分析手法として、9都府県ごと、立憲4野党(立憲民主党・れいわ新選組・日本共産党・社会民主党)計の比例区得票率を全パターンと個別パターンで求め、個別パターン得票率から全パターン得票率(9都府県ごとの平均得票率)を引いた差としての乖離度を求めました。
立憲民主党は基礎力が選挙区によって大きく異なるので、立民が極端に強い区(枝野区と野田区)と極端に弱い区(21年選挙で立民が非擁立か非当選の図中で注釈を付記した区)という立民関係の外れ値選挙区を除くと、立憲4野党計比例区得票率は小選挙区立候補パターン間で3P(ポイント)程度の変動幅となります。
全パターン得票率(9都府県ごとの平均得票率)が単独擁立パターンを示す保証はありませんが(単独擁立パターンといっても、立民単独や共産単独など複数ある)、小選挙区立候補パターン別の立憲4野党計比例区得票率の平均得票率からのプラス乖離度を9都府県全体で評価すると、その加重平均は、単独擁立区で1.6P、複数擁立区で1.0Pとなっていて、外れ値除外のパターン間変動幅3P程度とほぼ符合します。
以上から、小選挙区擁立による比例区票の上積み効果は、あったとしても、確率的変動幅に近いものでしょう。確率的変動幅と表現したのは、立憲4野党計比例区得票率のパターン間変動幅3P程度が、外れ値を除外したとはいえ、依然として選挙区の違いによる基礎力の差をも内包しているであろうからです。
太田光征
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