再論「ウクライナ戦争を一日でも早くとめるために」憂慮する研究者があらためて訴える
https://www.youtube.com/watch?v=2Q9OnavP0Kw
資料集
https://drive.google.com/drive/folders/1fhFmjw8e5rVxiihs9hAxL0bkMhVkSto2
憂慮する日本の歴史家の会
https://peace-between.jimdosite.com/
以下、発言の要点メモ。
伊東孝之
15:40
– ロシア人のジェノサイド:証拠がない(ICJ)2
– ロシア人に対する法的差別:ウクライナ語は公用語ではなく国家語(役所語)。ロシア語使用に制限なし。住民の一定数以上が他国語の場合その言語での教育可
20:10
C 中立化
– のちにウクライナ自身が当面NATO加盟は望めないので中立化すると言い出す
D 領土獲得
• 目的ではないといっているが、実は最も進展
• 0421ロシア自身がウクライナ領と認めた地方を「独立」させ、属領化(LPRの内相逮捕6など)
• 0403占領した地域でウクライナ時代の自治体首長11名を拉致、自身の首長を任命7
• 0422ヘルソン、ザポリージャ両州をロシアに併合、兵役適齢期の男性を強制的に徴兵8を発表
• 0422中央軍管区副司令官がドンバスから沿ドニエストルに至るベルト地帯併合計画発表9
• ウクライナは当面受動的
– 0224線へのロシア軍撤退12、クリミア・ドンバス不承認13、安全保証つきの中立14、0330ゼレンスキー「祖国戦争」15
24:20
E 3月29日(イスタンブル外相会談)17
– NATO非加盟、EU加盟、安全保証、ドンバスは両首脳で協議、クリミアは15年間先延ばしで解決(この提案にロシア側、特にラブロフは好感)
F 4月20-21日(オンライン)、ラブロフが突然中断18
– 4月27日プーチン:クリミア・ドンバスのロシア領化を承認することなしにウクライナの安全保証なし19(停戦交渉中士の宣言)
28:00
ゼレンスキー
– 0225中立的地位は受け入れてもよいが、ウクライナの安全を誰が保証するのか20
– ブダペスト覚書(1995年、ウクライナ非核化の代わりにウクライナの安全を保障)+NATO条約5条(「無料のNATO」)
• 0329イスタンブル交渉で正式提案
– 保証国:国連常任理事国+ドイツ、イタリア、トルコ、イスラエル、ポーランド、カナダ21
– ロシア側も好意的。ベラルーシを追加する提案も22
– 多くの国は原則同意したが、米英は消極的23(米国に事前相談ないからというのが伊東さんの見立て)
– ブチャ事件後ゼレンスキーに迷い、混乱(0416)2
松里公孝
35:40
4月3日にはブチャ事件が起こったため、ウクライナ側は3月29日和平交渉の内容をちゃぶ台返しした。もちろん、ブチャ事件とちゃぶ台返しの間の因果関係は、どちらが原因で、どちらが結果だったかはわからない。
40:00
戦争の第1局面においてはロシア軍の戦力がウクライナ全土に分散していたため、@を包囲掃討する作戦は進められたが、Aはほぼ手つかずのままであった。ただでさえ乏しい戦力を南にとられたドネツク人民共和国の中央部(ドネツク、ゴルロフカ、マケエフカなど)が、Aからいいように砲撃され、甚大な被害を被った。
資料3ページ
4月21日、マリウポリに残存する約2000名のウクライナ軍戦闘員がアゾフ製鉄所の地下に立て籠った時点で、ウラジミル・プーチン露大統領はマリウポリ戦の事実上の終了を宣
言し、残存ウクライナ軍を地下に封じ込めて降伏を待つ作戦に切り替えた。「ロシア軍がアゾフ製鉄所で化学兵器を使った」という演出を米国が準備しているという諜報情報が寄せられたため、力攻めを止めたとも言われる。
49:10
2月21日の第1回目の宣戦布告(ドンバス2共和国の承認宣言)において、プーチンは、40人以上の犠牲者を出した2014年5月2日のオデサ労働組合放火事件に特に言及し、ウクライナの司法は、その犯人を一人も逮捕していないが、「自分たちは犯人の名を知っているので、必ず逮捕して裁判にかける」と決意表明した。つまり、オデサ労働組合放火事件を蒸し返して処理するということが、ロシアの一種の戦争目的になってしまったのである。
伊勢崎賢治
55:00 ハーグ条約・開戦法規において武器の供与は中立性を破るものと定義。国連憲章で集団的自衛権は認められている。武器支援すると交戦国になるのか(ロシア軍が武器支援国を攻撃できるのか)、日本にとっても課題(武装名目でヘルメットと防弾チョッキを送っている)。
1:00:20 第2次中東戦争で国連総会が56年に国連緊急監視団(武装)を創設。根拠は国連総会special emergency sessionUFP(平和への結集)決議。
1:06:50 朝鮮国連軍armistice comission。50年安保理決議、ソ連欠席、25カ国参加、今でも存在。朝鮮国連軍地位協定が日米地位協定に連動。
1:09:50
停戦監視への脅威:当事者の指揮命令系統の脆弱性
• 非正規軍事要員のプレゼンス:義勇兵、傭兵(双方、特にウクライナ側?)
