2011年04月22日

子どもの放射線基準値はドイツの原発作業員の最大,線量に等しい

転載します。

太田光征
http://otasa.net/

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札幌の本田宏です。複数のMLに同時投稿しますので、MLによっては一部刺激的な表現と受けとめられる方もいると思いますが、ご容赦ください。転送自由です。
以下はシュピーゲル・オンラインの記事の抄訳です。シュピーゲルはヨーロッパで最大の部数を誇る雑誌の一つであると同時に、ドイツではメディア全体のオピニオン・リーダーとしての権威を持っていますが、最新のニュースはオンライン版が常時提供しています。ドイツでは原子力が重要な政治課題であるため、福島原発に関する報道は多く、的確です。
http://www.spiegel.de/wissenschaft/mensch/0,1518,758410,00.html

蛇足ながら補足しておくと、子どもの許容線量を低く設定すべきなのは、成長期なので細胞分裂が活発なため、放射線にさらされた場合の遺伝子の自己修復が間に合わないうちに、損傷した遺伝子が増殖する恐れがあるためです。また、子どもは大人より背が低く、遊ぶときにアルファ線やベータ線などの放射能を帯びた土埃を吸い込む可能性が高くなりますが、肺に一度入った放射性物質は排出が困難なため、微量でも常時放射線を出し続けるため、やはり遺伝子の自己修復を超える被曝をもたらす危険性があります。さらに、日本の放射線被曝の基準値は、単に放射線が体を突き抜けていく外部被曝のみを想定して設定されているという批判もあります。

「日本が子どもの放射線基準値を緩和 福島原発災害」シュピーゲル・オンライン2001年4月21日、10時53分
 東京の関係当局が議論の余地ある措置を決定した。日本では今後、子どもに対してドイツの原発作業員と同じ水準の放射線基準値が適用されることになる。シュピーゲルが得た情報によると、日本の文部科学省は最大被曝線量を引き上げる。
専門家は当惑した反応を見せている。
 東京―福島原発災害で生じた結果に対処する中で、日本の文部科学省は思い切った措置を打ち出した。学校や幼稚園で子どもたちに適用される放射線の最大許容線量を毎時3.8マイクロシーベルトに設定したのである。シュピーゲルが得た情報によると、この値は、子どもが一日当たり8時間野外にいると仮定して、年に換算すると約20ミリシーベルトに相当するが、これはドイツの原発作業員の最大線量に等しい。
 「これでは多すぎる」と、独立の専門家として環境保護団体グリーンピースのために活動しているショーン・バーニーは言う。「子どもは大人よりもはるかに放射線に対する感受性が強いのです」。オットー・ホーグ放射線研究所のエドムンド・レングフェルダーは憤る。「これはガンの発症率の増加を意識的に受忍することになる。限界値の設定によって政府は法律的な責任を免れることになるが、道義的責任は免れない」。
 年20ミリシーベルトという値は国際放射線防護委員会が原発事故に際して勧告している裁量値の下方に位置づけられるものの、日本政府がとる措置との関係で実際に問題となったのは初めてだ、とミュンヘンのヘルムホルツ・センターの放射線研究所長、ペーター・ヤーコプは言う。「放射線に対する子どもの高い感受性を考えると、20ミリシーベルトの値はできるだけ避けるべきだ」。
 多くの日本の親たちは危険区域における4月6日の学校再開に抗議している。グリーンピースは今、限界値に反対する地元の市民団体や環境団体を支援している。(以下略)
posted by 風の人 at 02:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般
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