■外国人参政権、14県議会が反対 「保守」掲げ自民主導(朝日新聞 2010年1月8日)
http://www.asahi.com/politics/update/0108/TKY201001070489.html
「47都道府県のうち14県議会で、昨年の政権交代以降、永住外国人の地方参政権の法制化に反対する意見書を可決したことが、朝日新聞の調べでわかった。このうち7県はかつて、賛成の意見書を可決している。いずれの可決も自民県議が中心になった。夏の参院選や来春の統一地方選に向けて、民主との違いを際だたせようとする狙いがある。/反対の意見書を可決したのは秋田、山形、茨城、埼玉、千葉、新潟、富山、石川、島根、香川、佐賀、長崎、熊本、大分の県議会。主に自民党議員が提出し、昨年10〜12月に採択された」
同記事によれば、「2000年までに30都道府県が参政権を求める意見書を可決した。在日本大韓民国民団(民団)の要望や、『憲法は永住外国人に地方選挙の選挙権を与えることを禁じているとはいえない』との95年の最高裁判決が影響した」ものとみられるが、そのかつて参政権を求める意見書を可決した7県議会を含む14県議会が永住外国人の地方参政権の法制化に反対する意見書を可決した、ということになります。
その背景として同紙は「『民主は中がバラバラだから』と、自民党には「民主を揺さぶる狙いがあった」。「衆院選の大敗後、自民の谷垣禎一総裁は『保守』を掲げて党再生を目指す。党本部は『問いあわせがあった県連には可決された意見書を送っている』」という自民党の利己的な政治的思惑があることを指摘しています。
現実にたとえば下記の熊本県議会(2009年10月8日可決)と大分県議会(2009年12月10日可決)の「永住外国人への地方参政権付与の法制化に反対する意見書」はほんの少しばかりの字句の異同はみられるものの基本的には同一の意見書といってよいものです。昨年10〜12月にかけての各県議会の同反対意見書可決ラッシュの背後には、自民党本部のきわめて利己的な政治的思惑に基づく号令が伏在していることは明らか、といってよいでしょう。
・熊本県議会意見書:http://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/25512.pdf
・大分県議会意見書:http://www.pref.oita.jp/21000/kaketsu/21-4/24eijyuugaikokujin.pdf
さて、上記の各県議会の反対意見書に共通する特徴は、永住外国人の地方選挙における選挙権の問題に関する最高裁の95年判決(1995年2月28日最高裁第3小法廷判決・民集49巻2号639頁)の「住民とは地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当」とする判示部分を引用した上で、「日本国民でない永住外国人に対し、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等を付与することは、憲法上問題がある」などとする一面的、かつ恣意的な立論を根拠にしていることです。
一面的、かつ恣意的、と私が言うのはこういうことです。上記の95年判決には次のような判示も示されています。「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である」。上記の各県議会の反対意見書の論は最高裁のこの判示部分を見事に無視しています。上脇博之さん(神戸学院大大学院教授・憲法学)も指摘されているようにこのような恣意的な論を社会学・政治学用語でいうところのデマゴギーというのです。
■永住外国人地方選挙権付与法案に対するデマによる反対運動はやめるべきだ
(「上脇博之 ある憲法研究者の情報発信の場」 2009年12月25日)
http://blog.livedoor.jp/nihonkokukenpou/archives/51248307.html
上記の各県議会の反対意見書の論の中に、これも荒唐無稽の論というほかない代物ですが、もうひとつ看過することのできないデマゴギーがあります。千葉県議会の反対意見書の論です。同意見書は次のように言います。「参政権に賛同する人々は同判決にある『憲法上禁止するものではないと解するのが相当である』との部分を取り上げて最高裁が認めたものとしているが、この部分はあくまで傍論であり主文ではない」。
・千葉県議会意見書:http://www.pref.chiba.lg.jp/gikai/honkaigi/2112/ikensho2112.html#0908
この「傍論」議論は、一昨年4月の名古屋高裁イラク自衛隊派兵違憲判決の際に政府側から持ち出され有名になりましたが、完全に論破されています。論破され尽くされているものをあえてまた持ち出すのもデマゴギーというほかないでしょう。
