2007年04月12日

ハンセン病問題を問う:映画「新・あつい壁」が完成しました。

映画「新・あつい壁」(中山節夫監督)が完成しました。

■中山監督の映画製作ノート 
http://kumamoto.cool.ne.jp/nakayama2005827/index.html

まだ駆け出しのフリー・ルポライター、野々村卓也が、たまたま聞いた50年前の
事件のことを契機として、ハンセン病問題に出会っていく物語です。

「今回の映画化は、中山節夫監督による40年ほど前の作品『あつい壁』の当時
から温められてきた構想。その夢が、モチーフとなった事件で死刑となった故人
の名誉回復はもちろんのこと、ハンセン病問題の根底に常に指摘される『差別
の壁』を打ち砕く一助にとの全国のハンセン病療養所入所者や退所者、その家
族、支援の人々の熱い思いが一つになって実現する」

「何気ないきっかけからハンセン病問題と出会った現代青年・卓也のとまどいや
葛藤、そして驚き。(略)単純な善悪という価値基準だけでは表しようのない親族
や家族の苦渋。そうした日本の誤ったハンセン病政策の中で翻弄された小さな
人々の切々たる心情が深くていねいに描かれていて、観る人の心を必ずや揺さ
ぶらずにはおかない確かな作品となった」(「解説」より)

私は前作の「あつい壁」を観たときの感動を思い出します。それは感動というより
も慙愧の思いといったほうがよいかもしれません。涙が胸いっぱいに溜まって歩
きだせないのです。

父親がある日ハンセン氏病の診断をくだされ、ライ療養所「恵楓園」に収容される。
母親は、身を売るようにして再婚する。もちろん母親もそうだが、そのことが子ども
にとっていかに屈辱的であったか。兄の信夫とまだ小学生の信次には決して納得
できない第二の悲劇であった。ライ患者の子として教師からも同級生からも蔑まれ、
行き場をうしなった信次が線路伝いを歩いていく。映像はいったんそこで途切れる。
通夜の夜、兄の信夫が呻くように言う。「信次の死は事故かも知れん、自殺かも知
れん、しかし本当は殺されたんだ」。信次はあの線路伝いの道をどのような思いで
歩いていたか。私は、涙が溜まって歩きだせなかった……

中山監督が「新・あつい壁」の主人公に新人のフリー・ルポライターを設定したのは、
あるいは昨年、畑谷史代さんが著した「差別とハンセン病」の影響があるかもしれ
ない。はじめ畑谷さんは、たんに信濃毎日新聞報道部記者の仕事としてハンセン
病違憲国家賠償請求訴訟を取材した。しかし、畑谷さんはそれで済ますことができ
なかった。休職して大学に入り直し、時間をつくって元ハンセン病患者を訪ね、その
生活史を記録した。鶴見俊輔さんは朝日新聞の書評で「話す人と、聞く人とのあい
だに育った信頼が、現代日本にまれな考える文体を生み出した」と書いた。

鶴見さんの書評は、私に「差別とハンセン病」を読むきっかけをつくってくれたので
すが、もしかしたら中山監督も「差別とハンセン病」を読んで、構想の一部を変えた
のではないか。左記は、私の根拠のない憶測です。

以下、「映画「新・あつい壁」mailニュース」(No.15)からの転載です。


東本高志@大分
taka.h77@basil.ocn.ne.jp


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■□ 映画「新・あつい壁」mailニュース□■ No.15(2007年4月11日)
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■ 映画が完成しました。
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待ちに待った映画「新・あつい壁」が、いよいよ完成しました。
先日、制作の主だった関係者だけを集めて試写がありました。集まっていただいた方
の中には全療協の神事務局長さんもおられ、上映後しばらくは深い感動の中に語り出
すべき言葉すらも見失っておられた様子でしたが、「ぜひ一人でも多くの人に観てい
ただきたい」と、強い決意を語ってくださいました。

以下は、全療協の神事務局長さんから寄せていただいた一文です。

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映画「新・あつい壁」の普及を期して

「新・あつい壁」の試写を観る機会をあたえられ、船の進水式に立ちあうようなわく
わくする気持ちで出かけた。試写会は調布市の東京現像所内で行われた。中山監督を
はじめ、映画制作にかかわったごく内輪の関係者だけが試写室に集まっていた。

約2時間の上映時間は、あっという間に過ぎた。終わってから、時間の観念も、客観的
視点も忘れて、映画に引き込まれていた自分に気がついた。涙があふれた。

それは、ふる里の家族とともに、いまなお社会の偏見と差別に苦しみ続けなければな
らない不条理に、いい知れぬ憤懣を覚えたことと、私たちと家族はそれを社会に向かっ
て訴える術もなく忍耐をしいられている悲しみが、画面をとおして再び胸中によみが
えってきたからである。

ハンセン病問題は、まだ多くの課題を残している。しかし、市民からすでに忘れ去ら
れようとしており、社会には新たな差別が横行している。人権や人間の尊厳は、従来
になく、けたたましく社会で叫ばれるようになってはいるが、上すべりしているとし
か思えない。

