東京都知事選挙は、現職石原慎太郎氏が当選した。
この結果をどう分析して今後の展望を立てていくか。
私はフジテレビで、ぼそっと答えた小泉純一郎前
総理の秘書官飯島勲氏の発言に驚いた。飯島氏は、
こう答えた。
「好感度。石原さんは好感度抜群ですよ。今度の
選挙で石原さんはかなり謝ったでしょ。あれが
ぐうっと好感度を高めたんです。好感度が勝負です
よ。」
はじめて参議院選挙に立候補した石原氏は、参議院の
全国区から出馬。なんと三百万票近くの圧倒的な得票を
得て、ぶっちぎりの初当選を決めた。それ以来、国民の
間には、石原慎太郎氏への好感度は、芸能界のスター並
の高さを維持し続けた。それを実弟の石原裕次郎さんと
その会社石原軍団と呼ばれるプロダクションが支えた。
今回、石原氏の驕りや私物化などなどスキャンダルは
多くの都民の怒りを呼び覚ました。それはマスコミにも
取上げられた。石原氏陣営は相当な危機感をもった。
そこで繰り出した高等戦術が、立候補の第一声が、
「ごめんなさい」のひとことだった。
もともと石原氏の好感度は抜群だった。それゆえに石原氏
のスキャンダルは逆に強い怒りをかった。
しかしそこはさすが石原慎太郎氏。都民の深層心理に
なにを訴えれば危機的状況を打開できるかの相当のプロ
がいた。おそらく小泉内閣で広報を担当していまも安倍
内閣の広報を担当している世耕議員周辺の人脈ではない
か。
石原氏の「今回はいままでとそうとう違うかたを参謀
にお願いした」という発言とも連なっている。佐々淳行
氏。内閣官房室の初代長官。あさま山荘事件で現地に行
って陣頭指揮をとった警察の生え抜きのエリートである。
危機管理の専門家であ。
石原氏の冒頭謝罪声明だけが、勝因とは言えないとして
も、そのような手管に見られる戦術が、いくつも発揮さ
れたと見るべきだろう。
野党の側。明確になったのは、反石原陣営の分裂は、
勝てないという自明のことである。それは多くの識者や
運動家の間でも言われたことである。
もし浅野陣営と吉田陣営が統一していたら、勝敗は
どうだったか。結果はわからない。健闘した浅野史郎
氏と吉田万三氏の健闘に敬意を表して両者の労をねぎ
らいたい。
次の知事選では、協同と統一がなければ、ぜったいに
勝てないことを政党人や組織が肝に銘じることだろう。
当日。めだたぬようにではあるが、広島市長の秋葉
忠則さんが自民・公明の候補をうちやぶり当選した。
ここでは民主・社会・共産などの共闘も見られた。
このことは、沖縄参院補選選挙での健闘が期待される。
わきあがる庶民の声をおさえず広げるような、そんな
選挙をどれだけ戦えるか。そこに、今後の選挙の方向
がある。
都知事選で石原氏が投票したとはいえ、その票はお
そらく前回の驚異的な得票率七十パーセントをこえる
ような得票を下回るだろう。今回の結果を次回に生か
せるかどうか。そこに次の陣地を開拓する要素がある
のであって、民主と共産、浅野氏と吉田氏の泥試合の
ような非難の応酬とは異なる生産的な議論による結果
の分析がのぞまれる。
統一地方選挙前半は終わった。だが、後半の選挙も
そしてなによりも大きな政治的意義をもつ参院選が
迫っている。すべての平和勢力は早急に態勢を立て直
して、次の試練に立ち向かうべきである。
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