北電は泊原発1、2号機が再稼働できず、苫東厚真火力発電所4号機(70万kW)が5月から定期検査に入ると、今夏に供給力が不足すると主張している。
原発ゼロ 道内4月にも 「夏に電力不足」
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001202210006
[参考]
泊原発を止めても電力が不足しない理由...
http://ja-jp.facebook.com/onnatachinohiroba/posts/213095645449375
Shut 泊: 原発はいらない 新聞への疑問
http://shuttomari.blogspot.com/2011/10/blog-post_5221.html
しかし、北電の原発以外の稼働率(2010年9月平均)は26%しかない。原発以外の全設備(2011年3月、北電以外を含む)を75%稼働させれば、北海道で近年の夏の最大需要(北電分は10年8月の506万kW)を賄うことができる。あるいは、2012年2月の供給力600万kW以上をベースにすれば、泊原発3号機の91万kWを差し引いても506万kWはほぼ確保できており、苫東厚真4号機の定検で不足する70万kWは、北本連系設備(損傷は4月中旬に復旧完了の予定)経由で東電から60万kW、自家発電設備から若干を融通してもらえば補える。
太田光征
*
北海道で2010年夏に電力需要が最大となった9月の電力需給を見てみる。
平成22年度北海道電力需給実績(確報)|北海道経済産業局
http://www.hkd.meti.go.jp/hokpk/h22electric/index.htm
【表-1】 総需要電力量(用途別・月別実績)
http://www.hkd.meti.go.jp/hokpk/h22electric/data01.pdf
全需要 3,089,595千kwh
北電需要 2,627,055千kwh
全需要は北電需要の1.17倍
最近では10年8月の506万kWが北電の夏季における最大需要だから、北海道全体(北電以外にも電気を供給している)のピーク時需要は592万kWと推定される。
【表-4】 事業用・自家用発電所の総出力(事業用+自家発1,000kW以上)
http://www.hkd.meti.go.jp/hokpk/h22electric/data04.pdf
全設備(北電以外を含む) 9,995千kw
原発 2,070千kw
原発以外 7,925千kw = 793万kW
原発を止めても、原発以外の全設備(北電以外を含む)を75%(592万kW÷793万kW)稼働させれば、近年の夏の最大需要を賄うことができる。
【表-3】 総発電電力量実績(事業用+自家発1,000kW以上)
http://www.hkd.meti.go.jp/hokpk/h22electric/data03.pdf
原発発電実績 1,516,943千kwh → 24×30で割ると2,106千kw、つまり泊原発全基がフル稼働ということだろう。
北電火力発電実績 809,001千kwh → 24×30で割ると1,123千kw
北電火力設備 4,065千kw
北電火力の稼働率 28%
北電水力発電実績 235,131千kwh → 24×30で割ると327千kw
北電水力設備 1,234千kw
北電水力の稼働率 26%
北電地熱発電実績 8,604千kwh → 24×30で割ると12千kw
地熱設備 50千kw
北電地熱の稼働率 24%
北電の原発以外の設備容量 5,349千kw = 535万kW
北電の原発以外の稼働率(10年9月平均)は平均26%で、平均1,462千kw(146万kW)しか供給していない。
原発を止めても、原発以外の北電設備を95%(506万kW÷535万kW)稼働させれば、近年の夏の最大需要を賄うことができる。
同年8月も各電源の稼働率は似たようなものだが、原発の207万kW、原発以外の(月平均)146万kW以外に、一体どうやってピーク需要506万kWの不足分153万kWを賄ったのか。原発以外の稼働率をピーク時に上げたか、買電したとしか考えられない。
2012年はどうか。2月27日のピーク時供給力は620万kWだから、泊原発3号機の91万kWを差し引くと530万kWで、これは10年末(11年3月)の原発以外の設備容量535万kWに匹敵する。つまり、原発以外の稼働率がほぼ100%か、設備容量(水力?)が追加されたことを意味する。
でんき予報
http://denkiyoho.hepco.co.jp/forecast.html
主な火力・原子力発電所の停止状況について(2月27日)
http://www.hepco.co.jp/forecast/information/index.html
泊発電所1号機(57.9万kW):定期検査中(2011年4月22日〜未定)
泊発電所2号機(57.9万kW):定期検査中(2011年8月26日〜未定)
奈井江発電所2号機(17.5万kW):定期検査中(2012年2月25日〜2012年5月19日)
北本連系設備の損傷で設備容量60万kWが半減していたが、4月中旬に復旧工事が完了する見込みだという。これで、今夏に約5700万kwの供給力(昨夏の最大需要は4936万kw、2003年9月11日に全原発を停止しても5736万kwの供給力)を確保できる東電から融通してもらうことが物理的に可能となる。
さらに、「(泊3号機・苫東厚真4号機が停止した状態で)32万kWが捻出できないか、自家発電設備を持つ企業からの買電増加も含めて検討している」(北電広報部、上記「女たちの広場フェイスブック」)というから、東電から60万kW、自家発電設備から10万kWを融通してもらえば、苫東厚真4号機(70万kW)の定検による減少分をカバーできる。
北電が言う32万kWはあくまで泊3号機・苫東厚真4号機が停止した場合の不足分のことであって、買電容量の上限ではないだろうから、買電量を上積みすれば十分な供給余力を確保できると思われる。
自家発電発電実績(2010年8月) 808,242千kw → 24×30で割ると1,086千kw
自家発電設備 2,360千kw
自家発電の平均稼働率 46%
北電総発電実績(2010年8月) 2,750,537千kwh → 24×31で割ると3,670千kw
北電ピーク時需要 506万kW
ピーク時需要は平均需要の1.38倍
自家発電分の需要ピーク時の推定稼働率は46%×1.38 = 64%
この推定ピーク時稼働状態から16% = 38kwを北電に融通しても、自家発電の稼働率は80%にしかならない。
2012年02月27日
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