2010年05月20日

この絶望的なまでに非倫理的行為をする者は誰だ!! 沖縄県議ら徳之島町長に要望

 沖縄県民の風上にもおけないとんでもない沖縄県民の一群がいます。同県選出の国民新党の下地幹郎衆院議員を中心とする沖縄の地域政党「そうぞう」に所属する県議会議員と市議会議員の一群のことを指して私はそういっています。沖縄県民ではない他県人にすぎない私のようなものが上記のような言説を弄するのは実のところ不遜なこと、というべきなのかもしれません。が、私は、米軍普天間基地の県内移設に反対する圧倒的大多数の沖縄県民に深く連帯する意志を持つひとりの日本人(=沖縄現地人)という自覚のもとに上記のことを述べています。

 報道によれば、一昨日の17日、上記の「そうぞう」の県議会議員、市議会議員の面々が鹿児島県・徳之島を「訪問」し(押しかけ)、徳之島町長に普天間基地移設受け入れの協力を求めたといいます。

■沖縄県議ら徳之島町長に要望(NHK 2010年5月17日 19時14分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100517/k10014496091000.html
「沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題で、基地機能の一部の移転先として検討されている鹿児島県徳之島を沖縄県の地域政党に所属する県議会議員などが訪問し、徳之島町長に対して移転受け入れへの協力を求めました。

徳之島を訪れたのは、国民新党の下地幹郎衆議院議員が中心になって発足させた沖縄県の地域政党の『そうぞう』に所属する県議会議員や市議会議員などあわせて8人です。一行は17日午後、徳之島の3人の町長のうち、徳之島町の高岡秀規町長と会談しました。この中で国民新党沖縄県連の呉屋宏代表は、普天間基地の移設問題をめぐって「基地機能の一部だけでも、徳之島に移転ができるようであれば沖縄の負担軽減につながる。徳之島とは同じ南の島で、同じ歴史を持つ部分もあるので負担を共有してほしい」と述べ基地機能の一部の移転受け入れに協力を求めました。」(以下、省略)

 徳之島では先月18日には人口約2万6千人の島で1万5000人が参加するという全島挙げての普天間移設反対大集会が開かれたばかりです。また、今月7日には徳之島の地元3町長が島民の約8割に当たる約2万人分の署名を鳩山首相に直接手渡し、同島への普天間基地移設絶対反対の島民の意志を鳩山政権に明確に伝えたばかりです。この徳之島全島民の8割の意志表明などなかったかのように完全に黙殺して琉球弧(琉球諸島)の同胞といってよいウチナンチューである「そうぞう」所属の議員の手によって上記の徳之島町長に対する「普天間基地移設受け入れの協力」要請が強行されたのです。これが自らがウチナンチューである沖縄県自治体議員のなしうることか! 驚き呆れるばかりの愚劣、愚行というべきであり、大暴挙といわなければなりません。

 沖縄県在住の芥川賞作家の目取真俊さんは鳩山内閣の徳之島移設案について次のような怒りの符応(感応)を示していました。

「『県外移設』先としていくつか挙がった案から『本土』=ヤマトゥの案は除外され、薩摩侵略以前は琉球と深いつながりのあった奄美諸島の徳之島が残った(略)そうやって喚起された歴史意識から基地問題が捉え返されることで、沖縄も徳之島も〈一旦緩急あれば、容赦なく切り離し、政治的「取引の具」に供してかまわないものでしかなかった〉北緯三十度線より南の島であることが再認識される。ただでさえ沖縄への米軍基地集中という差別政策への反発があるなかで、鳩山政権は奄美・沖縄へのヤマトゥの歴史的仕打ちを思い起こさせ、繰り返される差別への反発を強めさせているのだ。(略)鳩山首相は、(略)歴史に関する無知と発想の根底にある奄美・沖縄への差別に無自覚であるが故に、問題をより難しくし、反発の火に油を注ぐ愚を犯している。」(「北緯三十度線」海鳴りの島から 2010年4月5日)。

 目取真さんは続けて次のようにも言表していました。「しかし、これは鳩山首相や政府閣僚だけの問題ではない。琉球・奄美・沖縄がたどってきた歴史と、それが基地問題に関しても影響を与え、人々の意識を重層的に形成していることに、今のヤマトゥの政治家、メディア関係者がどれだけ気づき、考えきれているか」(同上)。目取真さんはむろん「ヤマトゥの政治家、メディア関係者はこの『徳之島』移設問題の包含する『差別の重層性』にまったく気づいていない」、とヤマトゥの人間どもの鈍感さを激しく糾弾しているのです。

 そのヤマトゥ政権の「差別の重層性」の被害者であり、琉球弧に在所する同胞の痛みと悲しみを共有しているはずの「南西諸島守備軍」(戦時中に日本軍部が配下部隊の防衛範囲を定めた区分のひとつ)被統治住民であるところのお前たちまでもがなにゆえにいまヤマトゥの権力者側のあらたな差別政策のお先棒を担ごうとしているのか。お前たちの魂胆はそれほどに浅ましいものなのか。ウチナンチューの息子、娘としてのお前たちの矜持をどうしたのだ―― と、おそらく目取真さんならば鳩山ヤマトゥ政権の琉球列島・沖縄差別政策の提灯持ちをして羞じ入ることを知らないこれらウチナン
チュー議員たちの愚劣、愚行、その幇間根性をも厳しく指弾するところでしょう。

 さて、その沖縄の地域政党「そうぞう」所属の地方議員たちの総大将格らしい同県選出の下地幹郎衆議院議員(国民新党)とはどういう人物なのか? 以下、目取真さんのブログ記事を参照しながら下地なる衆議院議員の軌跡を追うと、この下地氏は沖縄県選出の国会議員としてただひとりキャンプ・シュワブ陸上案や嘉手納基地統合案などの「県内移設」を主張し(自民党の島尻安伊子参院議員さえ「県内移設」には反対しています)、先月25日に開かれた「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める県民大会」には早々と不参加を表明。また、同大会に先立って同月21日には、同県選出・出身の国会議員7人が超党派で政府に同大会の要求を実現するよう求める共同アピールを発表しましたが、この国会議員の共同発表にも下地氏は自民党の島尻参院議員とともに加わっていません。まさに下地氏は超党派で取り組まれた県民大会を分断する役割を果たしてきました。

 しかし、下地氏は、昨年の衆議院選挙前には「これまで主張してきた普天間基地の嘉手納基地への統合案は取り下げて『県外移設を基本政策』とする民主党と今後、政策のすり合わせを図る」(琉球朝日放送 2009年6月9日報道)などと述べていたのです。その変わり身のあまりもの不節操、自堕落は、ウチナンチューの風上にもおけないどころか、一個の人間としても風上におくことのできない非倫理観の持ち主だと指弾しないわけにはいきません。下地氏については、同氏のファミリー企業である大米建設が沖縄防衛局発注工事の請負額ランキングで2位に入っていることも指摘しておく必要があるでしょう(琉球新報 2010年2月12日付)。沖縄の基地建設に絡む自らの利権のために下地氏は動いている。その可能性がおおいにある、ということを。そして、その下地氏の利権のために同氏傘下のウチナンチューの地方議員が徳之島という同胞の「南西諸島守備軍」被統治住民説得要員として駆り出されている可能性もおおいにある、ということを。

参考:この絶望的なまでに非倫理的行為をする者は誰だ!! 沖縄県議ら徳之島町長に要望(2010年5月19日)
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi/3798557.html

by 東本高志
posted by 風の人 at 10:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 一般
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