太田光征
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<私たちはファシズムの渦中にいる―ガザ空爆2周年にさいして>
歴史を反省しないことの奥行きは深いものですが、イスラエルの横暴は歯止めなく進行しているようです。分離壁はほぼ完成し農地・家屋の破壊がつづき入植地は拡大の一途をたどっています。わずかな情報からもイスラエルの分断・隔離・略奪政策が根づいてきているのがわかります。
1948年のあからさまな武力侵略と略奪を隠蔽許容した「イスラエル建国」、1967年の占領を温存したオスロ合意、さらにその矛盾を温存してきたカルテットのロードマップ、米国主導の「仲介」など「和平」をもてあそぶ政治ゲームの裏で苦境に追い込まれ呻吟しているのは800万人のパレスチナ人です。
1973年の国連総会で「イスラエルは人種差別国家」であると指弾されて37年経ちましたが、依然「ユダヤ国家」にしがみつくイスラエルのレイシズムは、いまや兵士・市民の一挙手一投足にまで及んで軍国主義体制の血脈になっています。シオニズムがファシズムと結びつき、「イスラエル・ファシズム」「ユダヤ・ファシズム」「イスラエル・ナチズム」「ユダヤ・ナチ」「シオ・ナチ」の言葉さえ叫ばれるようになってきました。
こうしたイスラエルの公然とした略奪政策を容認し支えてきたのは、やはり歴史を反省しようとしない米欧日のたえず世界支配をたくらむ資本主義諸国家です。イスラエルがその横暴を許されているのは、たんに700万イスラエル国民の圧倒的多数ががそれを支持しているからだけでなく、またアメリカのAIPACはじめイスラエルロビーやキリスト教ファンダメンタリズムの盲目な狂信市民が支えているだけでなく、米欧日の圧倒的市民と政府が国家の進路と重ね合わせてイスラエルを支持支援しているからです。パレスチナ人の苦境を放置し見殺しにしているのは、まさに私たち自身です。
イスラエルの侵略主義は、つねに「相手が悪いから、先にやる」という戦法でした。リビアであろうとレバノンであろうとシリアやイランであろうと、先制攻撃が許容されてきました。加えて「悪い相手」は「そら見ろ、互いに抗争する」といって敵の内部分裂抗争を企ては支配し続けるという欧米植民地主義の侵略手法を常套としてきました。アメリカとEU、日本が、かつてベトナムで、いまイラクやアフガニスタンの侵略で実行しているように。
この同じ手法が、いま東アジアで実行されつつあります。「北朝鮮が悪いから、先にやってもいい」「悪い奴のためには、威嚇訓練をしてもいい」「威嚇発砲して撃ち返してきたら、(やっぱり)相手が悪い」という論理が横行しています。パレスチナで「石を投げた子どもが悪い」といって、10歳足らずの子どもを逮捕したり狙撃したり家を破壊したりする論理と、まったく同じです。
イスラエルは「ユダヤ国家」忠誠法を可決承認しましたが、長いあいだ「日本国民」への忠誠を日々誓わされてきたアイヌや在日朝鮮人、琉球人をかかえるわが国にとっても他人事ではありません。この国家への「忠誠法」は、アメリカでもヨーロッパでも日本でも浸潤しています。
私たちは、その出自がとてつもなく怪しい9・11以降イスラームを敵とする「反テロ戦争」のもとに置かれていますが、パレスチナ問題を原動力とした世界全体のファシズム化の渦中にいるのが現在かもしれません。ここ東アジアにおいても、一国主義に囚われずパレスチナ、イスラームを視野に入れた対抗する「大きな物語」を紡がなければならないと思います。
こうしたイスラエル・ファシズムに警鐘を鳴らし続けているハーレド・アマイレイのリポート3編をお届けします。パレスチナの現状からみたイスラエルの実体を参考に、日本と東アジアの将来を考えていただければ幸いです。ハーレド・アマイレイは、1957年ヘブロンで生まれアメリカの大学で教育を受けて、現在ヘブロンの南西10キロのドゥーラ(Dura)で暮らしているパレスチナ人ジャーナリストです。(出典は、INTIFADA PALESTINE)以下3篇を断続的にお届けします。
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パレスチナ連帯・札幌 代表 松元保昭
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