2012年10月03日

日中韓の葛藤を見る世界の目 + 欧米コンプレックスアジア蔑視が根源

半月城さんの投稿と、それに対する石垣敏夫さんのレスです。

石垣「沖縄の人々は(米軍と)闘っていますから、知事を含めて、アジア人を蔑視するようなことはありません。」

長いですが、赤字部分だけでもお読みください。



みなさん半月城さん

お世話様です
貴重な情報ありがとうございます。
私はヨーロッパ各紙の見方を取りません。
日本は過去の戦争の反省云々より、
欧米コンプレックス、アジア蔑視の思想がまだ抜けていません。
石原慎太郎氏は米国にペコペコ、中国を支那と呼んでいます。
橋下氏にしても従軍慰安婦、強制の証拠はない、などと言っています。
これは米政府に頭が上がらずそのはけ口をアジアに求めているのです。
封建制がまだ抜けていません。
戦後67年間米政府に支配され、オスプレイしても思いやり予算にしても
何も言えないから、言えるはけ口を求めているのです。
日本が米国から自立すればアジア諸国に対しても態度が変わるでしょう。
日本を守るのは日本人民です。ドイツは米国など屁とも思っていません。
だから対等に話せるし、他の諸国とも人権尊重が話し合えるのです。
中国人民は日・米を追い出しました。韓国は光州民主化闘争を成功させました。
日本は米国の核の傘の下で、「虎の威を借る狐」です。
ですから、程度が悪いのです。
日本民衆の闘いは60年安保、69年安保で
今度の反原発・脱原発闘争でどのくらい闘えるかです。
沖縄の人々は闘っていますから、知事を含めて、
アジア人を蔑視するようなことはありません。
 (さいたま市 石垣)

日中韓の葛藤を見る世界の目

半月城です。

韓国の李明博大統領が「従軍慰安婦」問題などでまったく誠意を見せようとしない日本政府を覚醒させるためと称して竹島=独島を訪問しましたが、これが日本では非難の的になりました。

日本のマスコミのほとんどは「人気が凋落した大統領の支持率回復策」とか、「実績のない大統領の、歴史に名を残そうとする暴挙」などという論調でした。

しかし、ヨーロッパの国々では別の見方もあるようです。それを韓国のマスコミ各社が報道しました。まずは連合ニュース(2012.10.1)を紹介します。

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欧州マスコミの中心が「過去の事に反省をしない日本」を批判

(途中省略)

ドイツの国営ラジオ放送であるドイチェラント・ラジオは、去る22日(9月)論評で「日本の歴史に対する反省不足が、韓国・中国とかかえている領土紛争に大きな役割を演じている」と批判した。また、同放送は「日本はドイツと同じように第2次世界大戦の侵略国として自国の戦争史に対して深思熟考しなければならない」と皮肉った。

ドイツの代表的な中道左派の新聞であるジュート・ドイチェ・ツァイトゥング(SZ)も去る19日の記事で「日本が対立を繰り返している理由は、過去の戦争犯罪を認める努力をまったくしなかったため」と指摘した。

第2次世界大戦の最大被害国であるフランスのマスコミも日本批判を積極的に展開した。伝統的な時事週刊誌レックスプレスは27日のインターネット版の分析記事で「独島を取り巻く韓国と日本の葛藤は生産されない過去のために起きたこと」として自国の利益のみで独島問題を扱う日本の姿勢を叱咤した。レックスプレスは「ホロコーストで全面的な責任を負ったドイツと異なり、日本は植民地支配期に韓国人になした過去に対して責任をまっとうしたことはない」として、過去の事に対する反省と謝罪をしない日本を批判した。

オランダの主要経済紙であるHFD(Het Financieele Dagblad)は22日付の記事で日本の態度を批判した。この新聞は「スポーツ競技中にドイツ人がナチスの旗を振ったり(注1)、ドイツの高官が公然とオランダ領の一部に対して領有権を主張することは想像できない」としてオランダ駐在の韓国大使の発言を引用し「日本の独島領有権主張で韓日間で起きた状況がこれと類似している」と指摘した。

