まず、ウクライナの非武装主義者ユーリー・シェリアジェンコ氏の紹介から始めます。下記記事から分かるように、ウクライナの非武装主義者は、ロシア軍による攻撃に加え、国内の武装主義者からの迫害を受けるという苦しい立場にあります。
(Truthout)戦争はウクライナの左翼に暴力についての難しい決断を迫っている – ne plu kapitalismo
https://www.alt-movements.org/no_more_capitalism/blog/2022/03/06/war-is-forcing-ukrainian-leftists-to-make-difficult-decisions-about-violence_jp/?fbclid=IwAR2O0Y53arzFrViRn0R8Q45bWu5iI84fyqaqTFb0YpDr8jjqxukIWg7q4-8
【抜粋】
<シェリアジェンコと仲間の平和活動家は、街頭でネオナチに襲われる前に、ウクライナの極右ウェブサイトによって、ロシアに支援された分離主義者との戦争に反対する裏切り者として個人情報をネットに晒されたり「ブラックリスト」入りされたりした。>
<「現在の危機には、すべての陣営で不品行が行われてきた長い歴史があり、「我々天使は好き勝手できる」、「彼ら悪魔はその醜さに苦しむべきだ」といった態度をさらに取れば、核の終末も例外とはならないさらなるエスカレーションにつながります。真実は双方の沈静化と平和交渉の助けとなるべきです。とシェリアジェンコは述べてる。>
天使と悪魔の喩えは、下記記事でも使われていますが、ここでは善悪で二分してウクライナ政府側の主張と対応を絶対視することがもたらす重大な帰結を示すために使われているものと思われます。「真実は双方の沈静化と平和交渉の助けとなるべき」との主張も、私にはメディアの不作為などが想起され、重要な意味を持っていると感じます。
シェリアジェンコ氏はもちろん、架空の人物などではなく、下記のデモクラシー・ナウ!の番組にも出演している平和活動家です。驚いたことに日本の原水協ともつながりがあります。
キエフのウクライナ人平和主義者:無謀な軍事化がこの戦争を招いた。全当事者が平和への取り組みを再び決意しなければならない(デモクラシー・ナウ!)
https://www.democracynow.org/2022/3/1/ukrainian_pacifist_movement_russia_missile_strike
ユーリー・シェリアジェンコ氏:ウクライナ平和主義者運動事務局長、欧州良心的兵役拒否協会理事、ワールド・ビヨンド・ウォー理事、キエフのクロック大学研究員。
【シェリアジェンコ氏の発言要旨】
西側による軍事一辺倒の支援とロシアへの経済制裁に失望している。ウクライナでは非武装でロシア軍を説得して追い出す活動もしているが、ほとんど報道されない。無謀な軍事化が戦争を招くと警告してきたが、正しかった。ドンバス地域でウクライナ政府とロシアが後ろ盾の分離主義者が8年間にわたり戦争を行ってきた結果、ロシアと欧州で何百万人もの国内難民が発生している。原水協の友が広島と長崎でプーチンの戦争に反対する抗議活動を行ってくれた。https://worldbeyondwar.org/で反戦イベントを探したり、3月6日の国際アクションデー(コードピンクやその他の平和団体が主催。スローガンは「ロシア軍は出て行け」、「NATOは拡大するな」)に参加したりしてほしい。私たちはプーチンの要求(ウクライナの中立的地位、非ナチ化、非武装化、国際法に反するクリミアのロシアへの帰属の承認)を拒否する。ウクライナの交渉代表団は、停戦とロシア軍のウクライナからの撤退のみを議論する用意があった。領土保全はウクライナの問題だからだ。ロシアがハリコフや他の都市を砲撃している間、ウクライナはドネツクへの砲撃を続けた。ウクライナもロシアも好戦的で、沈静化する気がない。プーチンとゼレンスキーは、互いに排他的な立場で争うのではなく、誠実に和平交渉に取り組むべきである。ゼレンスキーは戦争マシンに落ちぶれて、プーチンに直接戦争を止めろと要求しない。NATOはウクライナ周辺の紛争から手を引くべきであり、理想的にはNATOは解散するか軍縮同盟に転換すべき。ウクライナもロシアもEUに入ることを希望する。私たちは冷静になって理性的に考えるべき。軍事的対応をするために団結してはならない。プーチンとゼレンスキー、バイデンとプーチンの間の交渉を追求するために団結すべきだ。ほとんどの人は天使ないし悪魔になろうとしているのではなく、平和の文化と暴力の文化の間を揺れ動いている。ウクライナ政府は全男性(18〜60歳)に兵役を課し、良心的兵役拒否の人権をあからさまに侵害している。平和主義者が逃げることはできない。平和なウクライナがこの偏極した軍国主義の世界によって破壊されないことを望んでいる。(以上)
日本はウクライナによる応戦を応援するのが当たり前という雰囲気が作られつつありますが、異常です。上記のようにウクライナ人がロシア軍に対する武力抵抗で一枚岩なわけがありません。この点からも停戦を求める国際世論を大きくする必要があります。その目的でNATOによる軍事威嚇などを批判しなければならないのです。
ワールド・ビヨンド・ウォー日本支部長で愛知連帯ユニオンメンバーのジョセフ・エサティエ氏も、下記記事で当然のようにNATOやネオナチについて批判しています。停戦につなげるための反省を当事者に促すための世論作りに必要だからです。
ウクライナ侵攻により核戦争の脅威が高なる今こそ 平和を実現するために立ち上がる時
http://www.labornetjp.org/news/2022/1647377196098staff01
【抜粋】
<マスコミの報道ではロシアのみが悪と言われているが、一方でアメリカやヨーロッパなどのNATO諸国が軍事的重圧をかけることが開戦へと繋がった。さらにウクライナ政権がネオナチ勢力を擁護し、アメリカがネオナチに協力している。そのことも報道されない。>
コードピンクはその声明で、私の言い換えでは、当事者すべてが反省することで停戦のチャンスを見いだそうと、いま最も求められる実践を提起しています。これが平和運動の当然のあり方なのです。
TUP速報1023号 ロシアによるウクライナ侵略についてのコードピンクからの声明 | Translators United for Peace
https://www.tup-bulletin.org/?p=3934
最後に、シェリアジェンコ氏のツイッターとフェイスブックをご紹介します。フォローすると彼を精神的に応援できるはずです。
Юрій Шеляженко | Yurii Sheliazhenkoさん (@sheliazhenko) / Twitter
https://twitter.com/sheliazhenko
Yurii Sheliazhenko | Facebook
https://www.facebook.com/ludstvo
太田光征
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