2009年08月17日

民主党政権の「成立」と革新政党のキャスティングボートとしての役割の重さについて

法政大学の五十嵐仁さんが今発売中の『週刊現代』(2009/8/22・29号)の「面白すぎる」(同誌の宣伝文句)総選挙予測記事を紹介しています。

■本当になるかもしれない「自民党解散」解散(五十嵐仁の転成仁語 2009年8月15日)
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2009-08-15

同誌の大胆予測では、今度の選挙で「自民44議席(!)、公明9議席、民主390議席(!)、社民15議席、共産8議席、国民8議席、日本2議席、大地1議席、その他2議席」になる、というのです。さらに同誌は「小選挙区では、福岡8区の麻生首相も山口4区の安倍晋三も落選と予測」しています。さらになお同誌は「森元首相、片山さつき、野田聖子、山崎拓らはダブルスコアで惨敗」などなどとも予測しています。
http://kodansha.cplaza.ne.jp/wgendai/article/090810/top_01_01.html

五十嵐さんは「『週刊現代』の選挙予測記事を読んで、それが本当になるかもしれない、と思ってしまいました。自民党解散は、まんざら冗談ではないかもしれません」という感想を述べています。左記にいう「自民党解散」とは、五十嵐さんの造語で「自民党解散解散」のことです。すなわち、「総選挙で自民党がこてんぱんに惨敗し、選挙後に(自民党は)解散の危機を迎えるかもしれない」の意味です。

上記の『週刊現代』の大胆予測が現実になれば、自民党はほんとうに少なくとも四分五列(解散)状態にはなるでしょう。いまの「民主党へ、民主党へと草木もなびく」という世のありさまを見れば『週刊現代』の大胆予測はまったく「荒唐無稽」ともいい難いところがあります。

ただし、上記の『週刊現代』の大胆予測は、「インターネットで各選挙区の有権者100人にアンケート調査した結果」ということですから、五十嵐さんもおっしゃっておられるように「信頼性に欠け」るところ大です(注)。ハナシ半分、いや3分の1、4分の1程度に聞き流しておいてちょうどよい情報というところでしょうか?

注:下記記事で日本ジャーナリスト会議会員の桂敬一さんは、マス・メディア各社の世論調査では軒並み30%以下となっている内閣支持率がヤフーがこの7月1日実施した「みんなの政治」 と称するインターネット調査では69%であったという例をあげて、インターネット調査のいかがわしさについて指摘し
ています。(『ネット時代とジャーナリズム不信の関係を考える(3)』「日本の独立メディア育成と大メディアの役割」の項)。
http://www.news-pj.net/npj/katsura-keiichi/20090808.html

ただしかし、再び五十嵐さんの言。五十嵐さんは「民主党を油断させるためかもしれないとの疑いもありますが」という前提を述べた上で、「しかし、かなり割り引いてみても、大変、衝撃的な数字であることは確かでしょう」と言います。私もそう思います。

さて、以上は前置きです。私が言いたいのは以下のことです。

民主党が上記のような流行性感冒のような大躍進を遂げたとして、心配になるのはその後の民主党政権の政権運営のなりゆきです。民主党は「もともと自民党田中派の人たちが軸となって構成している政党」(河野洋平の感慨(1)」朝日新聞、2009年7月23日付)です。安保政策や経済政策など
その政策や政治手法も自民党と多くの点で同質、同類のものを持っています。民主党政権に変わっても政治の中身は基本的に自民党政治の延長にすぎないというのでは政権交代の意義は自民党長期政権を終焉させたということにとどまり(この点だけでも十分すぎるほどの意義は認められる
のですが)、自民党政治の政策的転換という実質上の意義はほとんど皆無といってよいものになってしまうでしょう。

