious sonographic appearance or of the largest nodule only if none has suspicious sonographic features (5). The American Association of Clinical Endocrinologists and Associazione Medici Endocrinologi recommendations for evaluating patients with multiple nodules differ because they consider the ultrasound features the principal indication for evaluating nodules irrespective of their size (7). However, in the case of radiation-exposed patients, the guidelines from both organizations are concordant, recommending FNA evaluation of small, i.e. less than 1 cm thyroid nodules as well. Our results provide additional evidence to support the latter recommendation because we did not find any relation between the number of nodules and the risk of malignancy and only a very small effect of nodule size. The results reported by Imaizumi et al. (16) in atomic bomb survivors, in which both nodule volume and nodule volume change over time were not predictive of thyroid cancer, support this conclusion.
noduleの数と悪性リスクの相関関係は見いだすことができず(→悪性率は一定だが、個人におけるがん発症リスクはnodule数が多いほど高い)、noduleサイズに非常に小さな効果があるのみであった。Imaizumi(→放影研、下記掲載)らによる原爆生存者の研究ではnoduleサイズとnoduleサイズの経時変化はいずれも甲状腺がんの予測因子にならなかったが、この結果は今回の結論を支持している。
(6)原爆生存者の甲状腺がん発症率は、有意性はないものの、嚢胞群が結節なしの対照群と比べ高い(放影研の研究)
Long-Term Prognosis of Thyroid Nodule Cases Compared with Nodule-Free Controls in Atomic Bomb Survivors
http://jcem.endojournals.org/content/90/9/5009.abstract?ijkey=8499cf3d04c187e1e2978a2adaad2a6f67c394d5&keytype2=tf_ipsecsha
Misa Imaizumi et al
Design, Setting, and Participants: This prospective study comprised 2637 atomic bomb survivors (mean age, 59 yr; 1071 men and 1566 women) who participated in the baseline thyroid study of the Nagasaki Radiation Effects Research Foundation from 1984 through 1987. The participants were divided into three groups at baseline by ultrasound findings: 82 cases of solid thyroid nodules other than cancer, 121 cases of thyroid cysts, and 2434 thyroid nodule-free controls.
本前向き研究は、1984年から1987年にかけて放射線影響研究所(長崎)の甲状腺ベースライン調査に参加した原爆生存者2637人(年齢中央値59歳、男性1071人、女性1566人)を対象とした。被験者は超音波検査の所見によってベースライン時に3群、すなわちがんでない充実性甲状腺結節の有所見者82人、甲状腺嚢胞の有所見者121人、甲状腺結節の無所見者2434人に分けた。(→例によって、研究開始が遅く、それ以前の影響を切り捨て、被爆者を対象群にしている点が、放影研の決定的限界。)
Results: During the follow-up period, six thyroid cancer cases (7.3%) were found in the solid nodule group, seven cases in the controls (0.3%), and one case (0.8%) in the cyst group. In 31 cases with solid nodules diagnosed as benign, three cases (9.7%) developed thyroid cancer. The hazard ratio (HR) for cancer development was significantly high at 23.6 [95% confidence interval (CI), 7.6–72.8] in the solid nodule group (HR, 40.2; 95% CI, 9.4–173.0 in 31 people with solid nodules diagnosed as benign) but not in the cyst group (HR, 2.7; 95% CI, 0.3–22.2), after controlling for age and sex. Sex, age, TSH level, thyroglobulin level, radiation dose, nodule volume, and increase in nodule volume did not predict cancer development in the solid nodule group.
フォローアップ期間中、甲状腺がんは6例(7.3%)が充実性結節群で、7例(0.3%)が対照群で、1例(0.8%)が嚢胞群で見られた。良性と診断された充実性結節の有所見者31人では、3例(9.7%)が甲状腺がんを発症した。がん発症のハザード比(HR)は、年齢と性で調節後、充実性結節群で23.6[95%信頼区間(CI)、7.6–72.8]と有意に高いが(良性と診断された充実性結節の有所見者31人では、HR, 40.2; 95% CI, 9.4–173.0)、嚢胞群では有意でなかった(HR, 2.7; 95% CI, 0.3–22.2)。性、年齢、TSH値、サイログロブリン値、放射線量、結節サイズ、結節サイズの増加は、充実性結節のがん化における予測因子とならなかった。
(7)米国内分泌学会などによる甲状腺noduleの診断ガイドラインでは、穿刺吸引細胞診(FNA)を実施すべきカテゴリーの1つとして、「小児期または青年期に頸部放射線照射の既往歴を持つ患者(全サイズ)」を挙げている
米国臨床内分泌学会・仏内分泌医学会・欧州甲状腺学会による甲状腺noduleの診断・管理のための臨床実務ガイドライン
http://act.umin.ne.jp/ThyroidGuidelines.pdf
American Association of Clinical Endocrinologists, Associazione Medici Endocrinologi, and European Thyroid Association Medical Guidelines for Clinical Practice for the Diagnosis and Management of Thyroid Nodules
3.7.2.1. How to Select Nodule(s) for FNA Biopsy (Grade B; BEL 3):
穿刺吸引細胞診(FNA)による生検対象とすべき甲状腺noduleの選別方法
o Of any size with patient history of neck irradiation in childhood or adolescence; PTC,MTC, or MEN 2 in first-degree relatives; previous thyroid surgery for cancer; increased calcitonin levels in the absence of interfering factors
小児期または青年期に頸部放射線照射の既往歴を持つ患者(全サイズ)
太田光征
泊村の乳がん死亡率は泊原発ができる前から高い
泊原発周辺のがん死亡率が高いことがよく指摘される。
泊村の突出したガン死亡率と岩内町の反骨の“市民学者” | カレイドスコープ
http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-799.html
ただ、乳がんについていえば、岩内原発問題研究会の斉藤武一さんによれば、泊村の乳がん死亡率は泊原発ができる前から高かったという。
典拠:アヒンサー 未来に続くいのちのために原発はいらない第1号(PKO法「雑則」を広める会)
一方で、斉藤さんは、道内で雨の多い都市ほど乳がん死亡率が高いことを示している。
岩内の斉藤武一さん 原発の危険性訴える - 今週の紙面から | あさひかわ新聞ONLINE
http://www.asahikawa-np.com/digest/2012/03/01406694/
泊村は他のがん死亡率でも突出しているものの、少なくとも乳がんについては泊原発との因果関係があるとは断定できない。
太田光征
泊村の突出したガン死亡率と岩内町の反骨の“市民学者” | カレイドスコープ
http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-799.html
ただ、乳がんについていえば、岩内原発問題研究会の斉藤武一さんによれば、泊村の乳がん死亡率は泊原発ができる前から高かったという。
典拠:アヒンサー 未来に続くいのちのために原発はいらない第1号(PKO法「雑則」を広める会)
一方で、斉藤さんは、道内で雨の多い都市ほど乳がん死亡率が高いことを示している。
岩内の斉藤武一さん 原発の危険性訴える - 今週の紙面から | あさひかわ新聞ONLINE
http://www.asahikawa-np.com/digest/2012/03/01406694/
泊村は他のがん死亡率でも突出しているものの、少なくとも乳がんについては泊原発との因果関係があるとは断定できない。
太田光征
2012年07月12日
「5人が致死量の線量を浴びた可能性がある」/4号機の水素爆発
4号機の水素爆発の原因を調べているうちに、米原子力規制委員会(NRC)の情報公開法に基づいて開示された記録にぶち当たった。「5人が致死量の線量を浴びた可能性がある」(3月15日)との驚くべき記録が残っている。
その他にも、初期段階で未確認の情報があったと想像されるが、4号機の燃料ブールでジルコニウム・ファイアが発生した可能性なども指摘されている。
太田光征
*
国会事故調査委員会の最終報告書では、4号機の水素爆発の原因となった水素として、放射線による4号機燃料プールの水の分解で発生した水素に加え、東電が主張していたように、3号機からの流入水素を挙げている(245ページ)。
国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会
http://www.naiic.jp/
国会事故調 報告書が公表されました。ダウンロードはこちらから。 | 国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会
http://www.naiic.jp/blog/2012/07/05/reportdl/
昨年の朝日記事では、「プールにカメラを入れて点検した結果、燃料に損傷はみられず、3号機と通じる非常用ガス処理系の配管から水素が逆流した可能性が浮上」としているが、すべての燃料を確認できたのだろうか。
4号機4階が爆発か 3号機から水素流入説強まる 東電(2011年11月10日)
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201111100441.html
情報公開法に基づいて開示された米原子力規制委員会(NRC)の一連の記録から、4号機の爆発などについて、重要なやり取りが交わされていたことが分かる。
Fukushima FOIA Data | Enformable
http://enformable.com/fukushima-radiation-data/
FOIA Documents Related to Fukushima Daiichi Reactor 4 | Enformable
http://enformable.com/fukushima-radiation-data/foia-documents-related-to-fukushima-daiichi-reactor-4/
以下、重要部分を抜粋する(途中まで)。
March 15th, 2011 – Fukushima Daiichi Units Degrading – Zirconium Fire at Reactor 4 SFP – Reactor 2 Possible Reactor Vessel Breach & Ex-Vessel Core Reaction | Enformable
http://enformable.com/2011/09/march-15th-2011-fukushima-daiichi-units-degrading-zirconium-fire-at-reactor-4-sfp-reactor-2-possible-reactor-vessel-breach-ex-vessel-core-reaction/
Unit 4 has a dry spent fuel pool. This unit was in a refueling outage with a hot core offloaded to the pool. It appears a zirconium fire may be in progress.
4号炉は使用済み燃料プールに水がない。この炉は燃料交換停止(定期検査)中で、炉心燃料をプールに移してある。ジルコニウム・ファイアが進行しているかもしれない。
ジルコニウム・ファイア:
http://www.jca.apc.org/mihama/fukushima_snfpool20110314.htm
March 15th, 2011 – NRC Calculated Fukushima Unit 4 SFP Boil-Off Decay Times 20 – 90 – 365 Days | Enformable
http://enformable.com/2012/02/march-15th-2011-nrc-calculated-fukushima-unit-4-sfp-boil-off-decay-times-20-90-365-days/
Fukushima Daiichi unit 4 may be having a spent fuel pool meltdown.
福島第1原発4号炉の使用済み燃料プールはメルトダウンしている可能性がある。
March 15th, 2011 – The fire’s back in unit 4 – Unit 4 pool has a full core load in it and needs full attention – Holes in the upper structure from the earlier hydrogen explosion in unit 4 | Enformable
http://enformable.com/2011/09/march-15th-2011-the-fires-back-in-unit-4-unit-4-pool-has-a-full-core-load-in-it-and-needs-full-attention-holes-in-the-upper-structure-from-the-earlier-hydrogen-explosion-in-unit-4/
I also heard there were holes in the upper structure from the earlier hydrogen explosion in unit 4.
4号炉で先に起こった水素爆発で上部構造に穴が開いたと聞いている。
March 15th, 2011 UPDATE: 2000 EDT Telecon on Fukushima Daiichi – Unit 4 New Fire Broken Out – Doses in Area around 30R/hr | Enformable
http://enformable.com/2011/09/march-15th-2011-update-2000-edt-telecon-on-fukushima-daiichi-unit-4-new-fire-broken-out-doses-in-area-around-30rhr/
Unit 4 remains problematic. A new fire has broken out. Doses are stable in the area of Unit 4 around 30R/hr. Fire fighting and pool cooling strategy still being worked out.
4号炉はまだ問題含みだ。また火災が発生した。4号炉周辺の線量は約30R/hr(300mSv/hr)で安定している。消火とプール冷却の戦略をまだ詰めているとことだ。
* I asked Grobe (yep lots of questions from me tonight), if TEPCO was cycling operators in and out of the site to relieve personnel. No info on that other than TEPCO did evacuate nonessential personnel. Five individuals may have received a lethal dose.
グローブに対する質問(今晩、私はかなり質問した)で、東電はサイトの出入りに関して運転技師のローテーションを組み、負担を軽減しているのかどうかを聞いた。この点については、東電が不必要な要員を避難させたという情報しかない。5人が致死量の線量を浴びた可能性がある。
March 16th, 2011 – Unit 4 SFP walls have collapsed – Fuel may no longer be intact | Enformable
http://enformable.com/2012/01/march-16th-2011-unit-4-sfp-walls-have-collapsed-fuel-may-no-longer-be-intact/
The walls of the Unit 4 spent fuel pool have collapsed, and there is no water in there. There were a large number of fuel assemblies in the pool, and the fuel may no longer be intact. The radiation levels are increasing so much that it may prove difficult to work on the other 5 reactors at the site, which could lead to more fuel damage and releases.
