「ナブルス通信」が、(米国と共に)EUがいかにイスラエルとの共犯関係をなしているか、その具体例を紹介しています。(最下段には、イスラエルとの共犯に熱心な日本の衆議院選挙候補のリスト・リンク先があげられています。)
**以下、転送を歓迎します**
○○○ナブルス通信○○○
Information on Palestine
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イスラエルによるガザへの8日間攻撃(「雲の柱」作戦)を含み、この11月にパレスチナでは191人が殺され、1492人が負傷したとパレスチナ保健省は発表しました。停戦合意後もガザにはしつこく細かい攻撃が行われ(それらはほとんど報道されない)、漁船が襲われ、漁師が逮捕され、またボーダー近くでは発砲によって重体者が出ています。西岸でも3日ナブルス近郊で、青年が射殺されました。9歳の男の子までも逮捕されています。
国連総会での「オブザーバー機関」から「オブザーバー国家」への昇格が11月29日にありましたが、パレスチナの現実はあまり変わっていません。
このようなイスラエルの残酷な行いを支えてきたのは、国連安保理で拒否権を発動しつづけ、なおかつ、毎年多額の軍事援助金を与えている米国だということは知られていますが、EUとイスラエルの関係についてはあまり語られません。
前号で取り上げたオマールくん(11ヶ月)の命を奪い取ったミサイルの陰にあるものを書いた記事をおくります。
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「EU、ガザ攻撃の直前にイスラエルの武器見本市を後援」
2012年11月25日
デビッド・クローニン
The Electronic Intifada
ハニーンは10ヶ月、オマールは11ヶ月、そしてイブラヒムは1歳だった。ガザを襲った攻撃の中で、この子どもたちはイスラエルの「精密誘導」ミサイルによって殺された。
彼らが殺される数日前、欧州委員会はテルアビブで開かれた「第二回国際国土安全保障会議」を後援していた。会議というよりは市場のようなもので、イスラエルの有名な武器製造会社たちの展示が呼び物になっていた。このイベントではイスラエル大統領シモン・ペレスが閉会挨拶を行い、若かりし頃武器取引の担当者として「イスラエルの国防産業の創立に参与」したことを誇らしげに語った。ペレスは「世界の国土安全保障を先導する革新的な技術発展を目にして嬉しく思っている」と語り、「創造性と英知、勇気と大胆さを持つ国」の代表であることの誇りを表明した。
私にわかる限りでは、この展示会に対するEUの関与はメディアから見過ごされた。まったく憂慮すべきことだ。これが意味するのは、欧州委員会はパレスチナの赤子たちに爆弾を落とすことで儲けている企業を支持することができ、そのことに誰も眉ひとつ動かさないということなのだ。
テルアビブで開かれた展示会へのEU参加を承認した役人たちは、それが最近のガザに対する攻撃と無関係であると主張することなどできはしない。両方とも、軍需産業に製品を宣伝する機会を与えたのだ。ひとつは展示会の会場で、もうひとつは「戦場」において。武器商人のあいだでは有名な雑誌ディフェンスニュース誌が伝えるところでは、イスラエル国営の武器製造会社ラファエル社は「緊急の24時間操業を開始」したとのことだ。最近イスラエルの武器庫に加わった新顔のミサイル「迎撃」システムであるアイアンドームの急増した需要に応えるためである。
戦争への助成金
これは例外的な事例などではない。EUの各組織はイスラエルの武器製造会社が参加し、ペレス大統領の言葉を借りれば彼らの最新の「革新的な技術発展」を宣伝するための見本市に定期的に出席している。例えば9月には欧州防衛機関がベルリン近郊で行われたベルリン国際航空宇宙ショーを後援したが、そこでは前出のラファエル社が展示を行っていた。6月にはパリで行われた武器見本市のユーロサトリーに数々のイスラエル企業が出店し、EUとNATO の代表団も参加していた。
戦争で儲ける者たちと付き合いを持つことそれ自体は非難されるべきではないかもしれない。だが、同じ者たちに助成金を与えることは、彼らの収益源がもとになる人権侵害に対する同意にほかならない。現在、イスラエルは800余りのEUが支援する科学研究プロジェクトに参加しており、その総額は43億ユーロ(56億ドル)に達する。イスラエルはEUの次世代の研究助成金であるHorizon 2020に対し、さらに大きな分け前にあずかろうと虎視眈々としている。
今月はじめに行われたテルアビブでの見本市で興味深かったのは、オリンピックのような巨大スポーツイベントで監視機器がいかに用いられていたかに焦点が当てられていたことだ。ロンドンがこの夏オリンピックを開催した際、EUはヒースロー空港における新しい保安機器の試験に資金提供していた。最近ガザの空で大量に使用されている無人攻撃機の製造会社であるエルビット社がこの試験の「パートナー」の一社であった。
たちの悪い皮肉
私たちの空港をより安全にするための方法について、EUがイスラエルに対し助言を求めているのは、まったくたちの悪い皮肉というほかはない。2001年、イスラエルはガザの唯一の空港を破壊した。この空港は950万ユーロ相当のEUからの援助によって建設されたものだった。それにもかかわらず当時のEU対外関係担当委員クリス・パッテンはこの損害に対してイスラエルを訴えることを拒否した。彼は次のような正当化を行おうとした。小切手がパレスチナ当局に渡った時点で、EUはもはやそれらを所有していないと主張したのだ。
