2007年09月24日

○●「我孫子市九条の会」の会報原稿●○

皆様、宜しければお読み下さい。


『平和のために自衛隊について考える』

軍隊をなくす。唐突ですが、これは私の希望です。まだ遠い夢のようなことですが戦争をなくすためにはぜひとも軍備をなくすことが必要だと思います。27万人の自衛隊、5兆円の国防予算を、どう転換できるのか。

単に自衛隊反対、自衛隊違憲と主張しても、相手との対話と納得がない一方的な主張では意味が無いと思います。意味が無いばかりか、北朝鮮の脅威を不安と感じている人々にとっては、理念的な非武装論はわかりにくく、逆に具体的な自衛軍創設に魅力を感じてしまうかもしれません。

ですから、ここでは非武装を語るのではなく、具体的に自衛隊改組案を示していければと思います。自衛隊をどう変えていきたいか。私はまず、女性自衛官も性暴力に合わず(注1)、男性自衛官もよりストレスの少ない、人間が安心して働ける自衛隊になって欲しいと思います。そのことが自衛官の家族に安らぎを与え、国に住む人々を大切にする第一歩になると思うからです。私の二人の友人も現役の自衛官。彼らが安全に、誇りを持って九条を擁護する責任(注2)を果たせる自衛隊であって欲しいです。

次に、武装したままでの海外派遣を即時中止すべきです。私は自衛隊がイラクで武装米兵を空輸し、インド洋で米軍艦艇や給油艦に給油している軍事協力は、違憲だと考え、政府を訴えています。政府の派遣政策には納得がいかず、危険な武装兵空輸を続ける航空自衛官の方々の安全を思い、撤退を切に望みます。どうしても海外派遣の「国際貢献」をしたいのであれば、非武装での海外派遣に限定すべきです。それは例え災害救助といえども、軍服のままの多国籍軍が駐留することは脅威を与えるという現地の声があるからです(注3)。被災地の人々のためにも、圧迫や威圧にならない災害救助をして欲しいのです。

そして、せめて最小限の自衛に戻して欲しいです。千葉県習志野を始め全国に配備されようとしているパトリオットミサイル。訳して愛国者弾。そもそも国を愛することとは国家を愛することではなく、国内外の命を愛することだと思う。社会保障費を切り詰めながら1発6億円ものミサイルを配備することは、命を大切にしているとは言えません。

さらに、何よりも生命の遺伝子を傷つけ続けている原発を廃棄したいです。天災や人災で原発が爆発しませんように。これは外敵からの国防を強調する前に考え直すことです。原発50基をかかえる日本に武力での国防など理想論でしかありません。

また、ジュゴンの海やヤンバルクイナの森、鎮守の森を潰して、新しい米軍基地をつくることは阻止したい。山口市庁舎建設の約束を平気で破り、非協力の自治体をあからさまにイジメ、有刺鉄線を張り、米軍住宅が建て、鑑船ぶんごで沖縄辺野古浜の反対派を威圧する国なぞ、決して美しくないです。国民の大半が基地建設に反対し、老若男女が座り込みの阻止を続ける中での、自衛隊のこの派兵は、もはや、全く国民のためではないと思います。

それから、護憲派が合意した上で、武器を持たない災害救助隊か国境警備隊、平和部隊等、一致した自衛隊改組案を提案できれば良いと思います。護憲派は単なる「憲法改悪反対」だけではなく、未来像、具体的な代替案を示す必要があると思います。ただ、2001年12月22日午後10時13分に海上保安庁の船が、領海外の海域で「不審船」を撃沈し、戦闘により24名を殺害してしまったこと(注4)を忘れてはならないと思います。

最後に、国をまもる、ということにつて考える原則に立ち返りたいと思います。政府のプロパガンダやメディアの報道では、武装して実力で国をまもるのだ、武力による威圧や威嚇、抑止による力の政治が当然だ、という考えが示されることがあります。しかし、憲法前文と第九条と前文では明確にこの考えを放棄し、安全を保持する術と原則を示しています。

憲法前文「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」
憲法第九条「・・武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」

以上ですが、今後も自衛隊や安保条約、天皇制のこと等を考えていきたいので、いろいろ教えて下さい。


豊田 義信 yoshinobu000-lj@infoseek.jp
ブログ http://heiwa0.seesaa.net/
ガンジーの会 http://www.h2.dion.ne.jp/~hansuto/
市民がつくる平和条例の会 http://www17.plala.or.jp/peaceactcampaign/
「平和への結集」をめざす市民の風 http://unitingforpeace.seesaa.net/ or http://kaze.fm/



