2007年12月13日

占領法としてのイラク石油法とイラク労働戦線

イラク戦争が石油利権のためという側面を持つ戦争であることがよく分かる向井さんからのメールです。

「石油法」なる法案がイラク「議会」に提案されているというのですが、何とこの法案は、「約35年間、新規開発油田の利益の約70%を英米資本が獲得できる」!というもの。これを米軍撤退の条件にしている。

「石油法は占領法」とIFC(イラク自由会議)が呼ぶ――当然ですね。

Subject:[muboubi 3795] イラク労働戦線の様子
From:Masumi Mukai

横浜 向井です。

以前に寺尾さんが「イラク労組指導者の逮捕の動きに抗議し
よう」といった呼びかけを転送してくださったことを覚えてお
いででしょうか。(たしか9月頃)向井も追加情報を投稿した
関係で、その件についてその後の展開をご報告しなければ、と
思いました。
イラク労働戦線の状況の全貌を把握する立場にありませんが、
その一部である反石油法戦線の活動状況をイラク自由会議(IFC)
のホームページとその独自メディアSANAを配信するイラク平和
テレビ局in Japanの番組、ニューヨークタイムズ紙報道、その
他のネット上の情報からまとめてみました。
●石油法とは
Oil Lawと略称されていますが一連のパッケージ法案で、原案
は英語で書かれていたものです。それがアラビア語に翻訳され
てイラク「議会」に提出(今年は春)されたのですが、内容は
大変難解で最初は政府部内でも理解している人はわずか、と言
われていました。
政府案(アラビア語)の在米イラク人政治コンサルタントによ
る英語訳がネットで公表されたのでそれを全文読むことが可能
です。
イラク国民にとって見逃せないのは、約35年間、新規開発油
田の利益の約70%を英米資本が獲得できるという点です。「
石油法は占領法」とIFCが呼ぶ理由です。細かい規定はややこ
しいので省略します。
これをニューヨークタイムズなどの米国メディアは「revenue
sharing law(収入分かち合い法)」と呼んでいますが、誤解
を招く呼称です。英米が奪い取った残りをシーア、スンニ、ク
ルドで仲良くわけろ、というわけです。そして、撤退の条件に
この法案の通過をあげています。これこそが米国の国益を守る
最重要課題、というわけで共和党敗北後の超党派レポートには
最初のページにこの問題への言及があります。

●反石油法戦線
IFCはこの法案の性質を当初から見抜いて学習会を組織してき
ました。IFCには石油労組も結集していましたが、未結集のも
のもありました。そういった労組も含めてIFC参加の南部イラ
ク石油労組を中心に石油労組の多くを巻き込んで、反石油法戦
線を結成、南部イラク石油労組は全イラク石油労組となり、そ
の委員長であり、IFC執行委員会の委員長でもあるスブヒ・ア
ルバドリが反石油法戦線の議長を務めています。

●闘いの盛り上がり
反石油法戦線に結集する石油労組員は学習会で確認作業を終え
るとスト、座り込み、デモなどの大衆行動の展開に入りました
。それで9月に石油相が「労組指導者を逮捕せよ」と指令を出
したのでした。
その命令に対しては、バスラ(イラク南部)の軍指導者が「労
組員はイラク国民の利益を守る闘いをしている。それを逮捕し
ろというなら、自分は軍をやめて労組に入る」と発言するなど
、政府系関係者の支持も思うように得られなかったようです。
「議会」も「政府」も当初から利権調整のための野合集団で、
議会の多数派は駐留軍のすみやかな撤退を求めるという点でも
ともと政府とは別の立場ですが、政府内でも調整はうまく行か
ず、強行に逮捕を叫んだのは石油相としてのみだったようです

このような状況の中、市民が理由もなく、ただ要人警護の車の
何メートル以内にいた、というだけの理由で殺戮されているバ
グダッドでも大衆的な集会とデモを敢行しています。反石油法
戦線、イラク労働者評議会労働組合連合、他の労働組合、そし
てイラク一般港湾労働組合やバスラの労働者統一共同事務局な
ど、諸労働組合や労働組織、IFC、その他この法律に反対する
多数の勢力の呼びかけに応えて敢行された9月22日の座り込
みには、アル・シャルキアやアル・アラビア衛星テレビなど多
数のアラビア圏メディアその他の国際メディアが注目し報道し
ました。国際的な抗議の声も各国大使館に届き、指令後のスト
、集会、デモ、座り込みでもまだ逮捕者を出していません。(
皆さんへの抗議のお願いはこの集会直前のことでした。)

●国際連帯
米国のUSLAW(戦争に反対する労働者の会600万人)は一早
くIFC、イラク石油労組との連帯をうちだし、反石油法・イラ
ク労働者の権利擁護のデモを行いました(8月、YouTubeに記
事あり)。
日本をはじめ、各国イラク大使館に労組指導者を逮捕せよとの
命令への抗議文が届けられました。
またこの日の集会に向けて、アルジェリアの労働者がイラクの
労働者に連帯して立ち上がり、9月22日に、多数のアルジェ
リアの都市での連帯のデモを行なうとの表明があり、トルコで
も複数の左翼政党が反石油法戦線の闘いへの支持を表明しまし
た。

●現状
この間の事情を米国のある法律家は米国の対イラク恒久駐留政
策を批判する論文の中で「イラク石油労組の反対で石油法を成
立させることができないでいる」と書き、労組の闘いの力の証
左となっています。
http://www.counterpunch.org/cohn12032007.html
,Marjorie Cohn、Thomas Jefferson School of
Lawの教授でNational Lawyers Guild
の会長、12月3日カウンターパンチに掲載)

●というわけで、大使館への抗議文送付などご協力いただいた
多くの当MLメンバーに、呼びかけた者としてもお礼を申しあげ
ます。ありがとうございました。まだ予断は許さないもののと
りあえずのご報告でした。

●追記
それにしても米国議会でイラクの将来を議論していること自体
何かに違反しないのでしょうかね。イラクを分割しようという
法案が上院で通過したり。おかしすぎます。日本に対しても注
文が多すぎるのですが、やはり本気で「世界帝国がもうできあ
がっている」とでも思っているのでしょうか?

イラクの石油については小泉の中東訪問には100人もの財界
関係者が随行したといいますから、商社を中心として米国の分
け前にあずかろうという動きがすでにいろいろ出ているはずで
す。イラク「政府」とある商社の間に技術提携契約が締結され
ているという話もあります。福田政権下でも、11月24日に国際
石油開発帝石ホールディングス(石油開発の最大手)がカナダ
のアイバーンホーエナジー(イラク政府と契約を結んでいる)
と共同でクルド地域のクワイヤラー油田の調査を開始しました
(日経)。クルド地域にはブッシュの大親友であり強大な財政
サポーターといわれながらマスコミからは隠れてきた億万長者
(レイ・ハント、石油会社経営者)もイラク「政府」と米国政
府に隠れてクルド自治政府と契約を交わし、民族間対立を煽る
ものとして米国でも批判を浴びています。(ニューズウィーク
誌10・1日号) このようなハゲタカ一味の仲間に間接
的にでもなりたくないです!
向井


太田光征
http://otasa.net/
posted by 風の人 at 08:19 | Comment(0) | TrackBack(3) | 一般
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