2012年10月08日

脱原発基本法制定全国ネットワークと「原発ゼロ」を提言した日本共産党


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 大江健三郎さん、瀬戸内寂聴さん、坂本龍一さん、南相馬市の桜井勝延市長、東海村の村上達也村長らが代表世話人となり、「脱原発法制定全国ネットワーク」が今年2012年8月22日に設立された。


 同グループは、原発廃炉を「遅くとも2020年度ないし2025年度までのできるだけ早い時期」と明記して、2025年度までの全原発の廃止を実現するための「脱原発基本法」制定に向けて、各政党や国会議員に働きかける方針を決めた。また、原発は事故が起これば無限大の甚大な悲惨な被害が発生する危険性があり、「エネルギー安全保障上、極めて脆弱なシステム」と指摘し、原発に代わる電力の安全な電力の安定供給のため、再生可能エネルギーの活用を重要としている。


 グループは、超党派による議員立法を視野に、今回の国会中の法案提行った。法案には社民党など原発反対を方針とする政党関係者が名を連ねているが、日本共産党の名前はない。そのことについては、後で検討する。


 代表世話人の河合弘之弁護士は「官邸前などの市民運動が盛り上がりがなければ、今回の提案はあり得なかった」とのべている。継続的に脱原発運動に参加し続けている作家の大江健三郎氏も、「市民が動けば、脱原発基本法をつくることができる。きょうはその出発点です」と期待をこめていた。








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 日本共産党は、311の福島原発事故以降、2011年6月の「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入を」という提言で、「5〜10年以内を目標に原発から撤退するプログラムを政府が策定する」としていたが、 今年2012年9月25日、「『即時原発ゼロ』の実現を―日本共産党の提言」を出し、 「即時原発ゼロ」の主張を掲げた。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-26/2012092605_01_0.html
これまで脱原発に一番熱心だった社民党も含めて、国会に議席を有する政党で、「即時原発ゼロ」を掲げている政党はありませんでした。社民党は、ホームページによれば、「直ちにすべての原子力発電を廃止することは現実的では ありません。社民党は、電力総需要の抑制や省エネの推進をはかり、 代替エネルギーの開発を進めながら、危険性の高い原子炉や古くなって運転寿命に達した炉から順次、廃炉としていきます。」と段階的なアプローチを主張していた。
 現在、国会に議席を有さない政党では新しくできた「緑の党」は、「原発の即時全廃」を掲げていますが、国会に議席をもっていない。このような中で、かつては「原子力の平和利用」と言って原発を基本的には容認していた日本共産党が、大きく政策転換をしたことは評価にあたいする。ただ、かつての「原発容認」の政策を転換するにあたり、どのような理由で原子力政策の根本的転換をとげたのかを、科学的理論的に説明することは同党に求められている課題となろう。
 共産党が、「即時原発ゼロ」に踏み切った背景には、 首相官邸前の再稼働反対の数万のデモなどの国民・市民の原発を継続することへの強い反対や、「政府がおこなったパブリックコメント(意見公募)では8割が『即時原発ゼロ』を求め、福島市の聴取会では『すべての原発の即廃炉』を 求める声が圧倒的」というように、福島事故から1年半を経過し、国民の世論が変化したことが大きかったことが予想される。この新提言で、「過渡的な緊急避難として、火力での電力確保が必要だが、その時期は5〜10年程度とし、その間に、再生可能エネルギーと低エネルギー社会への移行をはかる」としている。
 世界的に見ても、稀な地震地帯、地震の巣の上にある、そして地震の大活動期に入ったといわれる日本列島においては、2030年はおろか、2020年までも待つことはできず、即時全原発稼働ゼロにすべきである。
それを阻んでいるのは、今回のきわめて不十分な「革新的エネルギー・環境戦略」さえ、閣議決定させず、「原発ゼロ」を何が何でも葬り去ろうとする勢力である。そこには、日本経団連等の財界、米国などの圧力、そして原子力ムラの人々の抵抗とともに自民党の存在があげられる。安部晋三を総裁とする自民党執行部も今後自民党政権を視野に入れつつ、原発再開さえもくろむことを明確にしている。







