2009年09月20日

民主党連立政権の「内政革命」

                 櫻井 智志

 民主党が政権をとったら、憲法を改悪してしまうという懸念があった。しかし、現実に政権について矢継ぎ早に取り組む様子は、決して反国民的なものではない。むしろ、国民の生活不安をとりのぞく作業に取り組んでいる。

 たとえば、厚生労働省はどうなったか。後期高齢者保険は撤廃が指示された。生活保護の母子家庭への減額は元に戻されそうだ。

 八ツ場ダムについては、現地住民の戸惑いを斟酌して賛否両論がある。私は、故郷が群馬県なので、昔から知っている。あえて比喩すれば、成田市近辺の農地を奪い取り国民的な話題となった成田空港阻止闘争を連想した。いまでは空港も建設され、海外旅行のメッカとなった。空港廃港は非現実的と言われるかも知れない。しかし、農地を権力から強制収容され、身をもって闘った現地農民の想いが、八ツ場ダムに重なる。私の父は、生前に八ツ場ダム問題を詩作の課題として、高崎市から
現地の県北部まで取材にでかけて、現地の住民の様相を調べていた。もう十五年以上も前になろうか。現地の革新勢力はダム建設反対を政策に掲げて闘争してきた。

現地住民の生活再建に十分な保障と産業振興などが必要十分な前提となろう。なぜダムを工事停止にするか。そこには治水政策の大きな転換がある。長野県でのダム建設停止などにも通ずる。東京都に給水するために、ダム建設は不可欠と思われて戦後各地でおこなわれてきた。ダムを作らないで治水が可能となり、それ以上にダム建設がむしろ弊害が強いことが専門家から指摘されて久しい。

 文部科学大臣は、麻生自民党元総理のアニメ館建設を中止を指示した。大規模な無駄遣いであり、その内容も実態がないのに、政治家個人の趣味を満足するのに、あのような工事は無意味である。

 次々に民主党政権は、自公政権の悪弊を見直し、政治に希望をもたせている。むしろ、今後が大変だろう。とりあえず二つの課題がある。

 ひとつは次々に行政刷新がなされている。ただその内容がよいことでも、行政の進め方が大事である。議論を尽くし、当事者の思いを十二分に耳を傾けて、納得と共感を土台としながら、政治を進めていかないと、数々の「民主党革命」は着地しがたいものがあろう。

 もうひとつは、困難な対米関係の扱い方である。識者が指摘するように、まず鳩山政権は、国内の社会福祉と雇用、年金などの生活実感から国民があきらめと虚脱感をもっている課題を優先して取り組むことが必要だろう。対米関係や憲法問題での政権与党内部での難問は、心して取り組むべき重要課題である。国民の生活を今の崩壊状態から救うこと。それが優先すべき事柄だ。

 予想以上の民主党内政改革の取り組みが進み、内政が外交とも関わって困難な状態が生じたら、日本がアメリカとの従属路線でいくかアジアとの友好的な協力外交路線でいくか。その時点では、共産党や護憲勢力がどのようにこの問題で、平和と民主国家建設の「建設的野党」としての宣言が実行として試されている。
posted by 風の人 at 11:22 | Comment(0) | TrackBack(1) | 一般
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