環瀬戸内海会議事務局長の松本宣崇さんの報告(訴え)によれば、
1.小豆島の名勝「寒霞渓を守れ」と立木トラストを実施してきた内海(うちのみ)ダム反対「寒霞渓トラスト」用地に対して、香川県は4月3日付で強制収用事業認可申請の公告を出した。
2.しかし、上記の公告縦覧の事実を立木トラスト等の地権者が知りえたのは、地権者の代理人弁護士へ4月15日になって連絡があってから。そもそも2週間(これは最低の表示、法はそれ以上と規定)の縦覧期間にもかかわらず、地権者も、その代理人も知りえたのが縦覧期間最終日わずか3日前。地権者の抵抗権・代理人の弁護権など行使できる時間的余裕も許さない、ただ「法にのっとった手続きを踏んだ」といわんばかりのの強行です。
3.たしかに香川県は土地収用法の規定に則って縦覧期間の2週間前の4月3日付で強制収用事業認可申請の公告を出してはいる。が、その公告たるや掲示板に紙切れ一枚を掲示しただけ。地権者等関係者に告げることもなく、ホームページにも何ら記載もない。土地収用申請については議員に知らせることになっていたが、その約束も反故にしている。また、当然のようにマスコミにもその事実を告知していない。掲示板の公告を見逃したのは地権者側もうかつではあった。が、県側のやりくちは年度替り直後を狙ったあまりに姑息な手段といわなければならない。
4.それでも緊急に「公聴会開催」の申し入れ要請をみなさんにお願いし、15〜16日のわずか2日間で小豆島島内だけで140名余りの「公聴会開催請求書」が集まった。
5.私たちは、17日に国交省四国地方整備局に公聴会開催の申し入れを行い、香川県庁には意見書と抗議書を提出した。この事態にあって、香川県用地対策課は、土地収用法第25条に基づく企業者(この場合は香川県)への意見書の提出の縦覧期日は当初4月18日までとなっていたが、同意見書の受付期間を28日まで延長することを表明した。
という事実経過のようです。
みなさん。小豆島の住民をはじめとする「寒霞渓立ち木トラスト」の地権者たちは、香川県に内海ダム再開発事業(土地収用)に関する意見書の受付期間を28日まで延長させました。土地収用法の規定いかんに関わらず、私たちが事業主体の香川県に対して同ダム再開発事業について意見を述べるのは自由です。もちろん書式も自由です。
あなたの思いを《28日までに》香川県・真鍋武紀知事宛に送っていただけないでしょうか? それが小豆島の名勝「寒霞渓」を守る力となります。世界にまれな、いびつな内海ダム計画を止めるための力となります。みなさまの「内海ダムNO!」「内海ダム計画、ちょっと待って」のご意見を下記に集中していただければ幸いに思います。
意見書提出あて先は以下のとおりです。
郵送の場合:
760-8570 香川県高松市番町4-1-10 香川県庁 真鍋武紀知事あて
知事へのメール:chijimail@pref.kagawa.lg.jp
また、ご意見を提出された場合、以下までご一報いただければ幸いです。
環瀬戸内海会議事務局 松本宣崇さん
700-0973 岡山市下中野318-114
TEL・FAX 086-243-2927
e-mail : nmatchan@ms8.megaegg.ne.jp
以下、(1)小豆島町内海ダム再開発事業新聞関連記事2通と(2)ルポライターまさのあつこさんと愛媛県議会議員で環瀬戸内海会議代表の阿部悦子さんの「内海ダム」関連記事各1通、(3)4月17日付で寒霞渓の自然を守る連合会などが香川県知事宛に提出した意見書を付記しておきます。ご参照ください。
(1)小豆島町内海ダム再開発事業新聞関連記事2通
………………………………………………
【新聞記事につき転載禁止】
■小豆島・内海ダム再開発 強制収用視野に手続き 反対派用地 県が事業認定申請(山陽新聞 2008/04/17)
香川県小豆島町の内海(うちのみ)ダム再開発事業で、事業主体の香川県と小豆島町が土地収用法に基づく事業認定を国土交通大臣に申請したことが十六日、分かった。同事業をめぐっては、一部地権者らの反対で用地取得が難航。県などは強制収用も視野に手続きを進める構えで、反対派住民は「事業は不適切」との意見書を十七日、真鍋武紀知事あてに提出する。
