日本との関係でいえば、このような米国との集団的自衛権を行使してよいのか、ということが問われます。
太田光征
以下、転載。
*
みなさまへ (BCCにて)松元
先月5月27日に、自由シリア軍の部隊がキリスト教徒の村を大虐殺した事件をう
けてのジェームズ・ハイザー氏の記事を拙訳で すが、紹介させていただきま
す。先にお送りしたカルタルッチの二本の論考の続きとなる内容です。
シ リア「内戦」では、昨年からたびたび「虐殺」報道がなされてきましたが
「アサド政権側の仕業」という報道の偏りを特徴としていました。自 由シリア
軍の 「ソース提供」という制約もあったと思いますが、日本でも自称「戦場カ
メラマン」が、トルコなどからの反乱軍ルートでシリアに入国し、一 方側から
の報道を 流していた側面は否めません。戦争をつくりだしている全体構図に
フォーカスを合わせるときと思います。(参照:カルタルッチ論考)
ま た「宗派間戦争」は、アフガニスタン、イラク、リビア等々で欧米が「紛争
介入」の口実をつくるために利用してきた「分断して支配せよ」の 常套手段で
した。 古くはパレスチナ問題を生み出した中東問題にある植民地支配の戦略が
いまも欧米の世界戦略の基本だということがわかります。日本もアメリ カに
よってつくら れたこの「分断」がいたるところ骨身に沁みています。
*Syrian Rebels Massacre Christian Village***
*シリア反乱軍、キリスト教徒の村を大虐殺***
出典:ザ・ニューアメリカ ン(2013年5月30日)
http://www.thenewamerican.com/
出典:インティファーダ・ パレスタイン(2013年6月1日)
http://feedproxy.google.com/~r/intifada-palestine/yTiY/~3/Wt-7KtLD8dc/?utm_source=feedburner&utm_medium=email
※【訳者注】報道各紙からの著者の引用文はすべて【 】で括っています。ま
た、rebelは、日本では通常、「反政府勢力」「反政府軍」あるいは「反体制
派」などと訳されていますが、実態に即して 「反乱軍」としています。
oppositionは、「反体制派」。文中の自由シ リア軍は、反アサドの「反乱軍
(反政府軍、反体制派)」の中核部隊です。
/画像://29//か国もの戦闘員が宗派の境界を引き裂く内戦に加わるためシ リア
に侵入した。///
/自由シリア軍が、アル・クザイル での衝撃的な敗北の報復でドゥバイナのキリ
スト教徒の村を集団虐殺。///
ジェームズ・ハイザー(松元保昭訳)
オ バマ大統領の政権がシリア反乱軍(反政府軍)に対する軍事援助について考
えているあいだ、そこで進行中の革命の本当の性格が恐ろしいほど 鮮明になっ
てきて いる。多くの報道が、自由シリア軍によって犯されたキリスト教徒の村
の全住民を絶滅させた集団虐殺の詳細を提供している。
昨年12月、ニューヨークタイムズが報じたように、アメリカ政府が反乱 を支え
る中心の役 割を演じたとき、その反乱軍組織の間で反アメリカ感情が高まっ
た。その援助の決定的な段階は、―彼らをシリアの合法的な政府と認めるには ま
だ不足している 段階での、反乱軍組織にたいする公式の承認を与えた政権の決
定であった。しかし現在、オバマが熱烈に援助したそれらの反乱軍は―数年前の
エジプトのように ―現在シリアでそれを証明している。その反乱軍は、彼らが転
覆させようとしている独裁者よりもっと悪いと証明されるかもしれない。
アッシリア国際ニュース局 (AINA)によれば、5月27日、 自由シリア軍の
部隊が村を大虐殺した。「自由シリア軍(FSA)に属する武装反乱軍が、今日
ではレバノン国境に近いホムス郊外のキリスト 教徒住民のアル・ ドゥベイル村
を襲撃し、女性と子どもたちを含む一般市民居住者のすべてを大虐殺した。しか
しシリア軍が介入し、アル・ドゥベイル村の激し い衝突がなお進行 中に、何十
人ものテロリストを殺害した。」
たとえ反乱(反政府)軍連合のアルカ イダに属するヌスラ戦線の関与に米国が
反対していたとしても、オバマがその連合に惜しみない賞賛を与えていた12月に
はこうした不安を表明してはいなかった。そのときのニュー ヨークタイムズの
報道では:
【しかしオバマ氏は、彼が、アサド氏 の防衛軍に対する戦いでは地方委員会と
の提携および多様な民族・宗教集団に対するその包括性その開放性(が必要)で
あると言ったために、 正式には「シリア革命および反体制勢力の国民連合」と
いう反体制派を賞賛した。】
【「この点では、われわれには十分組 織された連合がある。シリア人民の合法
的な代表として彼らを認めることができる―代表的な反体制連合―がある」と彼は
語った。】
【ア メリカ合衆国は、反体制派を形成する場面の背後では、さらに包括的に広
