憲法記念日のきょう。
いままでにも増して、改憲の動きが大きな潮流として動いている。
国民投票法が日の目をみて、教育基本法は改悪されて久しい。
「昭和の日」に特別な政治的意味を込めて、「国民運動」として
日本会議とそれに連動する安倍晋三、中川正一、石原慎太郎など
の諸氏以下の政治家や黒川紀章氏や「教科書をつくる会」の教育
関係者などが、中枢にいる神社本庁を頂点とする宗教家をもとに
集会や運動を強めている。
「論憲」「創憲」「活憲」などとさまざまな言葉が飛び交う。
だが、それらはいまの日本国憲法の精神を養護して発展させよう
とするものではない。いまの憲法を見直し、変えようとする立場
は、憲法の軍備廃棄や戦争放棄、軍隊の非保持を中心とする改憲
の潮流の流れの中で、それに乗り遅れまい、追いつこうとする動
きの中から出てきている。
憲法が完璧でないのは、当然のことである。詳細な条文の改変
が必要なことも当然である。にもかかわらず、憲法擁護の旗を掲
げる人々が危機感を抱いているのは、日本国憲法の精神そのもの
の解体が、いま遂げられようとしていることへの危機感である。
日本国憲法の精神、とは何か?
それは、第二次世界大戦の悲惨な世界史的殺戮と破壊の実態から
出発している。多くの人命が失われ、世界中の国々が戦争によっ
て土地、文化、社会的機能、道徳的モラルなどに壊滅的打撃を被
った。なによりも戦争の終結は、「人類説滅装置体系」としての
核兵器の現実使用という愕くべき人体実験を伴った。
これらの悲惨な惨禍から、二度とこのような反人類的、反生命
的な大規模な愚挙をおかしてはならないとする地球的規模のモラ
ル・ルネッサンスが巻き起こった。日本国憲法の制定は、かくの
ごとき一連の文化的倫理的な世界的規模の再生のための大規模な
民衆的蜂起の広く深い滔々たる流れの中から生まれたのである。
憲法を時代とともに見直す、その言葉はそれがどんな内実を伴
っているのかが問われる。時代は、日本が米国の強権的指示のも
とで、満州事変を引き起こそうとしている時代と酷似している。
「時代に乗り遅れるな」は、「第二次満州事変をめざそう」とい
う言葉の類義語として現在の政治社会的文脈のもとにある。
排他的狂信的ナショナリズムが領導する改憲策動に、毅然とし
て日本国憲法の旗を掲げよう。それは明治以来の相次ぐ十年置き
に続けられた侵略の戦争によって流された幾多の尊い人命の鮮血
に染められた日の丸ではない。もし図案が同じなら、その中央の
円は、建設の緑色か青空の色によって染められていよう。
護憲の旗は、日本に歴史に学ぶ謙虚さと世界中の民衆との平和
を愛する友愛のこころが絶えぬ限りは、どのように厳しい状況下
においても堅持され続けよう。
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