2007年12月21日

熊本県知事選に関して現時点での情報整理〜川辺川ダム反対の立場から

 熊本県では来春、県知事選挙があります。3選出馬を確実視されていた潮谷義子知事(68)が一転不出馬を表明し、同知事選は風雲急の様相を帯びてきました。候補者も現段階で6人がノミネートされており、乱立気味です。

 熊本県では「川辺川ダム」問題が長年の懸案事項となっています。同ダム計画発表から40年目の節目に誰が県知事になり、同ダム問題をどのように決着させるのか。来春の熊本県知事選に関して、同ダム建設反対の立場から現時点での情報を整理してみます。

 同知事選に立候補を表明しているのは現時点(12月20日)で4人。そのほかに自民党サイドが出馬要請している立候補予定者として2人の名前が取り沙汰されていますから、同知事選の下馬評の主はあわせて6人ということになります。

同知事選への立候補表明順にいえば、以下の4人がすでに出馬表明をしています。

@ 北里敏明氏(59) 元消防庁次長(12月7日出馬表明)
A 矢上雅義氏(47) 現球磨郡相良村長(12月10日出馬意向表明、12月14日出馬表明)
B 鎌倉孝幸氏(61) 元熊本県地域振興部長(12月13日出馬意向表明、12月17日出馬表明)
C 岩下栄一氏(61) 元自民党衆院議員(12月19日出馬表明)

 上記のうち鎌倉孝幸氏については、潮谷知事が実質的な支援表明をしました(熊本日日新聞、12月15日付)。また、民主党も、同党推薦候補の有力な対象者のひとりとしています(同左)。        

 下記のふたりは、自民党サイドが出馬要請している立候補予定者として名前が挙がっています(同紙、12月19日付)。

D 蒲島郁夫氏(60) 東京大法学部教授
E 中山峰男氏(60) 崇城大学長

 上記のうち中山峰男氏は、19日、自民党の同知事選候補者の正式な選考対象となることを了承しました(同紙、12月20日付)。蒲島郁夫氏については、20日の自民党と同氏との会談で「態度保留」との回答を示したようです(同紙、12月21日付)。同氏については、民主党も、同党の有力推薦候補者として接触しているとの報道もあります(同紙、12月20日付)。

 蒲島氏はこれまで選挙分析や国民の政治意識などについて、朝日新聞社と共同調査、研究を続けてきており、その分析記事に少なからず目を通してきた私の個人的な感触では、同氏は自民党よりも民主党に近い考え方の持ち主です。私の観測では、自民党候補者になる可能性は中山氏の方が高いように思われます。仮に蒲島氏が同党の候補者に選出されたとしても、「自民党はダム建設推進の立場」(同紙、12月11日付)ですから、蒲島氏が同党から出馬した場合、必然的に彼も「ダム建設推進の立場」とみなさざるをえないでしょう。

 以上のことから判断すると、来春の知事選候補者は以下のようになるのではないか(あくまでも現時点での判断)?

【ダム建設推進派候補者】(自民党系候補者)
北里敏明氏(59) 元消防庁次長
岩下栄一氏(61) 元自民党衆院議員
中山峰男氏(60) 崇城大学長(自民党推薦候補者)

【ダム建設「中立」派候補者】
鎌倉孝幸氏(61) 元熊本県地域振興部長

【ダム建設反対派候補者】
矢上雅義氏(47) 現球磨郡相良村長

 上記を見る限り、保守乱立に乗じて「ダム建設反対派(または「中立」派」)の候補者が当選する可能性は大です。しかし、知事選勝利の前提として、「ダム建設反対派(少なくとも「中立」派)」の《一本化》という条件が必要でしょう。

 また、《一本化》の条件として、次の2要素は重要な検討材料(慎重な検討が必要)というべきでしょう。

@川辺川ダム計画に対する態度

A勝てる候補かどうか

 上記について、だれがその任を担うのか? あるいは担えるのか? ダム反対派(「中立」派を含む)が知事選に勝利するかどうかの当面のポイントは、おそらくここにあるだろう、と私は思います。

 以下、各立候補予定者の経歴、考え方など。

1.北里敏明氏(59)

(a)経歴
現弁護士。元元消防庁次長。熊本市出身。東京大法学部卒業後、自治省(当時)入り。京都市助役などを務めた。2004年の参院選比例代表に自民党公認で立候補し、落選した。

(b)ダム・県政問題発言録
・「県民所得が全国三十八位と落ち込むなど熊本の経済は停滞し、地域の商店街も寂れている。日本一魅力ある県にしたい」と述べた。アジアとの交流による経済振興や産業振興、観光地づくりを進める」(熊本日日新聞 2007年12月8日)
・「(ダム問題については)早急に結論を出すべきと考えるが、現時点で是非の判断は下せない」(熊本日日新聞 2007年12月11日)

