2022年05月15日

バイデン「NATOの拡大はロシアの敵対的な反応を招く」/米国民主党のセス・モールトン下院議員「我々はロシアとの代理戦争をしている」

バイデン大統領とその周囲の発言からして、米国がウクライナ戦争を利用し、ロシア軍の撤退という大義を超えて、対中国戦争を視野にロシアの弱体化を狙っているのだと見なければ、平和運動の方向性についての判断を誤ります。

ウクライナ危機の克服においては、ロシア軍の撤退に加え、ドンバス内戦(ゼレンスキーも親ロシア地域の住宅地に砲撃している)の終結、米ロ代理戦争の終結という、少なくとも3つの目標を掲げなければならないでしょう。

侵略戦争反対だけのスローガンを掲げたウクライナ応戦支援運動は、ドンバス内戦と米ロ代理戦争を無視するもので、イスラエル化しているゼレンスキー体制*1を擁護し、米国による大義を超えた戦争対応を応援する側面を持つことになります。

ウクライナ戦争の継続は、ウクライナの反戦活動家と親ロシア派市民に対する弾圧*2を維持・強化するものです。ウクライナ応戦支援ではなく、ドンバス内戦を含む戦争の停戦を一刻も早く実現させる必要があります。

*1 ゼレンスキー、戦後のウクライナはイスラエルを模倣し、「リベラルな欧州国家」とはならないと語る(ハーレツ紙)
Zelenskyy says post-war Ukraine will emulate Israel, won’t be ‘liberal, European’ - Europe - Haaretz.com
https://www.haaretz.com/world-news/europe/.premium.HIGHLIGHT-zelenskyy-says-post-war-ukraine-will-emulate-israel-won-t-be-liberal-european-1.10721395
「ウクライナの指導者らが戦後の不安定なウクライナの像を描き始める中、「映画館、スーパーマーケット、武器を持った人々」の中に兵士がいることがウクライナの未来だと、ゼレンスキーは記者団に語った。」
*2 ウクライナ、ロシアに協力する「裏切り者」を狩り出す(AP通信)
Ukraine hunts down 'traitors' helping Russia
https://www.youtube.com/watch?v=OR_E8dvyaOI
「2月24日のロシアによる侵攻後、ウクライナ議会が迅速に制定し、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が署名した反共謀法の下、ハルキウ/ハリコフ地域だけで400人近くが拘束されている。」
*2 ウクライナのすさまじい軍国主義と反戦運動弾圧:ウクライナの政治家・左翼数百人が誘拐・拘束され行方不明か
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/486916363.html

以下、バイデン大統領とその周囲の発言から、目立ったものをまとめておきます。

(1)バイデン大統領「こんにちのキエフ、メリトポリ、ハルキーフの闘いは長い闘争の最新の戦闘なのだ」(3月27日)

バイデンの3月27日ワルシャワ演説「われわれはこの戦いに比較的長い期間(for the long haul)コミットしなければならない」
「こんにちのキエフ、メリトポリ、ハルキーフの闘いは長い闘争の最新の戦闘なのだ。」56年のハンガリー、56年と81年のポーランド、68年のチェコ、89年のベルリンの壁の崩壊、人民は勝った。「しかし、民主主義のための戦闘はおわるこことにはならなかった。冷戦の終了では終わらなかった、最近30年、専制勢力は全地球的に復活した。…今日ロシアは民主主義を絞め殺し、他の地でも、その母国だけでなくそうしようと企てた。・・・プーチンはあつかましくもウクライナを「非ナチ化」しようとしていると言っている。」「犯罪者は NATO の拡大をロシアを不安定化することを狙った帝国的計画だと描き出そうとしている。」「帝国の再建をねらう独裁者は人民の自由への愛を決して消し去ることはできない。・・・ウクライナはロシアの勝利の獲物にはならない。自由な国民は希望のない、暗黒の世界に生きることを拒否する。…神のご加護により、この男は権力にとどまることはない。」(和田春樹氏の4月29日再論「ウクライナ戦争を一日でも早くとめるために」資料集*から)

*再論「ウクライナ戦争を一日でも早くとめるために」憂慮する研究者があらためて訴える - YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=2Q9OnavP0Kw
*資料集
https://drive.google.com/drive/folders/1fhFmjw8e5rVxiihs9hAxL0bkMhVkSto2
*憂慮する日本の歴史家の会
https://peace-between.jimdosite.com/

(2)バイデン大統領「ウクライナとロシアとの戦いは、民主主義国と中国などの専制主義国との戦いの戦線の一つにすぎない」(5月3日)

米大統領、対戦車ミサイル「ジャベリン」工場視察
https://www.afpbb.com/articles/-/3403233
「さらに、ウクライナとウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領率いるロシアとの戦いは、民主主義国と中国などの専制主義国との戦いの戦線の一つにすぎないと指摘。ウクライナ紛争は中国の習近平(Xi Jinping)国家主席の「民主主義は時代遅れ」との主張が間違っていたことを示すもので、民主主義の今後を占う最初の戦いだと述べた。」

(3)オースティン米国防長官「ロシアが、ウクライナ侵攻のようなことをできない程度に弱体化することを望む」(4月25日)

米国防長官「ロシアの弱体化を望む」 軍事支援めぐり同盟国と協議へ [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASQ4V34TLQ4VUHBI005.html
オースティン米国防長官(4月25日、ポーランドのウクライナ国境近く)「ロシアが、ウクライナ侵攻のようなことをできない程度に弱体化することを望む」

(4)バイデン「NATOの拡大はロシアの敵対的な反応を招く」(1997年6月20日)

ジョー・バイデンは1997年6月20日、米国大西洋評議会でNATOの拡大がロシアの敵対的な反応を招くと発言していた。

Video of Joe Biden Warning of Russian Hostility if NATO Expands Resurfaces
https://www.newsweek.com/joe-biden-resurfaced-clip-russia-baltic-states-1997-video-1685864

「NATOとロシア、米国とロシアの関係からして、(NATOへの)加盟について短期的に最も仰天させることは、加盟する国の利点や準備とは関係なく、今バルト諸国に加盟を許可することだろう。軍事面ではないが、猛烈かつ敵対的なロシアの反応という点で情勢を変化させることがあるとすれば、そういうことだ。」
ところがバイデンは、ロシアからの反発を警戒しながらも、いずれロシアもNATOの拡大が、実は安全保障の面で自らの利益になると楽観視していると主張した。

(5)米国民主党のセス・モールトン下院議員「我々はロシアとの代理戦争をしている」

米国民主党のセス・モールトン下院議員「我々は単にウクライナを支援するための戦争をしているのではなく、基本的に代理戦争のようなものを通じてだが、ロシアと戦争している。勝利することが重要だ。」(フォックス・ニュース)

“We’re not just at war to support the Ukrainians. We’re fundamentally at war, although somewhat through a proxy, with Russia, and it’s important that we win.” − Rep. Seth Moulton, D-Mass.
https://twitter.com/ryangrim/status/1523047697451786240


太田光征
posted by 風の人 at 14:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ウクライナ危機
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