げられると強調して積極的な役割を演じていた。だがオバマ氏の発表 までは、
アメリカ 合衆国は、重要なポストを満たし政治的な機構を具体化する方向に反
乱軍指導者を仕向けるため承認という囮を利用したかったと主張して、正 式に
反体制派を認 めることを先延ばしにしていた。】
現 在伝えられるところでは、オバマの包括的な反体制派は、アル・ドゥベイル
村の全住民を虐殺した。これは以前、米国大統領が、シリアの人々 には立ち上
がって 政府を転覆する十分な理由があると表明した犯罪と同じタイプである。
さらにこの大量虐殺は、どうみても特異な事例ではない。例えば、わず か数週
間前に反乱 軍は正教会の聖エリヤ修道院を襲撃した。5月12日 のボイス・オ
ブ・ロシアの報道では、「修道院を略奪した戦闘員たちは、シリアのキリスト教
徒とイスラム教徒にともに等しく敬われている聖 預言者エリヤの彫 像を引きず
り倒し、鐘楼を吹き飛ばし、聖所を破壊した、とシリアのSANAニュース局は
正教会修道院長ガディール・イブラヒームの言葉を 引き合いに報道し ている。
その修道院長は外国人傭兵の仕業による襲撃と考えている。」
外国人傭兵にかんする報道は、アサド 体制に敵対する戦争では別に新しいもの
ではない。また、「シリアの」暴動の性格は、しばらくの間、不確かだった。12
月20日のインデペンデント紙では:
【29か国もの戦闘員が宗派の境界を引き裂く内戦に加わるためシリア に侵入し
た。多数派スンニー派イスラム教徒に対してアラウィー派が支配する共同体をま
すます戦わせている、と本日、国連人権調査官は語っ た。】
【シリアにおけるこの一層深まった宗 派間の溝は、たとえバッサール・アル・
アサド大統領が倒されたとしても、紛争後の和解の可能性を減退させるかもしれ
ない。さらに外国人戦 闘員の殺到は、周辺諸国にもあふれて戦争のリスクを一
層拡大している。】
【「政府勢力と反政府武装グループと の戦いは、二年目の終わりに近づいてい
るが、実際にはこの紛争は宗派間の争いが顕在的になった。」ブラジルの専門家
パウロ・ピネイロに率 いられた調査官は最新の報告の中で語った…。】
【29か国もの戦闘員が宗派の境界を引き裂く内戦に加わるためシリア に侵入し
た、と国連調査官が認めた。「彼らは、ヨーロッパおよびアメリカ、とくに近隣
諸国のいたるところから来ている。」とミス-カレン・アブザイード氏は語った。】
ちょ うどアメリカ政府がシリア内戦への関与を拡大させたとき、反乱軍勢力の
過激化が進行した。シリア反乱軍が残虐行為の悪事を働いていると き、ジョ
ン・マケイ ンは依然として「われわれはこれらの人々が誰であるか確認でき
る。われわれは正しい人々に援助できる。」と力説していた。5月29日のロイ
ター報道では:
/画像:アメリカの戦争の英雄かつ上院議員、テロリストと一 緒に食事。///
【米国上院議員ジョン・マケインは、 シリアでの反乱軍との会合の二日後の水
曜日に、アメリカ合衆国はそれらの武器が間違った人の手に渡るというリスクな
しにシリアの戦闘員に 武器を送ることが出来ると彼は確信している、と語った。】
【「われわれはこれらの人々が誰であ るか確認できる。われわれは正しい人々
に援助できる。」と、CNNの番組「アンダーソン・クーパー360」でマケイン
は語った。】
【反乱軍が述べた何人かの下院議員の 武装の後押しにかんする批判者は、アメ
リカ合衆国あるいはその同盟諸国に対して結局は彼らを利用することに終わるに
すぎない戦闘員の手に ついにはそれらの武器が渡るという心配をしている。】
【だがマケインは、こうした過激な戦 闘員たちは反乱軍勢力の小さな部分を
補っているに過ぎない、と語った。】
【例えば、イラクのアルカイダの別名 と確認されているシリアのイスラム原理
主義者アル・ヌスラ戦線は、アサド政権と戦う10万人の戦闘員のうち約7000人を
数えるにすぎない、と彼は語った。】
【「どの日も、ますます過激派が流入 する…。」「これらの過激派、彼らは絶え
間なく流れ込んでいる。しかしまだ彼らは大きな一部にはなっていない。」と、
アリゾナの上院議員 は語った。】
アルカイダのメンバー7000人の戦線が米国に支援された同盟の一員であることが
認知されて いる一方で、現在 マケインと彼の同盟者が「小さい」と説明してい
ることを、人はいぶかしく思う。また、マケインやオバマの意味した「正しい
人々」は、忙し くもキリスト教徒 を大虐殺し、さらに外国人傭兵と宗教的熱狂
家たちに指揮された「明白な宗派間」の戦争によって―他の人々をも―虐殺してい
る。「永続する 平和のための永続 する戦争」の最新局面は、その提案者たちが
彼らの同盟者の行動によって近いうちにもう一度「ショックを受ける」だろう、
という段階に変化 した。
(以 上、松元保昭訳)
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