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昨日、みんたるで福島原発事故に関する斉藤武一さんの講演がありました。
斉藤さんに問題点をまとめて文章にしていただきましたので、下記に掲載します。この文章は英訳して、世界に発信する予定です。
泉
2011年3月16日
日本の悲劇 −東北巨大地震と福島原発
〜本当のことを何も知らされない日本人〜
北海道岩内原発研究会代表 斉藤武一
はじめに
太平洋沿岸に並んでいる10基の福島原発が次々と深刻な状態になっている。どんなことが起きているのか、日本人は何も知らされていない。さらに、これから起きる本当の悲劇のことも何も知らされていない。今もなお、電力会社と政府と原子力工学の専門家とマスコミは、本当のことを国民に欠くし、国民をだまし続けている。
1. 福島原発の弱点
原発には。加圧型(PWR)と沸騰水型(BWR)があるが、福島原発はBWRタイプである。BWRの弱点は二つある。 一つは、ブレーキに当たる制御棒が圧力容器の下から挿入されるという点にある。制御棒は、竹やりのような形で圧力容器の下にぶら下がっている。制御棒は水圧で押し上げるが、ぶら下がっているため、地震で揺れた時は、制御棒が入りずらいという弱点がある。今回の地震では、「幸運にも」制御棒が入り、原子炉が停止したということを日本人は知らされていない。
そして、二つ目の弱点は、圧力容器内の水を循環される循環ポンプにある。BWRは、構造上、循環ポンプが圧力容器の外にぶらさがっている形になっている。そのため地震の震動に対して非常に脆い。循環ポンプは、燃料棒を冷却する重要な役目があり、今回、原子炉が停止した後、崩壊熱を出し続ける燃料棒を冷却ができなくなった理由は、循環ポンプの弱点のあることを、国民は知らされていない。
2. 非常用発電機が津波で流されていた
原発では、通常は内部電力といい原発自身が作った電気を使って運転されている。地震で原子炉が停止すると、最初に内部電力がなくなる。 すると、外部電力といい送電線から電力が供給されることになっている。しかし、地震で外部電力もこなかった。
その時は、非常用ディーゼル発電機が作動することになっているが、大津波で発電機のある施設をすべて押し流していた。しかし、電力会社は、津波で発電機が不能になったという程度で、施設そのものが流されていたという重大な事実を隠していた。やがてバッテリーもきれ、福島原発は、電気がなくなり、完全に不能となり、電源喪失に陥る。 そして、電源喪失という重大事故は、福島原発の第一原発の2号機で、巨大地震の9か月前の2010年6月17日にも起きていた。その反省もないまま放置していた。
3. なぜ放射性物質が大量に放出されたのか
原発で、どのような燃料を使っているのか何も知らされていない。 まず、ウラン燃料であるが、現在は4.8%という濃度が高いものをつかっている。高燃焼度燃料というものである。濃度が高いということは、核分裂によって生まれる死の灰の放射性が高まる。さらに、燃えた後の使用済み燃料は、濃度の低い燃料より多くの崩壊熱を出し続ける。そして、福島原発第一原発3号機 (Iの3号)では、高い濃度のウラン燃料に加え、プレトニウム燃料も使っている。プレトニウムは、ウランよりも激しく燃えるため、死の灰の放射能レベルは高く、燃やした後の使用済み核燃料の崩壊熱も高い。つまり、冷却することができなくなり、燃料棒が推移面から露出して、水素が発生し、格納容器が爆発したとき、大量の放射性物質が放出されたのは、燃料に大量の死の灰が入っていたからである。福島Iの3号機のしゅうへんで400ミリシーベルト(mSv)というとても高いレベルになったのは、濃度の高いウラン燃料とプレトニウムによるものである。このことも、日本人には何もしらされていない。プレトニウムから生まれる死の灰の恐ろしさが隠されている。
4. 使用済み核燃料が爆発した
福島第一原発4号機のプールに保管してある使用済み核燃料から水素が発生し爆発した。なぜ爆発したのか、これも本当のことが隠されている。にほんでは、原発が出るゴミである使用済み核燃料が大量に出てきて、その保管に困り果てている。そのため、プールには、昔に比べてぎっしりと原発のゴミが詰め込まれていた。つまり、使用済み燃料全体から出る崩壊熱は、以前に比べて多くなる。電源喪失により、プールの水を循環できなくなり、冷却できなくなり、プールの水がすこしずつ蒸発し、使用済み核燃料が水面から露出し、崩壊熱により水素が発生し爆発した。つまり、原発のゴミの処理に困り果て、プールに異常に詰め込んだことが被害を大きくしたことになる。このことも何も知らされていない。
5.外部被ばくと内部被ばくの違い
何度も水素爆発が起き、死の灰が福島地方に降り注ぎ、さらに首都東京にも少しずつ届いている。しかし、原子力の専門家も政府もテレビも、健康に心配ないと繰り返している。その際、レントゲン撮影に比べたら低い値だと強調し、国民をだまし続けている。外から放射線を受けるのを外部被ばくというが、レントゲン撮影は外部被爆のことである。 健康に心配なのは、外部被ばくよりも、放射性物質を吸い込み体の中から被ばくする内部被ばくのほうである。政府も専門家も、わざと外部被ばくと内部被ばくを同等に扱い、健康に心配ないと国民をだまし続けている。
6. 内部被ばくの恐ろしさ
外部被ばくは、瞬間の被ばくである。放射線の量が多ければ、それに比例して癌になるリスクが高まる。しかし、内部被ばくの場合は、体の中にある放射性物質が、じわじわと長期間にわたって放射線を出す。そのため放射線によって周りの細胞は破壊される。具体的には、免疫細胞が破壊され、遺伝子が傷つくことになる。そのため、放射線の量がごくごく微量でも、健康に被害が出る。内部被ばくの場合は、10年後、20年後に癌にかかるということになる。内部被ばくの恐ろしさは、目にみえないごくごく小さなほこりを吸い込み、被ばくしたとはしらないうちに癌にかかるリスクが高まっていくということにある。 政府や専門家やマスコミは、この内部被ばくの恐ろしさを、まったく国民に知らせていない。
終わりに 日本の悲劇から世界の悲劇へ
本当のことを何も知らされないまま、おおくのにほんじんが放射性物質にさらされています。このままだと日本の子供たちは危ないです。内部被ばくした子供たちの遺伝子は傷つき、傷ついた遺伝子は10年後、20年後、子供たちの体に襲いかかってくるのです。 悲劇は始まったばかりなのです。悲劇が始まっているのに、その悲劇を日本人は知らされていません。日本人が日本人を救えないのです。日本人の多くが、政府に悲劇を訴えかけております。しかし、なかなか日本政府は本当のことを言いません。福島原発の悲劇は、すでに全世界の悲劇へと発展しています。全世界の人たちに心より訴えかけます。全世界で原発を一刻も早く停止するようにこころより訴えかけます。
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