新聞は「独島は1905年に日本の帝国主義膨張政策による最初の犠牲地である」とし、過去の出来事を否定しようとする日本の動きが日本のイメージを否定的にしていると主張した。(以下省略)

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一方、中央日報(2012.10.1)は、他にもスペインやイギリスなどの見方を次のように伝えました。

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ヨーロッパのマスコミ、過去の事を反省せずに「独島領有権」を主張する日本を批判

(途中省略)

スペインのエル・ムンドは25日、韓国の実効支配下にある独島に対して日本が領有権を主張するのは膨張主義の欲求に起因するものであると説明した。エル・ムンドは16〜17世紀の文書にも独島が韓国領である証拠が明示されていると付け加えた(注2)。

・・・
イギリスのフィナンシャル・タイムズ(FT)も日本は「ドイツと違って周辺国と和解できずにいる」と12日に指摘した。

FTは韓国・中国などアジア諸国と良好でない関係にある日本は「アジアでリーダーシップを発揮できず、徹底的な商業主義的態度で一貫し、過去の事に対して良心の呵責を感じないでいる」と強く批判した。

FTは「日本が周辺国と和解して心を開いてこそ、アジア太平洋地域の平和と繁栄が可能になる」と指摘した。(以下省略)

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最近、安倍晋三 自民党総裁や橋下徹 大阪市長などが戦時中に「慰安婦」を強制連行した証拠はなかったとして河野談話を見直すよう声高に叫んでいるので、私も河野談話を見直しました。その談話には



「慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。

慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった」



と書かれており、どこにも「慰安婦」を強制連行したなどとは書かれていませんでした。それにもかかわらず、河野談話すら否定するかのような政治家の発言は疑問です。

強制連行でいえば、白馬事件(注3)などで強制連行があったことは国際的に証明されているのですが、オランダ人に対してすら強制連行するくらいですから、日本軍が蔑んでいたアジア人に対して日本軍が強制連行をしなかったとは、私にはとうてい考えられません。アジア人に対する強制連行に関しては、白馬事件のような国際裁判が開かれなかったので、公式記録が残らなかっただけではないでしょうか。

それをいいことに、韓国やフィリッピン、インドネシアなどで被害者がいくら証言しようとも、それには耳を貸さずに強制連行の証拠がなかったと強弁し、過去の歴史に向き合おうとしない日本人政治家の姿をヨーロッパのマスコミはよく見ているようです。

アメリカでは、「ヒラリー・クリントン国務長官が最近、米国のあらゆる文書・声明で、日本語の“慰安婦”(comfort women)をそのまま翻訳した単語を使ってはならないと指示した」とか、「日本軍の慰安婦ではなく「強制的な性的奴隷(eonforced sex slaves)」という表現を使うべきだと指示」し、日本にきびしい姿勢をとっているようです(注4)。

こうした世界各国の批判は、日本ではほとんど知られていないようです。戦後65年を経てもなお各国から日本の戦後処理が問われ、それが折にふれ爆発的な行動になって日本に襲いかかってきますが、これは日本の戦後処理がドイツとの対比において際だちすぎるからではないでしょうか。

日本企業の中には中国からの撤退を真剣に考えているところが続出しているようですが、「ジャパン アズ No.1」と自信にあふれた経済大国の地位が少しずつ衰えるとともに、今まで目立たなかった戦後処理問題や歴史認識問題、領土問題などアキレス腱の弱さが日本の障害になりつつあり、いかに克復するかが問われているようです。



(注1)オリンピック競技中に旧日本帝国海軍の旭日旗をあしらったスポーツウェアーを着用したことを指す。

(注2)日本の資料では鳥取藩『竹島之書付』、隠州『元禄九丙子年 朝鮮舟着岸一巻之覚書』など、朝鮮の資料では官撰書『東国文献備考』、『粛宗実録』などがある。

(注3)半月城通信、「「従軍慰安婦」(5)、白馬事件」

http://www.han.org/a/half-moon/hm011.html#No.108

半月城通信、白馬事件(2)

http://www.han.org/a/half-moon/hm016.html#No.142

(注4)朝鮮日報、2012/07/11。



(半月城通信)http://www.han.org/a/half-moon/

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太田光征
posted by 風の人 at 09:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般
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