昨年の今頃、欧州委員会はイスラエルによって破壊されたEUが援助した施設の82箇所にのぼるリストを公表した。当局はその結果EUにもたらされた損害は 3000万ユーロ近くにのぼると推計した。それでも、ブリュッセルの官僚主義はイスラエルの責任を追及する法的行動を起こそうとしていない。前回、 2008年と2009年にイスラエルがガザに対して行った大攻撃の際、EUはイスラエルによって受けた損害を修復するために緊急援助資金を動員した。アメリカとヨーロッパの武器と部品の援助によってなされた損害のために、である。
なぜEUはここまで熱心にイスラエルの戦争機械のご機嫌伺いをするのだろうか。ひとつの鍵は7月にEUの産業委員であるアントニオ・タジャーニ*1 が発表した「競争的安全保障産業」のための「アクションプラン」に見いだすことができる。それによると「国際安全保障産業」は2011年において毎年 1000億ユーロの規模であり、2001年から10倍に拡大したのだという。
(訳注*1 イタリア出身。イタリア空軍の役人となり、後にベルルスコーニ首相の報道官となる)
EUの役人たちはイスラエルが「安全保障」商品の世界第6位の輸出国であることを知っている。イスラエルと協力することは必要なのだ、と彼らはいう。ヨーロッパの「安全保障」産業を発展させるために。ベンヤミン・ネタニヤフの政府にへつらうことで、彼らはヨーロッパ企業が大もうけする取引を勝ち取るのを助けるというわけだ。例えばイタリアのフィンメッカニカ社は、イスラエルに訓練用ジェット機を供給する10億ドルの取引を今年始めに成立させた。
そしてヨーロッパの武器が不足すれば、彼らはイスラエルに頼むのだ。EUの国境機関であるフロンテックスは難民を監視するためにイスラエルの無人機を購入する計画を検討しつづけている。デンマークはリビアでのNATOの攻撃に参加して不足した分を補うため、イスラエルの爆弾を購入したと伝えられている。
来月、EUはオスロでノーベル平和賞を正式に受賞することとなる。私たちはEUが人権やその他の「価値」について果たした貢献について聞かされることだろう。その光景はまさに吐き気がするようなものとなる。EUのイスラエルに対するたゆまざる支援は、ほんとうに大切にされる「価値」とは金銭を単位として計られるものなのだということを証明している。ちがうというのならなぜ、EUはハニーン、オマールそしてイブラヒムをちいさな墓に埋めることで利益を得るものたちにこびへつらうのだろうか。
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翻訳:がと
原文: EU sponsored Israeli weapons fair on eve of Gaza attacks
http://electronicintifada.net/blogs/david/eu-sponsored-israeli-weapons-fair-eve-gaza-attacks
*デビッド・クローニン(David Cronin)は、欧州とイスラエルの関係を追う政治活動家。ガーディアンなど多数のメディアに寄稿。著書は"Europe’s Alliance With Israel: Aiding the Occupation”(2011)
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11月29日、国連パレスチナデー(65年前に国連のパレスチナ分割決議案が通った日)に国連総会決議で、パレスチナの「オブザーバー国家」決議に反対したのは、米国、イスラエル、カナダなど9カ国、棄権した41カ国の中には英国とドイツが含まれていました(賛成は138カ国)。この「国家」承認については、改めてまた書きます。
イスラエルの西岸での入植地拡大に対して、憂慮を示し、大使の召喚を行うとした中にもEUの大国は含まれていました。しかし、上に見たように「兵器の開発と売買」というおおもとのところでは、繋がりが強いことがわかります。
日本もひとごとではなく、パレスチナ支援をしておいて、イスラエルに破壊されて、それを放置したまま、また支援をするというマッチポンプのようなことを行っています。それはイスラエルの「戦争犯罪」を補完してしまうことにもなります。それがちゃんと罪として問われないかぎり。
こんなお金の流れに関係ないのに、失われた命、奪われた健康、住まい、農地。。。パレスチナは「戦争見本ショー」の舞台ではないはずです。(ビ)
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☆information 1
【署名願い・来週月曜10日まで】停戦しても占領とガザ封鎖は続いている
STOP!!ガザ攻撃緊急行動「玄葉光一郎外務大臣への申し入れ書」
http://gaza2012.exblog.jp/17343521/
ぜひとも、賛同者を増やしたいですね。
☆information 2
選挙のひとつの目安として活用を!日本国内「イスラエル支援議員リスト」
http://palestine-heiwa.org/choice/g-list.html
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(編集責任:ナブルス通信 )
ブログ: http://0000000000.net/p-navi/info/
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以上、転載
太田光征
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