4号炉の使用済み燃料プールの壁が崩れ、水がない。プールには大量の燃料集合体があり、燃料はもはや無事ではないだろう。放射線レベルは非常に上がり続け、他の5つの炉における作業が困難になるかもしれず、そうなれば燃料の損傷と(放射性物質の)放出がさらに進むだろう。
March 16th – Reactor 2 Explosion – Fires in Reactor 4 – Onagawa NPS levels 6.1 uSv/h | Enformable
http://enformable.com/2012/01/march-16th-2011-reactor-2-explosion-fires-in-reactor-4-onagawa-nps-levels-6-1-usvh/
The fire at Unit 4 occurred. Fire extinguishing work was underway. (09:38 March 15th)
4号炉で火災が発生し、消火活動が行われた(3月15日09:38)
NRC Fukushima Transcripts – Evidence of fuel or very highly radioactive material outside of Reactor 4 after explosion | Enformable
http://enformable.com/2012/03/nrc-transcripts-evidence-of-fuel-or-very-highly-radioactive-material-outside-of-reactor-4-after-explosion/JACK: Yes, Mike, I don’t know that we’ve had anybody say that the fuel is covered with water.
ジャック:その通り、マイク、燃料が水に浸かっていると言える人がいるかどうか私には分からない。
What I can tell you is there’s clear evidence of a very significant hydrogen explosion. The only source of hydrogen that could feed that explosion is the spent fuel pool, so there must have been very, very high temperature zirconium interacting with water.
言えることは、非常に顕著な水素爆発が起こったという明白な証拠があるということだ。そうした爆発を引き起こす原因となる水素の唯一の発生源は、使用済み燃料プールだ。従って、非常に高温状態でジルコニウムが水と反応していたに違いない。
There is no visible vapors emanating from Unit 4 spent fuel pool area, which would be indicative of no water. It could also be indicative of a fully cooled core. That does not there is no source of cooling water going into the spent fuel pool, so to have a very significant hydrogen explosion, and then to think about the fuel being covered, those are kind of non sequitur concepts.
4号炉の使用済み燃料プールエリアからは目に見える蒸気の発生がなく、水がないことを示しているだろう。炉心燃料が完全に冷却されている可能性も示している。使用済み燃料プールに供給される冷却水の供給源はなく、だから非常に顕著な水素爆発が起こった。そして燃料の浸水のことを考慮すれば、つじつまが合わない。
We do know that there were parts of debris, that the areas of debris around Unit 4 after the explosion which were contributing to very significantly high dose rates, and I understand that bulldozers were used to bulldoze that debris under some soil shielding, and the dose rates went down dramatically. That would be an indication that were fragments of fuel since there’s no other source of substantial radioactive material which would have been involved in that explosion.
がれきが部分的にあって、爆発後の4号炉の周囲にあったがれきのエリアが極めて高い線量率に寄与していたことを我々は知っているわけだが、私はブルドーザーが遮蔽用の土壌の下にあるがれきを取り除いて、線量率が劇的に下がったと理解している。これが示しているのは、それが燃料の破片であるということ。なぜなら、あの爆発に関与し得た大量の放射性物質の提供源としては他にないからだ。
So, there’s indication of a very significant hydrogen explosion. I want to make sure that it’s clear that we don’t know this. We are just interpreting this from the visual evidence that we have, as well as the radiological measurements.
だから、極めて大きな水素爆発が起こったことを示している。はっきりさせたいのだが、我々がこの点を理解できていないことが明瞭であるということだ。視覚的な証拠、そして放射線測定からこの点を解釈しているに過ぎない。
There’s evidence of a very significant hydrogen explosion. There’s evidence of fuel or some very highly radioactive material outside of the building after that explosion. And there’s no evidence of water vapor, which would tell us that the spent fuel pool is dry.
極めて大きな水素爆発が起こったという証拠がある。爆発後に建屋の外に燃料あるいは極めて高い放射線を出す物質があったという証拠がある。また、水蒸気があるという証拠がなく、これは使用済み燃料プールに水がないことを示しているだろう。
その他にも、初期段階で未確認の情報があったと想像されるが、4号機の燃料ブールでジルコニウム・ファイアが発生した可能性なども指摘されている。
太田光征
*
国会事故調査委員会の最終報告書では、4号機の水素爆発の原因となった水素として、放射線による4号機燃料プールの水の分解で発生した水素に加え、東電が主張していたように、3号機からの流入水素を挙げている(245ページ)。
国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会
http://www.naiic.jp/
国会事故調 報告書が公表されました。ダウンロードはこちらから。 | 国会 東京電力福島原子力発電所事故調査委員会
http://www.naiic.jp/blog/2012/07/05/reportdl/
昨年の朝日記事では、「プールにカメラを入れて点検した結果、燃料に損傷はみられず、3号機と通じる非常用ガス処理系の配管から水素が逆流した可能性が浮上」としているが、すべての燃料を確認できたのだろうか。
4号機4階が爆発か 3号機から水素流入説強まる 東電(2011年11月10日)
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201111100441.html
情報公開法に基づいて開示された米原子力規制委員会(NRC)の一連の記録から、4号機の爆発などについて、重要なやり取りが交わされていたことが分かる。
Fukushima FOIA Data | Enformable
http://enformable.com/fukushima-radiation-data/
FOIA Documents Related to Fukushima Daiichi Reactor 4 | Enformable
http://enformable.com/fukushima-radiation-data/foia-documents-related-to-fukushima-daiichi-reactor-4/
以下、重要部分を抜粋する(途中まで)。
March 15th, 2011 – Fukushima Daiichi Units Degrading – Zirconium Fire at Reactor 4 SFP – Reactor 2 Possible Reactor Vessel Breach & Ex-Vessel Core Reaction | Enformable
http://enformable.com/2011/09/march-15th-2011-fukushima-daiichi-units-degrading-zirconium-fire-at-reactor-4-sfp-reactor-2-possible-reactor-vessel-breach-ex-vessel-core-reaction/
Unit 4 has a dry spent fuel pool. This unit was in a refueling outage with a hot core offloaded to the pool. It appears a zirconium fire may be in progress.
4号炉は使用済み燃料プールに水がない。この炉は燃料交換停止(定期検査)中で、炉心燃料をプールに移してある。ジルコニウム・ファイアが進行しているかもしれない。
ジルコニウム・ファイア:
http://www.jca.apc.org/mihama/fukushima_snfpool20110314.htm
March 15th, 2011 – NRC Calculated Fukushima Unit 4 SFP Boil-Off Decay Times 20 – 90 – 365 Days | Enformable
http://enformable.com/2012/02/march-15th-2011-nrc-calculated-fukushima-unit-4-sfp-boil-off-decay-times-20-90-365-days/
Fukushima Daiichi unit 4 may be having a spent fuel pool meltdown.
福島第1原発4号炉の使用済み燃料プールはメルトダウンしている可能性がある。
March 15th, 2011 – The fire’s back in unit 4 – Unit 4 pool has a full core load in it and needs full attention – Holes in the upper structure from the earlier hydrogen explosion in unit 4 | Enformable
http://enformable.com/2011/09/march-15th-2011-the-fires-back-in-unit-4-unit-4-pool-has-a-full-core-load-in-it-and-needs-full-attention-holes-in-the-upper-structure-from-the-earlier-hydrogen-explosion-in-unit-4/
I also heard there were holes in the upper structure from the earlier hydrogen explosion in unit 4.
4号炉で先に起こった水素爆発で上部構造に穴が開いたと聞いている。
March 15th, 2011 UPDATE: 2000 EDT Telecon on Fukushima Daiichi – Unit 4 New Fire Broken Out – Doses in Area around 30R/hr | Enformable
http://enformable.com/2011/09/march-15th-2011-update-2000-edt-telecon-on-fukushima-daiichi-unit-4-new-fire-broken-out-doses-in-area-around-30rhr/
Unit 4 remains problematic. A new fire has broken out. Doses are stable in the area of Unit 4 around 30R/hr. Fire fighting and pool cooling strategy still being worked out.
4号炉はまだ問題含みだ。また火災が発生した。4号炉周辺の線量は約30R/hr(300mSv/hr)で安定している。消火とプール冷却の戦略をまだ詰めているとことだ。
* I asked Grobe (yep lots of questions from me tonight), if TEPCO was cycling operators in and out of the site to relieve personnel. No info on that other than TEPCO did evacuate nonessential personnel. Five individuals may have received a lethal dose.
グローブに対する質問(今晩、私はかなり質問した)で、東電はサイトの出入りに関して運転技師のローテーションを組み、負担を軽減しているのかどうかを聞いた。この点については、東電が不必要な要員を避難させたという情報しかない。5人が致死量の線量を浴びた可能性がある。
March 16th, 2011 – Unit 4 SFP walls have collapsed – Fuel may no longer be intact | Enformable
http://enformable.com/2012/01/march-16th-2011-unit-4-sfp-walls-have-collapsed-fuel-may-no-longer-be-intact/
The walls of the Unit 4 spent fuel pool have collapsed, and there is no water in there. There were a large number of fuel assemblies in the pool, and the fuel may no longer be intact. The radiation levels are increasing so much that it may prove difficult to work on the other 5 reactors at the site, which could lead to more fuel damage and releases.
4号炉の使用済み燃料プールの壁が崩れ、水がない。プールには大量の燃料集合体があり、燃料はもはや無事ではないだろう。放射線レベルは非常に上がり続け、他の5つの炉における作業が困難になるかもしれず、そうなれば燃料の損傷と(放射性物質の)放出がさらに進むだろう。
March 16th – Reactor 2 Explosion – Fires in Reactor 4 – Onagawa NPS levels 6.1 uSv/h | Enformable
http://enformable.com/2012/01/march-16th-2011-reactor-2-explosion-fires-in-reactor-4-onagawa-nps-levels-6-1-usvh/
The fire at Unit 4 occurred. Fire extinguishing work was underway. (09:38 March 15th)
4号炉で火災が発生し、消火活動が行われた(3月15日09:38)
NRC Fukushima Transcripts – Evidence of fuel or very highly radioactive material outside of Reactor 4 after explosion | Enformable
http://enformable.com/2012/03/nrc-transcripts-evidence-of-fuel-or-very-highly-radioactive-material-outside-of-reactor-4-after-explosion/JACK: Yes, Mike, I don’t know that we’ve had anybody say that the fuel is covered with water.
ジャック:その通り、マイク、燃料が水に浸かっていると言える人がいるかどうか私には分からない。
What I can tell you is there’s clear evidence of a very significant hydrogen explosion. The only source of hydrogen that could feed that explosion is the spent fuel pool, so there must have been very, very high temperature zirconium interacting with water.
言えることは、非常に顕著な水素爆発が起こったという明白な証拠があるということだ。そうした爆発を引き起こす原因となる水素の唯一の発生源は、使用済み燃料プールだ。従って、非常に高温状態でジルコニウムが水と反応していたに違いない。
There is no visible vapors emanating from Unit 4 spent fuel pool area, which would be indicative of no water. It could also be indicative of a fully cooled core. That does not there is no source of cooling water going into the spent fuel pool, so to have a very significant hydrogen explosion, and then to think about the fuel being covered, those are kind of non sequitur concepts.
4号炉の使用済み燃料プールエリアからは目に見える蒸気の発生がなく、水がないことを示しているだろう。炉心燃料が完全に冷却されている可能性も示している。使用済み燃料プールに供給される冷却水の供給源はなく、だから非常に顕著な水素爆発が起こった。そして燃料の浸水のことを考慮すれば、つじつまが合わない。
We do know that there were parts of debris, that the areas of debris around Unit 4 after the explosion which were contributing to very significantly high dose rates, and I understand that bulldozers were used to bulldoze that debris under some soil shielding, and the dose rates went down dramatically. That would be an indication that were fragments of fuel since there’s no other source of substantial radioactive material which would have been involved in that explosion.
がれきが部分的にあって、爆発後の4号炉の周囲にあったがれきのエリアが極めて高い線量率に寄与していたことを我々は知っているわけだが、私はブルドーザーが遮蔽用の土壌の下にあるがれきを取り除いて、線量率が劇的に下がったと理解している。これが示しているのは、それが燃料の破片であるということ。なぜなら、あの爆発に関与し得た大量の放射性物質の提供源としては他にないからだ。
So, there’s indication of a very significant hydrogen explosion. I want to make sure that it’s clear that we don’t know this. We are just interpreting this from the visual evidence that we have, as well as the radiological measurements.
だから、極めて大きな水素爆発が起こったことを示している。はっきりさせたいのだが、我々がこの点を理解できていないことが明瞭であるということだ。視覚的な証拠、そして放射線測定からこの点を解釈しているに過ぎない。
There’s evidence of a very significant hydrogen explosion. There’s evidence of fuel or some very highly radioactive material outside of the building after that explosion. And there’s no evidence of water vapor, which would tell us that the spent fuel pool is dry.
