2012年02月19日

チェルノブイリ事故被害の隠ぺいカスケード

チェルノブイリ事故被害の隠ぺいは首尾一貫していて、依拠する既報すら無視し、後に出てくる報告ほど見事なまでにリスク数値が低くなり、首相官邸サイト「チェルノブイリ事故との比較」(長瀧重信・長崎大学名誉教授、佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事)の小児甲状腺がん以外にがん過剰死なしに行き着きます。

・首相官邸「チェルノブイリ事故との比較」(2011年):事故処理労働者28人死亡、小児甲状腺がん6000人罹患(うち15人死亡)以外に放射線被害なし。
・チェルノブイリ・フォーラム(2005年9月):過剰死4,000人(生涯)。
・WHO(2005年7月):がんと白血病による過剰死8,930人(95年間)。
・Cardisら(1996年):がんと白血病による過剰死9,785〜22,160人(70年間)。

官邸サイト以外の事例はPflugbeilが2005年に指摘し、IPPNWドイツ支部の2011年報告書に再掲されているもので、Peace Philosophy Centreが2011年4月に「チェルノブイリ事故との比較」とともに紹介しています。既に読まれた方も多いかと思いますが、この隠ぺい部分を整理してお知らせします。インチキ組織の報告によらない実際の被害については、Peace Philosophy Centreの記事を見てください。

ドイツ放射線防護協会のS. Pflugbeilによる2005年チェルノブイリ・フォーラム会合に対するコメント
Chernobyl – Looking back to go forwards:the September 2005 IAEA Conference
http://www.strahlentelex.de/Pflugbeil_Chernobyl-Commentary_FMCS2006.pdf
下の2005年WHO報告書とそれが依拠するCardis論文のデータを比較。チェルノブイリ・フォーラムの2005年ウィーン会合プレスリリースで2005年WHO報告書のデータ8,930人ではなく4,000人を採用した事実を説明。

IPPNW(核戦争防止国際医師会議)ドイツ支部によるチェルノブイリ原発事故25年目の研究調査報告書(2011年4月8日)
http://www.chernobylcongress.org/fileadmin/user_upload/pdfs/chernob_report_2011_en_web.pdf
HTML版
Health Effects of Chernobyl, 25 years after the reactor catastrophe, IPPNW & Society for Radiation Protection, April 2011
http://www.ratical.org/radiation/Chernobyl/HEofC25yrsAC.html#ES

2011年IPPNW報告書の抜粋訳と追加情報
Peace Philosophy Centre: IPPNW「チェルノブイリ健康被害」新報告と、首相官邸資料「チェルノブイリ事故との比較」との驚くべき相違
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/blog-post_17.html

首相官邸サイト「チェルノブイリ事故との比較」(平成23年4月15日、後日更新、下のWHO「チェルノブイリ事故の健康影響」などに依拠)
http://www.kantei.go.jp/saigai/senmonka_g3.html 
チェルノブイリ事故の放射線被害は、(急性)放射線障害で死亡した事故処理労働者28人、小児甲状腺がんの罹患者6000人(うち15人死亡)以外になし。

チェルノブイリ・フォーラム(国際原子力機関=IAEAと世界保健機関=WHOなどが組織)の枠組みでWHOがまとめたチェルノブイリ事故の健康影響(2006年4月)
WHO | Health effects of the Chernobyl accident: an overview
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs303/en/index.html
ベラルーシ、ロシア、ウクライナで事故時18歳以下の子どもの間で甲状腺がん5,000症例が診断された。(汚染区分4地域の)高汚染3地域における生涯のがん過剰死は最大4,000人。ロシアにおける大規模な調査により、被ばく量が高い人で心疾患による過剰死リスクの増大が示唆される。この知見は、長期フォローアップ研究の必要があるが、心臓に高線量を当てる放射線治療を受けた患者を対象とする研究の結果と一致している。

チェルノブイリ・フォーラムの2005年ウィーン会合(下の2005年WHO報告書などに依拠)
Chernobyl - Looking Back to Go Forwards
http://www-ns.iaea.org/meetings/rw-summaries/chernobyl-conference-2005.asp
http://www-ns.iaea.org/downloads/rw/conferences/chernobyl/chernobyl-conf-conclusions-eng.pdf
1992〜2003年の間に甲状腺がん4,000症例が診断された。高線量を受けた60万人の中で過剰死は過去と将来を合わせて約4,000人。

2005年WHO報告書:チェルノブイリ事故が原因のがんと白血病による死亡数は95年間で8,930人(下のCardis論文など引用)
World Health Organization. Health effects of the Chernobyl accident and special health care programmes. Report of the UN Chernobyl Forum, Expert Group ‘Health’ (GH).Working Draft, 2005 July 26.

国際がん研究機関のCardisら:チェルノブイリ事故が原因のがんと白血病による死亡数は70年間で9,785〜22,160人
Cardis E, Anspaugh L, Ivanov VK, et al. Estimated long term health effects of the Chernobyl accident. In: One decade after Chernobyl. Summing up the consequences of the accident. Proceedings of an International Conference, STI/PUB/1001. Vienna:International Atomic Energy Agency, 1996; p 241–79.

太田光征
http://otasa.net/
posted by 風の人 at 01:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 放射線による健康被害
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