2007年04月21日

「国会への」提案(国会法56条)と「国民への」提案(憲法96条)の違いについて

太田光征さんの「国会法改正案(国民投票法案)はさきどり改憲法案(憲法96条違反)」(2007年04月19日付)記事は、国会議員の【国会への】「議案発議権」(国会法56条)と国会の【国民への】「憲法改正発議権」(憲法96条)を混同する誤った議論になっているように思います。

そのことをいうために、まず下記に憲法及び国会法の問題になっている該当条文を示します。

憲法第96条
「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」

国会法第56条
「議員が議案を発議するには、衆議院においては議員二十人以上、参議院においては議員十人以上の賛成を要する。但し、予算を伴う法律案を  発議するには、衆議院においては議員五十人以上、参議院においては議員二十人以上の賛成を要する。」

上記の青字部分から、両者の違いは明らかでしょう。

憲法第96条にいう「国会発議」とは【国会】の【国民への】憲法改正提案権のことをいい、国会法第56条にいう「議案発議」とは【議員】の【国会(衆議院・参議院)への】議案提案権のことを指します。国会法第56条にいう「議案発議」は法律提案権のことですから、憲法に抵触しません。

一方、憲法第96条については、憲法学の泰斗宮沢俊義の次のような解説があります。


「ある憲法改正案が、衆議院及び参議院の各々で、その総議員数の三分の二以上の多数で可決されたときに、その案が、国会によって「発議」され、「国民に提案」されたことになるのである」(『全訂日本国憲法』宮沢俊義著 芦部信喜補
訂 日本評論社 1981 年 p791)

※衆議院憲法調査会事務局作成の『硬性憲法としての改正手続に関する基礎的資料』「U
96条についての論点」「D 国会から国民への発議の方法」の「学説」参照。
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/shuken024.pdf/$File/shuken024.pdf#search='%E7%99%BA%E8%AD%B0%E3%81%A8%E8%AD%B0%E6%B1%BA%E3%81%A8%E5%8F%AF%E6%B1%BA%E3%81%AE%E9%81%95%E3%81%84'

上記から次のことがいえると思います。国民投票法案の中に含まれる国会法改正案は、議員の【国会への】議案提案権に基づく法律改正案にすぎないから、【国民への】憲法96条改正提案とはいえない。したがって、「国会法改正案(国民投票法案)はさきどり改憲法案(憲法96条違反)」という批判は当たらない。

そうだとしても、国民投票法案が改憲を画策していることは明らかで、かつ、5月中旬にも強行採決されようとしています。平和と民主主義のために断固阻止しなければならないことはいうまでもありません。

東本高志


posted by 風の人 at 11:45 | Comment(0) | TrackBack(2) | 一般
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