2011年07月12日

低線量被ばくと知能・精神機能低下

原爆症集団認定訴訟で低線量内部被ばくの影響を大阪高裁が認めた際の根拠の1つにした文献が、ジェイ・M・グールドらの『死にいたる虚構』(肥田舜太郎ら訳)です。その第11章「まだ遅すぎはしない」では放射性物質によると思われる知能・精神機能低下について触れられています。以下は要旨です。

米国では1960年代半ばからSAT(「大学進学適正試験」と思われるが、同書では「標準学力テスト」と翻訳)スコアが低下し、1975年には10点も落ちた。

1975年から18を引くと1957年だが、この年はネバダで最大規模の核実験が行なわれ、最大の放射性フォールアウトが降り注いだ。

アーネスト・スターングラスは1979年に、ネバダ核実験場に近いユタ州で最大のスコア低下が起こっていることを確認。同州は(モルモン教徒の大集団が住んでいたため)伝統的にSATの成績が非常に高かったにもかかわらず。

スターンングラスは9月に米心理学会でこの事実を発表し、同時に1963年の大気圏核実験中止から18年後の1981年にSAT成績が好転し始めると予測。実際、そうなった。

一方、シャーロット・シルバーマンは1980年に、白癬に対する放射線治療を受けた子どもが何年も後になって重大な精神機能低下を来たした、と報告している。


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太田光征
http://otasa.net/
posted by 風の人 at 03:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般
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