【紛争構造】が複雑化する前に
1:13:00
• 世論形成【停戦は事実行為であり、戦争の結果とは無関係である】:帰属問題や民族自決権問題の合意条件や、戦争犯罪の取扱いは、むしろ戦闘行為が中断されてから時間をかけて議論されるべきものである。
•特に戦争犯罪について:「不処罰の文化Culture of Impunity」
• 停戦の実現ための人権問題の“棚上げ”
1:18:50 中立な戦争犯罪調査。ロシアが認める第三国の参加を認める工夫が必要。推定無罪の原則。開戦法規と交戦法規は違う。交戦法規上、免責される戦争犯罪はなく、紛争当事者は平等。やった当事者に第1次裁判権がある。それが機能しない場合に国際戦犯法廷。ロシアに軍事裁判の実施を求めるべき。
羽場久美子
1)1990年2月9日、当時のアメリカ国務長官ジェイムズ・ベイカーがソ連のゴルバチョフ書記長に対して、ソ連がドイツ再統一を認めるのであれば、NATOは東側に1インチも
進まない、と語る。:90.2.9.ゴルバチョフ・ベーカー会談記録。
「もし米国がNATOの枠組みでドイツでのプレゼンスを維持するなら、NATOの管轄権もしくは軍事的プレゼンスは1インチたりとも東方に拡大しない。そうした保証を得るこ
とは、ソ連にとってだけでなく他のヨーロッパ諸国にとっても重要なことだ」
ゴルバチョフはつい最近も語っている。
NATO:ブカレストサミット宣言(2008.4.3.)に、ウクライナ・ジョージアへの拡大明記(ドイツ、フランスは反対したが。。)
https://www.nato.int/cps/en/natolive/official_texts_8443.htm
第23項NATOは、NATOへの加盟を望むウクライナとジョージアの要求を歓迎する。
我々は本日、これらの国がNATOの加盟国になることに合意した。両国は同盟の活動に貴重な貢献をしてきた。ウクライナとジョージアの民主的改革を歓迎し、5月のジョージア
での自由で公正な議会選挙を楽しみにしている。MAP(加盟のための行動計画)への参加は、ウクライナとジョージアが直接加盟国になるためのステップだ。本日、これらの国のMAP(加盟のための行動計画)参加を支持することを明確にした。故に我々は今、彼らのMAP参加に関し未解決の問題に対処するため高度な政治的レベルで双方との集中的な関与への移行を開始する。我々は2008年12月の会合で各外相に進捗状況の最初の評価を行うよう要請した。
(2008.4.NATOはウクライナ、ジョージアのNATO加盟に向けMAPを開始し全面的支援に入ろうとしていた)→
2008.8 4か月後にはロシアは、グルジアに侵攻(5日間戦争)、南オセチア・アブハジアに「中立地帯」の軍駐留。(こちらには米軍、必ずしも関わらず)
1:39:00
1)キッシンジャー:2014.3.5ワシントンポスト、「ウクライナ、二つの異なった部分からなる。ガリツィアが東を支配しようとすれば戦争になる。フィンランドのような、戦争の緩衝地帯にすべき。」
2)ミア・シャイマー:ウクライナへのNATO東方拡大は、1962年のキューバへの核ミサイル配備、キューバ危機と同じ。ウクライナのような東西のはざまの地域は中立化が望
ましい。(軍事リアリストからの提言)
にもかかわらず、NATO拡大を促進し、武器供与を行ったのは、バイデンの意図。
<着々と代理戦争準備>:ロシアが入る前から。ジョージアの教訓
1:40:10 ヌーランド国務次官、マイダン革命前にウクライナの次期首相はヤツェニュクにするとの電話を盗聴され(「Fuck the EU」発言を謝罪する形で盗聴を認める)、実際にヤツェニュクが首相に就任。
1:48:28 トルコが3月末に停戦提案(エルドアン大統領6項目+ゼレンスキー、中立化を承認。
