核兵器廃絶を世界に向けて訴えたオバマ・アメリカ大統領のスピーチは人々の胸をうった。ノーベル平和賞に選定した委員会は、オバマはまだなにも実行していないけれど、実行する志の高さにおいてそれを援護射撃するためにノーベル平和賞をオバマに決めたことを公的に明らかにしている。
だが、日本に来日してもわずか23時間の滞在と広島・長崎を訪問しなかったオバマの核廃絶とは、実現のプログラムをもっているのか私は疑問を覚えた。さらに、アフガンへの軍事介入、日本の沖縄県米軍基地へのアメリカ政府の強腰と続くと、オバマはほんとうに変革者なのだろうか、と疑念はさらに強くなる。
今後の健闘を期待するだけではだめなのだと思う。オバマに直接、日本を平和と護憲の国家にするためは、「オバマにノーと言える日本人」の存在が日増しに増加していかなければ、オバマ幻想のまま現実の政局と軍事基地とは全く変わらない。
さらに、国内産業の保護と国民生活の再建のためには、アメリカの言いなりのアメリカ経済依存は、しだいに日本国内産業空洞化を悪化させる。オバマ登場以前の戦後直後から、日本はアメリカの経済政策に振り回され、農業は豊かな自給状態から圧倒的に輸入依存と稲作農家への減反による懲罰政治を続けてきた。いまでは日本国内の農産物の自給率は軒並み低い状態にある。農業だけではない。金融資本や保険業界と相次いで、国内市場はアメリカ資本によって虫食い状に食い荒らされてきた。
アメリカが世界の君主のように覇権を唱え、グローバリズムを進化させている時代には、日本はアメリカの目下の従属国としてそのおこぼれに預かり続けた。だが、ソ連崩壊による冷戦の終結後に、つかのまのパックス・アメリカーナを謳歌したアメリカの時代は終えようとしている。世界の経済も政治の主導権も、G7がG20へと拡大しているように、アメリカに反旗を翻して中南米で社会主義政権が続出しているよう
に、民族と国家の主権を掲げた開発国が続いている。
いま日本は、世界に向けて、核廃絶と環境保護を柱に毅然とした外交を展開するべきである。その政策を実現する上で、民主党連立政権はどうであろうか。政界を引退した衆院議長だった河野洋平氏が、国内の民主主義政権を強調して、宇都宮\x8F\xF4焦六瓩\xE9を例にあげてその具体像を掲げた。河野氏は、宇都宮氏らと明確に小沢一郎氏の潮流は異なることを強調した。世界に向けて平和と民族と国家の主権を唱えるためには、国内の政治が民主主義体制によって推進されていかなければ、実現しようとする基盤そのものを失いかねない。その点では、民主党連立政権の行く手を見守り続け、時には民衆側の視点から厳しい批判と反動政治回帰を牽制する政権擁護も欠かせない。
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