Subject: [121jikkouiinkai:1096] 大11回専門家会議超簡単報告
Date: Tue, 23 Sep 2014 06:34:40 +0900 (JST)
阿部です
(重複投稿)
いつものように、専門家会議の簡単報告です。
詳しくは、アワプラの録画を観て下さい。
今回の録画は、見る価値ありですよ。
↓
第11回専門家会議超簡単報告
最初に述べておけば、今回の専門家会議は、極めて画期的な会議となった。国策推進の御用学者の面々の見解に反して、少数派委員から福島近隣県での健康対策の必要性が明確に語られ、これに対する長瀧座長派からの反論らしい反論が提出されることがなかったのだ。
明らかに、潮目が変わりつつある。崎山氏の問題提起に始まり、津田氏をはじめとする5名の外部委員の報告に引き継がれ、被害市民により長瀧座長解任要求が提出され、市民の抗議を受けて傍聴者抽選制のインチキが曝露され、それを一夜にして撤回せざるを得なかった事などが、専門家会議に確実に影響を及ぼしつつある。
今回の専門家会議のテーマは、何故か、「健康不安対策」。「健康」対策ではなく、「不安」対策。
このテーマの下、環境省のお金を使ってもっぱら放射線に対する「過度の不安」と「放射線ストレス」とその解消プログラムを研究しているという東大の先生の報告。そしてこの先生とともに現場で市民の相談活動に従事している保健師さんの報告、が行われた。お二人の報告者とも、根は実直な人なのではあろうが、放射線の健康影響についてまったく無知な人であり、その結果、安心安全論者に利用される形となっている姿が気の毒であった。
このかんの専門家会議では、福島の子どもの甲状腺がん多発はスクリーニング効果の現れに過ぎない、前からあったガンが見つかっているに過ぎない、過度な健診は利益より不利益の方が多いとの議論が強調され、福島でさえ甲状腺検査やその結果見つかったガンの摘出手術は不要だと言わんばかりの議論がまかり通ってきた。この方向に沿っての、上記2つの報告が行われ、不安解消のためのリスクコミュニケーションと称しての、気休めに過ぎないような様々なナンセンスな取り組みが披露された。
その後、住民の健康管理のあり方についての「論点整理」なるものが、事務局から報告された。客観的で公平な報告を装いながら、実際には安全安心論者に都合良く取捨選択された論点整理だ。もちろん、多くの外部専門家のヒアリングで明らかされた、安心安全論には極めて不利な報告は、見事に映されていない。
次に、この論点整理において、項目だけがあげられていた「論点3 1.福島近隣県における健康管理について」が議論された。多くの市民が待ちに待ったテーマだ。この間、関東ネットなどが再三にわたって、きちんと議論をしろと訴えてきた取り組みが、実ったかに見える。
ここでは、このかん長瀧座長を始め国策擁護派の「専門家」たちが唱えてきた、福島事故がもたらした放射線被ばくは取るに足らない、だから放射線を原因と見なす健康対策は必要がない、福島でさえそうなのだから近隣県においてはなおさらだ、との議論に対して、石川委員(日本医師会常任理事)や春日委員(日本学術会議副会長)などから疑問の声があげられ、福島近隣県での甲状腺のエコー検査をはじめとする健康対策の必要性が論じられた。石川委員からは、具体的に東葛9市の例が挙げられ、市民からも自治体からも声があがっているこれらの地域での健康対策の必要が強く主張された。
驚いたことは、石川委員や春日委員の積極的な発言に対して、これまで長瀧座長の見解の擁護に汲々としてきた委員達から、明確で断固とした反対論が唱えられなかったことだ。石川委員らの発言に対して、いつものように長瀧座長が座長派の委員に反論を促すのだが、そのサインに応える議員の数が目立って減ってきた。そういう状況下でも、ここで頑張らねばとばかりに、鈴木、丹羽、中村委員などが発言を試みるのだが、それもすぐに、石川委員らから明確な反論が返される。そして、鈴木委員や丹羽委員や中村委員は、再反論を返すことが出来ず、個人的な見解です、などと言い訳をしつつ、尻すぼみとなっていく。
そればかりではない。これまで長瀧座長を支えてきたはずの御用委員の多くが、放射線の健康影響や検査の意味などを説明をした上でなら、近隣県での甲状腺エコー検査に反対しないとの意見を述べざるを得なかった。これは、この専門家会議の内部における、大きなトレンドの変化だ。その象徴が、大久保委員(筑波大教授)、伴委員(東京医療保健大教授)の発言だ。
例えば大久保委員は、次のように述べた。個々の不安を抱えている人には機会を与えてあげるべき、希望者による限定的な健診はあった良いと述べ、長瀧座長の反論にも、全員を対象にして首にヒモつけてくるやり方は必要ないが、希望者を拒否する理由はないと再反論。
伴委員は、さらに踏み込んで、次のように語った。福島県内は国がサポートしている。ここでは近隣県についても、国のサポートを前提にして議論をしている、UNSCEARがあげた近隣県線量は平均線量過ぎず、それにも幅があると言っている。近隣県で福島より高いところがあり、その逆もある。国として、きめ細かく、オーダーメイドで何がやれるかを考えるのがこの場の役割。
また伴委員は、検査の利益不利益論に対しても、明確に次のように述べた。このレベルだったら何かをするとかしないとか、線量レベルをはっきり言えるのか疑問。公衆衛生的リスクベネフィットは色々な要因があり、どれだけの要因を考えるかで違ってくる。スパッと切れない。
かくして、今回の専門家会議は、その議論の内容どおりに整理が行われるならば、福島近隣県でも甲状腺エコー検査を含む健康対策が求められている、ということになるはずだ。しかし、長瀧座長は、最後まで、この会議に課せられた課題は、原発事故子ども・被災者支援法の13条の「放射線による健康への影響に関する調査、医療の提供に関する事項」だと強調し、それに固執。おそらく、次回の第12回の会議に向けて、今回の劣勢を挽回するために、様々な試みを行ってくるに違いない。
国策擁護派の「専門家」たちの巻き返しを許してはならない。
第12回専門家会議も、しっかりと傍聴をしよう。
阿部 治正
HP : http://www.abeharumasa.jp
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以上、転載
太田光征
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