1)ウクライナの中立化、2)非武装化、安全保障3)非ナチ化、4)ロシア語の使用制限の解除、5)東部ドンバス地方の(一部)の帰属、6)クリミア半島の帰属。)ゼレンスキーは5、6以外は認めたが、直後にブチャの集団殺戮、停戦交渉中断、双方が停戦交渉は継続すると表明する一方、米国は「戦争は数年継続される」(停戦を希望しない)。
和田春樹
再論「ウクライナ戦争を一日でも早くとめるために」憂慮する研究者があらためて訴える - YouTube
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資料集
https://drive.google.com/drive/folders/1fhFmjw8e5rVxiihs9hAxL0bkMhVkSto2
憂慮する日本の歴史家の会
https://peace-between.jimdosite.com/
2:04:57 2021年10月ウクライナ国境のロシア軍が10万人規模に増強されるも、バイデンは調停に乗り出さず。
バイデンの3月27日ワルシャワ演説「われわれはこの戦いに比較的長い期間(for the long haul)コミットしなければならない」
「こんにちのキエフ、メリトポリ、ハルキーフの闘いは長い闘争の最新の戦闘なのだ。」56年のハンガリー、56年と81年のポーランド、68年のチェコ、89年
のベルリンの壁の崩壊、人民は勝った。「しかし、民主主義のための戦闘はおわるこことにはならなかった。冷戦の終了では終わらなかった、最近30年、専制勢力は全
地球的に復活した。…今日ロシアは民主主義を絞め殺し、他の地でも、その母国だけでなくそうしようと企てた。・・・プーチンはあつかましくもウクライナを「非ナチ
化」しようとしていると言っている。」「犯罪者は NATO の拡大をロシアを不安定化することを狙った帝国的計画だと描き出そうとしている。」「帝国の再建をねらう独
裁者は人民の自由への愛を決して消し去ることはできない。・・・ウクライナはロシアの勝利の獲物にはならない。自由な国民は希望のない、暗黒の世界に生きることを
拒否する。…神のご加護により、この男は権力にとどまることはない。」
2:13:00 2022年3月29日 イスタンブールで停戦協議、ウクライナ中立化の条件として自国の安全の保障のための枠組みを提案。クリミアの地位については15年間の交渉、ド
ンバス東部については大統領会談で解決など(ウクライナ停戦への希望)
2:17:00 4月25日 オースチン長官発言「ロシアがウクライナ侵攻のようなことをできない程度に弱体化することを望む」(米国の戦争目的の再定義)
【5月4日 AFP】
米大統領、対戦車ミサイル「ジャベリン」工場視察
https://www.afpbb.com/articles/-/3403233
ジョー・バイデン大統領(5月3日、ロッキード・マーティンの対戦車ミサイル「ジャベリン」製造工場)「さらに、ウクライナとウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領率いるロシアとの戦いは、民主主義国と中国などの専制主義国との戦いの戦線の一つにすぎないと指摘。ウクライナ紛争は中国の習近平(Xi Jinping)国家主席の「民主主義は時代遅れ」との主張が間違っていたことを示すもので、民主主義の今後を占う最初の戦いだと述べた。」
松里公孝
2:45:33 4月23日、ロシア連邦捜査委員会がドンバスの親ロシア側で2600人の民間人が殺害されたと報道。全体で14000人の被害者はロシア、ウクライナ、国連が合意。14年から拷問、集団墓地があったので、昨年初めから人民共和国側が発掘。ロシアのテレビは大騒ぎせず、報道はDNR(人民共和国)のテレビで。戦争正当化のため発掘。犠牲者のほとんどは14、15年。ドンバス市民からすれば自分たちを守ってくれるはずの今回の戦争で14、15年に戻った感じ。2016年、ロシアが国際刑事裁判所(ICC)から抜けた。国際司法で争う発想がない。米中も元々入っておらず、大国はその発想がない。英国やスウェーデンがやっているのはtribunal見世物裁判。本物の国際司法で何年もかけて裁判をする必要がある。ドンバス側での戦争犯罪記録は弁護士グループが手弁当で行っている。ロシアは16、17年に、NGOが西側から資金をもらっているのはけしからんということで、NGOを援助するための大統領基金を創設。ドンバスの弁護士グループがそれに応募したが落ちた。ICC抜けた直後なので、方針の違いから却下されたのだろう。