極めて大きな水素爆発が起こったという証拠がある。爆発後に建屋の外に燃料あるいは極めて高い放射線を出す物質があったという証拠がある。また、水蒸気があるという証拠がなく、これは使用済み燃料プールに水がないことを示しているだろう。
2012年06月02日
セシウム137は何年後まで残るか(オーストリアの例)/セシウム137は甲状腺・副腎に蓄積しやすい
4年間での人体におけるセシウム濃度 : 小児科医の放射性物質に関する覚え書き
http://blog.livedoor.jp/bug_and_flowers/archives/1222773.html
Radiocesium levels in humans over a four-year period.
http://jnm.snmjournals.org/content/32/8/1491.full.pdf+html
J Nucl Med. 1991 Aug;32(8):1491-5.
Rabitsch H, Feenstra O, Kahr G.
1986年7月から1990年6月にかけてオーストリアのグラーツで行われた法医学的解剖で、筋組織300例の放射能が測定された。死亡時の年齢は21〜86歳。グラーツの土壌のCs137汚染は2.5〜3.5万Bq/m^2で、千葉県東葛地域の1万〜6万Bq/m^2(2011年9月、文科省)と重なる。筋組織のCs137濃度は急に立ち上がり、87年の約100 Bq/kgをピークに減少するが、90年でも約10 Bq/kg(バンダジェスフスキーによれば子どもの心電図異常が現れるレベル)が残っている。天然の放射性核種K40は約100 Bq/kgで一定だった。
小児の各臓器における慢性的なセシウム137の取り込み : 小児科医の放射性物質に関する覚え書き
http://blog.livedoor.jp/bug_and_flowers/archives/839102.html
Chronic Cs-137 incorporation in children’s organ
http://www.smw.ch/docs/pdf200x/2003/35/smw-10226.pdf
Swiss Med Wkly 2003;133:488-490
Y. I. Bandazhevsky
Cs137濃度は乳児>小児>成人の順に高い。乳児では<死因ないし個人>によって各臓器へのCs137分布は一様でない。
心疾患で死亡した乳児でCs137の蓄積濃度が1番高かった臓器は副腎であった(表1)。10歳までの小児の平均でもCs137の蓄積濃度が1番高かったのが甲状腺で、その次が副腎であった(表2)。
死後摘出した臓器は生きている状態とは異なり、セシウムが臓器細胞から移動する可能性があるので、死後の測定は生きている状態を反映していない可能性があると、東北大の岡山博先生は指摘しているが、大きくは外れないだろう。
岡山博 セシウム放射線内部被曝とカリウム(少し詳しい解説、その1)
http://hirookay.blog.fc2.com/blog-entry-14.html
Cs137がK40と同じ挙動をするとの仮定は採用できない。
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa
https://twitter.com/team_nakagawa/status/166315089220210689
「一方、放射性セシウムでは、有機水銀のような「生物濃縮」はほぼ起きません。セシウムは、カリウムに近い「アルカリ金属」です。体内に取り込まれると、カリウムと同じように全身の細胞へほぼ均等に分布し、尿に排泄されていきます。これは、福島県内で安楽死となった家畜の分析でも確認されています。」
太田光征
http://blog.livedoor.jp/bug_and_flowers/archives/1222773.html
Radiocesium levels in humans over a four-year period.
http://jnm.snmjournals.org/content/32/8/1491.full.pdf+html
J Nucl Med. 1991 Aug;32(8):1491-5.
Rabitsch H, Feenstra O, Kahr G.
1986年7月から1990年6月にかけてオーストリアのグラーツで行われた法医学的解剖で、筋組織300例の放射能が測定された。死亡時の年齢は21〜86歳。グラーツの土壌のCs137汚染は2.5〜3.5万Bq/m^2で、千葉県東葛地域の1万〜6万Bq/m^2(2011年9月、文科省)と重なる。筋組織のCs137濃度は急に立ち上がり、87年の約100 Bq/kgをピークに減少するが、90年でも約10 Bq/kg(バンダジェスフスキーによれば子どもの心電図異常が現れるレベル)が残っている。天然の放射性核種K40は約100 Bq/kgで一定だった。
小児の各臓器における慢性的なセシウム137の取り込み : 小児科医の放射性物質に関する覚え書き
http://blog.livedoor.jp/bug_and_flowers/archives/839102.html
Chronic Cs-137 incorporation in children’s organ
http://www.smw.ch/docs/pdf200x/2003/35/smw-10226.pdf
Swiss Med Wkly 2003;133:488-490
Y. I. Bandazhevsky
Cs137濃度は乳児>小児>成人の順に高い。乳児では<死因ないし個人>によって各臓器へのCs137分布は一様でない。
心疾患で死亡した乳児でCs137の蓄積濃度が1番高かった臓器は副腎であった(表1)。10歳までの小児の平均でもCs137の蓄積濃度が1番高かったのが甲状腺で、その次が副腎であった(表2)。
死後摘出した臓器は生きている状態とは異なり、セシウムが臓器細胞から移動する可能性があるので、死後の測定は生きている状態を反映していない可能性があると、東北大の岡山博先生は指摘しているが、大きくは外れないだろう。
岡山博 セシウム放射線内部被曝とカリウム(少し詳しい解説、その1)
http://hirookay.blog.fc2.com/blog-entry-14.html
Cs137がK40と同じ挙動をするとの仮定は採用できない。
東大病院放射線治療チーム @team_nakagawa
https://twitter.com/team_nakagawa/status/166315089220210689
「一方、放射性セシウムでは、有機水銀のような「生物濃縮」はほぼ起きません。セシウムは、カリウムに近い「アルカリ金属」です。体内に取り込まれると、カリウムと同じように全身の細胞へほぼ均等に分布し、尿に排泄されていきます。これは、福島県内で安楽死となった家畜の分析でも確認されています。」
太田光征
タグ:セシウム
放射線影響研究所が放射線影響に閾値がないことを認めた
放射線影響研究所がついに放射線影響(全固形がん死)に閾(しきい)値がないことを認めた。
放影研報告書 RR 4-11
原爆被爆者の死亡率に関する研究
第 14 報 1950–2003 年:がんおよびがん以外の疾患の概要§
http://www.rerf.or.jp/library/archives/lsstitle.html
図5は図4の一部を拡大したもの
放影研の研究はこれまで、「その研究成果は、国連原子放射線影響科学委員会(UNSCEAR)の放射線リスク評価や国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護基準に関する勧告の主要な科学的根拠とされている」と自ら認めているように、低線量被ばくの健康影響はない、あるいは証明されていない、という主張の根拠を提供してきた。広島・長崎の被爆者が低線量被ばくの影響はないとするキャンペーンに使われてきたのである。何と犯罪的なことか。
矢ヶ崎氏の講演でも説明されているように、放影研は内部被ばくを無視した線量評価システムを採用している。
矢ヶ崎克馬「内部被曝──原爆・劣化ウラン兵器と人類への宿題(要旨)」(2007年7月1日,北農健保会館)
http://www.geocities.jp/hokkaihankakuishi/yagasaki.html
・1945年(昭和20年)9月17日に広島・長崎を枕崎台風が襲った後の測定に基づき、残留放射線を評価(被曝線量評価システムのDS86とDS02)。
・セシウム137がベータ線を出して崩壊してできたバリウム137mが出すガンマ線しか計測していない。
・2007年6月6日付中国新聞『原爆残留放射線の人体影響、ABCCに指定調査を促す』(米原子力委員会からABCC研究者への書簡で1969年と81年のホールボディーカウンター計測について)「まず今の時点で調査しても、原爆投下時の内部被曝がゼロであるという結果を得ても、原爆投下時の内部被曝の可能性を否定しているわけではない」「しかしいま否定的な見解を出すということは、被爆者が統計的に比較される対象の非被爆者コントロール群としている人々と比べて、放射線被曝の量が違わないということを示すことで、非常に貴重だ」
放影研が被爆者の追跡調査を開始したのは1950年10月1日以後だから、放射線に一番弱い方は既に亡くなっていたはずで、しかも放影研が採用した比較対照群の方々自身も被爆者だった。放影研の研究は何重にも放射線、特に低線量内部被ばくの影響を無視している。
市民と科学者の内部被曝研究会第1回総会記念シンポジウムの報告|ACSIR 内部被曝問題研(沢田昭二)
http://www.acsir.org/news/news.php?19#top
インゲ・シュミッツ=フォイアハーケ論文「『無害な放射線閾値』からの時間のかかる決別」と解説
http://www.acsir.org/info.php?10
インゲ・シュミッツ=フォイアハーケ(ECRR現会長)論文(原爆被爆者認定集団訴訟で採用)
Health Phys. 1983 Jun;44(6):693-5.
Dose revision for A-bomb survivors and the question of fallout contribution.(ペーパーとしての掲載を拒否されレターとして掲載)
Schmitz-Feuerhake I.