それどころか私は55年体制の崩壊をもたらした90年代初期の日本新党ブームを想起してしまいます。あのときその新党ブームに乗ってそれまでの自民党長期政権を打ち倒し、日本新党の細川護熙を首班とする非自民8党派連立内閣(細川内閣)、さらに自民・社会・さきがけによる村山富市
内閣を確かに成立させはしましたが、その代償として遺したのは、小選挙区比例代表並立制という悪名高い選挙制度と総評と社会党解体に象徴される革新勢力の分断、さらに私たちの国のいまに続く右傾化の道でした。

その二の舞にならないか。私の民主党のあまりにあまりな1人勝ちへのもっとも大きな懸念はここにあります。それは懸念というよりも、おそらくそうなるだろう、という私の確信のようなものです。

以下にメディア記事のURLを引用する形をとって(これまで発信したものを含みます)、私が上記にいう民主党への懸念材料の一端を示しておきます。

■靖国参拝の憲法解釈を削除、民主政策集 政権交代にらみ(朝日新聞 2009年8月16日)
http://www.asahi.com/politics/update/0815/TKY200908150297.html
■民主、臨時国会に貨物検査法案提出へ 政令作成に着手(産経新聞 2009年8月14日)
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090814/elc0908140131001-n1.htm
■民主党、なぜぶれる【非核三原則法制化/日米FTA】(赤旗 2009年8月12日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-08-12/2009081202_02_1.html
■民主、「インド洋撤収」を政策集から削除 現実路線へ(朝日新聞 2009年7月23日)
http://www.asahi.com/politics/update/0723/TKY200907230147.html
■民主党:日米地位協定の改定方針後退 「09年政策集」で(毎日新聞 2009年7月23日)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090724k0000m010112000c.html
■海賊対策で自衛隊派遣明記=対北、貨物検査や追加制裁も−民主政策集(時事通信 2009年7月23日)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009072300334
■民主、普天間県外移転先に九州2基地を検討(産経新聞 2009年7月23日)
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090723/elc0907230143002-n1.htm
■民主がマニフェストに対北貨物検査実施を明記(産経新聞 2009年7月23日)
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090723/elc0907230142001-n1.htm
■参考:民主政策集の要旨(時事通信 2009年7月23日)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009072300395

私は先のメール(下記JANJAN記事参照)で、民主党政権の政局運営の危うさを指摘した上で、同政権の危うさ指数を最小限のものにするためにも共産・社民などのいわゆる護憲派少数政党が国会内でキャスティングボートを握る勢力になることの重要性、必要不可欠性について、また、そのための私たちの投票行動のあり方について述べました。

■民主党に1人勝ちさせないことも今後に重要 ―― 民主党政権の運営に少数野党を参画させる投票方法がある(JANJAN 2009年7月24日)
http://www.news.janjan.jp/government/0907/0907237615/1.php

が、国会内でキャスティングボートを握る勢力になるとはどういうことか、という点について、さらにもう一点つけ加える必要性を感じます。それは当たり前のことを言うようですが、キャスティングボートを握る勢力になるにはキャスティングボートを握る勢力になる、という政党としての自覚、心構えのようなものが必要だろう、ということです。ここでいうキャスティングボートとは相手の打つ手に応じて当方としての差し手を決める受身の行為の謂いです。ですから、受身を決めるためには、相手の動向、所作を素早く読む当意即妙、柔軟な目が必要です。「是々非々」を見極める目、と言い換えてもよいかもしれません。柔軟な眼差しがなければ「是々非々」の判断を誤るおそれがあります。

さて最近、民主党が投げたボールに対する革新側の一頭地の一翼を担う共産党の打ち返しが誤っているのではないかと思われる事例が起きました。消費者庁発足に関わる民主党の対応に対する共産党の批判がそれです。

政府はこのほど消費者庁を9月1日に発足させることを決定しましたが、この決定に民主、社民両党は強く反発しています。同決定に反発する民主、社民両党の言い分は要するに政府が提示する同庁人事案件は納得できないというものです(「政権交代なら人事見直し=来月発足の消費者庁、波乱の船出も」時事通信、2009年8月11日)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200908/2009081100906

