千葉県と東京都の場合で、立憲野党の小選挙区での擁立パターン(立民のみ、共産のみなど)が同じ小選挙区どうしで比例区得票数を集計し、これらの擁立パターンごとに各党の比例区得票率を割り出したものが下記の表とグラフです(小選挙区ごとの比例区得票率の平均でない)。東京都の場合は政治団体「支持政党なし」を除外して計算しました。
擁立パターンが異なっても各党の比例区得票率はほとんど変わらないことが分かります。これは特に千葉県の場合で際立っています。
ただ東京都では小選挙区での擁立パターンが共産のみの場合、立民の比例区得票率が他の擁立パターンの場合と比べて若干低くなっています。この擁立パターンでは同時に、共産の比例区得票率は立民の低い比例区得票率に応じて高くなっているわけでなく、自民の比例区得票率が若干低く、公明の比例区得票率が若干高くなっています。さらに公明の比例区得票率は小選挙区で共産のみのパターンと共産+立民のパターンとでほぼ同じであり、これらパターンでの公明の比例区得票率の高さは立民の小選挙区候補がいないことより、むしろ共産の候補がいることによる影響であるようにも見えます。
小選挙区での擁立パターンが共産のみの場合における立民の比例区得票率の若干の低さは、立民が小選挙区で擁立していれば取れたであろう比例区票を共産に取られたというより、自民や維新などではなく「公明だけ」に取られた格好になっています(あくまでも擁立パターンが共産のみの場合をそれ以外のパターンと比較して)。立民が小選挙区に擁立しないことの不利益があるとすれば、立民以外の他党の比例区得票率が高まるのが自然ですが、小選挙区での擁立パターンが共産のみの場合は、なぜか公明だけが比例区得票率を上げているのです。
従って、立民のこの例は、小選挙区に擁立して比例区票を稼ぐ戦術の有効性(共産にとって)あるいは擁立しないことの不利益(立民にとって)を示すものではありません。
公明の太田昭宏議員の東京12区は実質的に共産(池内沙織氏)対公明の選挙区です。共産に対するライバル意識が強い公明は共産が擁立する選挙区に特に力を入れている可能性があり、これが共産候補のいる小選挙区で公明の比例区得票率が高くなっている要因かもしれません。
太田光征
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