事業は利水・治水対策を主な目的に現在の内海ダム下流に新たなダムを建設する。一九九九年十月、県議会で県が計画概要を公表。県は二〇一一年度の完成をめざしている。
県などは〇五年二月から用地交渉を開始。水没地やえん堤など建設用地約一五・三fのうち、約97%を取得したが、建設地が名勝・寒霞渓の南側に当たることもあり、住民の反対運動のため約3%が残っている。
このため県と町は土地収用に向けて3月十九日に事業認定を申請。国交相の事業認定と県収用委員会の裁決を経て、用地の強制収用が可能になる。
これに対し、反対派グループ「寒霞渓の自然を守る連合会」は「治水機能は期待できず、利水面も合理性がない。多額の費用を投じ、新たなダムを建設する必要はない」と事業の中止を主張。立ち木トラストなどの反対運動を展開している。
(以下省略)
《ズーム》 内海ダム再開発事業
別当川総合開発事業の一環として、老朽化している内海ダム(1959年完成)の下流に多目的ダムを建設する計画。総貯水量は約106万dで、現在の7・5倍。2002年度に国の補助事業に採択され、総事業費は国補助を含め約185億円の見込み。
………………………………………………
■県が意見書の受け付け延長−内海ダム再開発事業(四国新聞 2008/04/19)
http://www.shikoku-np.co.jp/kagawa_news/social/article.aspx?id=20080419000115
内海ダム再開発事業で、香川県と小豆島町が国土交通大臣に申請した事業認定について、反対派住民代表は18日、意見書の受付期間を28日まで延長すると県から連絡があったことを明らかにした。
事業認定は、用地買収が不調に終わった場合、反対する地権者の土地を強制的に取得できるようにする手続き。意見書の提出期間は公告縦覧期間の17日までだったが、住民らは「知らせるのが遅すぎる」と抗議し、延長を求めていた。
………………………………………………
(2)まさのあつこさんと阿部悦子さんの「内海ダム」関連記事各1通
■ダム日記2 2004年11月02日 内海ダム(まさのあつこさん)
http://www.viva.ne.jp/blog/wonwonatsuko/archives/000423.html
■悦子の日々便り 2005.4.6 小豆島へ 内海ダムに反対
http://www.muse.dti.ne.jp/~hiroba/hibi0504gatsu/hibi20050406.htm
………………………………………………
(3)4月17日付で寒霞渓の自然を守る連合会などが香川県知事宛に提出した意見書
平成20年4月17日
香川県知事 真鍋武紀 殿
寒霞渓の自然と共に生きる会
国立公園寒霞渓の自然と環境を考える会
環瀬戸内海会議
寒霞渓の自然を守る連合会
意見書
土地収用法第二十五条第一項の規定に基づき、次の通り意見を述べます。
対象となる事業の種類及び起業者
起業者 香川県及び小豆島町
事業の種類
二級河川別当川水系別当川内海ダム再開発工事並びにこれに伴う県道及び町道付替工事
土地収用法第20条には「国土交通大臣又は都道府県知事は、申請に係る事業が左の各号のすべてに該当するときは、事業の認定をすることができる。」として、以下の四項を定めている。
1.事業が第3条各号の一に掲げるものに関するものであること。
2.起業者が当該事業を遂行する充分な意思と能力を有する者であること。
3.事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること。
4.土地を収用し、又は使用する公益上の必要があるものであること。
今回、収用法適用事業認定申請のあった「二級河川別当川水系別当川内海ダム再開発工事並びにこれに伴う県道及び町道付替工事」について、起業者である香川県及び小豆島町は、当該事業を合理的かつ公益性の高い事業としている。
しかし、本事業は以下の理由等を以ってとうてい収用法適用事業には該当しないので異議を申し立てる。
