「軍事基地と女性」ネットワークは、4月開催予定だった軍法会議を「2ヶ月延期する」との報道があった同日、あくまで日本で裁くことを要求して広島高等検察庁への不服申し立てをしています。
なお、先に発表された同ネットワークの「米軍岩国基地所属海兵隊員集団レイプ事件に対する声明」「広島県警・地検への公開質問状」は、
againstGFBのサイト:http://www.againstgfb.com/iwakuni_shomei.html
で見ることができます。ご参照ください。
東本高志
━━━━━━━━━転載はじめ━━━━━━━━━
<転送転載大歓迎>
米兵集団レイプ事件に関する広島県警・広島地検への公開質問についての報告
「軍事基地と女性」ネットワーク運営委員会
私たちは昨秋広島で発生した米兵集団レイプ事件が日本の法廷で裁かれないままになることを危惧し、3月8日にこれに対する声明を出すとともに、広島県警・広島地検に対する公開質問状を提出しました。
この公開質問に対して個人・団体から多数の賛同が寄せられ、3月31日正午までに署名総数は1981筆に達し、現在ではすでに2000名を越えています。アメリカ合衆国、日本と同じく駐留米軍問題に苦悩する韓国やフィリピンをはじめ、海外からも大きな反響があり、多くの賛同が寄せられました。
集団レイプという凶悪犯罪でありながら日本の捜査当局・司法当局によって強制捜査も起訴も行われず事件がもみ消されてゆくことに対して、このように多数の市民が深く憂慮し、納得のゆく説明を求めているのです。
「軍事基地と女性」ネットワークでは3月8日以降、広島県警・広島地検に対して3月31日までに回答するように再三にわたり強く要請してきました。しかし県警・地検とも期日を過ぎてもなお回答はありません。
期限が過ぎた後、広島県警は「軍事基地と女性」ネットワークからの電話による問い合わせに対し、文書による回答を拒否し、捜査に関することは言えないとくりかえすだけでした。県警側から電話をかけなおすと約束しながら反古にしたり、突然会話の途中で電話を切るなど、残念なことに、県警の対応は市民に対する説明責任を果たそうとする態度とはかけ離れていたと言わねばなりません。
県警の担当官との会話の中で、「○○さん(電話をかけたネットワークのメンバー)ももう少し勉強していただきたい。地位協定というものがあるのだ。私たちとしてはそれを守らないといけない」という発言もありました。が、県警側は、自ら言い出したことでありながら、地位協定の運用に関する説明を拒み、突然電話が切られました。地位協定の枠組みの中であれ日本側には米軍側に凶悪犯罪容疑者の身柄引き渡しを請求することができますし、米軍の「好意的配慮」に基づいて、実際に身柄を確保することはできるのです。昨秋の新聞報道では当初は逮捕状請求の方針であったのにそれが一転してとりやめになったのであり、その点こそ私たちが疑問とし、納得のゆく説明を求めた点でした。が、県警からの返答は「納得」どころか、ますます疑惑を生じさせるものでした。
また4月3日付の新聞報道によれば、広島地検の信田昌男次席検事は公開質問状に関する朝日新聞の取材に対し、「個別事件の捜査などの内容について、公開質問に対する回答は差し控えるべきものと考えています」とコメントしています。が、今回の不起訴決定は個別事件の問題にとどまるものではなく、凶悪犯罪、とりわけ頻発する米軍犯罪に対する司法当局の社会的責任そのものを問う重大問題であることは明白です。こうした地検の態度は、今回の集団レイプ事件に対する自身の極めて無責任な態度を改めて示すものと言わざるを得ません。
このような広島地検・広島県警からの対応は公的機関が果たすべき説明責任をないがしろにするものであり、私たちは米兵集団レイプ事件がこのままもみ消されてしまうことを断じて許すことができません。
米軍は、軍法会議を開くと主張していますが、そこに正義の実現を期待することができるでしょうか。
軍法会議は真実の追究や社会正義の擁護のために設置されているのではなく、軍隊の利益・軍紀の維持のために設置されるものにすぎません。
実際、米軍の軍法会議でこれまで米兵が日本国内で起こした事件・事故がどのように裁かれてきたでしょうか。
被害者の正義が実現されたことは皆無に等しいのです。
米軍側は軍法会議の開廷やその内容を日本に報告する義務を負ってきたわけでもありません。
日本政府も軍法会議の内容や結果を米軍側に問いただし国民に知らせることを怠ってきました。