(c)潮谷県政について
・「多くの人の声を県政に反映させる姿勢は評価する。ただ、県民所得の向上など経済面で少し物足りなかった」(熊本日日新聞 2007年12月8日)


2.矢上雅義氏(47)

(a)経歴
現球磨郡相良村長。1993年に日本新党から衆院旧熊本2区で立候補し、初当選。新進党結党に参画し、衆院熊本5区で再選を果たした。その後、自民党に入党し、2000年に落選。01年に相良村長選に初当選し、05年の村長選は拘置中に再選された。矢上村長は、助役選任をめぐる贈賄容疑で熊本地裁で有罪判決を受けた。福岡高裁に控訴し、公判中。「裁判では一貫して無罪を主張している。知事選への立候補は保障された権利。何ら問題はない」と話している。

(b)ダム・県政問題発言録
・「ダムには100%反対。40年続いたこの問題を、次の知事が終わらせるべきだ」(朝日新聞、2007年12月16日付)
・「厳しい県財政の立て直しや水俣病問題の解決などに、自分の経験を生かしたい」(読売新聞、2007年12月10日付)
・「環境面はもちろん、県の財政再建の観点からも無駄な投資のダム計画はなくすべきだ。知事として政治決着をつけたい」(熊本日日新聞、2007年12月11日付)
・「水俣病問題の早期解決や九州新幹線全線開業を生かした交通基盤整備などにも取り組む」(同上)

(c)潮谷県政について
・「ダムや利水(国営川辺川土地改良事業)の問題を押しとどめ県民が冷静に判断する時間を与えた」(熊本日日新聞、2007年12月11日付)
・「ダム推進の流れから、『中立』という立場に踏み込んだ知事の決断を評価している」(同紙、2007年12月5日付)

3.鎌倉孝幸氏(61) 

(a)経歴
元熊本県地域振興部長。阿蘇市(旧阿蘇町)出身。中央大法学部卒。1971年に県庁入りし、新幹線対策室長や川辺川ダム建設に「中立」の立場である潮谷県政で、県が主導した住民討論集会などに携わった。県庁を定年退職後、06年10月から熊本県民テレビ顧問に就いていたが、12月12日付で退職。

(b)ダム・県政問題発言録
・「ダム建設は最後の選択肢。治水面などで議論を尽くす」(熊本日日新聞、2007年12月14日付)
・「行政経験を生かして交流人口の増加や雇用拡大、政令市実現などに取り組み、地域力を上げたい」(同上)
・「県政には川辺川ダムや水俣病の問題、新幹線全線開業を見据えた県土づくり、熊本市の政令市実現など最重要課題がある。自らの経験を生かしたいと決意した」(同紙、2007年12月18日付)
・「(川辺川ダム問題について)洪水時に想定される河川の最大流量(基本高水流量)はあくまで推定値だ。過去の洪水被害を再調査し、ダムに頼らない治水対策を国に求め、徹底検証する必要がある」(同上)

(c)潮谷県政について
「(潮谷知事が選挙戦での支援を示唆していることについて)評価してもらいありがたい。潮谷県政を継承し、発展させたい」(同紙、2007年12月18日付)

4.岩下栄一氏(61) 

(a)経歴
元自民党衆院議員。熊本市出身。県議を経て、細川護熙元首相の議員辞職に伴う衆院熊本1区補選に自民党から出馬、当選。知事選には無所属で出馬するという。

(b)ダム・県政問題発言録
・「経済の活性化や農業など一次産業の振興、教育の充実に力を入れる」(熊本日日新聞12月20日付)
・「県民所得倍増計画の策定(財源の裏付けなどを精査し、来年2月に公表するマニフェストで具体的政策として示す)」(同上)
・「(県立高校再編整備計画について)凍結して見直す。地域の核でもある学校を財政や効率性の観点で論じるべきではない」 (同上)

5.蒲島郁夫氏(60) ※(自民・民主とも政党独自候補者として検討中)

(a)経歴
東京大法学部教授。山鹿市(旧鹿本町)出身。鹿本高卒。鹿本農協職員を経て米国のネブラスカ大卒、ハーバード大大学院修了。筑波大教授から現職。東京都江東区在住。

6.中山峰男氏(60) ※(自民が政党独自候補者として検討中)。 

(a)経歴
崇城大学長。熊本市出身。済々黌高〜熊本大工学部卒。崇城大(旧熊本工業大)職員から学長に就任。今夏の参院選では熊本選挙区の自民党候補の後援会長。

東本高志
posted by 風の人 at 17:21 | Comment(0) | TrackBack(1) | 一般
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