伊東孝之
2:53:48 ICJがドンバスでのジェノサイド(時間をかけての系統的な大量虐殺)の証拠がないと酒井啓亘(京大、国際法)が雑誌『世界』で指摘(ICJはジェノサイドがウクライナ領土内で行われたとのロシア連邦の主張を裏付ける証拠を有していない)。ジェノサイドは政治用語、ブチャ事件はジェノサイドではない。OSCE調査でも同様と聞いている。ロシア側はOSCE監視団がうるさいので最後は全員逮捕した。2014年5月2日のオデッサの悲劇、いまだに犯人が分かっていない。ウクライナはいい加減で、数え切れない事件が迷宮入りしている。ロシア側によるウクライナ人殺しもあったろうと推測。マリウポリでこれまで死んだ「5万人」(太田:間違いと思われる)のほとんどはロシア系。
羽場久美子
2:56:45 多くの知識人がブチャ事件(犠牲者403人)をナチスドイツによるジェノサイド(600万人)に準じる戦争犯罪と指摘。BBCが独自にビデオを入手し、Googleマップと音声を分析*。ウクライナのクレバ外務大臣が調査を約束。
*ウクライナ軍がロシア兵を殺害? 投稿動画をBBCが分析 - BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-61022775
「路上に倒れている2人は白い腕章を着けている。これは、ロシア兵が身分を示すために、ウクライナの一部で使っているものだ。赤とオレンジの腕章を使うこともある。ただ、地域によっては民間人が白い腕章の着用を勧められていると報じられている。」
(攻撃側)「兵士の何人かが着ている軍服には、青の腕章やウクライナ国旗のワッペンが見てとれる。これらは通常、ウクライナ軍であることを示す。だが、身元を証明するものではないことは明らかだ。」
伊勢崎賢治
2:58:50 開戦法規(国連憲章51条)にwarという言葉はなく、armed attackがあった時に自衛権云々と書いてある。人道法上、parties to armed conflicts(紛争当事者)の戦争犯罪が規定されている。訴追において、戦争と特別作戦の名称の違いは意味がない。3月16日のICJ暫定措置においてジェノサイドの有無について言っていない。東部のジェノサイドを根拠に侵攻はいけないとのウクライナの訴えにICJが答えた中で、ジェノサイド認定についてはICJに管轄権があると回答。ウクライナ、ロシアともジェノサイド禁止条約を批准しているが、日本は批准していない。
羽場久美子
3:08:40 NATOがセルビア空爆で劣化ウラン弾を使用してイタリア兵が被爆したので、欧州が猛反発。ウクライナを潰すのではなく支配したいロシアが欧州への核使用はしないだろう。むしろ米国とウクライナがウクライナ東部に生物化学兵器研究所を作ろうとしていた問題でヌーランドが火消しをしていたが、これから追及すべき。欧州はロシア排除を考えていない。トルコなど米国以外では停戦の方向。フランスはプーチンと15回にわたり電話会談、ドゴール型の解決策を探る可能性。インドネシア、G20会合でロシア排除はいかんと米国に言明。
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太田光征
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