2012年07月19日

個人の努力で「被曝によって生じたリスクを埋め合わせて、まだおつりがくる」?

7月17日に私はこのようなツイートを発信しました。

Twitter / mitsu_ohta: スタンフォード大の報告書。福島原発事故によるがん過剰 ...
https://twitter.com/mitsu_ohta/status/225399251809738754
スタンフォード大の報告書。福島原発事故によるがん過剰死は1300人、非致死性のがん患者は2500人と推計。http://bit.ly/NG6M4n (via @nirsnet)

ある方から7月19日、私が所属するMLに転送の形で下記ブログ記事が送られてきました。

スタンフォード大が福島原発事故による死者は1300と発表? | 市民社会フォーラム
http://civilesociety.jugem.jp/?eid=16260

私が紹介した数字が上限であり、下限を示しておらず正確でない、ということが指摘されています。この点は問題ありません。

ただし、以下の書き方が私には非常に気にかかります。

「約100万人に対して130人なら、0.013%。100万人というのもざっとした数字なので、まあ致死性の癌にかかるのは0.01%程度ということでしょう。つまり、日本で癌にかかって死亡する率をざっと約30%とすると、福島原発事故はこの率を30.01%に引き上げることになります。でも、毎年の変動は0.01%よりもっと大きいので、この程度の差は統計誤差の中に埋もれてしまって見えないだろうというのです。」

「癌にかかる要因としては、喫煙とか不摂生とかストレスの方がよほど危険性が高い。ということは、たばこを控えるとか、規則正しい生活をする、偏食を改めるといった日常的な取り組みに加え、定期的に健康診断を受ければ、被曝によって生じたリスクを埋め合わせて、まだおつりがくるということになります。やたらと危険を過大視してストレスを与えないことも、大切です。」

「原発事故による被曝被害がこの程度ですんだ幸運を、不幸中の幸いだったと私は思います。ただし、このことは、原発が安全であることを意味しません。」

公企業が1人だけでも殺人を起こせば、それだけで一大社会問題です。がんによる死亡率の変化が30%から30.01%になろうが何になろうが、増加分がゼロではないことに本質的な意味があります。がんの自然発症と比べることがそもそも間違い。

個人による努力で「被曝によって生じたリスクを埋め合わせて、まだおつりがくる」などという保証はなく(典型的には乳幼児の死亡など)、企業による犯罪が帳消しになるわけではありません。

「原発事故による被曝被害がこの程度ですんだ」わけではありません。スタンフォード大の推計はあくまで推計、しかもがんだけの推計です。

「日本で癌にかかって死亡する率をざっと約30%」とする場合、その原因には既に原発の通常稼働による被ばくが寄与しているはずです。この点も見逃しているようです。

太田光征
posted by 風の人 at 20:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般
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