2012年06月18日

福井県知事 西川一誠様:使用済み核燃料を増やし、他都道府県に引き受けさせる大飯原発の再稼働は貴県と国だけで決定できない

福井県知事 西川一誠様
福井県原子力安全対策課御中

西川一誠知事は「(原子力)発電は引き受けたが、使用済み燃料までは引き受けられない」と発言されています。こうした方針は大飯原発の再稼働をめぐる論議との関係でも大問題です。

時事ドットコム:大飯再稼働、最終決定=原発事故後初、来月4日にも発電−福井知事、政府に同意表明
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012061600137

福井県以外の都道府県は貴県の原発から出た使用済み核燃料の受け入れについて同意していません。そしてそもそも、「自治体」が受け入れ権限を持つのでしょうか。原発を拒否し、冷暖房機器などを使用せず、できるだけ電気を消費しない生活を続けてきたような者にまで一律に核のゴミ、加えて今であれば東電原発事故の尻拭いを押し付ける権限が誰にあるでしょうか。

報道によれば大飯原発3、4号機の使用済み核燃料は今年3月末の時点で、保管容量の72%に達しています。どうする計画なのでしょう。再稼働だけ「地元」と国で決定すればいいというような状況ではありません。核のゴミ問題を含む原発の問題では全国が地元なのです。

大飯再稼働:「核のゴミ」問題先送り− 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20120617k0000e010117000c.html

大飯原発の再稼働を行い、従って使用済み燃料をさらに増やし、他県に引き受けさせる、ということを貴県と国だけで決定する権限はありません。

原発の稼働は間違っていたことを認め、大飯原発の再稼働の容認を撤回し、もう使用済み燃料を増やさないことを宣言して初めて、核のゴミ問題を日本全体で解決するための端緒に付くことができるでしょう。

日本は産炭地特措法などで石炭から石油へのエネルギーシフトを乗り切りました。脱原発も可能なはずです。

ドイツのルブミンは原発を閉鎖した後、風力発電設備企業などが進出して、寂れた町が少しずつ立ち直っていったということがNHKで紹介されています。同じくドイツでは太陽光発電の分野だけで10万人以上のグリーンジョブを創出していることを共同通信が伝えています。*

もしも貴県が原発閉鎖を決定されるなら、いま受け取っている原発立地交付金をいわばエネルギーシフト交付金として継続することに多くの国民が賛同するものと思います。

西川知事は「主な電力消費地である関西の生活と産業に資するため、同意する決意を伝えたい」として大飯原発の再稼働を決定されました。

大飯原発:福井知事の同意受け、政府が再稼働決定− 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20120616k0000e010136000c.html

しかし、立命館大学の大島堅一教授が立証しているように、原発の発電コストは立地交付金を含めれば1kwh当たり12円と火力の10円より高いわけですから、原発を止めることでこそ関西の生活と産業に資することができます。火力発電の主力である液化天然ガスは韓国並みの価格、つまり現在の日本の約2分の1で輸入すれば、燃料の焚き増しが仮に2倍になったとしても電気料金は変わりません。*

日本からはとっくの昔に電気を食うアルミ精錬業は海外に逃げています。世界一高い電気料金のためです。東電・関電などの一般電気事業者にはお役御免してもらい、PPS(特定規模電気事業者)など、それらより安い料金で電気を販売できる企業に取って代わってもらった方が、関西、日本のためになります。*

日本の法律による放射線管理区域、すなわちチェルノブイリ事故後の強制移住区域に等しい土地に原発被災者を監禁している日本。原発被災者の安全を守れないで「国民生活を守るため」と称して大飯原発の再稼働を決定する野田首相。

私は日本が世界からどう思われているのかを考えると、非常に恥ずかしい思いを抱かざるを得ません。

多くの人々に喜ばれるエネルギーシフトという最良の選択肢があるではないですか。大飯原発の再稼働はもってのほかです。

太田光征

* 原発の基礎情報もろもろ
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/221007611.html
posted by 風の人 at 01:00 | Comment(0) | TrackBack(1) | 一般
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