◇ 政治改革 → 小選挙区比例代表並立制の導入
◇ 行政改革 → 衆議院比例区定数の削減
(衆議院定数の削減方針について)「行政改革をやるために、まずは自分の身を切るところからスタートさせたい。」(鳩山由紀夫氏、2008年7月23日)
◇ 小沢氏が9月18日付けで、民主党議員に政策決定の内閣一元化・議員立法の禁止を通達
◇ 国会改革 → 委員会定数削減
小沢氏が10月5日、三井辨雄国対委員長代理に国会委員会の定数削減を指示
◇ 平野博文官房長官が10月11日、「与党議員はあまり質問する必要はない。(閣僚は)答弁が大変だ」と発言
小沢氏自身が委員会定数の削減を「国会改革」と呼んでいるかどうか分からないが、少なくとも毎日・読売新聞はそうした呼び方をしています。少数政党を国会や委員会から排除する措置にはどれも「改革」という名前が付いていて、分かりやすい。次はどんな改革が来るのか。
議員立法の禁止、与党議員の質問禁止は、議員に主権者の代理人を辞めさせ、内閣への従属を命じるものです。諸「改革」と合わせ、国民主権を切り縮める企てに他なりません。
◆ 小沢・内閣集中制
小沢氏は政策決定の内閣一元化について、「議会制民主主義は、多数党が政権を構成することだから(内閣と党は)一体だ。国会議員自身も、よくそこの大きな転換が分かっていない」(10月1日)と語っています。小沢氏は、主権者>国会>内閣という序列を分かっていないか、無視しているのです。
議員立法の禁止通達では、例外的に「選挙・国会等、議員の政治活動に係る、優れて政治的な問題については、党で議論し、役員会において決定する。」とされていますが、「国会や選挙に関する法案の立案作業などについては、自ら率いる幹事長室で行う考えを示した。」(読売新聞、10月8日)ということです。確かに、国会委員会の定数削減を指示した。
国民主権とは程遠い、小沢・内閣集中制が敷かれようとしています。
民主党出身の横路孝弘衆院議長は10月10日、「独裁国家では議会は政府が決めたことをただ追認する」と述べて、一元化を批判していますが、もっともです。
◆ 国会委員会の定数削減と国民主権
国会委員会の定数削減については、毎日と読売が議員の専門性を強化するためだと解説しています。委員会の総定数が議員数よりも多く、1人で複数の委員会を掛け持ちしなければならないから、専門性が育たないという理屈。これも小沢氏の考えかどうか分かりません。毎日はさらに、「現行制度では少数政党の場合、複数の委員会に所属し、審議に追われるケースも目立つ。」(10月5日)と書き、あたかも少数政党に配慮しているかのようです。
しかしこれは少数会派とそれを支持する主権者にとって有り難迷惑。主権者が支持する各会派の議員は、主権者が最も支持する代理人として、全委員会に漏れなく配置されるのが好ましい。少数会派の議員が委員会を掛け持ちするのは、主権を最大限に保障する措置として当然といえます。逆に少数会派を委員会から締め出す定数削減は、主権を切り縮めるもので、不当です。
民主や自民にとってはどうか。現在でも両党は全常任委員会に相当数の委員を配置できるので、各常任委員は1つの常任委員会を専門とし、それ以外の委員会にそれほど力を割かなくとも、党全体として困ることはないのではないか。特別委員会については、所属する常任委員会と関連するものを選べばよい。
掛け持ちを緩和したいなら、国会議員の定数を欧州並みに増やせば事足ります。委員会定数が多過ぎると提起すること自体が、国会議員が少な過ぎる現状を照らし出しています。民主党は衆議院の比例区定数を80削減した後で、さらに委員会定数を削減するつもりなのでしょうか。
◆ 官僚答弁の禁止と憲法解釈
小沢氏は10月1日、官僚の国会答弁を禁止する考えも示しました。「脱官僚支配は国会から始めないといけない。政治家同士の議論ができるような国会にしたい」からだそうです。
官僚主導になるのは国会議員が未熟だからで、官僚答弁を禁止しても、未熟な政治家同士の稚拙な議論が続くようでは意味がない。有能な国会議員の選出がまず先です。政治家同士の議論をしたいなら、政策決定の内閣一元化を止め、議員立法中心にすればいいでしょう。
官僚答弁の禁止で注目すべきは、小沢氏が10月7日、憲法解釈に関する内閣法制局長官の答弁も禁止する意向を示したことです。小沢氏の特異な憲法解釈が政府答弁、内閣と一体だとする党の憲法解釈に反映される可能性はないのか。
議員立法の禁止通達は、憲法解釈の主体については規定していないし、改憲発議についても当然、今は触れていない。小沢氏は今後、憲法がらみで何を言ってくるのか。小沢集中制が憲法解釈にも及ぶとしたら、怖い。
太田光征
共同声明「国会議員の定数削減に抗議する」に是非賛同を
http://kaze.fm/wordpress/?p=276
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