3月3日
1日に要望書をお渡しした太田光征です。
「国民負担と引き替えの国会議員定数削減」「有権者の権利を縛るネット選挙法案」で各党議員に要望
http://kaze.fm/wordpress/?p=445
本日のNHK日曜討論を拝見しましたが、議員は貴党が比例区定数の80削減を提案していると説明されました。
要望書でもお伝えした通り、国会議員の定数削減は比例区であれ選挙区であれ国民主権格差を拡大するもので、国民主権に最高の価値を置く日本国憲法の下で、国民主権の政治を発展させこそすれ、国民主権をないがしろにする方向を向くことは考えられません。
沖縄に辺野古新基地やオスプレイを押し付けるという差別を公約に掲げている政党があります。幸いにも民意の支持を得ていませんが。公約すべてが守られるべきだとなれば、国民主権に反した政治を容認することになってしまいます。
消費税増税に反対という立場は、それが民意の支持を得ているとともに、消費税増税が経済格差を拡大するという点で、大義を持っています。
「差別を押し付ける公約」は認められませんし、「差別を押し付ける民意」というものがあったとしても、それは民意として容認できるものではありません。(だからこそ、特に自治体差別を抑止するために憲法95条がありますが、自民党はこの95条を骨抜きにしようとしています。)
今からでも遅くはありません。比例区定数80削減を含め、国会議員定数の削減という方針を撤回してください。
自民党などが目指している96条改憲は、まさに国民主権原理を切り崩すものです。小選挙区制を廃止すること、定数削減はしないこと、公職選挙法を抜本的に改正すること、96条改憲はさせないことが、国民主権を尊重する政治勢力の明明白白な立場であり、こうした立場を明らかにしてこそ、反国民主権の政治勢力との対立軸が鮮明化するというものです。
太田光征
*
「国民負担と引き替えの国会議員定数削減」「有権者の権利を縛るネット選挙法案」で各党議員に要望
http://kaze.fm/wordpress/?p=445
要望書
2013年3月1日
(1) 消費税増税と議員定数削減をセットにするのはやめよ
民主党の公約違反である消費税増税(自民党・民主党・公明党による密室談合で決定)を実施するにあたって、自民党・民主党・公明党などは国民に負担をかけるからには自ら「身を切る<姿勢>」を示すべきだとして、消費税増税と、議員定数の削減、議員歳費(政党助成金含む)減額をセットにして国民に訴えています。
<議員定数削減は、言動と矛盾し、その理由が示されていない>
各党は政治を官僚主導から政治家主導に転換すべきと公言しています。それなのになぜ議員定数を削減するのでしょうか。
今の議員たちは仕事をしていない、仕事をしない議員が多いから議員の首切り合理化をしたい、というようにも聞こえます。
官僚主導から政治家主導にするなら、議員がもっと必要でしょう。もし仕事をしていない議員が多いなら、政党別に議員の実態を明らかにした上で、仕事のできる議員を有権者に選んでもらう努力を行うべきであって、議員数全体を減らすのは筋違いというものです。
なぜ政策遂行と引き替えに「身を切る<姿勢>」を示す必要があるのか、なぜ国民負担と「身を切る<姿勢>」が釣り合うのか、政府・各党が国民に求めている負担が数多い中で、なぜ消費税増税の負担だけを取り上げて「身を切る<姿勢>」を示す必要があるのか、なぜ定数削減が「身を切る<姿勢>」を示すことになるのか、各党は理由を明らかにしていません。
<議員定数を削減すべきでない理由>
1.官僚主導から政治家主導の政治を実現し、国民の多様な意思を国会にできるだけ的確に反映させるためには、しかるべき議員定数が必要であり、日本の議員定数は国際比較すると大幅に少ないことから、定数削減の必要はまったくありません。
2.適切な議員定数については、少数政党でもすべての国会委員会に掛け持ちせず委員を配属させることができるようにするのが公平性にかなっていることから(この条件を満たすにはドイツ下院並みの500人台が必要)、最低でも現在の定数が必要です。
3.定数削減は、比例区の定数削減であれば中小政党とその支持者に対する差別(現在の比例区定数でも比較大政党に有利)、選挙区の定数削減であれば無所属候補とその支持者に対する差別(無所属の当選枠は選挙区だけに限定され、政党より不利)を拡大します。
東日本大震災や福島原発事故からの復旧・復興にどの政党・国会議員も尽力されていることと思いますが、平等な国民主権、平等な投票価値を尊重することから、人を真に思いやる政治を実現し、福島原発事故につながる政治を改めることができるのではないですか。
4.ムダをなくして予算を節約すべきとの議論は、議会制民主主義における議員の果たすべき役割を軽視するものです。
ムダな政策、ムダな予算があります。定数削減によって国会にますます民意が反映しなくなれば、真の巨大なムダを根絶できません。
5.国民負担と引き替えに「政治家は自ら身を切るべき」との議論がありますが、これは世界的にも類例のない虚偽です。身を切られるのは、代表を選ぶ権利を縮減されてしまう一般国民の方です。
負担増を求めて身を切るべきだと主張している比較大政党が身を切ることがなく、負担増に反対している中小政党と有権者が身を切られるというのは、あべこべです。この構図は幾つもの政策で見られます。
政策遂行に必要な条件はただひとつ、その政策を支持する民意ではありませんか。政党・政治家には、政策に対する民意の支持を得るための仕事にこそ、身を切るほどの努力が求められているはずです。
6.以上のように消費税を上げるために、自分たちも「身を切りますから」と国民に理解を求める方法は、常識的認識の欠如であり、国会の権威の軽さと国民主権の軽視を世界に向けてアピールすることになり、その弊害は甚大です。
(2) 有権者の権利を縛る公職選挙法から決別を
インターネット選挙「解禁」法案が議論されています。ネット選挙が実現すること自体は好ましいものの、同法案は重大な問題を含んでいます。
インターネットのない時代に制定された公職選挙法でインターネットが想定されていないことは明らかであり、同法でネット選挙運動が禁止されていると断言することはできません。
従って、ネット選挙を「解禁」するのではなく、同法でネット選挙が禁止されていると解釈すべきでない旨の修正にとどめるべきでしょう。これは国民主権を尊重した考え方と言えます。
自民党と公明党のネット選挙「解禁」法案では、政党や候補者以外がメールを利用した選挙運動を禁じており、有権者の権利を制限するという、国民主権を軽視した従来の考え方から抜け切っていません。
また、現在の公職選挙法でも、個別訪問以外の手法なら、落選運動は禁止されていませんが、自民・公明のネット選挙「解禁」法案では、匿名でのネット選挙運動とネット落選運動を禁止しています。これは憲法で保障された表現の自由を侵害し、現公職選挙法から著しく後退するもので、有権者としては容認できません。
高すぎる供託金の規定を含め、有権者の権利を縛る一切の条項を公職選挙法から削除してください。有権者の権利を認めないで有権者のための政治ができるわけがありません。
以上、ご見解をいただければ幸いです。
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