この政府提示の同庁人事案件については、下記のヤメ蚊ブログで紹介されている札幌、東京、京都、福岡など北から南までの11弁護士会も「消費者委員会の委員長は、法律上委員の互選により選任されるのであり(設置法12条)、政府が消費者委員会の意向を無視して適任者を予め示唆して委員会を主導することはあってはなら」ない(東京弁護士会会長声明)などとして反対を表明しています。

■消費者庁消費者委員会に住田弁護士は就任するのか?〜ちょっと信じられない(ヤメ蚊ブログ 2009年8月12日)
http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/e23d736aef805c2fadf04141c1d9cfaa

民主党の消費者庁発足拙速論は上記の理由を含む反対論であるにも関わらず、共産党は、この民主党の対応を「(与野党の)全会一致で合意したもので、あえて延期する理由はない」と批判しています(「志位委員長:消費者庁9月1日発足反対の民主党をけん制」(毎日新聞、2009年8月6日)。http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090807k0000m010054000c.html

この共産党の民主党への「是々非々」批判は上記で私が述べた柔軟な眼差しに欠けていて、かつ曇っているように思います。

民主党政権の政局運営の危うさ指数を最小限のものにするためには、共産・社民などの護憲派少数政党のキャスティングボートとしての「確かな目」の必要不可欠なことを私は強調してきましたが、上記のような共産党の民主党への「是々非々」批判であれば、キャスティングボートとしての共産、社民の役割に信を置かない者を増大させるだけのマイナス効果しか持ちえない、ということになりかねません。それは革新勢力への不信を増大させることによって、この私たちの国を結果として右傾化の道へと歩ませた20年前の過ちを再び繰り返すことに意図せずして手を貸す行為ということにもなりかねないのです。

共産党は先月15日に発表した幹部会声明で、自公現政権与党と総選挙後にその実現が確実視されている民主党政権をどちらも否定されるべきものとして実質上同列視したそれまでの方針を転換し、「是々非々」「建設野党」の視点から民主党を評価する立場へと方針を転換しました。

この方針転換自体は歓迎されるべきことですが、この幹部会声明には、それまでの「小沢氏秘書逮捕事件」などの際に見られた同党の執拗なまでの民主党全面批判が結果として自公政権を利する行為となっていたことへの反省が一切見られない、という批判は自公政権からの脱却を願ういわゆる「革新」系の人々の中にはいまだに根強くあります。

例:共産党「建設的野党」への転換は自己批判をしてからの話だ(山崎康彦 JANJAN 2009年7月25日)
http://www.news.janjan.jp/government/0907/0907247679/1.php

総選挙後に生まれるであろう民主党政権の功罪の責任は一に民主党そのものにあることはもちろんいうまでもありませんが、共産党や社民党の民主党への対応のありようが同党の政局運営のありようにも少なくない影響を及ぼすであろうこと。それをキャスティングボートの役割といってよいでしょう。改めて共産党、社民党にキャスティングボート政党としての自覚(主体的な変革を担うより、ある意味脇役的自覚は、より一層堅固な志操が求められるもののように私には思われます)、「確かな目」「柔軟な眼差し」を堅持することへの期待を表明しておきたいと思います。

私たちの国を20年前の日(革新瓦解の前夜)に戻してはならない、と私は強く思います。


東本高志
posted by 風の人 at 16:03 | Comment(1) | TrackBack(0) | 一般
この記事へのコメント
民主党の細野豪志は山本モナと五反田のラブホテルで過ごした。
民主党の横峯良郎には半同棲状態の東京妻がいた。
民主党代表の鳩山由紀夫は選挙区の室蘭市にあるクラブママに愛人がいたことが発覚している。
鳩山由紀夫と山本モナは誕生日(2/11)は同じ。年齢差は29才。
残念ながら、9月中旬には下半身友愛首相が誕生する。
Posted by 下半身政権 at 2009年08月31日 14:50
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