この映画は、人の傲慢さを問い、社会の構造的差別の問題を再現して見せ、そして一
人ひとりに深く本質的に問いかけている点で、私は深い感銘を受けた。

ぜひ多くの市民に観てほしいと思う。

全国ハンセン病療養所入所者協議会
事務局長  神 美知宏

-----

*作品は、もう少し各地での上映のための準備作業期間となりますが、以下の試写会を
かわきりとして、5月以降、全国で、各地実行委員会主催の自主上映スタイルを基本の
形として、上映会の開催が始まっていく予定です。

*ぜひ、あなたの地域や職場、学校、団体などでも、上映会実現に向けて、さっそく実
行委員会立ちあげなどのご相談をはじめていただければ大変ありがたく、何卒よろし
くお願い申しあげます。


  お問い合わせ・申し込みは=事務局 e-mail: nhw2007@dowbow.net


■ 試写会などの日程(2007/4/6現在)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

● 4月23日 菊池恵楓園試写会(熊本県合志市)
 上映 13時〜(上映時間:約2時間)
 会場 恵楓会館(菊池恵楓園内)
 http://www.hosp.go.jp/~keifuen/access.html

● 4月25日 熊本試写会
 上映:14時〜、19時〜(2回上映)
 会場:熊本市産業文化会館
 http://www.hi-ho.ne.jp/matchan/olqp/schedule/sanbun/
 交通:JR熊本駅から熊本市電で「辛島町」下車・徒歩1分
    バス「熊本交通センター」下車・徒歩2分

□ 4月25日 映画「新・あつい壁」熊本試写会レセプション
 日時:4月25日(水)開会17:00〜18:30
 会場:三井ガーデンホテル熊本
 http://www.gardenhotels.co.jp/kumamoto/map.html
 *試写会会場から徒歩3〜5分。
 *レセプションへのご参加は、準備の都合上、事前のお申し込みが必要です。
  お申し込みは=事務局 e-mail: nhw20070425@dowbow.net

● 5月11日 ハンセン病市民学会試写会(第3回総会前夜祭)
 上映:18時〜
 会場:草津音楽の森国際コンサートホール(群馬県)
 http://www.town.kusatsu.gunma.jp/cgi-bin/odb-get.exe?WIT_template=AC020000
&WIT_oid=icityv2::Contents::1190

● 5月29日 東京試写会
 上映:調整中
 会場:銀座ブロッサム
 http://www.city.chuo.lg.jp/sisetugaido/horu/ginzaburossamu/index.html

注)開催形態により違いがありますが、試写会には製作協力券が必要になる場合があり
ますので、お持ちの方はご持参くださいますようご案内申しあげます。(カンパ形式の
会場もあります。)

編集者のつぶやき ━…‥・

◇試写に行きました。何気ないきっかけからハンセン病問題と出会った現代青年・卓也
のとまどいや葛藤、そして驚き。無らい県運動を背景としてハンセン病患者とされ、
思わぬ事件に巻き込まれながらも、自分の立場を不利にしてまで家族や親族のことを
心配する勇吉さんの思い。また、勇吉さんに直接かかわった方々の誠実さと無念。さ
らに、単純な善悪という価値基準だけでは表しようのない親族や家族の苦渋。そうし
た日本の誤ったハンセン病政策の中で翻弄された小さな人々の切々たる心情が深くて
いねいに描かれていて、観る人の心を必ずや揺さぶらずにはおかない確かな作品になっ
ていると実感しました。
◇「本当に一人でも多くの人に観てほしい」「国際映画祭に出品すべきほどの素晴らし
い映画だ」「深く重たいテーマを、静かに切々と語りかけていて、本当に素晴らしい
作品となりました」「内容はとても深いけれど、わかりやすい作品になっていると思
います。中学生、いや小学校の高学年でもだいじょうぶじゃないでしょうか」…映画を
ご覧いただいた方々からの声です。
◇「中山監督の映画製作ノート」の記事を、少し新しくしました。熊本ロケの写真集な
ども掲載していますので、ご笑覧いただければ幸いです。
http://kumamoto.cool.ne.jp/nakayama2005827/index.html
◇ニュースやホームページについてのご感想やご要望、中山監督への一言など、皆さま
からの「声」もお待ちしています。ぜひ下記アドレスまでお寄せください。(S)


_/_/_/_/_/_/_/

映画「新・あつい壁」製作・上映実行委員会・事務局
:・'゜☆。.:*:・'゜★゜'・:*:.。.:*::
事務局 e-mail: nhw@dowbow.net
〒862-0950 熊本市水前寺1丁目22-18丸山ビル104号
Tel.096-381-1214 Fax.096-381-1293
事務局長(斉藤)090-1511-8589
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 配信停止をご希望の場合、メールにてお知らせください。配信を停止いたします。
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□お知り合い等のアドレスへの新たな配信のご希望について
 配信ご希望のアドレスをお知らせください。最新号からお送りいたします。
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posted by 風の人 at 23:36 | Comment(0) | TrackBack(1) | 一般
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Weblog: 試稿錯誤
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