『原爆症認定集団訴訟たたかいの記録―明らかにされたヒバクの実相―、第2 巻資料集』(原爆症認定集団訴訟・記録集刊行委員会[編]、p.284、 日本評論社、2011)
放射線影響研究所の比較対照群(遠距離被爆者と入市被爆者)は日本人平均と比べ、甲状腺がん、白血病、乳がんの発症率がそれぞれ3.4〜4.1倍、1.8倍、1.5〜1.6倍。早期入市者の死亡相対リスクはかなり大きい。
放影研の研究は以上のようなものであることに注意して、第14報も見る必要がある。
従来から低線量域でも過剰相対リスクが確認されていた(*1、下図)。今回の第14報で明らかになったのは、低線量域における過剰相対リスクではなく、それが0–0.2 Gyの範囲で有意であったという点にある。被曝線量評価システムがDS86からDS02に切り替わっているが、追跡期間が延長されたことで統計精度が向上したためではないか。
*1 よくわかる原子力 - 放射線の健康影響
広島・長崎の被爆者生涯調査
http://www.nuketext.org/kenkoueikyou.html#hiroshima
*1 RERF Update 2001年 春・夏号 第12巻1号
http://www.rerf.or.jp/library/update/pdf/01Spr-Sumj.pdf
用語集 - 放射線影響研究所
http://www.rerf.or.jp/glossary/ds02.htm
「DS02をDS86と比較すると細かい点で多くの改善がありますが、大局的にはDS86の推定値と大きく変わるものではなく」
*
放影研報告書 RR 4-11
原爆被爆者の死亡率に関する研究
第 14 報 1950–2003 年:がんおよびがん以外の疾患の概要§
http://www.rerf.or.jp/library/archives/lsstitle.html
解説に「2 Gy未満に限ると凹型の曲線が最もよく適合した」とあるが、むしろ凸型を強調すべきで、いわゆる「隆起」が広島・長崎のいずれでも確認されてきた。放射線影響の線量反応関係がLNT(閾値なしの直線反応関係)ならば、内部被ばくを無視した放影研の研究では低線量域ほど直線からずれてくることは十分にあり得る。低線量域ほど単位線量当たりの影響が大きいとするペトカウ効果が真実なら、放影研の研究はそれに近い。
要旨
「全固形がんについて過剰相対危険度が有意となる最小推定線量範囲は0–0.2 Gy であり、定型的な線量閾値解析では閾値は認められなかった。すなわち、ゼロ線量が最良の閾値推定値であった。」
「非腫瘍性疾患では、循環器、呼吸器、および消化器系疾患でリスクの増加が示されたが、因果関係については今後の研究が必要である。」
解説
http://www.rerf.or.jp/news/pdf/lss14.pdf
「過剰相対リスクに関する線量反応関係は全線量域では直線であったが、2 Gy 未満に限ると凹型の曲線が最もよく適合した。」
「本報告は、2003 年のLSS 第13 報より追跡期間が6 年間延長された。DS02 に基づく個人線量を使用して死因別の放射線リスクを総括的に解析した初めての報告である。」
寿命調査(LSS)報告書シリーズ - 放射線影響研究所
http://www.rerf.or.jp/library/archives/lsstitle.html
英語全文
http://www.rerf.or.jp/library/rr_e/rr1104.pdf
解説
http://www.rerf.or.jp/news/pdf/lss14.pdf
要旨
http://www.rerf.or.jp/library/rr/rr1104.pdf
使用データ
http://www.rerf.or.jp/library/dl/lss14.html
*
放影研報告書 RR 4-11
原爆被爆者の死亡率に関する研究
第 14 報 1950–2003 年:がんおよびがん以外の疾患の概要§
http://www.rerf.or.jp/library/archives/lsstitle.html
要旨
http://www.rerf.or.jp/library/rr/rr1104.pdf
Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors,Report 14, 1950–2003: An Overview of Cancer and Noncancer Diseases
小笹晃太郎 清水由紀子 陶山昭彦 笠置文善 早田みどり Eric J Grant坂田 律 杉山裕美 児玉和紀
要 約
本報は、放射線影響研究所が原爆放射線の健康後影響を明らかにするために行ってきた、原爆被爆者の集団である寿命調査集団(LSS コホート)での死亡状況に関して定期的に行ってきた総合的報告の第14 報である。LSS コホート構成者でDS02 での線量推定が行われている86,611人のうち58%が、1950–2003 年の期間に死亡した。追跡期間を前報から6 年間延長したことにより、放射線被曝後の長期間の死亡状況に関する実質的に多くの情報が得られ(がん死亡の17%増加)、特に被爆時年齢10 歳未満の群で増加した(58%増加)。放射線関連リスク、線量反応関係の形、および性、被爆時年齢、到達年齢による効果修飾作用の大きさを明らかにするために、ポアソン回帰を用いた。全死亡のリスクは、放射線量と関連して有意に増加した。重要な点は、固形がんに関する付加的な放射線リスク(すなわち、10^4 人年/Gy 当たりの過剰がん症例数)は、線形の線量反応関係を示し、生涯を通して増加を続けていることである。全固形がんについて、線形モデルに基づく男女平均の1 Gy 当たりの過剰相対危険度は、30 歳で被爆した人が70 歳になった時点で0.42(95%信頼区間[CI]:0.32, 0.53)であった。そのリスクは、被爆時年齢が10 歳若くなると約29%増加した(95% CI:17%, 41%)。全固形がんについて過剰相対危険度が有意となる最小推定線量範囲は0–0.2 Gy であり、定型的な線量閾値解析では閾値は認められなかった。すなわち、ゼロ線量が最良の閾値推定値であった。主要部位のがん死亡リスクは、胃、肺、肝臓、結腸、乳房、胆嚢、食道、膀胱、および卵巣で有意に増加した一方、直腸、膵臓、子宮、前立腺、および腎実質では有意な増加は認められなかった。非腫瘍性疾患では、循環器、呼吸器、および消化器系疾患でリスクの増加が示されたが、因果関係については今後の研究が必要である。感染症および外因死には放射線の影響を示す根拠は見られなかった。
§本報告書はRadiat Res 2012 (March); 177(3):229–43 に掲載されたものであり、その正文は同掲載論文のテキスト(英文)である。この日本語要約は、日本の読者の便宜のために放影研が作成したが、本報告書を引用し、またはその他の方法で使用するときは、同掲載論文のテキスト(英文)によるべきである。
*
解説
http://www.rerf.or.jp/news/pdf/lss14.pdf
Radiation Research* 掲載論文
「原爆被爆者の死亡率に関する研究、第14 報、1950−2003、がんおよび非がん疾患の概要」
【今回の調査で明らかになったこと】
1950 年に追跡を開始した寿命調査(LSS)集団を2003 年まで追跡して、死亡および死因に対する原爆放射線の影響を、DS02 線量体系を用いて明らかにした。総固形がん死亡の過剰相対リスクは被曝放射線量に対して全線量域で直線の線量反応関係を示し、閾値は認められず、リスクが有意となる最低線量域は0−0.20 Gy であった。30 歳で1 Gy被曝して70 歳になった時の総固形がん死亡リスクは、被曝していない場合に比べて
42%増加し、また、被爆時年齢が10 歳若くなると29%増加した。がんの部位別には胃、肺、肝、結腸、乳房、胆嚢、食道、膀胱、卵巣で有意なリスクの増加が見られたが、直腸、膵、子宮、前立腺、腎(実質)では有意なリスク増加は見られなかった。がん以外の疾患では、循環器疾患、呼吸器疾患、消化器疾患でのリスクが増加したが、放射線との因果関係については更なる検討を要する。
【解説】
1) 本報告は、2003 年のLSS 第13 報より追跡期間が6 年間延長された。DS02 に基づく個人線量を使用して死因別の放射線リスクを総括的に解析した初めての報告である。解析対象としたのは、寿命調査集団約12 万人のうち直接被爆者で個人線量の推定されている86,611 人である。追跡期間中に50,620 人(58%)が死亡し、そのうち総固形がん死亡は10,929 人であった。
2) 30 歳被曝70 歳時の過剰相対リスクは0.42/Gy(95%信頼区間: 0.32, 0.53)、過剰絶対リスクは1 万人年当たり26.4 人/Gy であった。
*過剰相対リスクとは、相対リスク(被曝していない場合に比べて、被曝している場合のリスクが何倍になっているかを表す)から1 を差し引いた数値に等しく、被曝による相対的なリスクの増加分を表す。
*過剰絶対リスクとは、ここでは、被曝した場合の死亡率から被曝していない場合の死亡率を差し引いた数値で、被曝による絶対的なリスクの増加分を表す。
3) 放射線被曝に関連して増加したと思われるがんは、2 Gy 以上の被曝では総固形がん死亡の約半数以上、0.5−1 Gy では約1/4、0.1−0.2 Gy では約1/20 と推定された。
4) 過剰相対リスクに関する線量反応関係は全線量域では直線であったが、2 Gy 未満に限ると凹型の曲線が最もよく適合した。これは、0.5 Gy 付近のリスク推定値が直線モデルより低いためであった。
放射線影響研究所は、広島・長崎の原爆被爆者を 60 年以上にわたり調査してきた。その研究成果は、国連原子放射線影響科学委員会(UNSCEAR)の放射線リスク評価や国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護基準に関する勧告の主要な科学的根拠とされている。
Radiation Research 誌は、米国放射線影響学会の公式月刊学術誌であり、物理学、化学、生物学、および医学の領域における放射線影響および関連する課題の原著および総説を掲載している。(2010 年のインパクト・ファクター: 2.578 )
(図は省略)
太田光征
放影研報告書 RR 4-11
原爆被爆者の死亡率に関する研究
第 14 報 1950–2003 年:がんおよびがん以外の疾患の概要§
http://www.rerf.or.jp/library/archives/lsstitle.html
図5は図4の一部を拡大したもの
放影研の研究はこれまで、「その研究成果は、国連原子放射線影響科学委員会(UNSCEAR)の放射線リスク評価や国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護基準に関する勧告の主要な科学的根拠とされている」と自ら認めているように、低線量被ばくの健康影響はない、あるいは証明されていない、という主張の根拠を提供してきた。広島・長崎の被爆者が低線量被ばくの影響はないとするキャンペーンに使われてきたのである。何と犯罪的なことか。
矢ヶ崎氏の講演でも説明されているように、放影研は内部被ばくを無視した線量評価システムを採用している。
矢ヶ崎克馬「内部被曝──原爆・劣化ウラン兵器と人類への宿題(要旨)」(2007年7月1日,北農健保会館)
http://www.geocities.jp/hokkaihankakuishi/yagasaki.html
・1945年(昭和20年)9月17日に広島・長崎を枕崎台風が襲った後の測定に基づき、残留放射線を評価(被曝線量評価システムのDS86とDS02)。
・セシウム137がベータ線を出して崩壊してできたバリウム137mが出すガンマ線しか計測していない。
・2007年6月6日付中国新聞『原爆残留放射線の人体影響、ABCCに指定調査を促す』(米原子力委員会からABCC研究者への書簡で1969年と81年のホールボディーカウンター計測について)「まず今の時点で調査しても、原爆投下時の内部被曝がゼロであるという結果を得ても、原爆投下時の内部被曝の可能性を否定しているわけではない」「しかしいま否定的な見解を出すということは、被爆者が統計的に比較される対象の非被爆者コントロール群としている人々と比べて、放射線被曝の量が違わないということを示すことで、非常に貴重だ」
放影研が被爆者の追跡調査を開始したのは1950年10月1日以後だから、放射線に一番弱い方は既に亡くなっていたはずで、しかも放影研が採用した比較対照群の方々自身も被爆者だった。放影研の研究は何重にも放射線、特に低線量内部被ばくの影響を無視している。
市民と科学者の内部被曝研究会第1回総会記念シンポジウムの報告|ACSIR 内部被曝問題研(沢田昭二)
http://www.acsir.org/news/news.php?19#top
インゲ・シュミッツ=フォイアハーケ論文「『無害な放射線閾値』からの時間のかかる決別」と解説
http://www.acsir.org/info.php?10
インゲ・シュミッツ=フォイアハーケ(ECRR現会長)論文(原爆被爆者認定集団訴訟で採用)
Health Phys. 1983 Jun;44(6):693-5.
Dose revision for A-bomb survivors and the question of fallout contribution.(ペーパーとしての掲載を拒否されレターとして掲載)
Schmitz-Feuerhake I.
『原爆症認定集団訴訟たたかいの記録―明らかにされたヒバクの実相―、第2 巻資料集』(原爆症認定集団訴訟・記録集刊行委員会[編]、p.284、 日本評論社、2011)
放射線影響研究所の比較対照群(遠距離被爆者と入市被爆者)は日本人平均と比べ、甲状腺がん、白血病、乳がんの発症率がそれぞれ3.4〜4.1倍、1.8倍、1.5〜1.6倍。早期入市者の死亡相対リスクはかなり大きい。
放影研の研究は以上のようなものであることに注意して、第14報も見る必要がある。
従来から低線量域でも過剰相対リスクが確認されていた(*1、下図)。今回の第14報で明らかになったのは、低線量域における過剰相対リスクではなく、それが0–0.2 Gyの範囲で有意であったという点にある。被曝線量評価システムがDS86からDS02に切り替わっているが、追跡期間が延長されたことで統計精度が向上したためではないか。
*1 よくわかる原子力 - 放射線の健康影響
広島・長崎の被爆者生涯調査
http://www.nuketext.org/kenkoueikyou.html#hiroshima
*1 RERF Update 2001年 春・夏号 第12巻1号
http://www.rerf.or.jp/library/update/pdf/01Spr-Sumj.pdf
用語集 - 放射線影響研究所
http://www.rerf.or.jp/glossary/ds02.htm
「DS02をDS86と比較すると細かい点で多くの改善がありますが、大局的にはDS86の推定値と大きく変わるものではなく」
*
放影研報告書 RR 4-11
原爆被爆者の死亡率に関する研究
第 14 報 1950–2003 年:がんおよびがん以外の疾患の概要§
http://www.rerf.or.jp/library/archives/lsstitle.html
解説に「2 Gy未満に限ると凹型の曲線が最もよく適合した」とあるが、むしろ凸型を強調すべきで、いわゆる「隆起」が広島・長崎のいずれでも確認されてきた。放射線影響の線量反応関係がLNT(閾値なしの直線反応関係)ならば、内部被ばくを無視した放影研の研究では低線量域ほど直線からずれてくることは十分にあり得る。低線量域ほど単位線量当たりの影響が大きいとするペトカウ効果が真実なら、放影研の研究はそれに近い。
要旨
「全固形がんについて過剰相対危険度が有意となる最小推定線量範囲は0–0.2 Gy であり、定型的な線量閾値解析では閾値は認められなかった。すなわち、ゼロ線量が最良の閾値推定値であった。」
「非腫瘍性疾患では、循環器、呼吸器、および消化器系疾患でリスクの増加が示されたが、因果関係については今後の研究が必要である。」
解説
http://www.rerf.or.jp/news/pdf/lss14.pdf
「過剰相対リスクに関する線量反応関係は全線量域では直線であったが、2 Gy 未満に限ると凹型の曲線が最もよく適合した。」
「本報告は、2003 年のLSS 第13 報より追跡期間が6 年間延長された。DS02 に基づく個人線量を使用して死因別の放射線リスクを総括的に解析した初めての報告である。」
