2007年03月02日

都知事選に向けてー浅野氏擁立運動の問題点

東京都知事選浅野氏が出馬の意向を固めたようですね。
統一候補実現は「東京。をプロデュースする会」および浅野氏擁立に関わった皆様の多くが共有する思いのはずですが、現在の動きを見るとまだまだ前途多難のように思われます。
特に共産党と非共産系の護憲勢力が、分裂の危機に立たされています。

共産党は以下のように浅野氏の福祉切捨てを批判し、あくまでも独自候補擁立を目指す考えです。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-03-02/2007030202_03_0.html

また民主党も報道によると、浅野氏の支援に乗り気ではなく海江田氏を推す意向のようです。

この調子では今回も分裂選挙になることは避けられません。
このような事態は十分予想されたのではないでしょうか。
共産党の視野の狭さを批判することは簡単ですが、浅野宮城県政の福祉切捨て行政を批判する論拠は一定の説得力はあります(もちろん、それでも石原よりはるかにマシなのはいうまでもなく、統一候補として一致して推す合意ができるなら問題ありませんが)。

浅野氏を推す陣営としては、例えば事前に吉田氏の陣営と十分打ち合わせを行ったのでしょうか?
共産党関係者の反応を探るくらいのことをしていれば、浅野氏に対して党がどのような印象を持っているかはすぐにわかる話です。
浅野氏が立候補した場合の吉田陣営から予想される反応や、両者を取り持つための政策協定の具体的な内容について考えていたのでしょうか?
一連の報道・経過を見るととてもそのようには思われません。
とにかく「まず出てくれ」一色だったように感じます。
浅野氏本人の発言を(メディアでわかる限り)聞いても、ぎりぎりまで立候補の意思を明確にせず、出るか出ないかの問題でここまで右往左往し、共闘や政策協定締結の可能性について本人が少しも語らない状況で、果たしてどこまで責任ある候補者といえるのか私にはわかりません。
これでは「統一候補」どころか、「対立候補擁立運動」と言われかねません。
浅野氏も立候補するなら、「反石原」陣営が共倒れにならないよう、最後の最後まで自ら共産党や民主党などに対し、幅広く共闘の申し入れを行う必要があるのではないでしょうか。

もちろん、浅野氏のような人が統一候補として民主党から共産党、無党派市民までの支持を結集できる状況が、最も理想的であることは確かです。
統一候補が実現した場合、浅野氏は石原慎太郎に勝てる可能性を有するかなり有力な候補の一人です。政策上はともかく、当選可能性の面では客観的には吉田万三氏よりも「強い」候補と言えるでしょう。
今回の選挙においても、まだ公示まで3週間ある中で、ぎりぎりまで統一候補実現に向けた働きかけを行うべきだと思います。

しかし候補者統一に向けた具体的な道筋をつけないまま、見切り発車で浅野氏擁立運動に向かった「東京。をプロデュース」の活動姿勢には私は問題があったと思います。
民主党がいつまでも候補を確定させず、誰も責任のある立候補表明をしなかった今までの状況では、当初から立候補を表明しており、政策面でも最もぶれのない吉田万三氏を市民が一致して推薦・支援し、民主党や社民党からも事実上の支援取り付けのため働きかける方向で運動を進めることが本来理に適っていると思います。
マスコミにも「石原vs吉田」という報道をするように働きかけを強めるべきだったでしょう。
共産党推薦候補であっても「共産党」の枠を超えて広範な無党派、護憲派が支援を始めれば、マスコミも報道姿勢を変えざるを得なくなると思います。


ところが、吉田氏についてはマスコミだけでなく、非共産系の「護憲派」市民、反石原陣営も事実上無視したままです。
反石原陣営の間でも、どんなに吉田氏の政策が優れていても、あるいはその政策について真剣に検討しないまま、「共産党系の候補だから推薦できない」ーという意識があるようだったら、大問題だと思います。

都知事選に限らず、「風」の目標である「平和共同候補」の実現を目指すなら、まずこのような「反共」意識の克服(もちろん共産党の側も「反市民」「反大衆」意識の克服は必要です)から始め、相互の信頼醸成を図らなければ、その実現は程遠いのではないでしょうか。

「風」としても、現在の状況で安易に「浅野さんを推す」という結論にならないよう、十分に議論をする必要があると思います。

(末次 圭介)
posted by 風の人 at 13:26 | Comment(0) | TrackBack(1) | 一般
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