地位協定第17条は、このような米軍の「裁判」と法治国家である日本の法廷で行われる「裁判」とが等価であるかのように、どちらか一方にのみ裁判権を認めるというもので、それ自体が大きな問題を抱えています。
そのような軍法会議でありながら、これを開くということをもって米軍当局は米軍側の「綱紀粛正」への努力をアピールしようとしてきましたが、もし米軍の軍法会議に委ねられてしまえば事件の真相や被害者の苦悩は市民の目にふれないところで秘密に行われる日米協議の闇に葬られることにつながるのではないでしょうか。
軍法会議では加害米兵に対する厳正な処罰が行われる保証はないのです。
が、その軍法会議さえ、3月には4月に開くといっていたものが、4月4日には開廷をニヶ月延期すると報道されています。殺人、強盗と、異様に連続して米兵犯罪が発生しており、これを非難する市民の声が高まり、広島事件の不起訴を不当とする内外からの声も聞こえてくるなかで、軍法会議を開いてしまっては形だけの「綱紀粛正」パフォーマンスではすまなくなるかもしれないことに米軍側が気が付いたのかもしれません。二ヶ月延期というこの度の報道が、二ヶ月後にはまた延期更新の報道になるかもしれません。
米兵が起こした集団レイプという凶悪犯罪の決着を米軍に委ねることはできません。
私たちはあくまでも米兵の凶悪犯罪を日本の法廷で裁くべきであることを主張し、このたび広島県警・広島地検に対する公開質問状に賛同・署名を寄せられた多数の市民のみなさんとともに今後も不起訴処分不当・加害米兵に対する厳正な裁判と処罰を訴え続けてゆきます。
2008年4月11日
なお、「軍事基地と女性」ネットワークでは、広島県警・広島地検から納得のゆく回答が得られなかったことから、広島高等検察庁にあてて次の申立書を送付しました。
******
申立書
二○○八年四月四日
広島高等検察庁 検事長 松永榮治 殿
申立人
「軍事基地と女性」ネットワーク
二○○七年十月一四日、広島市で発生した岩国基地所属の米海兵隊員四名による集団強かん事件に関し広島地方検察庁が不起訴決定を下したことにつき、申立人ほか1,839人の個人と142団体は広島地方検察庁検事正に対して、添付書類のとおり二○○八年三月三一日を回答期限とする公開質問状を提出しました。しかし回答期限をすぎた今日に至るまで広島地検からはなんらの回答もありません。
同事件の被害者は二○○八年二月一四日、米軍軍法会議の予備審問で証言し、涙を流し声を震わせながら「四人に暴行された」と訴え被害を訴えています。にもかかわらず集団強かんという凶悪事件を、広島地検が理由を明らかにしないまま不起訴としたことは、社会正義を踏みにじる行為であり、被害者と全女性の人権の観点からも到底容認することはできません。
二○○八年三月八日以降、再三にわたる公開質問状の送付にも関わらず、広島地検は申立人らに対してなんらの回答もしていません。二○○八年四月三日付の報道によれば、同地検の信田昌男次席検事は公開質問状に関する朝日新聞の取材に対し、「個別事件の捜査などの内容について、公開質問に対する回答は差し控えるべきものと考えています」とコメントしていますが、今回の不起訴決定は個別事件の問題にとどまるものではなく、凶悪犯罪、とりわけ頻発する米軍犯罪に対する司法当局の社会的責任そのものを問う重大問題であることは明白です。こうした地検の態度は、今回の集団強かん事件に対する自身の極めて無責任な態度を改めて示すものであり、すでに広島地検の内部では本件の適正な解決が不可能であることを示しているといわざるをえません。
したがって上級庁たる広島高等検察庁が本件に関する司法当局の社会的責任を果たすべく、公開質問状に回答すると同時に、不起訴処分を撤回し、ただちに本件捜査を再開するよう強く求めるものです。
右事情をご調査の上、上級庁として監督権の発動をいただくよう要請いたします。
添付書類
一、二○○八年三月八日付け「軍事基地と女性」ネットワーク声明
二、二○○八年三月八日付け広島地検および広島県警に対する公開質問状
三、上記一、二の賛同人一覧
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━━━━━━━━━転載終わり━━━━━━━━━
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