寿命調査(LSS)報告書シリーズ - 放射線影響研究所
http://www.rerf.or.jp/library/archives/lsstitle.html
英語全文
http://www.rerf.or.jp/library/rr_e/rr1104.pdf
解説
http://www.rerf.or.jp/news/pdf/lss14.pdf
要旨
http://www.rerf.or.jp/library/rr/rr1104.pdf
使用データ
http://www.rerf.or.jp/library/dl/lss14.html
*
放影研報告書 RR 4-11
原爆被爆者の死亡率に関する研究
第 14 報 1950–2003 年:がんおよびがん以外の疾患の概要§
http://www.rerf.or.jp/library/archives/lsstitle.html
要旨
http://www.rerf.or.jp/library/rr/rr1104.pdf
Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors,Report 14, 1950–2003: An Overview of Cancer and Noncancer Diseases
小笹晃太郎 清水由紀子 陶山昭彦 笠置文善 早田みどり Eric J Grant坂田 律 杉山裕美 児玉和紀
要 約
本報は、放射線影響研究所が原爆放射線の健康後影響を明らかにするために行ってきた、原爆被爆者の集団である寿命調査集団(LSS コホート)での死亡状況に関して定期的に行ってきた総合的報告の第14 報である。LSS コホート構成者でDS02 での線量推定が行われている86,611人のうち58%が、1950–2003 年の期間に死亡した。追跡期間を前報から6 年間延長したことにより、放射線被曝後の長期間の死亡状況に関する実質的に多くの情報が得られ(がん死亡の17%増加)、特に被爆時年齢10 歳未満の群で増加した(58%増加)。放射線関連リスク、線量反応関係の形、および性、被爆時年齢、到達年齢による効果修飾作用の大きさを明らかにするために、ポアソン回帰を用いた。全死亡のリスクは、放射線量と関連して有意に増加した。重要な点は、固形がんに関する付加的な放射線リスク(すなわち、10^4 人年/Gy 当たりの過剰がん症例数)は、線形の線量反応関係を示し、生涯を通して増加を続けていることである。全固形がんについて、線形モデルに基づく男女平均の1 Gy 当たりの過剰相対危険度は、30 歳で被爆した人が70 歳になった時点で0.42(95%信頼区間[CI]:0.32, 0.53)であった。そのリスクは、被爆時年齢が10 歳若くなると約29%増加した(95% CI:17%, 41%)。全固形がんについて過剰相対危険度が有意となる最小推定線量範囲は0–0.2 Gy であり、定型的な線量閾値解析では閾値は認められなかった。すなわち、ゼロ線量が最良の閾値推定値であった。主要部位のがん死亡リスクは、胃、肺、肝臓、結腸、乳房、胆嚢、食道、膀胱、および卵巣で有意に増加した一方、直腸、膵臓、子宮、前立腺、および腎実質では有意な増加は認められなかった。非腫瘍性疾患では、循環器、呼吸器、および消化器系疾患でリスクの増加が示されたが、因果関係については今後の研究が必要である。感染症および外因死には放射線の影響を示す根拠は見られなかった。
§本報告書はRadiat Res 2012 (March); 177(3):229–43 に掲載されたものであり、その正文は同掲載論文のテキスト(英文)である。この日本語要約は、日本の読者の便宜のために放影研が作成したが、本報告書を引用し、またはその他の方法で使用するときは、同掲載論文のテキスト(英文)によるべきである。
*
解説
http://www.rerf.or.jp/news/pdf/lss14.pdf
Radiation Research* 掲載論文
「原爆被爆者の死亡率に関する研究、第14 報、1950−2003、がんおよび非がん疾患の概要」
【今回の調査で明らかになったこと】
1950 年に追跡を開始した寿命調査(LSS)集団を2003 年まで追跡して、死亡および死因に対する原爆放射線の影響を、DS02 線量体系を用いて明らかにした。総固形がん死亡の過剰相対リスクは被曝放射線量に対して全線量域で直線の線量反応関係を示し、閾値は認められず、リスクが有意となる最低線量域は0−0.20 Gy であった。30 歳で1 Gy被曝して70 歳になった時の総固形がん死亡リスクは、被曝していない場合に比べて
42%増加し、また、被爆時年齢が10 歳若くなると29%増加した。がんの部位別には胃、肺、肝、結腸、乳房、胆嚢、食道、膀胱、卵巣で有意なリスクの増加が見られたが、直腸、膵、子宮、前立腺、腎(実質)では有意なリスク増加は見られなかった。がん以外の疾患では、循環器疾患、呼吸器疾患、消化器疾患でのリスクが増加したが、放射線との因果関係については更なる検討を要する。
【解説】
1) 本報告は、2003 年のLSS 第13 報より追跡期間が6 年間延長された。DS02 に基づく個人線量を使用して死因別の放射線リスクを総括的に解析した初めての報告である。解析対象としたのは、寿命調査集団約12 万人のうち直接被爆者で個人線量の推定されている86,611 人である。追跡期間中に50,620 人(58%)が死亡し、そのうち総固形がん死亡は10,929 人であった。
2) 30 歳被曝70 歳時の過剰相対リスクは0.42/Gy(95%信頼区間: 0.32, 0.53)、過剰絶対リスクは1 万人年当たり26.4 人/Gy であった。
*過剰相対リスクとは、相対リスク(被曝していない場合に比べて、被曝している場合のリスクが何倍になっているかを表す)から1 を差し引いた数値に等しく、被曝による相対的なリスクの増加分を表す。
*過剰絶対リスクとは、ここでは、被曝した場合の死亡率から被曝していない場合の死亡率を差し引いた数値で、被曝による絶対的なリスクの増加分を表す。
3) 放射線被曝に関連して増加したと思われるがんは、2 Gy 以上の被曝では総固形がん死亡の約半数以上、0.5−1 Gy では約1/4、0.1−0.2 Gy では約1/20 と推定された。
4) 過剰相対リスクに関する線量反応関係は全線量域では直線であったが、2 Gy 未満に限ると凹型の曲線が最もよく適合した。これは、0.5 Gy 付近のリスク推定値が直線モデルより低いためであった。
放射線影響研究所は、広島・長崎の原爆被爆者を 60 年以上にわたり調査してきた。その研究成果は、国連原子放射線影響科学委員会(UNSCEAR)の放射線リスク評価や国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護基準に関する勧告の主要な科学的根拠とされている。
Radiation Research 誌は、米国放射線影響学会の公式月刊学術誌であり、物理学、化学、生物学、および医学の領域における放射線影響および関連する課題の原著および総説を掲載している。(2010 年のインパクト・ファクター: 2.578 )
(図は省略)
太田光征
2012年05月14日
福島原発事故の放射性物質:マスク・鳥・植物のオートラジオグラフ
あらゆる所に放射性微粒子が付着しているのは当たり前で、オートラジオグラフィーに掛ければマスクだろうが車のエアフィルターだろうが可視化できる。
太田光征
portirland: 東京大学アイソトープ総合センターの桧垣正吾助教は、3月15日の汚染を早い段階で知っていました。
http://portirland.blogspot.jp/2012/01/315.html
マスクのオートラジオグラフ
SOSOAO's Photo | Lockerz
http://lockerz.com/s/177488305
asahi.com(朝日新聞社):被曝予防に花粉マスク有効 セシウム通さず 東大実験 - サイエンス
http://www.asahi.com/science/update/1201/TKY201111300873.html
福島県鳥 飯舘村ので収集したキビタキ ラジオオートグラフで被曝を映像化 : 森住卓のフォトブログ
http://mphoto.sblo.jp/article/55571894.html
「先日、森敏先生から以前お願いしていたラジオオートグラフの写真が届いた。私が飯舘村で昨年12月に採取してきたキビタキの死骸だ。やはりだいぶ被曝していた。」
植物の放射能汚染 | オンラインPDFマガジン「fotgazet(フォトガゼット)」
http://www.fotgazet.com/5/000191.html
「目に見えない放射能を可視化できる放射線写真法のラジオオートグラフ。東大教授でNPO「WINEP」の代表である森敏氏が、植物の放射能汚染の実態を告発。オオバコ、月見草、キノコなどに映る黒い斑点や強く汚染された種子。それは次世代の放射能汚染を意味する。」
日本原子力学会和文論文誌,Vol. 11, No. 1, p. 1-7 (2012), doi:10.3327/taesj.J11.027
速報福島第一原子力発電所事故関連論文
オートラジオグラフィーを用いた福島第一原子力発電所起源の放射性降下物の局所的な分布解析
https://www.jstage.jst.go.jp/article/taesj/11/1/11_J11.027/_pdf
プルトニウム粒子による放射線誘導線維化結節の写真と福島県などの自動車エアフィルターのオートラジオグラフ
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/269682394.html
太田光征
portirland: 東京大学アイソトープ総合センターの桧垣正吾助教は、3月15日の汚染を早い段階で知っていました。
http://portirland.blogspot.jp/2012/01/315.html
マスクのオートラジオグラフ
SOSOAO's Photo | Lockerz
http://lockerz.com/s/177488305
asahi.com(朝日新聞社):被曝予防に花粉マスク有効 セシウム通さず 東大実験 - サイエンス
http://www.asahi.com/science/update/1201/TKY201111300873.html
福島県鳥 飯舘村ので収集したキビタキ ラジオオートグラフで被曝を映像化 : 森住卓のフォトブログ
http://mphoto.sblo.jp/article/55571894.html
「先日、森敏先生から以前お願いしていたラジオオートグラフの写真が届いた。私が飯舘村で昨年12月に採取してきたキビタキの死骸だ。やはりだいぶ被曝していた。」
植物の放射能汚染 | オンラインPDFマガジン「fotgazet(フォトガゼット)」
http://www.fotgazet.com/5/000191.html
「目に見えない放射能を可視化できる放射線写真法のラジオオートグラフ。東大教授でNPO「WINEP」の代表である森敏氏が、植物の放射能汚染の実態を告発。オオバコ、月見草、キノコなどに映る黒い斑点や強く汚染された種子。それは次世代の放射能汚染を意味する。」
日本原子力学会和文論文誌,Vol. 11, No. 1, p. 1-7 (2012), doi:10.3327/taesj.J11.027
速報福島第一原子力発電所事故関連論文
オートラジオグラフィーを用いた福島第一原子力発電所起源の放射性降下物の局所的な分布解析
https://www.jstage.jst.go.jp/article/taesj/11/1/11_J11.027/_pdf
プルトニウム粒子による放射線誘導線維化結節の写真と福島県などの自動車エアフィルターのオートラジオグラフ
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/269682394.html
2012年05月12日
プルトニウム粒子による放射線誘導線維化結節の写真と福島県などの自動車エアフィルターのオートラジオグラフ
アーニー・ガンダーセンとマルコ・カルトーフンが福島原発事故によるホットパーティクルについて解説しているフェアウィンズのビデオから。
05/08/2012 Hot Particles and Measurement of Radioactivity
http://fairewinds.org/content/hot-particles-and-measurement-radioactivity
ビデオはきくちゆみさんのブログ記事で教えてもらいました。
一目瞭然:シアトル、東京、福島の車のエアフィルターに付着した放射性物質
http://kikuchiyumi.blogspot.jp/2012/05/blog-post_11.html
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1474274/pdf/envhper00441-0243.pdf
Radiation effects in the lung.
J E Coggle, B E Lambert, S R Moores
Environ Health Perspect. 1986 December; 70: 261–291.
FIGURE 6. Radiation-induced fibrotic nodule in mouse lung, 14 months after inhalation of 239Pu02 (silver-reticulin stain).
酸化プルトニウム(239Pu02)を吸引して14カ月後のマウス肺における放射線誘導線維化結節
http://thayer.dartmouth.edu/~cushman/courses/engs43/MarcoKaltofen.pdf
Radiation Exposure to the Population in Japan After the Earthquake
Marco Kaltofen
Presented 10/31/11, at the 139th annual meeting of the American Public Health Association, Washington, DC Dartmouth, 2 March 2012
要旨:https://apha.confex.com/apha/139am/webprogram/Paper254015.html
福島県・東京都・シアトルにおける自動車エアフィルターのオートラジオグラフ
1μSv/h=100μRem/h
1キュリーは3.7×10^10ベクレル
福島の自動車のエアフィルター
199μRem/h=1.99μSv/h
東京の自動車のエアフィルター
18.9μRem/h=0.189μSv/h
福島県の子どもの靴
48.8μR/hr=0.488μSv/h
1180pCi=43.66Bq(Cs134、Cs137)
野田市室内エアフィルターの放射性セシウム(2011年9月)
0.23nCi=8.5Bq
室内エアフィルター(Co60、Cs134、Cs137)
26.7kBq/m^2(2011年6月以前)
7.1kBq/m^2(2011年6月以降)
太田光征
05/08/2012 Hot Particles and Measurement of Radioactivity
http://fairewinds.org/content/hot-particles-and-measurement-radioactivity
ビデオはきくちゆみさんのブログ記事で教えてもらいました。
一目瞭然:シアトル、東京、福島の車のエアフィルターに付着した放射性物質
http://kikuchiyumi.blogspot.jp/2012/05/blog-post_11.html
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1474274/pdf/envhper00441-0243.pdf
Radiation effects in the lung.
J E Coggle, B E Lambert, S R Moores
Environ Health Perspect. 1986 December; 70: 261–291.
FIGURE 6. Radiation-induced fibrotic nodule in mouse lung, 14 months after inhalation of 239Pu02 (silver-reticulin stain).