先ず、起業者は財政再建準用団体になろうかという財政事情をかかえており、例え将来国からの交付税措置が約束されたにしろ、これ以上の起債は県民の福祉を圧迫するものであって、財政的に当該事業を遂行する十分な能力を有していない。
また、事業計画は合理的な土地利用とはなり得ない。本事業は、3つの理由により必要であると説明されている。
第1に、既存ダムが危険であるとの指摘である。
危険であれば撤去すればよい。
第2に、新たな水源開発が必要であるとの指摘である。
平成9年策定の第3次香川県長期水需給計画から将来的に不足すると予測された部分について1000トン/日の新たな水源開発を行うとされてきたが、供給実績は平成18年度ですでに予測量を2000トン/日以上下回っている。これは予測が間違っていたのであり、水源開発の必要性がないことは明らかである。
第3に、治水のための洪水調整が必要であるとの指摘である。
計画の出発点となっている昭和51年災害の被害記録に示された床上、床下浸水が最も集中している草壁本町地区は、片城川と別当川両方の洪水氾濫区域であるにもかかわらず、何ら検証もなく全てを別当川の氾濫被害としていることは間違いである。
また別当川の氾濫の主な原因が支流西条川の土石流によるものであることは既に明らかである。別当川上流に計画されている新内海ダム(以下再開発ダムという)では、下流にある支流、また隣接する河川による洪水は防げない。
香川県は、その基本高水流量を計算するに当たって、集水域2平方qからの流入時間を30分とするとした「河川砂防技術」に示された全国一律の目安を以て流入量を検証している。しかし、「実用河川計画」には、「100_降雨時=山腹勾配1/2=34分/q」「100_降雨時=山腹勾配1/4=41分/q」と示されており、香川県の主張よりは明らかに長い時間が必要であることが示されている。また、香川大学の研究(昭和52年・小豆島災害調査研究報告)では、実際の昭和51年災害時の小豆島での水文資料から等価粗度係数を割り出しており、これらによれば、降雨が1時間以内にダム地点に到達するのは不可能である。結果として香川県の計算は実態に対して3割水増しされている。
現行の別当川には、ダム地点80立米/秒を計画高水として放流する計画であるが、これは隣接する片城川の流下能力を上回っており、再開発ダムが洪水調整能力を発揮しはじめる時点では、既に前述した片城川は氾濫しており、洪水は防げない。
現に計画降雨時の比流量は、別当川27.08立米/s/平方qに対してすでに河川整備を終えているとされる片城川は18.8立米/s/平方qであり、同一氾濫域を持ちながら全く整合性はない。これでは例え計算方法が合法であっても現実の草壁本町地域の洪水は防ぎようがない。
また、再開発ダムは通称穴あきダムである。想定されている洪水を上回る降雨が発生した場合は、洪水調整容量が満杯になった瞬間に洪水調整能力を失い大災害を引き起こす。
また河口域の流下能力を計算する際には、既往最高潮位から計算されねばならないが、再開発ダムの計画高潮位は+179pであり、既往最高潮位は1616台風の251pである。潮位が上がれば、計画降雨以下であっても別当川は氾濫する。また、片城川の計画高潮位は97pであり、河口域の氾濫は再開発ダムによる洪水調整よりも、潮位による影響の方が多くダムでは洪水は防げない。
また穴あきダムである以上、低潮位時に洪水調整し高潮位時に実際の降雨より多く放流することは当然起きる。この場合はダムが洪水を起こすことになる。
これらからすると年平均被害軽減期待額は、香川県の言う16.35億円/年に及ばないばかりか、ダムによって河川改修がないがしろにされるなら、被害額が増大することさえも否定しきれない。
以上理由の一部を述べたが本事業には合理性も公益性も認められない。従って、収用法適用事業としての要件を整えておらず収用法適用事業として不適正であり認定されてはならない。
以上
………………………………………………
東本高志
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