2015年07月25日

立憲主義の危機をもたらしている小選挙区制

【要旨】憲法要請でも何でもない二大政党制を実現するため、憲法が要請する平等な国民主権を犠牲にしてまで小選挙区制を支持することは、違憲の集団的自衛権という政策を実現するために違憲の憲法解釈をするのと同様に乱暴で、立憲主義・民主主義とあいいれません。



とりわけ小選挙区制が立憲主義の危機をもたらしている最大の原因であるというのに、野党もメディアも小選挙区制の問題を追求しません。

なぜ違憲の安保法制に党内から異論が出ないのか/村上誠一郎氏(自民党衆議院議員) (ビデオニュース・ドットコム)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150620-00010001-videonewsv-pol
「小選挙区比例代表並立制の導入によって、選挙区では各候補にとって党の公認を得ることが議員にとって死活問題となる一方で、比例名簿の順位を決める権限も党の執行部に握られるようになり、党の方針に逆らうことが難しくなった。」

自民党・村上誠一郎議員が涙を流して独白 安倍政権の安保法制を批判(34:20から小選挙区制、マスコミ批判)
https://www.youtube.com/watch?v=JwVDmxUKkNE

【安保法制】反対4長老の会見詳報(2完)山崎拓氏「自民党はヒラメ状態で上を見てる」(2/3ページ) - 産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/150612/plt1506120033-n2.html
山崎拓氏「それに、ほとんど安全保障問題に関心がない。衆院の場合、小選挙区制度のもとでは2分の1以上の有権者が強く関心を持つ分野に、特に力を入れて政策を訴えていくことになる。」

たそがれの「第三極」 1強政権で存在感示せず:朝日新聞デジタル(2015年5月21日)
http://www.asahi.com/articles/ASH5M4WRPH5MUTFK00B.html
<自民、民主の2大政党のはざまで存在感を示してきた「第三極」政党が勢いを失っている。象徴だった維新の党は、橋下徹最高顧問が政界引退を表明し、失速ぎみ。渡辺喜美代表のもと勢力を拡大したみんなの党も消滅するなど、勢いは軒並み衰えている。背景には、獲得議席数の振れ幅が大きい二大政党制と、党首のキャラクターに頼る第三極特有の限界がある。>

この朝日記事は二大政党制を当たり前の前提のように考えていますが、二大政党制なるものは憲法で定められた政治体制ではないのです。憲法要請でも何でもない二大政党制を実現するため、選挙制度をその下請手段に貶め、憲法が要請する平等な国民主権(死票が最小化され、院内における国民の意見の反映度合いが最大限に平等なこと)を犠牲にして、小選挙区制が導入されています。

憲法要請を渾身の努力で選挙制度に具現化する努力を怠り、選挙制度に選挙制度以外の目的を盛り込むことがいかに乱暴なことか。このような考え方は、違憲の集団的自衛権という政策を実現するために違憲の憲法解釈をするのと同様に乱暴で、立憲主義・民主主義とあいいれません。

一部の人間の手前勝手な「統治観」―「国民主権観」ではない―に基づいて小選挙区制を導入したことの成れの果てが、憲法9条レベルでの壊憲、立憲主義の危機です。

選挙制度を国民主権論の領域に取り戻さなければなりません。選挙制度はそれこそ裁判でいえば「統治行為論」ではなくいわば「主権行為論」に属するものです。国民主権を最高の価値とするなら、統治行為の上に主権行為を置き、国民主権を規定する選挙制度や国民主権の最高度の発動機会としての改憲発議に関する規定については、憲法が定める以外、司法は触ることが許されないと、統治行為論を採用する裁判所は主張してもおかしくありません。国民主権論の領域に属する「1票の格差」にからんで事細かな「1人別枠方式」などに口を出す最高裁が、日米安保ごときに口を出さないのはどういうことか。

一部の野党や無視できない数のメディアにとって、自民党を前提にした二大政党制ないし寡頭制が、立憲主義の危機という状況においても、何にも増して優先される政治的パラダイムなのです。

立憲主義の危機をそれなりに指摘するメディア、学者、野党政治家などが、乱暴な二大政党制=小選挙区制を支持したままというのが、この国の立憲主義・民主主義の弱さを示していると思います。

太田光征
posted by 風の人 at 18:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 選挙制度
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