2010年11月24日

延坪島に対する北朝鮮砲撃、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件:在韓米軍と在日米軍、抑止力にならず

延坪島に対する北朝鮮砲撃、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件:
在韓米軍と在日米軍、抑止力にならず
http://otasa.net/kaiheitai.html#6

毎日新聞が11月23日21時20分の配信で韓国政府の情報として伝えたところによると、同日午後2時半(日本時間同)ごろ「韓国が黄海上の南北軍事境界線と定める北方限界線(NLL)に近い韓国領・延坪島(ヨンピョンド)」に対して北朝鮮側から砲弾が撃ち込まれ、死傷者が発生しました。まずは亡くなった方々に哀悼の意を表し、被害者にお見舞いを申し上げます。

今回の戦闘は日本にとっても他人事ではありません。尖閣諸島沖で中国漁船が海保巡視船に衝突した事件をきっかけに、先島諸島に自衛隊を配備すべきだという意見が出ていることから、日本も領土・領海がらみの軍事紛争に関る可能性があることを懸念しなければなりません。

産経新聞電子版(11月23日19時5分配信)は今回の戦闘に関して(韓国軍の訓練に対し)「射撃を行えば黙っていない」とする北朝鮮側の通知文のみしか報じていませんが、毎日新聞の同報道では北朝鮮側の見解をさらに詳しく紹介しています。

それによると、北朝鮮の朝鮮人民軍最高司令部は23日に「南朝鮮(韓国)軍が同日午後1時(日本時間同)から、延坪島一帯の北側海域に数十発の砲弾を放ち、北側がこれに対応する軍事的措置を講じた」「今回の(韓国の)軍事的挑発は、いわば『漁船探索』を口実に、わが領海を頻繁に侵犯し、(韓国が黄海の南北軍事境界線と規定する)北方限界線を固守しようとする悪辣な企図の延長」との声明を発表しています。

延坪島周辺での砲撃戦は今回だけでなく1999年と2002年にも起こっており、原因の一端は韓国・北朝鮮が軍事境界線、領海の範囲で合意していないことにあると考えられます。北朝鮮は99年にNLLの無効を宣言し、延坪島周辺を北朝鮮領海と主張しています。主張の正当性はどうであれ、今回の戦闘は領海紛争の面を帯びています。

同時に今回の砲撃戦では在韓米軍が抑止力として機能していないことが特徴で、尖閣諸島沖における中国漁船の衝突事件で在日米軍、在沖海兵隊が抑止力になっていないのと同様です。

以上は、Yahoo!ニュースに配信された下記記事を基にしていますが、同記事は24日午前2時10分現在、削除されています。

<北朝鮮砲撃>韓国で兵士2人死亡、民間人含む19人重軽傷毎日新聞 11月23日(火)21時20分配信

キーワード「<北朝鮮砲撃>韓国で兵士2人死亡、民間人含む19人重軽傷」のGoogle検索では、毎日新聞ドメインの記事として同タイトルが表示されますが、リンク先は下記となっています。

北朝鮮砲撃:100発着弾で兵士2人死亡 韓国側も応戦 - 毎日jp(毎日新聞)

今回の砲撃は領土・領海問題で軍事緊張を高めることの問題をよく示しています。先島諸島への自衛隊配備は慎重に考えなければなりません。

太田光征
http://otasa.net/
posted by 風の人 at 20:10 | Comment(0) | TrackBack(1) | 一般
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北朝鮮、韓国領に砲撃
Excerpt: 日本から一番近い国だが、こういう事態が発生してみると、やはり相当違う国なんだな、と実感する。 23日午後、北朝鮮側から韓国領の延坪島に砲撃があった。これに韓国側も応戦し、砲撃戦となった。韓国側の..
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