酸化プルトニウム(239Pu02)を吸引して14カ月後のマウス肺における放射線誘導線維化結節
http://thayer.dartmouth.edu/~cushman/courses/engs43/MarcoKaltofen.pdf
Radiation Exposure to the Population in Japan After the Earthquake
Marco Kaltofen
Presented 10/31/11, at the 139th annual meeting of the American Public Health Association, Washington, DC Dartmouth, 2 March 2012
要旨:https://apha.confex.com/apha/139am/webprogram/Paper254015.html
福島県・東京都・シアトルにおける自動車エアフィルターのオートラジオグラフ
1μSv/h=100μRem/h
1キュリーは3.7×10^10ベクレル
福島の自動車のエアフィルター
199μRem/h=1.99μSv/h
東京の自動車のエアフィルター
18.9μRem/h=0.189μSv/h
福島県の子どもの靴
48.8μR/hr=0.488μSv/h
1180pCi=43.66Bq(Cs134、Cs137)
野田市室内エアフィルターの放射性セシウム(2011年9月)
0.23nCi=8.5Bq
室内エアフィルター(Co60、Cs134、Cs137)
26.7kBq/m^2(2011年6月以前)
7.1kBq/m^2(2011年6月以降)
太田光征
2012年04月24日
(放射線)健康調査報告:子どもと未来をつなぐ会・町田/チェルノブイリ事故後のウクライナ・ルギヌイ地区における「甲状腺がん」
矢ヶ崎克馬氏は福島集団疎開裁判・意見書甲104の8ページで「東北地方や関東地方で東電原発事故以後多数訴えられている(例えば、子どもと未来をつなぐ会・町田1)多様な症状:鼻血、喉の痛み、気管支炎、下痢、血便、等々」として、子どもと未来をつなぐ会・町田の報告を紹介している。
2011年12月14日(水)【健康調査報告】★ちいさな気づきで子どもを救おう!!プロジェクト(子どもと未来をつなぐ会・町田)
http://ameblo.jp/kodomotomirai/theme-10045054938.html
*
同意見書6ページで「しかし私の意見書(甲49)4頁に記したように、チェルノブイリ周辺ルギヌイ地区では、1000 人中に10人以上の規模で、子どもの甲状腺がんが観測されています」と書かれているが、これは「甲状腺腫」の間違いだと思う。
「がん等の発症率は甲状腺疾病の10%強の割合で発病していて、9年後には1000人中13人程度となっています。実に多数の子どもが罹患しているのです。甲状腺のがん等は通常であれば、10万人当たり数名しか子どもには出ないものですが、異常に高い罹患率を示しています」(矢ヶ崎意見書甲49、4ページ)
矢ヶ崎氏が根拠にした「ウクライナ・ルギヌイ地区住民の健康状態」(イワン・ゴドレフスキーら)は、矢ヶ崎意見書甲64に収載されている。
「甲状腺ガンは地区では記録されていない。しかしながら、甲状腺肥大の数が著しく増加していることは確実である」(「ウクライナ・ルギヌイ地区住民の健康状態」、201ページ)
ベラルーシでは子ども・大人の甲状腺がんがチェルノブイリ事故後1年で増加(ミハイル・V・マリコ)/原爆投下後の最初の年に白血病が増加(草野信男『原爆症』)
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/265634282.html
福島集団疎開裁判・矢ヶ崎克馬意見書甲104(「ベラルーシの青年・大人の甲状腺ガン」を収載)
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/kou104Yagasaki-opinion4.pdf
福島集団疎開裁判・意見書リスト
http://song-deborah.com/copyright/Japaninfrige/Fukushima-sokai-case.htm
チェルノブイリ事故後に健康被害が増加したウクライナ・ルギヌイ地区では千葉県東葛地域と重なるセシウム137レベルの地域でも定期検診を実施
http://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/265437525.html
福島集団疎開裁判・矢ヶ崎意見書甲64(「ウクライナ・ルギヌイ地区住民の健康状態」を収載)
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/kou64.pdf
福島集団疎開裁判・矢ヶ崎意見書甲49
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/kou49Yagasaki-opinion.pdf
太田光征
2011年12月14日(水)【健康調査報告】★ちいさな気づきで子どもを救おう!!プロジェクト(子どもと未来をつなぐ会・町田)
http://ameblo.jp/kodomotomirai/theme-10045054938.html
*
同意見書6ページで「しかし私の意見書(甲49)4頁に記したように、チェルノブイリ周辺ルギヌイ地区では、1000 人中に10人以上の規模で、子どもの甲状腺がんが観測されています」と書かれているが、これは「甲状腺腫」の間違いだと思う。
「がん等の発症率は甲状腺疾病の10%強の割合で発病していて、9年後には1000人中13人程度となっています。実に多数の子どもが罹患しているのです。甲状腺のがん等は通常であれば、10万人当たり数名しか子どもには出ないものですが、異常に高い罹患率を示しています」(矢ヶ崎意見書甲49、4ページ)
矢ヶ崎氏が根拠にした「ウクライナ・ルギヌイ地区住民の健康状態」(イワン・ゴドレフスキーら)は、矢ヶ崎意見書甲64に収載されている。
「甲状腺ガンは地区では記録されていない。しかしながら、甲状腺肥大の数が著しく増加していることは確実である」(「ウクライナ・ルギヌイ地区住民の健康状態」、201ページ)
ベラルーシでは子ども・大人の甲状腺がんがチェルノブイリ事故後1年で増加(ミハイル・V・マリコ)/原爆投下後の最初の年に白血病が増加(草野信男『原爆症』)
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/265634282.html
福島集団疎開裁判・矢ヶ崎克馬意見書甲104(「ベラルーシの青年・大人の甲状腺ガン」を収載)
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/kou104Yagasaki-opinion4.pdf
福島集団疎開裁判・意見書リスト
http://song-deborah.com/copyright/Japaninfrige/Fukushima-sokai-case.htm
チェルノブイリ事故後に健康被害が増加したウクライナ・ルギヌイ地区では千葉県東葛地域と重なるセシウム137レベルの地域でも定期検診を実施
http://2011shinsaichiba.seesaa.net/article/265437525.html
福島集団疎開裁判・矢ヶ崎意見書甲64(「ウクライナ・ルギヌイ地区住民の健康状態」を収載)
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/kou64.pdf
福島集団疎開裁判・矢ヶ崎意見書甲49
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/kou49Yagasaki-opinion.pdf
太田光征
2012年04月20日
ベラルーシでは子ども・大人の甲状腺がんがチェルノブイリ事故後1年で増加(ミハイル・V・マリコ)/原爆投下後の最初の年に白血病が増加(草野信男『原爆症』)
国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)2000年報告によれば、ベラルーシではチェルノブイリ事故後1年で子どもの甲状腺がんが増加している。
ベラルーシ:チェルノブイリ事故後1年で甲状腺がんが増加
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/255986068.html
国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)2000年報告
http://www.unscear.org/unscear/en/publications.html
UNSCEAR 2000 report - Vol. II: Effects
http://www.unscear.org/unscear/en/publications/2000_2.html
Annex J: Exposures and effects of the Chernobyl accident (115 pages)
pp.498-499
福島集団疎開裁判・矢ヶ崎意見書甲104で取り上げられている「ベラルーシの青年・大人の甲状腺ガン」でも、ベラルーシで子どもだけでなく青年・大人の甲状腺がんが事故後1年で増加していることが報告されている。
「チェルノブイリ事故による放射能災害―国際共同研究報告書」(今中哲二編、技術と人間、1998 年)
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/J-Version.html
第5章「個別の健康影響研究」21節「ベラルーシの青年・大人の甲状腺ガン」(ミハイル・V・マリコ、ベラルーシ科学アカデミー・物理化学放射線問題研究所)
福島集団疎開裁判・矢ヶ崎克馬意見書甲104(「ベラルーシの青年・大人の甲状腺ガン」を収載)
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/kou104Yagasaki-opinion4.pdf
福島集団疎開裁判・意見書リスト
http://song-deborah.com/copyright/Japaninfrige/Fukushima-sokai-case.htm
東電のサイトも国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)2000年報告からベラルーシにおける甲状腺がん発生件数のグラフを転載しているが、「一方、がんが事故後増加したという報告が見られるが、放射能で汚染のない地域でも近年増加しているという報告があることから、これも含めて考える必要がある」と記述している。
TEPCO : 放射線の話 | 放射線コーナーQ&A その他 Q2
http://www.tepco.co.jp/nuclear/hige/qa/thi/gqa/qa-g2-j.html
ここでいう「がん」がベラルーシにおける甲状腺がんを示しているのかどうか分からないが、「ベラルーシの青年・大人の甲状腺ガン」によれば、青年・大人の甲状腺がんは事故前から増加傾向にあったものの、それは事故後の急増を説明できないほど小さい。
放射線とがん発症時期の関係については、原爆被害の研究で故草野信男が記録を残している。ECRR(欧州放射線リスク委員会)2010年勧告では、草野の『原爆症』(築地書館、1995年に再発行)を引用して、「初期の日本人の報告書は、原爆投下後の最初の年に白血病の症例が増加しはじめ(最初の症例は被ばく3 ヶ月後)、そして、原爆投下時には居合わせなかったが後になって被爆地に入市した人たちの間でも発症があったことを示している(Kusano 1953)」と書いている。
福島原発事故:その放射能の影響と欧州放射線リスク委員会勧告 第2回
http://www.inaco.co.jp/isaac/back/032/032.html
太田光征
ベラルーシ:チェルノブイリ事故後1年で甲状腺がんが増加
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/255986068.html
国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)2000年報告
http://www.unscear.org/unscear/en/publications.html
UNSCEAR 2000 report - Vol. II: Effects
http://www.unscear.org/unscear/en/publications/2000_2.html
Annex J: Exposures and effects of the Chernobyl accident (115 pages)
pp.498-499
福島集団疎開裁判・矢ヶ崎意見書甲104で取り上げられている「ベラルーシの青年・大人の甲状腺ガン」でも、ベラルーシで子どもだけでなく青年・大人の甲状腺がんが事故後1年で増加していることが報告されている。
「チェルノブイリ事故による放射能災害―国際共同研究報告書」(今中哲二編、技術と人間、1998 年)
http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/Chernobyl/J-Version.html
第5章「個別の健康影響研究」21節「ベラルーシの青年・大人の甲状腺ガン」(ミハイル・V・マリコ、ベラルーシ科学アカデミー・物理化学放射線問題研究所)
福島集団疎開裁判・矢ヶ崎克馬意見書甲104(「ベラルーシの青年・大人の甲状腺ガン」を収載)
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/kou104Yagasaki-opinion4.pdf
福島集団疎開裁判・意見書リスト
http://song-deborah.com/copyright/Japaninfrige/Fukushima-sokai-case.htm
東電のサイトも国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)2000年報告からベラルーシにおける甲状腺がん発生件数のグラフを転載しているが、「一方、がんが事故後増加したという報告が見られるが、放射能で汚染のない地域でも近年増加しているという報告があることから、これも含めて考える必要がある」と記述している。
TEPCO : 放射線の話 | 放射線コーナーQ&A その他 Q2
http://www.tepco.co.jp/nuclear/hige/qa/thi/gqa/qa-g2-j.html
ここでいう「がん」がベラルーシにおける甲状腺がんを示しているのかどうか分からないが、「ベラルーシの青年・大人の甲状腺ガン」によれば、青年・大人の甲状腺がんは事故前から増加傾向にあったものの、それは事故後の急増を説明できないほど小さい。
放射線とがん発症時期の関係については、原爆被害の研究で故草野信男が記録を残している。ECRR(欧州放射線リスク委員会)2010年勧告では、草野の『原爆症』(築地書館、1995年に再発行)を引用して、「初期の日本人の報告書は、原爆投下後の最初の年に白血病の症例が増加しはじめ(最初の症例は被ばく3 ヶ月後)、そして、原爆投下時には居合わせなかったが後になって被爆地に入市した人たちの間でも発症があったことを示している(Kusano 1953)」と書いている。
福島原発事故:その放射能の影響と欧州放射線リスク委員会勧告 第2回
http://www.inaco.co.jp/isaac/back/032/032.html
太田光征
2012年03月06日
ベラルーシ:チェルノブイリ事故後1年で甲状腺がんが増加
ベラルーシにおける甲状腺癌診断症例数を東電がグラフ化してサイトで紹介している。出典は国連科学委員会2000年報告。
それによると、甲状腺がんは事故後1年で既に増加を始めている。
山下俊一・福島県立医大副学長は福島の子どもたちに対する甲状腺エコー調査を3年もかけて一巡させ、しかもその間に異常が見つかっても再調査をさせないようにしているが、とんでもない。
TEPCO : 放射線の話 | 放射線コーナーQ&A その他 Q2
http://www.tepco.co.jp/nuclear/hige/qa/thi/gqa/qa-g2-j.html
文春おしどりマコ会見 誤報を騒ぐ前に確認すべき「チェルノブイリの甲状腺癌」1年後から増加グラフ:ざまあみやがれい!
