2010年09月17日

政治と社会進歩の弁証法

 政権交代したことは、戦後続いた自民党政権の実態が国民生活の統治と乖離を起こ
していたことの当然の帰結でした。

 にもかかわらず、その克服をめざした鳩山−小沢体制の民主党政権は、その克服に
意欲も展望ももっていましたが、立ちはだかるアメリカ政府・巨大資本・従属的日本
資本などの巧妙な仕掛けと妨害によって、ついには立ちゆかぬ情勢に追い込まれまし
た。

 もともと右翼社会民主主義の社会民主連合出身の菅直人は、民主党がたちつくした
情勢で、いままでの市民運動家としての周囲の期待を裏切るかたちで、新自由主義に
たつ政治家達に屈するかたちで、政治的野望を燃やす長期政権保持のために、次々に
もともとの自民党公明党政権の基本政策に回帰して行政を執行しばめました。

 今回の民主党代表選は、政権交代の原点にたつ小沢一郎と小泉「改革」路線を継承
するはめになった菅直人との対決でした。
 国会議員では、200−206人のわずかな差。地方議員では40−60票の差。
大きな差が開いたとされる党員・サポーター票も、「総取り方式」というからくりに
よって大差のように見えますが、党員・サポーターの総数そのものは、40パーセン
ト対60パーセントの差でしかありません。いかに国民の民意をゆがめる仕掛けがあ
ちこちで痔雷のようにはりめぐらされていることでしょうか。

 しかし、なにはともあれ、菅直人政権はスタートしています。内閣の組閣も発表さ
れました。これから菅政権は、自民党・公明党・自民党脱藩新党群との親和性もみせ
ながら、困難な道のりを歩き始めました。小沢一郎グループが自民党と連立をめざす
というマスコミ評もありますが、先はいまはわかりません。

 菅政権と国民との間に矛盾がなく、菅総理が国民の生活困難を解決していけば、菅
政権は国民の幸福を保障する政権となりましょうし、菅政権が国民の生活と幸福を犠
牲にしてアメリカ軍とアメリカ政府に追随することを第一の課題とすれば、菅政権そ
のものが鋭い矛盾に立たされます。

 その時に、菅政権は、大きく危機的な崩壊のうきめを観ることでしょう。
いまその対立軸は、かつて田中角栄のもとに自民党幹事長を四十代で経験した小沢一
郎です。本来ならば、自民党政権時代にその役割を果たしたのは日本共産党と社会党
などでした。その革新統一戦線は、最も効果的な政治的効果をあげました。国土の三
分の一は革新統一戦線の地方自治体となりました。それが国会に及び政権を獲得しよ
うとする勢いを見せたときに、国会では統一戦線崩壊の策略がしかけられました。社
会党は公明党と合意をむすび、共産党は委員長宮本顕治のイメージダウンと反共の大
量宣伝をこうむりました。いまでは共産党そのものが、政治力を大幅に後退させてし
まいました。

 それでも、歴史の弁証法は、まさに革新統一戦線が対抗した自民党幹部の経験をも
つ政治家によって、ある意味では継承されています。否定の否定は止揚であるという
社会弁証法の一部分は生きています。

 今後わがくには、今までの政治形態と異なる新たな視界に入っていくことでしょ
う。民衆の立場にたつという基本点を明確にして、国民の幸福と平和をめざす営み
が、どの政治家どの政治勢力によって担われるか。1960年安保闘争や革新自治体
闘争を継承する営みは、まさに弁証法という論理的法則によって、今後私たちの目前
に顕れてくることと考えます。                   (櫻井 智
志)
posted by 風の人 at 22:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般
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