●参考メモ〜軍隊の本質●
侵略された時に、軍隊があって良かったことはあったでしょうか?軍隊は、もちろん国民をまもる為に存在している、という人もいるでしょう。しかし、戦闘状態になった時、軍隊は国民をまもることよりも戦争に勝つことを目的としているとわかるでしょう。戦時中のことをしらべれば、他国でも日本でも、軍隊は自国民をも守ってくれません。

市民意見広告運動『武力で平和は創れない』2006年、6ページ。
『軍隊はいざというとき私たちを守ってくれる』というのは幻想であり、誤解だと思います。なぜなら、軍隊というものは指揮官の命令の下に戦争を遂行するための組織であり、政府とその指揮系統を守ってことを第一義とするからです。非常事態にあっては、作戦の妨げになるものはすべて排除するのが軍隊で、それが彼らの『国を守る』やり方なのです。たとえば沖縄戦では、洞 窟に避難した一般住民を日本軍が追い出したり、泣き声を立てる赤ん坊を母親殺させたりしました。旧『満州』では、関東軍が避難民を置き去りにして、真っ先に逃げ出しました。」

●参考メモ〜非武装で侵略者から国をまもれるのでしょうか?非武装で攻め込まれることは無いのでしょうか?武装に非ず、なんて大丈夫なのでしょうか?●

「非武装で侵略されたらどうするのか?」という問いへの一つの意見があります。市民意見広告運動『前掲書』、6-7ページでは民衆レベルの抵抗として、 「どのように抵抗するかを決めるのは私たち自身であり、それぞれの信条に従って行動するべき」「中には、自衛戦争、武装蜂起、ゲリラ攻撃といった実力行動 の道を選ぶ人もあるかも」「そのような場合でも、私たちは暴力(武力行使)が唯一の抵抗手段とは考えません。第二次大戦時、ナチス支配下にあったヨーロッ パの民衆は、武器を手にする者もしない者も、共に協力し合って戦いました。非暴力・不服従の原則を貫きながらも、圧制者に対して有効な抵抗を続けることは 充分に可能です。とりわけ武力の上で圧倒的な差があるとき、非暴力・不服従のほうがより大きな力を発揮できることは、強大な大英帝国から独立をかちとった インドのガンジーの闘いの例を見ても明らか」と述べています。


(注1)「わたしたちは、基地の中で、21歳の女性自衛官が、上司である自衛官により性暴力を受ける事件が発生したこと、さらにその後も、加害者に対する厳正な処罰と、被害者本人に対する被害回復のための速やかな措置が取られずむしろ被害者に対する不当な扱いが続いていることに対して人権回復のために起こされた自衛隊を相手とする国家賠償請求訴訟を支援しようと会を立ち上げました。」
『女性自衛官の人権裁判を支援する会』http://jinken07.10.dtiblog.com/
(注2) 憲法第99条では、天皇や大臣、議員、公務員が「尊重し擁護する義務を負ふ」べきと定められています。その憲法の九条は私たちからの、政府に対する非武装・不戦の命令です。
「政府の行為によって、再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し(前文)」、
(注3)「スリランカの元研修生は1月末の段階で次のように書いてきています。『こちらの情勢は、アメリカ海軍をはじめとして、インド軍、パキスタン軍、カナダ軍がすでに進駐していて少し緊張状態の中にいます。(中略)このアメリカの進駐は、私たちにとって12月26日の大津波よりも破壊力のある巨大津波のようです。』」
佐藤光「災害と平和」、平和を実現するキリスト者ネット『ニュースレターNo.55』2005年4月10日。
(注4)「緊急声明 海上保安庁による「不審船」撃沈を糾弾する」『平和憲法を活かそう府中市民連合』2001年12月23日、他。

(推薦図書)
前田朗「軍隊のない国家」『法と民主主義』403号、2005年。
→軍隊をなくすことは可能か?世界には軍隊の無い国が27ヵ国あるとのこと。その27ヵ国の中にはいくつかの類型がある様で、中には日本の参考になるものもあるでしょう。
posted by 風の人 at 15:39 | Comment(0) | TrackBack(3) | 一般
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