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65792144.html
*
(2012年4月17日追加)
国連科学委員会(UNSCEAR)2000年報告はこちらです。
http://www.unscear.org/unscear/en/publications.html
UNSCEAR 2000 report - Vol. II: Effects
http://www.unscear.org/unscear/en/publications/2000_2.html
Annex J: Exposures and effects of the Chernobyl accident (115 pages)
pp.498-499
Kofler, A., T.H. Abelin, I. Prudyves et al. Factors related
to latency period in post Chernobyl carcinogenesis. in:
Radiation and Thyroid Cancer. Proceedings of an Internal
Seminar held in St. John's College, Cambridge, UK, 20-23
July 1998 (G. Thomas, A. Karaoglou and E.D. Williams,
eds.). World Scientific, Singapore, 1999.
太田光征
それによると、甲状腺がんは事故後1年で既に増加を始めている。
山下俊一・福島県立医大副学長は福島の子どもたちに対する甲状腺エコー調査を3年もかけて一巡させ、しかもその間に異常が見つかっても再調査をさせないようにしているが、とんでもない。
TEPCO : 放射線の話 | 放射線コーナーQ&A その他 Q2
http://www.tepco.co.jp/nuclear/hige/qa/thi/gqa/qa-g2-j.html
文春おしどりマコ会見 誤報を騒ぐ前に確認すべき「チェルノブイリの甲状腺癌」1年後から増加グラフ:ざまあみやがれい!
http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65792144.html
*
(2012年4月17日追加)
国連科学委員会(UNSCEAR)2000年報告はこちらです。
http://www.unscear.org/unscear/en/publications.html
UNSCEAR 2000 report - Vol. II: Effects
http://www.unscear.org/unscear/en/publications/2000_2.html
Annex J: Exposures and effects of the Chernobyl accident (115 pages)
pp.498-499
Kofler, A., T.H. Abelin, I. Prudyves et al. Factors related
to latency period in post Chernobyl carcinogenesis. in:
Radiation and Thyroid Cancer. Proceedings of an Internal
Seminar held in St. John's College, Cambridge, UK, 20-23
July 1998 (G. Thomas, A. Karaoglou and E.D. Williams,
eds.). World Scientific, Singapore, 1999.
太田光征
2012年02月19日
チェルノブイリ事故被害の隠ぺいカスケード
チェルノブイリ事故被害の隠ぺいは首尾一貫していて、依拠する既報すら無視し、後に出てくる報告ほど見事なまでにリスク数値が低くなり、首相官邸サイト「チェルノブイリ事故との比較」(長瀧重信・長崎大学名誉教授、佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事)の小児甲状腺がん以外にがん過剰死なしに行き着きます。
・首相官邸「チェルノブイリ事故との比較」(2011年):事故処理労働者28人死亡、小児甲状腺がん6000人罹患(うち15人死亡)以外に放射線被害なし。
・チェルノブイリ・フォーラム(2005年9月):過剰死4,000人(生涯)。
・WHO(2005年7月):がんと白血病による過剰死8,930人(95年間)。
・Cardisら(1996年):がんと白血病による過剰死9,785〜22,160人(70年間)。
官邸サイト以外の事例はPflugbeilが2005年に指摘し、IPPNWドイツ支部の2011年報告書に再掲されているもので、Peace Philosophy Centreが2011年4月に「チェルノブイリ事故との比較」とともに紹介しています。既に読まれた方も多いかと思いますが、この隠ぺい部分を整理してお知らせします。インチキ組織の報告によらない実際の被害については、Peace Philosophy Centreの記事を見てください。
ドイツ放射線防護協会のS. Pflugbeilによる2005年チェルノブイリ・フォーラム会合に対するコメント
Chernobyl – Looking back to go forwards:the September 2005 IAEA Conference
http://www.strahlentelex.de/Pflugbeil_Chernobyl-Commentary_FMCS2006.pdf
下の2005年WHO報告書とそれが依拠するCardis論文のデータを比較。チェルノブイリ・フォーラムの2005年ウィーン会合プレスリリースで2005年WHO報告書のデータ8,930人ではなく4,000人を採用した事実を説明。
IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ドイツ支部によるチェルノブイリ原発事故25年目の研究調査報告書(2011年4月8日)
http://www.chernobylcongress.org/fileadmin/user_upload/pdfs/chernob_report_2011_en_web.pdf
HTML版
Health Effects of Chernobyl, 25 years after the reactor catastrophe, IPPNW & Society for Radiation Protection, April 2011
http://www.ratical.org/radiation/Chernobyl/HEofC25yrsAC.html#ES
2011年IPPNW報告書の抜粋訳と追加情報
Peace Philosophy Centre: IPPNW「チェルノブイリ健康被害」新報告と、首相官邸資料「チェルノブイリ事故との比較」との驚くべき相違
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/blog-post_17.html
首相官邸サイト「チェルノブイリ事故との比較」(平成23年4月15日、後日更新、下のWHO「チェルノブイリ事故の健康影響」などに依拠)
http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g3.html
チェルノブイリ事故の放射線被害は、(急性)放射線障害で死亡した事故処理労働者28人、小児甲状腺がんの罹患者6000人(うち15人死亡)以外になし。
チェルノブイリ・フォーラム(国際原子力機関=IAEAと世界保健機関=WHOなどが組織)の枠組みでWHOがまとめたチェルノブイリ事故の健康影響(2006年4月)
WHO | Health effects of the Chernobyl accident: an overview
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs303/en/index.html
ベラルーシ、ロシア、ウクライナで事故時18歳以下の子どもの間で甲状腺がん5,000症例が診断された。(汚染区分4地域の)高汚染3地域における生涯のがん過剰死は最大4,000人。ロシアにおける大規模な調査により、被ばく量が高い人で心疾患による過剰死リスクの増大が示唆される。この知見は、長期フォローアップ研究の必要があるが、心臓に高線量を当てる放射線治療を受けた患者を対象とする研究の結果と一致している。
チェルノブイリ・フォーラムの2005年ウィーン会合(下の2005年WHO報告書などに依拠)
Chernobyl - Looking Back to Go Forwards
http://www-ns.iaea.org/meetings/rw-summaries/chernobyl-conference-2005.asp
http://www-ns.iaea.org/downloads/rw/conferences/chernobyl/chernobyl-conf-conclusions-eng.pdf
1992〜2003年の間に甲状腺がん4,000症例が診断された。高線量を受けた60万人の中で過剰死は過去と将来を合わせて約4,000人。
2005年WHO報告書:チェルノブイリ事故が原因のがんと白血病による死亡数は95年間で8,930人(下のCardis論文など引用)
World Health Organization. Health effects of the Chernobyl accident and special health care programmes. Report of the UN Chernobyl Forum, Expert Group ‘Health’ (GH).Working Draft, 2005 July 26.
国際がん研究機関のCardisら:チェルノブイリ事故が原因のがんと白血病による死亡数は70年間で9,785〜22,160人
Cardis E, Anspaugh L, Ivanov VK, et al. Estimated long term health effects of the Chernobyl accident. In: One decade after Chernobyl. Summing up the consequences of the accident. Proceedings of an International Conference, STI/PUB/1001. Vienna:International Atomic Energy Agency, 1996; p 241–79.
太田光征
http://otasa.net/
・首相官邸「チェルノブイリ事故との比較」(2011年):事故処理労働者28人死亡、小児甲状腺がん6000人罹患(うち15人死亡)以外に放射線被害なし。
・チェルノブイリ・フォーラム(2005年9月):過剰死4,000人(生涯)。
・WHO(2005年7月):がんと白血病による過剰死8,930人(95年間)。
・Cardisら(1996年):がんと白血病による過剰死9,785〜22,160人(70年間)。
官邸サイト以外の事例はPflugbeilが2005年に指摘し、IPPNWドイツ支部の2011年報告書に再掲されているもので、Peace Philosophy Centreが2011年4月に「チェルノブイリ事故との比較」とともに紹介しています。既に読まれた方も多いかと思いますが、この隠ぺい部分を整理してお知らせします。インチキ組織の報告によらない実際の被害については、Peace Philosophy Centreの記事を見てください。
ドイツ放射線防護協会のS. Pflugbeilによる2005年チェルノブイリ・フォーラム会合に対するコメント
Chernobyl – Looking back to go forwards:the September 2005 IAEA Conference
http://www.strahlentelex.de/Pflugbeil_Chernobyl-Commentary_FMCS2006.pdf
下の2005年WHO報告書とそれが依拠するCardis論文のデータを比較。チェルノブイリ・フォーラムの2005年ウィーン会合プレスリリースで2005年WHO報告書のデータ8,930人ではなく4,000人を採用した事実を説明。
IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ドイツ支部によるチェルノブイリ原発事故25年目の研究調査報告書(2011年4月8日)
http://www.chernobylcongress.org/fileadmin/user_upload/pdfs/chernob_report_2011_en_web.pdf
HTML版
Health Effects of Chernobyl, 25 years after the reactor catastrophe, IPPNW & Society for Radiation Protection, April 2011
http://www.ratical.org/radiation/Chernobyl/HEofC25yrsAC.html#ES
2011年IPPNW報告書の抜粋訳と追加情報
Peace Philosophy Centre: IPPNW「チェルノブイリ健康被害」新報告と、首相官邸資料「チェルノブイリ事故との比較」との驚くべき相違
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/blog-post_17.html
首相官邸サイト「チェルノブイリ事故との比較」(平成23年4月15日、後日更新、下のWHO「チェルノブイリ事故の健康影響」などに依拠)
http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g3.html
チェルノブイリ事故の放射線被害は、(急性)放射線障害で死亡した事故処理労働者28人、小児甲状腺がんの罹患者6000人(うち15人死亡)以外になし。
チェルノブイリ・フォーラム(国際原子力機関=IAEAと世界保健機関=WHOなどが組織)の枠組みでWHOがまとめたチェルノブイリ事故の健康影響(2006年4月)
WHO | Health effects of the Chernobyl accident: an overview
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs303/en/index.html
ベラルーシ、ロシア、ウクライナで事故時18歳以下の子どもの間で甲状腺がん5,000症例が診断された。(汚染区分4地域の)高汚染3地域における生涯のがん過剰死は最大4,000人。ロシアにおける大規模な調査により、被ばく量が高い人で心疾患による過剰死リスクの増大が示唆される。この知見は、長期フォローアップ研究の必要があるが、心臓に高線量を当てる放射線治療を受けた患者を対象とする研究の結果と一致している。
チェルノブイリ・フォーラムの2005年ウィーン会合(下の2005年WHO報告書などに依拠)
Chernobyl - Looking Back to Go Forwards
http://www-ns.iaea.org/meetings/rw-summaries/chernobyl-conference-2005.asp
http://www-ns.iaea.org/downloads/rw/conferences/chernobyl/chernobyl-conf-conclusions-eng.pdf
1992〜2003年の間に甲状腺がん4,000症例が診断された。高線量を受けた60万人の中で過剰死は過去と将来を合わせて約4,000人。
2005年WHO報告書:チェルノブイリ事故が原因のがんと白血病による死亡数は95年間で8,930人(下のCardis論文など引用)
World Health Organization. Health effects of the Chernobyl accident and special health care programmes. Report of the UN Chernobyl Forum, Expert Group ‘Health’ (GH).Working Draft, 2005 July 26.
国際がん研究機関のCardisら:チェルノブイリ事故が原因のがんと白血病による死亡数は70年間で9,785〜22,160人
Cardis E, Anspaugh L, Ivanov VK, et al. Estimated long term health effects of the Chernobyl accident. In: One decade after Chernobyl. Summing up the consequences of the accident. Proceedings of an International Conference, STI/PUB/1001. Vienna:International Atomic Energy Agency, 1996; p 241–79.