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  脱原発基本法を制定しようとするネットワークは、福島原発直後から、脱原発再稼働禁止1000万人アクションを推進してきた中心的グループである。明治公園や代々木公園で集会を進める度に参加者を集め、ついには17万人という画期的な参加者をも結集させた。


 この間、原水禁と社民党は一貫して脱原発運動をリードし続けた。日本共産党は、しんぶん赤旗でこの集会についても早くから報道しつづけてきた。ただ、脱原発については明快な判断を下すことができず、参院選の終盤で志位委員長が街頭演説で原発ゼロを唱えたが、多くの候補者にまではその提言は及ばず、国民の支持を獲得することができなかった。


 科学的社会主義を掲げる日本共産党にとって、原発政策についても、原子力の平和的利用と科学技術の発展によって、原発事故などの制御を可能としうる全面的な科学的な安全対策もなしうるという展望をもっていた。事実、原発の老朽化や最新の原発ならば、福島原発の事故は起きなかったという仮説も立論としてあり得るだろう。だが、現実の問題として発生した福島原発の事故の悲惨な災禍は、多くの民衆を苦しめている。そのようななかで、明確に原発ゼロを提言として出したことは、日本共産党のコペルニクス的転回として十分に評価できる。しかし、3.11以降一貫して脱原発運動を推進してきた大江さんたちの運動が、政策化という議会運動と、再稼働禁止という市民運動とを両輪として推進する
ことを明言しているのに、日本共産党は原発ゼロを市民運動・大衆運動としてどう進めていくのか。


  国民の間では、かつての赤旗がたなびきインターナショナルが流れるなかで、動員型の大勢の集会への拒絶感があった。しかし、官邸周辺の様々な脱原発運動は、ツイッターやフェイスブックなどインターネットを媒介として母親から老人、子どもたちからら若者まで多様な参加者の運動参加を実現した。脱原発基本法も、ただ国会に上程しただけではなく、並行して継続的に数万人の集会やパレード、抗議行動を官邸や国会周辺で展開し続けている。


  大阪では関西電力に抗議した市民が不当逮捕されるという事件が起きている。自民党タカ派が執行部を占めて、やがて政権復帰したなら、安部晋三氏を総理とする政権が、脱原発運動に強圧的な対応を行うであろうことは間違いあるまい。


  いまの時期に、国民的な共同性をもった運動の構築と継続を求められている。国会で小数議席しかもたない共産党や社民党が、原発即時ゼロを唱えても、それが国民的な大衆運動や市民運動と連携しなければ、ちからとはなり得ない。


  その点で、原発ゼロを2020年という時間を区切って上程された法案よりも、即時原発ゼロと掲げたほうが、画期的だし、より有意義と思える。しかし、それはどのように実現化するのか。


脱原発基本法制定ネットワークは、国会での議案上程と同時に国会外の市民運動の継続的取り組みを両輪のひとつとして位置づけている。 


  私は、日本共産党も脱原発基本法制定運動に参加して、そのなかで原発ゼロの方針をより実現化の方向へ進めていくべきだと考える。理論的に先進的な提案でも、原発事故直後に、なんら明快な方針をうちだせなかった共産党に比べて、1000万人脱原発・再稼働禁止の運動をになってきたひとぴ゛とと連帯しつつ運動を進めることが、原発を全面的に再開しようとしている安倍自民党と闘い、野田民主党の二重性の欺瞞と闘うこととなる。


  日本共産党は、原発即時ゼロを現実的運動として推進するとともに、広範な国民的反対運動の一翼に加わることで、少しでも前進するために資することが求められている。
posted by 風の人 at 10:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般
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