2009年09月28日

投票行動と政治力学

                         櫻井 智志 「市民の風」MLにおいて、神奈川と静岡の参院補選について、活溌な討論が展開されている。私は、この討論についてMLで六度にわたって投稿したが、珍しく投稿そのものが届かず、「平和の風」の内部で議論を練り上げていく営為に加わることなく、どうしたものかと躊躇した。そこで、ブログに小生の意見を投稿することで、大切な討論に参加したいと思う。このブログは外部に公開されているので、そこを十分配慮しつ つ、意見を述べたい。 討論となっているひとつの立場は、こういうことである。 ひとつは、二つの参院補選で、民主党の議席を増やすことが、参院での過半数獲得につながることが、結果として社民党などの野党の政治的発言力を弱めることによって、結果として民主党内の保守派の勢いをつけることになり、それは政権自体が右傾化する原因にもなる、という懸念である。  対する意見は、もし自民党に勝たせたら、いままでの民主党政権を生み出すような世論の高まりをそぎ、結果的にも護憲勢力を弱めることにならないかという懸念である。 前者のご意見は重要な示唆に満ちたものである。私は、前者よりも後者の意見に賛成である。しかし、前者の提案の論理を十分に咀嚼して、その立場で考えてみなければ、論議は平行線のままで終わり、深められない。以前にも、私たちの信念に基づく投票行動という思考と異なるパターンが提示されたことがある。現実として投票行動の効果を十二分に考え、結果として政治を動かすような戦略を探ろうという趣旨であったかと思う。 民主党は、政権を獲得して新鮮な意欲を見せて、停滞していた自公政権時代の政治の沈滞を打破するような意欲を見せている。その点では、自公政権打破を実現させた国民の投票行動は、比喩的に言えば「平成の革命的変化」を呼びました。衆院の圧倒的多数を獲得したのに、民主党は社民党や国民新党と連立政権をくんだ。参院で、民主党だけでは単独過半数に達しないからである。いま衆院で、社民党や国民新党が政権に加 わっていることは、民主党内右派を牽制する役割を果たしている。 では、神奈川県、静岡県の参院補選を実際に考えてみよう。両方とも民主党が当選すれば、民主党の党勢はますます勢いづくだろう。自民党が両方とも当選すれば、自民党は野党になってはじめての国政選挙に当選したことで大きな態勢再建の足がかりをつかむことだろう。民主党、自民党以外に、他の政党や民主党とも自民党とも無関係な無所属候補が当選したらどうでしょうか。 結論を書く。 私は護憲勢力が当選することが最善と思う。しかし、自民党がよいか、民主党がよいかということについて、それぞれの政治信念の表明をしあうことにとどまるべきでは意義はうすいと考えまる。 もう一度なぜ先ほどの前者の意見が、現実的結果に影響を及ぼすような視点から考えるべきだという提案について、賛成反対の徹底した議論を組み立てていきたいものである。 私は静岡県知事に民主党が当選したことを喜んだ。しかし、あの選挙が衆院選後だったら、そうは考えない。何人もの方が述べられたように、きわめて反動的な歴史修正主義に立つ団体の積極的なメンバーであったからである。 政権交代したいま、民主党としても自民党としてもどのような政治家なのか、どのような人格なのか、そこをまず吟味すべきである。民主党でも右派なら、支持できない。自民党でも、政界に入ってリベラルな政治家なら、政局が激変してもまともな政治行動を選択するであろう。政界激変期に、政党政治とはいえ、構成員の個々の政治的理性と見識、○○党なら人物も全く問題なしなどとは言えない。 政党政治でも、いな、政党政治の本格的活性期だからこそ、どのような政治家を国会に出すかが重要である。それを吟味するためにも、前者の提案を大切に吟味して、さらに深める論議が求められている、私は強くそう考えている。
posted by 風の人 at 20:35 | Comment(0) | TrackBack(1) | 一般
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