太田光征
http://otasa.net/
タグ:チェルノブイリ
2011年12月27日
航空機乗務員の発がんリスク
低線量被ばくの影響を否定する論拠の1つとして、航空機乗務員は一般人より被ばくしているが発がん率が高いという報告はない、ということが指摘されます。
しかし、航空機乗務員の発がんリスクについては、そうした報告の一方で、リスクが増加しているとする報告や、染色体異常の増加についての報告も確かにあります。
航空機乗務員の発がんリスク増加は体内時計の乱れなどに原因があるのではないかとの見方もあるようです。
宇宙放射線による被ばくリスクについて詳しい方がいれば、教えていただきたいと思います。
以下、諸々の論文の抄訳です。
太田光征
http://otasa.net/
*
パイロット、飛行年数の増加で染色体異常が増加
Occup Environ Med 2009;66:56-62 doi:10.1136/oem.2008.038901
Increased frequency of chromosome translocations in airline pilots with long-term flying experience
L C Yong et al
http://oem.bmj.com/content/66/1/56.abstract
染色体の転座は外部電離放射線の累積被ばくのバイオマーカーとして確立されている。航空機パイロットは宇宙からの電離放射線に曝露しているが、飛行経験との関連で航空機搭乗員の染色体転座を調べた研究はほとんどない。
航空機パイロット83人と対照者50人(平均年齢はそれぞれ47歳と46歳)の末梢血リンパ球における染色体転座の頻度を測定し、年齢、X線診断の経験、軍隊での飛行年数に関して補正した後、被ばく状況および飛行年数との関係を評価した。
パイロットと対照者の間で補正後の100細胞等量当たり平均転座頻度に有意差はなく、それぞれ0.37 (SE 0.04)、0.38 (SE 0.06)であった。しかし、飛行年数が1年から10年へと漸増するに伴い、パイロットの補正後の転座頻度はそれぞれ1.06(95% CI:1.01-1.11)、1.81(95% CI:1.16-2.82) の比率で増加しており、転座頻度と飛行年数は有意に相関していた(p = 0.01)。飛行年数が最高4分位のパイロットの調整転座頻度は、最低4分位のパイロットの2.59倍(95% CI:1.26-5.33)であった。
*
医療X線被ばくにより染色体異常が増加
Radiat Environ Biophys. 2010 November; 49(4): 685–692.
Diagnostic X-ray examinations and increased chromosome translocations: evidence from three studies
Bhatti et al
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3075914/
34〜90歳(平均62歳)の被験者計362人において、医療X線の被ばく線量と、赤色骨髄における染色体転座の頻度を調べた。線量スコアの1ユニットは約10mGy(10mSv)である。
採血時年齢とFISH法に関して補正をした場合、診断放射線の線量スコアが10ユニット増加するに伴い、100細胞等量(CE)当たり0.04の転座が統計的有意性をもって増加した(95% CI: 0.02, 0.06; P < 0.001)。
線量スコアを50以下に限定してもこの傾向は変わらないどころか、線量スコア0〜50で10線量スコア・100細胞等量当たりの過剰転座は0.05(95% CI: 0.001, 0.1; P = 0.04)、線量スコア0〜20で同過剰転座は0.08(95% CI: −0.002, 0.02, P = 0.1)、線量スコア0〜10で同過剰転座は0.3(95% CI: 0.06, 0.5, P = 0.02)と、線量反応関係は増大した。
*
染色体異常の増加で発がんリスクが増加
Am J Epidemiol. 2007 Jan 1;165(1):36-43. Epub 2006 Oct 27.
Chromosomal aberrations and cancer risk: results of a cohort study from Central Europe.
Boffetta et al
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17071846
http://aje.oxfordjournals.org/content/165/1/36.long
中欧の健康な6430人を対象に1978〜2002年にかけて染色体異常を調査した。その後、平均8.5年間にわたって発がん率ないしがん死率のフォローアップを行った。がん症例数は200件。
染色体異常のレベルを3つに分けると、染色体異常による発がんの相対リスクは、最低3分位の場合のリスクを1として、中間3分位が1.78(95%信頼区間:1.19-2.67)、最高3分位が1.81(95%信頼区間:1.20-2.73)となった。
最低3分位の無がん生存率はそれ以外と比べ統計的有意性をもって改善した(p = 0.01)。
*
パイロットらの急性骨髄白血病リスクが増加
Lancet. 1999 Dec 11;354(9195):2029-31.
Radiation-induced acute myeloid leukaemia and other cancers in commercial jet cockpit crew: a population-based cohort study.
Gundestrup M, Storm HH.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10636367
デンマークの航空機運航乗員3877人(男性3790人、女性87人)の発がんリスクを調べた。男女全体の全がんの標準化罹患率(SIR、基準=1に対する比)は1.1(95% CI:0.94-1.28)で、飛行時間5000時間以上の男性運航乗員については、急性骨髄白血病のSIRが5.1 (1.03-14.91)、黒色腫を除く皮膚がんのSIRが3.0(2.12-4.23)、全がんのSIRが1.2(1.00-1.53])であった。航空機の機種に関係なく、飛行時間5000時間以上の乗員の間で悪性黒色腫のリスクが上昇していた。
*
パイロットの皮膚がんリスクが増加
BMJ. 2002 Sep 14;325(7364):567.
Incidence of cancer among Nordic airline pilots over five decades: occupational cohort study.
Pukkala E et al
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12228131
北欧の男性航空機パイロット1万0032人を対象に発がんリスクを調べた。宇宙放射線に起因して発がんリスクが顕著に増加することを示すものではないが、皮膚がんの相対リスクは放射線量の推定値とともに増加した。黒色腫の標準化罹患率(SIR)は2.3(95%信頼区間:1.7-3.0)、黒色腫を除く皮膚がんのSIRは2.1(1.7-2.8) 、基底細胞のSIRは2.5(1.9-3.2)であった。
*
女性客室乗務員の乳がんリスクが増加
J Womens Health (Larchmt). 2006 Jan-Feb;15(1):98-105.
Cancer incidence among female flight attendants: a meta-analysis of published data.
Buja A et al
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16417424Abstract
航空機の女性客室乗務員の発がんリスクに関する研究7件を基にメタ分析を行った。黒色腫のメタ標準化罹患率(メタSIR)は2.15(95%事後区間[PI]:1.56-2.88)、乳がんのメタSIRは1.40(PI:1.19-1.65)であった。
*
黒色腫と電離放射線
Radiat Res. 2005 Nov;164(5):701-10.
Melanoma and ionizing radiation: is there a causal relationship?
Fink CA, Bates MN.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16238450
一般的に、白血病の相対リスクを高める被ばくカテゴリーでは、それと比例する形で黒色腫の相対リスクも上昇していることから、電離放射線に曝露する人は黒色腫発症リスクが高まることが示唆される。
*
体内時計・遺伝子・がんの関係
J Circadian Rhythms. 2010 Mar 31;8:3.
Circadian rhythm and its role in malignancy.
Rana S, Mahmood S.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20353609
しかし、航空機乗務員の発がんリスクについては、そうした報告の一方で、リスクが増加しているとする報告や、染色体異常の増加についての報告も確かにあります。
航空機乗務員の発がんリスク増加は体内時計の乱れなどに原因があるのではないかとの見方もあるようです。
宇宙放射線による被ばくリスクについて詳しい方がいれば、教えていただきたいと思います。
以下、諸々の論文の抄訳です。
太田光征
http://otasa.net/
*
パイロット、飛行年数の増加で染色体異常が増加
Occup Environ Med 2009;66:56-62 doi:10.1136/oem.2008.038901
Increased frequency of chromosome translocations in airline pilots with long-term flying experience
L C Yong et al
http://oem.bmj.com/content/66/1/56.abstract
染色体の転座は外部電離放射線の累積被ばくのバイオマーカーとして確立されている。航空機パイロットは宇宙からの電離放射線に曝露しているが、飛行経験との関連で航空機搭乗員の染色体転座を調べた研究はほとんどない。
航空機パイロット83人と対照者50人(平均年齢はそれぞれ47歳と46歳)の末梢血リンパ球における染色体転座の頻度を測定し、年齢、X線診断の経験、軍隊での飛行年数に関して補正した後、被ばく状況および飛行年数との関係を評価した。
パイロットと対照者の間で補正後の100細胞等量当たり平均転座頻度に有意差はなく、それぞれ0.37 (SE 0.04)、0.38 (SE 0.06)であった。しかし、飛行年数が1年から10年へと漸増するに伴い、パイロットの補正後の転座頻度はそれぞれ1.06(95% CI:1.01-1.11)、1.81(95% CI:1.16-2.82) の比率で増加しており、転座頻度と飛行年数は有意に相関していた(p = 0.01)。飛行年数が最高4分位のパイロットの調整転座頻度は、最低4分位のパイロットの2.59倍(95% CI:1.26-5.33)であった。
*
医療X線被ばくにより染色体異常が増加
Radiat Environ Biophys. 2010 November; 49(4): 685–692.
Diagnostic X-ray examinations and increased chromosome translocations: evidence from three studies
Bhatti et al
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3075914/
34〜90歳(平均62歳)の被験者計362人において、医療X線の被ばく線量と、赤色骨髄における染色体転座の頻度を調べた。線量スコアの1ユニットは約10mGy(10mSv)である。
採血時年齢とFISH法に関して補正をした場合、診断放射線の線量スコアが10ユニット増加するに伴い、100細胞等量(CE)当たり0.04の転座が統計的有意性をもって増加した(95% CI: 0.02, 0.06; P < 0.001)。
線量スコアを50以下に限定してもこの傾向は変わらないどころか、線量スコア0〜50で10線量スコア・100細胞等量当たりの過剰転座は0.05(95% CI: 0.001, 0.1; P = 0.04)、線量スコア0〜20で同過剰転座は0.08(95% CI: −0.002, 0.02, P = 0.1)、線量スコア0〜10で同過剰転座は0.3(95% CI: 0.06, 0.5, P = 0.02)と、線量反応関係は増大した。
*
染色体異常の増加で発がんリスクが増加
Am J Epidemiol. 2007 Jan 1;165(1):36-43. Epub 2006 Oct 27.
Chromosomal aberrations and cancer risk: results of a cohort study from Central Europe.
Boffetta et al
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17071846
http://aje.oxfordjournals.org/content/165/1/36.long
中欧の健康な6430人を対象に1978〜2002年にかけて染色体異常を調査した。その後、平均8.5年間にわたって発がん率ないしがん死率のフォローアップを行った。がん症例数は200件。
染色体異常のレベルを3つに分けると、染色体異常による発がんの相対リスクは、最低3分位の場合のリスクを1として、中間3分位が1.78(95%信頼区間:1.19-2.67)、最高3分位が1.81(95%信頼区間:1.20-2.73)となった。
最低3分位の無がん生存率はそれ以外と比べ統計的有意性をもって改善した(p = 0.01)。
*
パイロットらの急性骨髄白血病リスクが増加
Lancet. 1999 Dec 11;354(9195):2029-31.
Radiation-induced acute myeloid leukaemia and other cancers in commercial jet cockpit crew: a population-based cohort study.
Gundestrup M, Storm HH.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10636367
デンマークの航空機運航乗員3877人(男性3790人、女性87人)の発がんリスクを調べた。男女全体の全がんの標準化罹患率(SIR、基準=1に対する比)は1.1(95% CI:0.94-1.28)で、飛行時間5000時間以上の男性運航乗員については、急性骨髄白血病のSIRが5.1 (1.03-14.91)、黒色腫を除く皮膚がんのSIRが3.0(2.12-4.23)、全がんのSIRが1.2(1.00-1.53])であった。航空機の機種に関係なく、飛行時間5000時間以上の乗員の間で悪性黒色腫のリスクが上昇していた。
*
パイロットの皮膚がんリスクが増加
BMJ. 2002 Sep 14;325(7364):567.
Incidence of cancer among Nordic airline pilots over five decades: occupational cohort study.
Pukkala E et al
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12228131
北欧の男性航空機パイロット1万0032人を対象に発がんリスクを調べた。宇宙放射線に起因して発がんリスクが顕著に増加することを示すものではないが、皮膚がんの相対リスクは放射線量の推定値とともに増加した。黒色腫の標準化罹患率(SIR)は2.3(95%信頼区間:1.7-3.0)、黒色腫を除く皮膚がんのSIRは2.1(1.7-2.8) 、基底細胞のSIRは2.5(1.9-3.2)であった。
*
女性客室乗務員の乳がんリスクが増加
J Womens Health (Larchmt). 2006 Jan-Feb;15(1):98-105.
Cancer incidence among female flight attendants: a meta-analysis of published data.
Buja A et al
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16417424Abstract
航空機の女性客室乗務員の発がんリスクに関する研究7件を基にメタ分析を行った。黒色腫のメタ標準化罹患率(メタSIR)は2.15(95%事後区間[PI]:1.56-2.88)、乳がんのメタSIRは1.40(PI:1.19-1.65)であった。
*
黒色腫と電離放射線
Radiat Res. 2005 Nov;164(5):701-10.
Melanoma and ionizing radiation: is there a causal relationship?
Fink CA, Bates MN.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16238450
一般的に、白血病の相対リスクを高める被ばくカテゴリーでは、それと比例する形で黒色腫の相対リスクも上昇していることから、電離放射線に曝露する人は黒色腫発症リスクが高まることが示唆される。
*
体内時計・遺伝子・がんの関係
J Circadian Rhythms. 2010 Mar 31;8:3.
Circadian rhythm and its role in malignancy.
Rana S, Mahmood S.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20353609