行政改革を実行する手前、国会議員自ら身を切るとして衆議院の比例区定数を削減しようとしている民主党。単に政党助成金に手をつけないというのではなく、その増額を図りたいのが本音だということです。
民主党マニフェスト 定数削減で身を切り、政党交付金で身を肥やす?
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/124381965.html
その政党助成金の額ですが、日本は世界的にみてトップレベルです。
日本 317億円
ドイツ 1億3300万ユーロ(約182億2000万円)
フランス 約7323万ユーロ(約100億3300万円)
スウェーデン 1億4015万クローナ(約21億200万円)
カナダ 21,993,217.75カナダドル(約19.2億円)
デンマーク 81,457,708.7クローネ(約14億6800万円)
イギリス 200万ポンド(約4億800万円)
イギリスについては2002年度の、スウェーデン・デンマークについては2003年度の、日本・ドイツ・フランス・カナダについては2004年度の総額。
[典拠]
「2000年政党、選挙及び国民投票法」の制定とイギリスにおける政党助成制度
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200408_643/064304.pdf
デンマークの政党助成制度
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200403_638/063805.pdf
2003年カナダ選挙法の改正と政党助成制度の導入
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/legis/224/022404.pdf
世界的に少なすぎる国会議員数を削減し、世界的に高すぎる政党助成金を増額する。1900年代初頭の政治改革詐欺から2000年代後半の行政改革詐欺へ。
政治改革詐欺と行政改革詐欺で共通しているのは、完全小選挙区制を確立し、保守二党政と政権固定を促すことです。
例えばイギリスの保守党は、1979年から1997年までの4期18年にわたり、長期単独政権を維持しました。その間の総選挙における保守党の得票率は、わずか43%前後。これは、小選挙区制が、得票率60%の野党連合(労働党、自由民主党)による政権交代を長年阻害してきたことを意味します。
[参考]
UK Election Statistics:1945-2003
http://www.parliament.uk/commons/lib/research/rp2003/rp03-059.pdf
民主党はマニフェストで小選挙区制を「政権交代が実現しやすい選挙制度」と示唆していますが、これは間違い。野党連合による政権交代を阻害し、政権固定をもたらすのが小選挙区制です。
民主党2009マニフェスト
7.国会議員の定数を削減する
【政策目的】
○行財政改革を進めるとともに、政権交代が実現しやすい選挙制度とする。
【具体策】
○衆議院の比例定数を80 削減する。参議院については選挙制度の抜本的改革の中で、衆議院に準じて削減する。
いま政権交代が確実になったのは、小選挙区制のお陰でも何でもなく、野党の得票率が与党のそれを上回るようになったからに他なりません。2007参院選の比例区で野党はすでに57%の票を獲得しています。
今度の総選挙で民主党に単独過半数の議席を与えることは、政権交代を許さない、民主党による長期単独政権への道を開くものです。
比例区で民主党が議席をまったく取れなくても、野党が議席の過半数を占めることは確実です。政権交代のために比例区で民主党に投票する必要はまったくありません。
太田光征
定数削減で身を切り、政党交付金で身を肥やす?
http://unitingforpeace.seesaa.net/article/124381965.html
民主党の比例区勝ち過ぎを修正することで、政権交代が確実になる
http://kaze.fm/wordpress/?p=275
2010年6月18日:民主党2009マニフェストの抜粋を追記し、その他の表現を微修正
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