「傍論」議論については多くの人がその論の荒唐無稽さを指摘されていますが(実のところ私も拙論を書いています)、ここではウィキペディアの『傍論』の項とマガジン9条に掲載された伊藤真さん(伊藤塾塾長・弁護士)のご論の紹介にとどめさせていただこうと思います。
ウィキペディア(全面信頼は禁物ですが、相応の信頼はおける辞典です)は「傍論」について簡便に次のように書いています。「傍論は、英米法の概念で、判決において表された裁判官の意見のうちで、判決理由には入らない部分」のことをいう。千葉県議会の意見書が「傍論」という最高裁の判示部分はもちろん判決理由の中に含まれていますので、これを「傍論」ということはできません。
・最高裁の95年判決:http://www.chukai.ne.jp/~masago/sanseiken.html
伊藤真さんの「傍論」論破はさらに徹底的です。
■イラク派兵9条違憲判決の効力(マガジン9条 2008年4月23日)
http://www.magazine9.jp/juku/064/064.php
第1。本来、裁判所の役割は、当事者が提起した事件をきっかけに、法の意味を探り、法原理を探求しこれを明らかにするところにあります。ここに国会、内閣という政治部門と異なる司法部門としての独自の存在意義があるのです。この点から、今回の違憲判断はまさに当事者が真剣に争った重要テーマであり、裁判所が判断するのにふさわしい問題でした。判決の中でも丁寧に当事者の主張を検討してその当否を判断しています。傍論として片づけることができるようなものではありません。
第2。本件のような損害賠償請求訴訟の際には、行為の違法性を判断し、違法であると判断されると損害の認定をします。つまり自衛隊の行為が違法かどうかを判断し、そのあとに損害があるかを判断するのです。(略)これまで、いくつかの裁判所では憲法判断を避けるために、あえて、損害の認定を先に行い、損害がないから請求棄却とすることがありました。しかし、これはむしろ判決を導くための判断の順序からすると例外です。(略)今回はそれを原則通りの判断過程を経たというだけのことです。憲法判断は蛇足でも何でもありません。必要だから判断したまでです。
第3。裁判所の第1の役割は個人の権利保障ですから、個人の権利を守るために必要な限りで憲法判断を行うのが原則です。ですが、裁判所にはさらに憲法保障機能というものが期待されています。これはなんらかの違憲状態が存在するときに、憲法秩序を回復するために裁判所が積極的に違憲判断をしていくという役割です。/仮に個人の権利救済のためには必ずしも必要とはいえない判断であっても、将来の人権侵害や憲法秩序の破壊を防止するために、あえて積極的に憲法判断に踏み込んでいくことも、憲法の番人としての裁判所の役割として憲法が期待していることなのです。
伊藤真さんの「傍論」論破の全貌は上記のURLをご参照ください。
自民の下衆な野望を打ち砕くことは、もちろんまもなく開かれる次期通常国会で外国人参政権を法制化させるためにも、今夏の参院選で自民党の復権を決して許さないためにも決定的に重要なことだと思います。喜ばしいことは上記の各県議会の意見書に公明党が反対にまわっていることです。私の地元の大分県でも公明党は反対にまわっています。またインターネットで賛否の状況がわかる限りでもこの件について公明党は反対にまわっています。自・公の蜜月はとうに「宴のあと」となっているようです。
by 東本高志
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可決されたのでしょうか、破棄されたのでしょうか。
最高裁で可決されたのならば、法律上有りということ
最高裁で棄却されたのならば、法律で禁止されているということでしょうね。
地方参政権だけで止まればいいですが、
止まることは無いですしね。
今は地方参政権でがまんしてくれ、と言っていますし。
韓国民団はまだ理解できますが、
これから移民1000万人計画を進める中で、
中国へ選挙権をわたしたら政治も中国の言いなりになるのは目に見えています。スパイ防止法もありません。政治が支配されてしまう。
それはもう日本じゃない。
中国共産党の独裁政権で、日本がなにも言えないいいなりになる日本がやってくると思うと、中国のチベット大量虐殺、チベット仏教焼き払い行為を見ても、
日本は政治から侵略され、骨まで食いつかれると私は思います。
それが良いという考え方もあるのかもしれないですが、今危険な場面にあると思います。
チベットが同化政策で大勢の方が亡くなったことと、日本で同じことが政治からおこらないことを祈ります。勘違いだといいですが。